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県議会知事提案説明

平成25年6月定例県議会 知事提案説明要旨

 このたびの定例県議会に提案をいたしました諸議案のご説明を申し上げるに先立ち、県政を取り巻く最近の状況について申し述べ、議員の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。


 初めに、国政の状況等についてであります。
 最近の経済情勢は、企業収益が製造業を中心に改善するなど、景気は着実に持ち直してきております。内閣府が発表いたしました本年1月から3月期の実質国内総生産速報値は、前期比1.0%増、年率換算で4.1%増となり、また、平成24年度の実質国内総生産は1.2%増と、3年連続のプラスとなりました。
 一方で、市場の動向は、日経平均株価が5月23日の1万5,942円60銭をピークに乱高下を繰り返し、昨日現在1万2,445円38銭となっており、為替も5月23日の1ドル103円57銭に対し、昨日現在94円21銭〜22銭となっております。マーケットは常に変動するものであり、引き続き注視していく必要がありますが、これに一喜一憂することなく、着実に日本経済の足元を固めていく政策を実行していくことが肝要と考えます。
 現在、国においては、日本経済の再生に向けた政策、いわゆる三本の矢のうち、第一及び第二の矢である「大胆な金融政策」と「機動的な財政政策」に続いて、第三の矢となる「民間投資を喚起する成長戦略」を策定しようとしているところであります。
 本県は、これまで、有識者や経済界の方々からなる「あいち産業競争力会議」を設置し、「国家戦略特区の創設」を始めとした「産業競争力の強化に向けた規制改革の提案」を取りまとめ、関係閣僚始め政府に対しその実現を強く要請してまいりました。
 こうした中で、今回の「成長戦略」には、「国家戦略特区」制度の創設や、外国人高度人材の受け入れに係るポイント制の拡充、ハローワーク業務の民間開放、自動車の自動走行の公道実証実験など、本県が提案した項目の多くが盛り込まれており、その中でも、インフラビジネスの推進として、コンセッション方式を地方道路公社の有料道路事業にも活用することが盛り込まれたことは率直に評価できるものであります。
 本県は、日本一のモノづくり産業の集積地であり、民間の力を引き出す規制改革は、産業競争力の強化とデフレからの脱却を実現するため、着実に推進していくことが重要であります。
 今後は、国において、国家戦略特区の制度設計や規制改革の具体化が進められることになりますので、引き続き、国に対し、特区制度等の早期実現を強く要請してまいります。

 さて、2回目の開催となる「あいちトリエンナーレ2013」がいよいよ間近に迫ってまいりました。8月10日の開幕まで2か月を切り、参加アーティストによる作品制作活動の様子がマスコミに取り上げられるなど、開幕に向けた雰囲気も高まってきております。
 今回のトリエンナーレでは、「揺れる大地−われわれはどこに立っているのか:場所、記憶、そして復活」をテーマに、五十嵐芸術監督の専門である建築の視点も取り入れて最先端の作品を紹介するほか、愛知芸術文化センターを中心とした名古屋のまちなか展開に加え、新たに岡崎市内のまちなかを会場に追加し、また、モバイル・トリエンナーレによる巡回展示を行うなど、県内各地域でより多くの方々に現代アートに触れていただける取組を行ってまいります。
 今後、さらなる盛り上げを図りつつ、世界で活躍するアーティストによる見応えのある作品の数々を、県民の皆様を始め国内外からお越しになる多くの方々に楽しんでいただき、感動を共有していただける、素晴らしい国際芸術祭となるよう、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、新しい地域づくりビジョンについてであります。
 本県は、今年度、2030年頃の愛知の姿を展望し、2020年を目標に、世界と闘える愛知の実現を始め、さらなる愛知の発展に向けた戦略や、その中での、尾張・西三河・東三河の各地域の方向性を示す、新しい地域づくりビジョンを策定することとしております。
 ビジョンの策定に当たっては、幅広くご意見を伺いながら検討を進めてまいりますが、まずは、日々、地域が抱える様々な課題に取り組んでいる市町村や地元経済団体等の皆様の声を伺っていくことが大切であると考え、5月29日の知多地域を皮切りに、県内8つの地区で地域政策懇談会を順次開催しているところであります。
 今後、学識者による有識者懇談会を設置するほか、県議会はもとより、国の機関や関係団体、さらには県民の皆様からご意見を伺いながら、日本一元気な愛知、明るい希望が持てる、活力と豊かさに満ちあふれた愛知の実現を目指して、ビジョンを策定してまいります。

 次に、リニア中央新幹線の建設促進についてであります。
 去る5月27日に、私が会長を務める「リニア中央新幹線建設促進期成同盟会」の総会を東京都内で開催し、リニア中央新幹線の早期着工や、東京・大阪間の早期全線整備を求める決議を採択いたしました。
 総会後は、山梨県、長野県、岐阜県、三重県及び奈良県の知事とともに、太田国土交通大臣に、リニア中央新幹線の早期全線整備を要望したところであります。
 また、本県では、今年度、2027年に予定されている東京・名古屋間のリニア中央新幹線開業を見据え、そのインパクトを最大限に活用するため、地域づくりの課題に対する対応方針について調査・検討を行い、リニアインパクトを活かした地域づくり戦略の基本方針を取りまとめることとしております。
 今後も、同盟会として一致協力して、リニア中央新幹線の早期実現を目指すとともに、リニアインパクトを地域づくりにつなげる本県独自の取組を推進してまいります。

 続いて、地震防災対策の推進についてであります。
 本県では、5月30日に開催した愛知県防災会議において、昨年8月29日に国が南海トラフ巨大地震の推計結果として示した最大クラスの地震・津波による震度分布、液状化危険度、浸水想定域を前提とした、市町村別被害の試算を公表したところでございます。
 また、今年度中に策定する第3次あいち地震対策アクションプランの骨子も併せてお示しいたしました。この骨子では、発生頻度の高い地震・津波に対してはハード対策を中心とし、最大クラスの地震・津波に対しては、ハード対策に過度に依存することなく、避難等を軸にソフト対策とハード対策を効果的に組み合わせることを基本方針としております。
 一方、国においては、去る5月28日に、中央防災会議に設置された南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループの最終報告が取りまとめられたところであります。
 今後、本年秋頃に開催する第2回の愛知県防災会議に向けて、国における防災・減災対策の方向性との整合を図りながら、地域特性を考慮した独自の地震被害予測調査を最終的に取りまとめるとともに、本県の地域防災計画の抜本的な見直しや、第3次あいち地震対策アクションプランの策定を進めてまいりたいと考えております。

 次に、がんセンター中央病院の新たな外来化学療法センターのオープンについてであります。
 がんセンター中央病院では、抗がん剤を用いたがん治療を外来で受ける患者さんが急激に増えてきていることから、これに対応するため、新たな外来化学療法センターの整備を進めてきたところであり、7月1日にオープンを予定いたしております。
 新たなセンターは、化学療法専用の治療ベッドを従来の30床から60床に拡充した、国内最大規模の施設であり、今後は、拡充した機能をフル稼働させ、より充実したがん医療を県民の皆様に提供できるよう努めてまいります。

 さて、国からの給与減額措置要請への対応についてであります。
 国からは、国家公務員給与の平均7.8%引き下げに準じた措置を7月から行うよう要請がございましたが、地方公務員の給与は地方が自主的に決定すべきものであり、また、地方交付税の削減などにより給与削減を実質的に強制することは、地方自治の根幹に関わるものであり極めて遺憾であるとして、2月定例県議会での答弁を含め、これまで繰り返し主張してきたところであります。
 また、県議会からも、政府・国会に対して、地方公務員の給与削減に地方交付税を手段として用いることは、地方の固有財源であるという性格を否定するものであって、決して許されるものでなく、地方公務員給与費の一方的削減を行わないよう要請する旨の意見書を提出していただいております。
 本県の給与抑制は、平成10年度以降、累計で約1,550億円実施してまいりました。最近ではリーマン・ショック後の平成21年度から5年連続で行ってきており、今年度についても、給料3%、期末勤勉手当は一般の職員1.5%、管理職7%の給与抑制を4月から実施しているところであります。
 国の要請どおりに実施した場合の抑制総額は約300億円でありますが、本県は既に累計で国の要請の約5倍、平成21年度以降では約860億円で約3倍、昨年度と今年度の2年間だけでも323億円と、国の要請を上回る給与抑制を行っており、国の要請内容を超えるものを、既に十分実施しているものと考えております。
 さらに、行財政改革についても、本県は平成11年度の第三次行革以降、血のにじむような行革により、6,000億円近い効果額を生み出しております。この中で、職員定数や給与制度の見直しによる人件費に係る効果額は1,360億円であり、給与抑制と合わせて、約2,900億円の人件費を削減しているところであります。
 国の要請は、本県のこうした状況の中で行われたものであり、給与抑制についてこれまで国を上回って行ってきたことや、今年度も4月から既に実施していること、また、これまでの行革の取組等を総合的に勘案して、今年度の給与抑制については、2月議会で議決していただいたとおりとしたいと考えております。
 今後も、引き続き行財政改革にしっかりと取り組み、県民の皆様方の期待に応えることのできる県政運営に努めてまいります。

 そして、福祉医療制度についてであります。
 福祉医療制度を今後とも持続可能なものとしていくためには、不断の見直しが必要であると考え、昨年度から今年度にかけて、全市町村や医師会等関係団体の方々からご意見を伺う場を設けるなど、様々な議論を行ってまいりました。
 今回の議論においては、初めて福祉医療費の将来推計や見直し素案を議論の素材として示したことにより、これまでよりも一歩踏み込んだ議論をすることができたと考えております。
 その議論を通じて、福祉医療の将来推計を見据えて持続可能な制度とするためには何らかの見直しが必要であることや、それに関する課題などについて率直な意見交換ができました。
 また、そのようなことについての認識が共有できたことは、大変有意義であったと考えております。
 その中で、住民の方々に新たな負担をお願いすることになる一部負担金の導入については、様々な意見が出されました。
 また、多くの市町村から、一部負担金の導入に当たっては、各市町村が足並みをそろえて実施することが必要であるという意見も出されました。
 一部負担金を求めることについて、短期間に住民の方々の理解を得ることは、なかなか容易ではないのが現状であり、また、医療費の無料化が個々の市町村における政策的判断により実施されていることを考慮すると、全ての市町村が足並みをそろえて一部負担金を導入するような補助制度を今直ぐに設けることは、現実的にはなかなか難しい状況にあることも事実であります。
 こうしたことから、県としては、当面、一部負担金を導入することはしないこととし、引き続き、制度を持続可能なものとしていくための様々な観点からの議論を継続することといたしました。
 なお、所得制限の導入については、福祉施策における応能負担原則という観点や、ほとんどの都道府県で導入されておりますことから、多くの方々の理解が得られるのではないかと考えられるところであり、いわゆるマイナンバー制度の導入の動向も踏まえながら、この点に関する研究は引き続き深めていきたいと考えております。
 いずれにいたしましても、今後の高齢化の進行に伴う医療費の増加と生産年齢人口の減少などによる税収減が懸念される中で、福祉医療制度を含む医療・福祉施策に要する将来的な財政負担についての危機意識を関係者間で共有できたことは、大きな成果だと考えております。
 今後とも、県民の健康寿命のより一層の延伸を目指し、昨年度策定した「健康日本21あいち新計画」に基づいて、生活習慣病の予防や、生涯を通じた健康づくりを着実に進めるとともに、医療機関の適正受診などについても普及啓発を行い、医療費の適正化にもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 こうした中で、県財政の状況についてであります。
 平成24年度の一般会計の決算は、23年度に引き続き、実質収支が確保できる見込みとなりました。しかしながら、この実質収支は、減債基金等を取り崩すことにより確保できたものであり、また、本年度当初予算では、多額の収支不足を埋めるため、基金の取崩し等による財源確保を行っているところであります。
 依然として厳しい財政状況が続いておりますので、引き続き愛知県第五次行革大綱や重点改革プログラムに沿って、行財政改革の取組を推進し、県財政の健全化に向けて、より一層の努力をしてまいります。


 それでは、今回提案をいたしております補正予算案及びその他の議案につきまして、その概要を申し上げたいと思います。
 まず、補正予算案についてでございますが、総額148億7,740万余円を一般会計で増額補正するものであります。
 その主な内容でございますが、まず、一般社団法人愛知県農林公社の債務整理についてであります。
 農林公社が実施している農地保有合理化事業及び分収造林事業は、事業開始時には予測し得なかった農地価格や木材価格の下落により、事業終了時において多額の債務が残ると見込まれることから、農林公社は去る2月21日に名古屋地方裁判所に民事再生法に基づく再生手続き開始の申立てを行い、5月30日に再生計画案を提出したところでございます。
 この再生計画案においては、農林公社の債務について、その保有資産により弁済した上で、なお残る債務については免除を求めることとしております。このため、先の2月定例県議会においてご説明申し上げましたとおり、債務免除による金融機関の損失については、本県が金融機関との間で締結しております損失補償契約に基づき補償費を計上するとともに、本県から農林公社に対する貸付金等については、債権放棄を提案するものであります。
 また、金融機関への損失補償費の財源には、第三セクター等改革推進債を活用することとしておりますので、総務大臣への起債許可申請についても併せて提案するものであります。
 次に、今年に入り、県民の皆様の関心が非常に高まった微小粒子状物質、いわゆるPM2.5への対応といたしまして、より正確できめ細かな情報を提供するため、県管理の測定局において自動測定機を14台追加整備し、現行の9台から23台に増やすことといたしました。県管理分に名古屋市及び中核市分を含めた県内全域では、現行の30台から50台に増え、常時監視体制の強化が図られることになります。
 また、本県の交通事故情勢は非常に厳しい状況が続いております。このため、緊急交通安全対策として、交通事故死者数の半数近くを占める高齢者の方々に、歩行中の事故防止を呼びかけるテレビコマーシャルによる広報や、コマーシャルと連動した啓発活動を、9月の高齢者交通安全週間を中心に実施するとともに、通学路や事故が多発している交差点の横断歩道の整備に要する経費を計上することといたしました。
 次に、地域医療再生基金を活用した整備計画に沿って再編整備を進めております「療育医療総合センター(仮称)」につきましては、国の基金管理運営要領の改正により、施設全体の実施設計を平成25年度内に完了する必要がありますことから、病院棟の実施設計費を計上することといたしました。
 このほか、国の補助金を受けまして新たに基金を造成し、海岸漂着物の回収・処理事業や発生抑制対策に要する経費を計上してまいります。
 さらに、厳しい財政状況を踏まえ、去る2月定例県議会において抑制いただきました、県議会議員の皆様方の報酬につきまして、相当額を減額補正することといたしました。

 次に、補正予算案以外の議案についてであります。
 今回提案をいたしております案件は、条例関係議案が9件、その他の議案が8件でございます。
 主な案件についてご説明を申し上げます。
 まず、条例関係議案のうち、愛知県県税条例の一部改正についてであります。
 これは、地方税法の一部改正に伴い改正を行うものでございまして、その主な改正内容は、国債や地方債などの特定公社債の利子等及び譲渡所得等について、県民税の課税方式を上場株式等と同様の取扱いとするとともに、上場株式等に係る譲渡損失及び配当所得の損益通算の特例の対象範囲に、特定公社債の利子所得等及び譲渡所得等を加えるものであります。また、延滞金の割合の特例について、国税における見直しに合わせて改正いたします。
 次に、その他の議案のうち、人事案件でございますが、公安委員会の委員及び人事委員会の委員の任期満了に伴いまして、その後任者をそれぞれ選任するものでございます。


 以上、提案をいたしております案件の主なものにつきまして、その概要をご説明申し上げましたが、詳細につきましては、議事の進行に伴いましてご説明を申し上げたいと存じます。
 どうかよろしくご審議の上、適切なご議決を賜りますよう、お願いを申し上げます。