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県議会知事提案説明

平成26年6月定例県議会 知事提案説明要旨

このたびの定例県議会に提案をいたしました諸議案につきまして、そのご説明を申し上げる前に、桂宮宜仁親王殿下の薨去につきまして、謹んで哀悼の意を表しますとともに、心からご冥福をお祈り申し上げます。
 それでは、県政を取り巻く最近の状況について申し述べ、議員の皆様方のご理解とご協力をお願いしたいと思います。

 初めに、最近の経済情勢と本県の財政運営についてであります。
 最近の経済情勢につきまして、景気は緩やかな回復基調が続いておりますが、消費税率の引上げに伴う駆け込み需要の反動により、個人消費では、このところ弱い動きもみられます。
 先行きについては、次第にその影響が薄れ、国の経済対策を始め各種政策の効果が発現する中で、緩やかに回復していくことが期待されますが、海外景気の下振れが景気を下押しするリスクとして懸念されますことから、今後の動向を注視していく必要があります。
 こうした中で、本県の財政運営についてであります。

 平成25年度の一般会計の決算は、24年度に引き続き、実質収支が確保できる見込みとなりましたが、この実質収支は、減債基金を取り崩すことにより確保できたものであります。また、平成26年度当初予算編成においても、多額の収支不足を埋めるため、基金の取崩し等による財源確保や、臨時的・緊急避難的な措置として、基金からの繰入運用を行わざるを得ず、依然として厳しい財政状況が続いております。
 今後も、扶助費を始めとした義務的経費の増加が見込まれますので、第五次行革大綱の着実な実施と次期行革大綱の策定を通じて、県財政の健全化に向け、不断の行財政改革に取り組んでまいります。
 こうした取組に加え、産業経済の活性化を進めることにより、地域の雇用を維持・拡大し、税収の確保につなげることも重要であると考えております。
 このため、平成24年度から産業空洞化対策減税基金による補助制度を創設し、これまでに、企業立地・再投資の分野で、91件の補助対象案件を採択し、総投資額1,941億円、21,000人余りの雇用維持・創出効果が見込まれ、大きな成果を上げてまいりました。また、研究開発や実証実験の支援についても、5月に、平成26年度の採択案件を決定し、継続案件を含む70件に対し、約7億1千万円の補助金を交付することとし、次世代自動車、航空宇宙、環境・エネルギー、健康長寿、IT・ロボットなど、今後成長が見込まれる分野で高付加価値のモノづくりの維持・拡大を図ってまいります。
 また、「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」の中核プロジェクトである、民間航空機の生産・整備拠点事業につきましては、三菱重工業株式会社が、県営名古屋空港に隣接する県有地の売払いを受けた後、日本初の小型ジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)の最終組立工場を建設することとなりました。工場の年間生産額は、生産当初の平成29年度に240億円規模、その後5年間で1,100億円規模に拡大し、雇用者は300〜500人規模となる見込みで、当地の航空宇宙産業の振興に大きく貢献するものと期待されます。日本の未来を担うプロジェクトであり、アメリカ・シアトル、フランス・ツールーズと並ぶ航空宇宙産業の世界三大拠点を目指し、着実に振興策を推進してまいります。
 こうした産業振興策について、引き続き、全力で取り組み、「世界と闘える愛知・名古屋」の実現を目指してまいります。

 次に、リニア中央新幹線についてであります。
 リニア中央新幹線の建設につきましては、現在、国において、環境影響評価の審査が行われており、審査後には、工事実施計画の認可、そして、今年度内の着工が見込まれているところであります。
 こうした中、私は、6月4日に、リニア中央新幹線建設促進期成同盟会の会長として、沿線の各県知事とともに、太田国土交通大臣に対し、リニア中央新幹線の早期着工並びに全線整備に向けた取組について強く要請をしてまいりました。本県としましても、引き続き、事業推進に着実に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、本県では、リニア開業による時間短縮効果をより広域的に波及させ最大限に活用していくため、5月23日に、有識者や鉄道事業者等で構成する鉄道ネットワークに関する検討会議を立ち上げたところであります。今後、検討会議の委員の皆様からご意見をいただきながら、名古屋駅からの40分交通圏の拡大など、鉄道ネットワークの充実・強化に関する県としての方策案を取りまとめてまいります。

 次に、民間事業者による有料道路事業の運営についてであります。
 本県では、全国に先駆けた取組として、民間事業者による有料道路事業の運営の実現に向け、平成24年2月に国に対して構造改革特区制度に基づく規制の特例措置を提案して以来、2年余りをかけて国と協議を重ねてまいりました。
 そして、5月19日には、本県の特区提案に関して、政府の構造改革特別区域推進本部から、「新たに構造改革特区において講じるべき規制の特例措置」を設けるとする対応方針が示されました。
 こうした国の対応は、日本経済の成長戦略の重要なポイントであり、本県の提案実現に向けた大きな成果と考えており、さらに一日も早く、所要の法改正が行われるよう、引き続き、国に働きかけてまいりたいと考えております。
 また、現在、本県でも、民間事業者による有料道路事業の運営に関する意見募集を行っておりますので、今後、民間事業者の方々からのご意見も踏まえつつ、所要の法改正がされた後、速やかに民営化の実現に向けた手続を進められるよう、引き続き、積極的に取り組んでまいります。

 次に、「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議」についてであります。
 今年11月の会議開催に向け、開催地元として、安全・安心で円滑かつ快適な会議の開催支援や、愛知・名古屋の魅力発信について、支援実行委員会を中心に関係者が一丸となって、準備を進めております。
 また、世界会議の開催機運を盛り上げるため、5月から6月にかけて、愛・地球博記念公園、穂の国とよはし芸術劇場プラット、オアシス21の3か所において、半年前イベント「ESDフェスタ2014」を開催し、ユネスコスクールやNPO等の活動発表などを行い、多くの県民の皆様にご参加いただきました。
 7月5日からは、県内の子ども達が中心となって持続可能な社会づくりをテーマに学び、話し合う「ESDあいち・なごや子ども会議」の取組がスタートいたしますとともに、8月には市町村におけるESD活動をテーマとしたシンポジウムを開催いたします。
 さらに、ESDの理念を実践する推進拠点であるユネスコスクールの加盟促進にも取り組んでおりまして、その登録数は、5月末現在で63校、登録申請中が80校にまで広がっております。
 こうした様々な取組により、11月の世界会議の開催に向けて、万全の準備と機運の盛り上げを進めてまいります。

 次に、「技能五輪・アビリンピックあいち大会2014」についてであります。
 今回のあいち大会は、県内8市14会場にまたがる広域で開催し、選手及び競技関連団体などの参加者約5千人を含めて、来場者数は18万人以上を目標としており、過去最大規模の大会となる見込みであります。
 これから、11月の大会本番に向けて、本県の代表選手を決める県大会が6月から7月にかけて県内各地で開催されますので、選手の方々には、全国大会出場を目指して、これまで磨いてきた技を存分に発揮していただきたいと思います。
 続いて、7月30日、31日には、名古屋市内の吹上ホールにおいて、全国大会への出場選手による合同公開練習会を開催し、さらに、9月には、オアシス21において、あいち大会に向けたカウントダウンイベントを実施いたします。
 大会本番に向け、開催機運の一層の盛り上げを図るとともに、競技会場となる関係市の方々と、万全の準備を進めてまいります。

 11月に開催される、この二つの大きなイベント、ESDユネスコ世界会議と技能五輪・アビリンピックにつきましては、成功に向け地域を挙げて全力で取り組んでまいりますので、県議会並びに県民の皆様方のご理解とご支援をお願いいたします。

 次に、スポーツ大会を活かした地域振興についてであります。
 6月1日に、トライアスロンの世界的シリーズ戦である「アイアンマン70.3セントレア知多・常滑ジャパン」が開催されました。
 私も、当日、スターターを務めさせていただきましたが、県として、大会のPR面で積極的に支援するとともに、選手や観戦者など多くの方々に知多半島の魅力をPRする取組も行いました。
 また、6月3日には、本県が招致を目指す「FIFAフットサルワールドカップ2020」に関する研究会を立ち上げました。
 研究会のメンバーの方々からは、専門的な立場からご意見をお伺いし、秋頃を目途に、大会の開催スケジュール、会場候補地や招致に向けた広報戦略などを盛り込んだ開催構想概要書を取りまとめ、招致に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。
 今後も、こうした全国、世界に打ち出せるスポーツ大会を育成・招致し、地域の活性化につなげてまいります。

 次に、ピンポン外交記念モニュメントについてであります。
 大相撲名古屋場所や国際的なスポーツ大会などが開催される愛知県体育館は、昭和39年の開館から、今年で50周年を迎えます。
 この50年の歴史の中でも、昭和46年の「第31回世界卓球選手権大会」は、単に大規模な国際的なスポーツ大会であったという枠を超えて、いわゆる「ピンポン外交」の舞台として、米国と中国の関係改善や日中国交正常化のきっかけとなりました。これは、「小さなボールが大きなボール(地球)を動かす」と世界中から賞賛され、この大会は、日本・米国・中国の外交史において大きなターニングポイントとなったという特別な意味を持ち、多くの皆様の記憶に残っております。
 このため、この大会が果たした歴史的な意義を次代に継承していくことが重要と考え、ピンポン外交記念モニュメントの設置に向けて、6月16日に、当時を知る卓球関係者を始め各方面の方々に参加いただき、検討会を開催したところであります。
 このモニュメントの設置により、日米中の友好平和のメッセージと県体育館のスポーツ施設としての魅力を、愛知・名古屋から国内外に発信するとともに、多くの人々を国内外からひきつける国際交流の推進につなげてまいりたいと考えております。

 次に、女性の活躍促進の取組についてであります。
 本県では、「女性が元気に働き続けられる愛知」の実現に向けて、昨年9月に設置した「あいち女性の活躍促進プロジェクトチーム」による検討を踏まえ、今年度、様々な取組を進めております。
 その取組の一つとして、5月27日に、出産や子育て等で離職された女性の再就職を支援する「あいち子育て女性再就職サポートセンター」を、名古屋駅前の愛知県産業労働センター(ウインクあいち)の17階に開設しました。
 センターでは、専門職員による相談・カウンセリングを始め、ワークショップや職場実習、各種セミナーの情報提供など、きめ細かな取組を行うとともに、国が職業紹介を行うマザーズハローワークなどと連携し、仕事と家庭との両立などの不安や悩みをお持ちの女性の方が、再就職して活躍できるよう、支援してまいります。

 次に、県立高等学校の将来ビジョンについてであります。
 本県では、社会経済や教育環境の変化、多様化する生徒の学習ニーズ等に対応した高等学校づくりを進めるため、6月6日に、教育委員会において、「県立高等学校将来ビジョン検討会議」を立ち上げ、10年先を見据えたグランドデザインとなる今後の県立高等学校のあり方について、具体的な検討を始めたところであります。
 この検討会議に先立ち、5月27日には、教育懇談会を開催し、特色ある県立高等学校のあり方をテーマに、幅広い観点から貴重なご意見をいただきました。
 今後は、検討会議を中心に議論を重ねて、県立高等学校の将来ビジョンを策定してまいりたいと考えております。

 次に、地震防災対策の推進についてであります。
 本県では、5月30日に開催した愛知県防災会議において、「愛知県東海地震・東南海地震・南海地震等被害予測調査」の結果を公表しました。
 この調査結果では、南海トラフで過去に発生した記録が残る宝永地震などの規模の大きな5つの地震を参考にした「過去地震最大モデル」を中心に、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震・津波となる「理論上最大想定モデル」についても被害の様相や対策による減災効果を示しました。あわせて、防災会議においては、こうした被害予測調査結果を踏まえ、津波・浸水対策を重点的に盛り込むなど、本県の地域防災計画の抜本的な見直しも行いました。
 また、ゼロメートル地帯の安全確保が重要と考えており、国の管理する堤防を含めて、河川海岸堤防を粘り強い構造へと強化していくための支援・協力を国に要請し地震・津波対策の整備促進を図るため、関係する沿岸部の市町村等とともに「愛知県河川海岸堤防等地震・津波対策事業促進協議会」を4月に立ち上げたところであります。
 本県は、740万人を超える人口を擁し、日本一の産業県であるため、災害被害を最小限に抑え、迅速に復旧することが極めて大切であると考えております。
 今後は、本県の地震防災・減災の行動計画となる第3次あいち地震対策アクションプランを年内に策定し、ソフト対策とハード対策を効果的に組み合わせた総合的な地震防災対策を推進してまいりたいと考えております。

 次に、交通安全対策についてであります。
 本県の交通事故死者数は、昨年に比べて減少しておりますが、現在も全国ワースト1位が続く厳しい状況となっております。
 このため、今年度は、交通事故死者数の半数以上を占める高齢者の方に事故防止を呼びかける啓発活動を展開するとともに、交通死亡事故の原因の大半を占めるドライバーに対する法令遵守やマナー向上を訴える啓発キャンペーンを重点的に実施してまいります。
 今後とも、県警察や市町村、関係機関と緊密に連携し、県民総ぐるみで交通安全対策を推進することにより、交通事故及び交通事故死者数の減少に全力で取り組んでまいります。

 それでは、今回提案をいたしております補正予算案及びその他の議案につきまして、その概要を申し上げたいと思います。
 まず、補正予算案についてでありますが、総額8,289万円を一般会計で増額補正するものであります。
 その主な内容でございますが、まず、水素ステーションの整備促進についてであります。
 究極のエコカーと呼ばれる燃料電池自動車(FCV)の販売開始に向け、本県では、平成26年2月に「愛知県水素ステーション整備・配置計画」を策定し、水素ステーションの整備を促進しているところであります。この計画では、2015年度末までに20基を整備するという意欲的な目標を掲げております。
 現在は、整備中を含め11基となっておりますが、この目標を達成するため、今年度と来年度で、さらに10基程度の整備が必要な状況となっております。
 このため、本県では、水素エネルギー社会に向けた普及啓発の取組の一つとして、県庁西庁舎駐車場において移動式水素ステーションを運用するための整備を行うことといたしました。
 この取組は、FCV、水素ステーションの普及啓発にとどまらず、本県が率先して、都心部における水素ステーション整備促進のモデルケースを提示するものであり、全国の自治体へ波及することを期待しております。
 次に、少子化対策についてであります。
 少子化問題に対応するため、結婚・妊娠・出産・育児の「切れ目ない支援」を行うことを目的に、国において地域少子化対策強化交付金が創設されました。
 この交付金を活用して、若い世代の方々が妊娠・出産に関する正しい知識を学ぶための教材等を作成し、教育現場や企業と連携して健康教育を実施することや、子育て経験のある高齢者の方々などを「子育て応援サポーター」として養成し、児童館・保育所等で子育て支援活動に参加していただくなど、本県独自の取組を実施してまいります。
 次に、豚流行性下痢(PED:Porcine Epidemic Diarrhea)への対応についてであります。
 平成25年10月に沖縄県においてPEDが発生して以降、全国に発生が拡大しており、本県においても、県内各地で発生が確認されております。
 PEDは、人に感染することはありませんが、感染が拡大すると子豚の死亡や豚の出荷自粛などの被害が農家に生じますことから、PEDの発生予防及びまん延防止のため、消毒器具等の購入に対して助成することとし、防疫体制を強化してまいります。
 また、去る2月定例県議会において抑制いただきました、県議会議員の皆様方の報酬につきまして、相当額を減額補正することといたしました。

 次に、補正予算案以外の議案についてであります。
 今回提案をいたしております案件は、条例関係議案が6件、その他の議案が8件でございます。
 主な案件についてご説明を申し上げます。
 まず、条例関係議案のうち、職員の配偶者同行休業に関する条例の制定についてであります。
 これは、地方公務員法の一部改正により、職員が、外国で勤務等をする配偶者と外国において生活を共にすることを可能とする休業制度が創設されたことに伴い、休業の承認や期間など、必要な事項について定めるものであります。
 次に、あいち健康の森薬草園条例の制定についてであります。
 これは、現在、平成27年4月の供用開始に向け、あいち健康の森公園内に整備を進めております薬草園の業務や指定管理者制度の導入に関する事項を定めるものであります。
 次に、愛知県県税条例の一部改正についてであります。
 これは、地方税法等の一部改正に伴い改正を行うものでございまして、その主な内容は、地方法人課税の偏在是正のための措置として、法人住民税の法人税割の標準税率が引き下げられたことに伴い、税率を引き下げるほか、地方法人特別税の3分の1相当が法人事業税に復元され、法人事業税の所得割等の標準税率が引き上げられたことに伴い、税率を引き上げるものであります。
 次に、薬物の濫用の防止に関する条例の一部改正についてであります。
 これは、薬事法の指定薬物の所持、使用等が規制されましたことから、条例で定める知事指定薬物につきましても、その所持、使用等を規制することとし、薬物の濫用の防止を図るものであります。
 次に、その他の議案についてであります。
 まず、財産の買入れについてでありますが、警察本部が使用するDNA型鑑定施設として、独立行政法人科学技術振興機構が所有する建物を購入するものであります。
 次に、財産の売払いについてであります。
 これは、先に申し上げましたとおり、「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」の中核プロジェクトである、民間航空機の生産・整備拠点の用地として、県営名古屋空港に隣接する県有地を三菱重工業株式会社に売り払うものであります。
 最後に、人事案件でございますが、公安委員会の委員及び人事委員会の委員の任期満了に伴いまして、その後任者をそれぞれ選任するものでございます。
 
 以上、提案をいたしております案件の主なものにつきまして、その概要をご説明申し上げましたが、詳細につきましては、議事の進行に伴いましてご説明を申し上げたいと存じます。
 どうかよろしくご審議の上、適切なご議決を賜りますよう、お願いを申し上げます。