メインメニュー
知事のマニフェスト 知事の発言・寄稿 知事記者会見 県議会知事提案説明 知事からのメッセージ 知事交際費の執行状況 プロフィール トップページ 写真で見る主な活動


県議会知事提案説明

平成29年2月定例県議会 知事提案説明要旨


 今議会に提案をいたしました諸議案の御説明を申し上げるに先立ち、所信の一端を申し述べ、県議会並びに県民の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。
 今年は、2期目の県政運営をスタートしてから3年目となり、任期4年の折り返しの年であります。
 私は、これまで「日本一元気な愛知」と「すべての人が輝く愛知」の実現のため、全力を尽くしてまいりました。
 昨年は、「アジア競技大会」の愛知・名古屋開催や「ワールドロボットサミット」の愛知県国際展示場での開催が決定いたしました。
 また、次世代産業の育成など、日本一の産業力の強化をさらに進め、女性の活躍促進、子ども・子育て支援や医療・福祉、障害者福祉の充実を図るとともに、「あいちトリエンナーレ」の開催など愛知の観光やスポーツ・文化の魅力発信、さらに、アジア各国との国際交流の推進などに力を入れてまいりました。
 今後も、こうした取組に加えて、新たな取組にも積極的にチャレンジし、愛知のさらなる発展に向けて、議会の皆様と県民の皆様のご理解と御支援をいただきながら、県政運営に全力で取り組んでまいります。


 それでは、最初に、愛知県政を取り巻く最近の状況について申し上げます。

 まず、最近の経済情勢であります。
 我が国の景気は、一部に改善の遅れも見られますが、緩やかな回復基調が続いております。先行きについては、雇用・所得環境の改善が続く中で、緩やかに回復していくことが期待されますが、イギリスのEU離脱、アメリカ新政権の政策、特に日米経済関係の動向、中国経済の減速など、海外経済の不確実性や、乱高下する為替や株式相場などの金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。

 次に、日米関係についてであります。
 去る1月20日に行われたトランプ大統領の就任式には、私も出席するとともに、インディアナ州知事・5名の上院議員等と面談を行ってまいりました。
 グローバル化が一層進展する中、世界経済・金融資本市場の動向の重要性がいよいよ増しています。愛知県及び中部地域は、日本経済の屋台骨であり、自動車始め、輸出型の製造業が集結している地域ですが、今後のアメリカの経済政策は、本県経済に大きな影響を与える可能性があります。
 本県は、昨年、アメリカの今後の成長を担うテキサス州、ワシントン州と友好交流・相互協力の覚書を結んでおり、こうした関係も生かしつつ、本県の企業が円滑に事業活動を行えるよう、アメリカ新政権の政策に大きな関心を持ちながら、さらなる日米関係、経済関係の強化に取り組んでいく必要があると考えております。
 そうした中で、先日行われた日米首脳会談においては、「揺らぐことのない日米同盟はアジア太平洋地域における平和と繁栄、自由の礎」であり、「日米同盟及び経済関係を一層強化するための強い決意を確認した」との共同声明の発表がありました。
 また、経済関係については、「自由で公正な貿易ルールに基づいて」、「両国間の貿易・投資関係双方の深化と、アジア太平洋地域における貿易、経済成長」を図るため、日米間で新たな経済対話を行うこととなりました。
 改めて、申し上げるまでもなく、日米関係、日米同盟は世界で最も重要な二国間関係であり、アジア・太平洋の平和と安定、世界経済の発展・繁栄にとって決定的に重要な関係であります。
 従って、今回の一連の会談、声明については、率直に評価するものでありますが、一方で、経済関係については、これから二国間で行われる新たな経済対話に委ねられることとなりました。
 そこでは、多くの日本企業がアメリカに投資をし、アメリカで生産をし、多くの雇用を生み、アメリカ経済に大きく貢献している事実、良きアメリカ企業市民として地域に根づいた活動をしている実態等を十分話して頂いて、そうした良好な関係を、未来に向かってさらに維持・発展させていくことで、日米経済関係がまさにウィンウィンの関係になり、相互に発展・繁栄していくこととなることを切に望むものであります。
 いずれにしても、愛知県経済は、アメリカ経済及び日米経済関係に大変大きな影響を受けるものであることから、今後とも、日米関係の動向を十分ウォッチし、様々なチャネル・ルートを通じて、日米関係、経済関係の強化に取り組んでいきたいと考えております。

 次に、国政の状況等についてであります。
 国においては、誰もが活躍できる一億総活躍社会の実現や、官民一体となった日本経済の成長力を高める経済再生に直結する取組の推進、また、働き方改革の推進を掲げ、成長と分配の好循環の確立を目指すとしております。
 本県は、これまで、「日本一元気な愛知」、「人が輝く愛知」としての取組を進め、日本一の産業県・全国でも数少ない人口が増加し続けている県となっています。
 今後も引き続き日本一の産業力をさらに強くし、人財力を高め、地域力を一層強化することで、日本の活力を取り戻す核となる役割をしっかりと果たしてまいります。

   次に、自動車諸税の見直しについてであります。
 私は、知事に就任した平成23年以来、自動車税制の抜本的見直しに取り組み、昨年11月にも、11県知事2市長の連名で、緊急声明を取りまとめ、政府・与党に対し、働きかけを行ってまいりました。
 その結果、平成29年度の税制改正では、エコカー減税・グリーン化特例の基準を段階的に切り替えた上で、2年間延長することが決定いたしました。対象の絞り込みが行なわれることとなったことは極めて遺憾でありますが、景気回復の観点から段階的な実施となったことは前向きに捉えたいと存じます。
 今後も、真の意味での自動車ユーザーの負担軽減が実現するよう、国に強く働きかけてまいります。

 次に、国家戦略特区についてであります。
 国家戦略特区で認定された有料道路コンセッションが昨年10月から既にスタートしており、愛知総合工科高等学校専攻科の公設民営も本年4月から始まります。
 また、1月20日に開催された愛知県国家戦略特別区域会議において、新たに外国人の創業やまちづくり分野等の取組を追加した区域計画が決定され、新たな規制改革の取組がスタートいたします。
 さらに、自動走行など近未来技術の実証を始め、「外国人雇用特区」、「医療ツーリズムの推進」や「農業分野の外国人材の受入れ」等に関する規制改革提案についても、早期実現を目指して、国と協議を進めているところでございます。
 今後も、この国家戦略特区を活用し、我が国随一の成長産業・先端技術の中枢拠点の形成と、総合的な規制・制度改革の実現に向け、引き続き力を尽くして取り組んでまいります。

 次に、交通安全対策についてであります。
 昨年の交通事故死者数は212人で、前年より減少しましたが、14年連続の全国ワースト1位という残念な結果となりました。
 今後は、県、県警察、市町村、関係機関の連携による啓発の実施や県警察による取締りの強化に加え、自動車安全技術の普及などを通じて、交通事故の抑止、交通事故死者数の減少に全力で取り組んでまいります。


 それでは、平成29年度当初予算編成につきまして、御説明いたします。

 本県の人口は、昨年6月に750万人を突破しました。本県は、我が国が人口減少社会に移行する中にあっても、自然増・社会増の両方を維持しながら、人口が伸び続けている数少ない地域であり、まさに「日本で一番元気な愛知」です。
 また、昨年は、「アジア競技大会」の2026年愛知・名古屋開催、ロボットの祭典「ワールドロボットサミット」の2020年開催がそれぞれ決定しました。全国初の有料道路コンセッションや、公道を使った本格的な自動走行の実証実験などとともに、本県は、新たな取組に果敢に挑戦し、着実に成果をあげています。

 日本で一番元気な愛知が、東京一極集中を打破し、日本の活力を取り戻し、日本の未来をリードしていかなければなりません。
 そのためには、これまでの取組をさらに発展させ、愛知の可能性を大きく広げていかなければならない、そうした思いをもって、予算編成に当たったところであり、平成29年度当初予算は、選挙で県民の皆様にお示しした政策集と、「あいちビジョン2020」を踏まえて、12の柱立てを作らせていただきました。
 以下、その柱立てに沿いまして、主要な事業について御説明させていただきます。

 まずは、リニア・インパクトを生かし、世界に発信する「中京大都市圏」づくりであります。
 2027年度の東京・名古屋間のリニア中央新幹線の開業を見据えながら、首都圏に対抗し得る強みをさらに伸ばし、ヒト・モノ・カネ・情報を呼び込み、愛知のポテンシャルを最大限発揮し、世界に発信する「中京大都市圏」づくりを進めてまいります。
 リニア開業後に中京大都市圏の玄関口となる名古屋駅について、名古屋市と連携しながら、わかりやすい乗換空間の形成等によるスーパーターミナル化を推進してまいります。あわせて、リニア開業による時間短縮効果をより広域に波及させ、最大限活用するため、中部国際空港や東海道新幹線豊橋駅のアクセス向上に向けた調査を実施してまいります。
 さらに、今年度末に策定する「あいち公共交通ビジョン」に基づき、広域的な公共交通の利用促進や利便性向上を図る市町村等を支援することにより、鉄道やバスなどが相互に連携し、効率的で利便性の高い公共交通ネットワークの構築を図ってまいります。
 また、中部国際空港の二本目滑走路を始めとした空港機能の強化の早期実現に向け、エアポートセールスやアウトバウンドの促進に取り組み、航空ネットワークの拡充と航空需要の一層の拡大を図ってまいります。
 道路網の整備につきましては、名古屋環状2号線、三遠南信自動車道、名豊道路及び西知多道路などの広域幹線道路の整備促進に取り組むほか、空港、港湾、インターチェンジへのアクセス道路や主要都市間を連絡する幹線道路ネットワークの整備を進めてまいります。また、地域の皆様の生活に密着する道路や山間道路などの整備についてもしっかりと取り組んでまいります。

 次に、世界をリードする日本一の産業の革新・創造拠点「産業首都あいち」づくりであります。
 日本一のモノづくり県である愛知の圧倒的な産業集積を生かした産業競争力を一層強化し、「産業首都あいち」を目指してまいります。
 ロボット産業分野では、人工知能(AI)やロボットの専門的知識を持つ研究者・学生が世界中から参加する「ロボカップ2017世界大会」が平成29年7月に本県で開催されます。県内のモノづくり企業の技術力を世界にPRする絶好の機会でありますので、名古屋市とともに、大会の成功に向けて取り組んでまいります。
 併せて、青少年の創造性と国際感覚を養うため、同じ会場において、「世界青少年発明工夫展2017」を開催するとともに、「愛知の発明の日」の記念講演会を開催してまいります。
 また、2020年に開催される「ワールドロボットサミット」の開催準備を進めるとともに、同時開催を予定している「ロボカップアジアパシフィック大会」の招致に取り組んでまいります。
 こうした国際的なロボットの祭典を契機に、日本一の集積地である愛知県のロボット産業を世界へ発信するとともに、自動車、航空宇宙に次ぐ第3の柱として育成し、世界に誇れるロボット産業拠点を目指してまいります。
 次に、県営名古屋空港周辺では、国産初のジェット旅客機MRJの開発・生産が行われており、航空機産業の拠点形成に向け、駐機場を始めとする空港施設の整備を進めてまいります。
 また、航空機の開発・生産の場にとどまらず、人材育成・産業観光の場として地域の活性化を図るため、「あいち航空ミュージアム」の整備を進め、本年11月30日にオープンいたします。
 さらに、航空宇宙産業の国際ビジネス商談会「エアロマート名古屋2017」へ出展する中小企業を支援するなど、当地域における航空宇宙産業の国際競争力強化と販路拡大を図ってまいります。
 次に、本県の基幹産業である自動車産業の高度化を促進してまいります。
 国家戦略特区の実証地域に指定されている自動走行につきましては、国の規制緩和の動きと連動し、運転手が全く関与しないレベル4の遠隔型自動走行システム等による実証実験を全国に先駆けて開始し、社会的受容性を醸成してまいります。
 また、自動走行技術の進展を見据え、具体的なビジネスモデルの創出に向けた検討を行い、自動走行に関する新たな産業の創出につなげてまいります。
 次に、燃料電池自動車(FCV)のさらなる普及に向けて、本県独自の補助制度により、水素ステーションの整備などを引き続き促進してまいります。
 また、自動車産業の研究開発施設用地として造成を進めている用地造成事業豊田・岡崎地区におきましては、起伏を生かしたテストコースが整備される中工区の造成が平成29年度に完了いたします。
 次に、愛知の産業力を支える中小企業に対しましては、金融面からの支援として、制度融資の金利を原則0.3%引き下げるとともに、クラウドファンディングを活用した、創業や商品開発等に挑戦する事業者への金融支援メニューを新設するなど、中小企業の資金繰りをきめ細かく支援してまいります。
 また、「あいち商店街活性化プラン2016−2020」に基づき、商店街の活性化に向けた取組を支援してまいります。
 産業空洞化対策減税基金による補助制度につきましては、この5年間で企業立地・再投資の分野で207件の補助対象案件を採択し、総投資額3,868億円、約3万8千人の雇用維持・創出効果という大きな成果があがっております。また、研究開発・実証実験の分野では、5年間で360件の補助対象案件を採択し、高付加価値のモノづくりの拡大が図られております。
 平成29年度は基金に45億円を積み立て、これを原資とする日本一の補助制度により、本県産業の振興とさらなる雇用の維持・創出に取り組んでまいります。

   次に、中部最大・全国三番手の大農業県・愛知の力をさらにパワーアップさせるための「農林水産業の振興」であります。
 本県の優れた農林水産物の知名度向上のため、名古屋コーチン、花、抹茶、あさり、うなぎ、小麦など、全国トップレベルの農林水産物のブランド力を一層強化し、需要拡大に取り組むとともに、国内で開催されるアジア最大級の食品展示会へ出展するほか、台湾で開催される観光・文化展にも出展し、本県農林水産物等の輸出を促進してまいります。
 また、全国有数の本県農業のさらなる生産力向上、競争力強化を目指して、農作物の産地が10年後に目指す姿を見据え、栽培技術・機器の実証などに取り組む農業生産力パワーアッププロジェクトを実施するとともに、「あいち型植物工場」の整備を引き続き支援してまいります。
 さらに、本県は、54年連続花き産出額全国1位を誇る花の王国であります。県民参加型の花のイベント「あいち花フェスタ」を豊橋市・田原市で開催するとともに、豊明花き市場において、海外バイヤーが参加する花き展示商談会に出展するなど、花の需要拡大を図ってまいります。
 また、本県が誇るブランド地鶏名古屋コーチンの生産体制強化を図るため、発祥の地といわれる小牧市内への種鶏場の移転整備に向けた実施設計を行ってまいります。
 水産業につきましては、日本一のあさり漁業の振興のための干潟・浅場の造成や、魚礁漁場の整備を引き続き推進してまいります。
 また、海洋調査や資源管理の研究により本県の水産業を振興するため、就航中の「海幸丸」に替わる新たな漁業調査船の建造に着手してまいります。
 平成31年に県森林公園で開催する「第70回全国植樹祭」につきましては、基本計画の策定や式典会場の整備など、開催準備を進めてまいります。

 次に、「人財力の強化」であります。
 元気な愛知の礎となるのは、「人づくり」です。愛知の人財力を磨き上げ、すべての人が輝き、活躍する愛知をつくってまいります。そのため、子どもたちの学力と個性を伸ばす教育の充実、女性の活躍促進、産業人材・雇用といった施策を進めてまいります。

 まず、教育の充実、「教育立県あいち、人材創造あいち」であります。
 本年4月から、愛知総合工科高等学校専攻科において、全国で初めての公設民営をスタートします。生産現場や研究機関等での知識や経験を有する民間人材を教員として登用し、生徒が直接指導を受けられる環境を整備することで、生産現場のリーダーとなる人材の育成を推進してまいります。
 また、子どもたちの学習意欲を引き出し、基礎学力の向上を図るため、小学校1年生及び2年生並びに中学1年生の35人学級を引き続き実施するとともに、発達障害児への学習支援など、きめ細やかな配慮のできる教育環境づくりを進めてまいります。
 次に、本県のモノづくり産業を発展させていくため、県立高校において、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の4分野「STEM」に重点を置いた教育課程に取り組むほか、職業学科に教材開発や授業支援を行う支援員を配置し、教員の指導力向上を図るなど、本県の将来を担う人材を育成してまいります。
 さらに、不登校や退学経験など、様々な学習歴の生徒が、個々の状況に応じた多様な学びができるよう、本県県立高校初となる二部制単位制である定時制の「城北つばさ高校」を4月に開校いたします。
 加えて、いじめ・不登校対策としまして、県立高校のスクールカウンセラーを増員するほか、「中1の壁」に対応するため、スクールカウンセラーが中学校を拠点に校区内の小学生にも対応する小中連携の相談体制を導入してまいります。
 また、本県の学校教育において重要な役割を果たしている私立学校につきましては、その振興と父母負担の軽減を図るため、私立学校経常経費や授業料、入学納付金への補助など、各種助成を着実に実施してまいります。
 県立芸術大学につきましては、教育研究のさらなる充実を図り、地域の文化芸術を担う人材や、国内外の第一線で活躍する芸術家の育成を進めていくため、平成31年度の供用開始に向けて、新デザイン棟の建設工事に着手いたします。

 次に、「女性の活躍促進」であります。
 本県の総合力をさらに高めていくためには、働く場における女性の定着と活躍が不可欠です。
 そこで、「あいち女性の活躍促進プロジェクト」のさらなる充実に向けて、新たに、地方銀行と連携して、中小企業等に対し、県の施策の活用を働きかけるとともに、女子中高生の理系への進路選択を支援するため、企業・大学での職場体験を行い、その魅力を広く情報発信する取組を実施してまいります。
 また、女性の活躍を通じた産業振興や女性の雇用促進を検討する「あいち・ウーマノミクス研究会」を引き続き開催し、女性起業家やモノづくりの現場で働く女子の育成を図ってまいります。
 さらに、ワーク・ライフ・バランスの推進につきましては、新たに、大学生を対象に、仕事と子育ての両方を体験する取組を実施するとともに、イクメン・イクボスの普及拡大を図ってまいります。
 また、女性の再就職の支援のため、ウインクあいちに設置した「あいち子育て女性再就職サポートセンター」において、従来の窓口相談に加え、出張相談を実施してまいります。

 次に、「産業人材・雇用」であります。
 経済のグローバル化や少子高齢化が進む中、本県の産業競争力を一層強化していくために、モノづくりあいちを支える産業人材の育成・確保は、喫緊の課題であります。
 「2019年度技能五輪全国大会」及び「2020年度技能五輪全国大会・全国アビリンピック」につきましては、推進協議会の設置など準備を進めるとともに、2023年の技能五輪国際大会の本県招致に向けて、地元における機運の醸成を図り、国に対して、愛知県を開催地として決定するよう強く働きかけてまいります。
 また、先ほど申し上げましたとおり、7月には「世界青少年発明工夫展2017」を開催し、本県の子どもたちと世界中から参加する子どもたちとの交流を図るなど、モノづくりあいちの次代を担う産業人材の育成・確保に取り組んでまいります。
 さらに、愛知・名古屋ゆかりのノーベル賞受賞者の方々の業績を、地域を挙げて称え、次世代の科学技術を担う小中学生にもわかりやすく紹介するため、名古屋市科学館に常設の「ノーベル賞受賞者顕彰施設」を整備するための検討調査を、名古屋市と共同で実施してまいります。
 雇用対策につきましては、企業における「働き方改革」の取組を支援するため、職場環境の改善に向けた専門家の派遣や、若者の指導や相談に対応できる企業内の人材の育成などを実施してまいります。
 また、未就職卒業者や非正規労働者の正規雇用化を支援するため、求職者向けに研修や職場実習を行う「就職支援塾」を開催するとともに、中小企業に専門家を派遣してまいります。
 さらに、首都圏等から本県に人を呼び込み、産業人材の確保を促進するため、UIJターン支援拠点を東京に設置してまいります。

 次に、「医療・福祉の充実で日本一の健康長寿を実現」であります。
 すべての人が活躍する「人が輝くあいち」の実現のためには、県民の皆様の健康を支える医療・福祉の充実が欠かせません。
 本格的な超高齢社会の到来により、今後、認知症高齢者の大幅な増加が見込まれており、認知症対策の強化は喫緊の課題であります。そのため、保健・医療・福祉の専門機関が集積する「あいち健康の森」とその周辺地域を対象に、認知症に理解の深いまちづくりの先進モデルとなる「オレンジタウン構想」の調査検討を行ってまいります。
 子どもの貧困対策につきましては、平成28年度に実施した「愛知子ども調査」及び「ひとり親家庭等実態調査」の結果をもとに、有識者による「子どもの貧困対策検討会議」において分析を行い、実効性のある施策を検討してまいります。
 また、貧困の連鎖を断ち切るためには、教育支援の取組を早期に行うことが重要であることから、生活困窮世帯等の子どもに対する学習支援を実施してまいります。
 次に、団塊の世代が75歳以上となる平成37年に向けて、医療・介護サービスの提供体制の改革を推進するため、「地域医療介護総合確保基金」を活用して、病床機能の分化・連携や在宅医療の充実、医療・介護従事者の確保、介護施設等の整備を引き続き推進してまいります。
 また、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らすことができるよう、医療・介護・予防・生活支援・住まいを一体的に提供する地域包括ケアを推進するため、団地におけるモデル事業を実施するとともに、市町村に対する相談支援等を行ってまいります。
 「愛知県精神医療センター」につきましては、児童青年期や発達障害に対応する東病棟などの整備を進め、平成30年2月に全面オープンいたします。
 外国人患者への先進的な医療の提供や最先端の医療機器を使った検診の実施など、愛知の優れた医療技術の活用による医療の国際化を進めるため、医療ツーリズムを推進してまいります。

 次に、「子ども・子育て支援」であります。
 本県が活力を維持しながら持続的に発展していくため、また、女性の活躍を促進するためにも、次代の担い手である子どもを安心して生み育てることができる環境づくりが求められています。
 そこで、子ども・子育て支援新制度に基づき、認定こども園・幼稚園・保育所や、市町村が認可する地域型保育事業への給付を行い、子育て支援事業の着実な推進を図ってまいります。
 放課後児童クラブにつきましては、「小1の壁」を打破するため、引き続き設置を促進してまいります。
 次に、増え続ける児童虐待の対策強化を目的とした児童福祉法等の改正を踏まえ、児童福祉司や児童心理司等の増員、弁護士との連携による相談体制の充実など、児童相談センターの機能強化を図ってまいります。

 次に、「障害者福祉・支援、ノーマライゼーション推進」であります。
 昨年10月に制定しました「手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例」の取組の普及啓発を図るとともに、色覚に障害のある方の情報取得に配慮した「カラーユニバーサルデザイン」のガイドラインを策定してまいります。
 また、軽度・中等度難聴児の言語の発達や、学習の困難さの解消を支援するため、新たに補聴器購入費用等を助成してまいります。
 特別支援学校につきましては、知的障害特別支援学校の過大化による教室不足の解消のため、平成30年度開校予定の「大府もちのき特別支援学校」と、平成31年度開校予定の尾張北東地区(瀬戸市内)の特別支援学校の整備を進めてまいります。
 また、新たに、西三河南部地区(西尾市内)において、知的障害と肢体不自由の児童生徒に対応できる特別支援学校の整備に向けた調査を実施してまいります。
 さらに、刈谷市が平成30年度に開校を予定しております市立特別支援学校の整備についても支援してまいります。
 加えて、特別支援学校において、教育環境の改善を図るため、空調設備の設置やトイレの洋式化を進めるとともに、児童生徒の安全確保のため、防犯カメラの設置や聾学校への緊急通報装置(パトライト)の整備を行ってまいります。
 次に、民間法人による重症心身障害児者の入所施設の整備を後押しするため、障害者福祉減税基金による助成を引き続き行ってまいります。現在、豊川市内で整備が進められている施設が本年7月にオープンいたしますと、平成25年4月には、4施設382床であったものが、29年度末には8施設694床まで増加いたします。
 また、「医療療育総合センター(仮称)」につきましては、平成30年度内の全面オープンに向けて、病院や、知的障害児の入所施設が入る本館棟の整備を引き続き進めてまいります。
 さらに、障害者の就業・雇用を促進するため、障害者を初めて雇用する中小企業に対する支援として、本県独自の奨励金を支給する制度を創設してまいります。

 次に、「観光あいちの推進」であります。
 本県では、今年、レゴランドや「あいち航空ミュージアム」がオープンし、翌平成30年には名古屋城本丸御殿が全面公開となるなど、あいちの観光振興と地域活性化の絶好の機会となりますので、JRグループのデスティネーションキャンペーンとタイアップし、来年度から3年間、全国から愛知へ観光客を呼び込む大型観光キャンペーンを実施してまいります。
 次に、増加している訪日外国人旅行者を呼び込むため、「ハート・オブ・ジャパン」のキャッチワードのもと、台湾で開催される国際旅行博に出展するほか、クルーズ船の誘致を図るため、ポートセールスを実施してまいります。
 さらに、「愛知・名古屋MICE推進協議会」を通じて、国内外で開催される見本市に出展するなど、愛知・名古屋をアピールし、地域一丸となって、MICEの誘致に取り組んでまいります。
 武将観光につきましては、全国の武将隊や忍者隊が集結する「サムライ・ニンジャフェスティバル」を開催するとともに、「徳川家康と服部半蔵忍者隊」による観光イベントにおける武将観光のPRなど、「武将のふるさと愛知」を国内外に向けて発信してまいります。
 また、昨年、ユネスコ無形文化遺産に登録された全国33件の「山・鉾・屋台行事」のうち、本県には最多の5件が所在しております。「あいち山車まつり日本一協議会」の取組により、市町・保存団体とともに愛知の山車まつりの魅力を広く発信してまいります。
 加えて、日本各地の伝統芸能等が一堂に集まって競演する「地域伝統芸能全国大会」について、平成30年度の本県開催に向けて準備を進めてまいります。
 次に、首都圏に並ぶ交流拠点を目指す愛知県国際展示場につきましては、実施設計を進め、建築工事に着手してまいります。また、コンセッション方式による運営事業者の選定を進めるほか、広報・営業活動を強化・充実し、平成31年秋の開業に向けた準備を進めてまいります。
 また、県営都市公園において、民間事業者の資金やノウハウを活用し、魅力ある公園施設を導入してまいります。

 次に、「文化・スポーツ・魅力発信」であります。
 2026年開催予定の「第20回アジア競技大会」につきましては、大会開催基本計画の策定に向けた検討や選手村に関する調査など、名古屋市やJOCなどと連携して開催に向けた準備を着実に進めてまいります。部次長級の「国際スポーツ大会推進監」及び「アジア競技大会推進課」を新たに設置し、組織体制を強化してまいります。
 また、12月に開催される「ISUグランプリファイナル国際フィギュアスケート競技大会2017」や豊田市と連携した「ラグビーワールドカップ2019」の開催準備、「FIFAフットサルワールドカップ 2020」の招致を進めるなど、全国、世界に打ち出せるスポーツ大会により地域の活性化につなげる取組を推進してまいります。
 また、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに本県ゆかりの選手を多数輩出し、活躍できるよう、強化指定選手の競技力強化や次世代の人材育成に取り組んでまいります。
 次に、平成28年は「芸術・アート」の年として、愛知の芸術・文化の力を国内外に大きく発信しました。来年度は、「あいちトリエンナーレ2019」の準備を進めるとともに、国民文化祭の継承事業として、若者による伝統文化体験や公演会を実施してまいります。
 また、全国障害者芸術・文化祭の継承事業として、障害者アーツ展を開催してまいります。
 次に、全国有数の文化芸術の創造・発信拠点である愛知芸術文化センターにつきましては、美術館や芸術劇場の改修工事を進めてまいります。
 また、本県で青少年期を過ごした杉原千畝氏の功績を広く県民に伝え、県民の郷土に対する誇りの醸成や地域活性化につなげるため、杉原千畝氏を顕彰する施設を県立瑞陵高等学校の校地に整備してまいります。
 さらに、愛知を代表する朝日遺跡の魅力を発信するため、清洲貝殻山貝塚資料館の拡充整備に向けた実施設計を進めてまいります。

 次に、「グローバル展開」であります。
 海外の諸地域と経済や文化、人的な交流をさらに活発化させるため、「あいち国際戦略プラン」に基づき、新たな国・地域とのパートナーシップの形成に取り組んでまいります。
 こうした中、アジア、アメリカに続き、欧州において、多くの本県企業の進出や港湾の姉妹提携など密接な関係にあるベルギー王国の3地域政府と交流を推進し、関係強化を図ってまいります。
 また、成長著しいアジアの活力を積極的に取り込むため、今後さらなる経済交流が見込まれるインドネシアとの交流を推進してまいります。
 さらに、友好提携協定を締結している中国・江蘇省において、日中双方の書道作品を展示する「書道展」を開催するとともに、バンコク都など提携先との高校生交流事業を実施し、友好交流・文化交流を促進してまいります。
 次に、外国人の子どもたちが能力を発揮し活躍できる環境をつくるため、新たに、外国人親子によるサークルで子育てに必要な日本語を習得する機会を設けるなど、小学校入学前から高等学校卒業までの各段階における日本語教育を推進してまいります。

 「安全・安心なあいち」をつくることは、すべての基本であります。
 大規模災害発生時に、本県の社会経済活動が維持できるよう、産業界や名古屋大学と連携し、産業の早期復旧に必要な対策の立案や、人材育成を行うための「あいち・なごや強靱化共創センター(仮称)」を開設いたします。
 また、南海トラフ地震により浸水が予測されるゼロメートル地帯において、円滑な救出・救助を可能とする広域的な防災活動拠点の確保に向け、木曽三川下流域における拠点整備の実施設計を行うとともに、未決定地域における整備候補地について、引き続き選定を進めてまいります。
 さらに、平成28年熊本地震における課題に対応し、大規模災害へ備えるため、被災自治体支援活動訓練や応急仮設住宅建設訓練を実施するとともに、支援物資受援供給体制や避難所運営マニュアルを見直すなど、地震等防災対策を強化してまいります。
 また、民間住宅の耐震対策として、従来の耐震改修補助制度を拡充し、木造住宅の1階など耐震性の低い階の部分改修や、耐震性の低い木造住宅の除却に対して助成いたします。
 次に、土砂災害特別警戒区域内の民間住宅・建築物について、土砂災害に備えた、防護壁設置などの安全対策工事に対する補助制度を創設してまいります。
 また、居住環境の整備改善を図るため、倒壊のおそれのある空家の除却や改修に対する補助制度を創設し、空家対策を推進してまいります。
 交通安全対策につきましては、交通事故死者数の減少を目指し、交通安全県民運動を中心とした取組を積極的に展開するとともに、車両運転中の「ながらスマホ」の危険性等の重点的な広報を始め、高齢者の事故防止や、ドライバーに対する法令遵守と運転マナーの向上を訴える取組を実施してまいります。また、交通事故の抑止と道路交通の円滑化のため、信号灯器の視認性を高めるためのLED化を進めるとともに、横断歩道を始めとした道路標示、道路標識の整備など、交通安全施設の整備にも取り組んでまいります。
 また、地域の治安や災害時の活動拠点である警察署につきましては、愛知警察署及び蟹江警察署の建築工事を行うとともに、蒲郡警察署及び西尾警察署の実施設計を行ってまいります。さらに津島警察署につきましては、建替え工事に向けて新たに準備を進めてまいります。また、名古屋市天白区平針の運転免許試験場につきまして、PFI方式により、整備を進めてまいります。

 次に、「『環境首都あいち』の確立」であります。
 日本一の産業県である本県は、環境面においてもトップランナーを目指しており、持続可能な社会の実現に向けて、低炭素社会のビジョンと中長期の施策の方向を明らかにする地球温暖化対策のための新たな戦略を策定してまいります。
 また、「あいち自動車環境戦略2020」に基づき、次世代自動車の普及を促進するため、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車及び燃料電池自動車に対する本県独自の自動車税の課税免除制度を2年間延長するとともに、本県独自の助成制度により導入を支援してまいります。
 さらに、高校生が大学やNPOとの連携により環境問題に関するテーマについて調査・研究を行い、環境学習プログラムを作成するなど、持続可能な未来のあいちの担い手となる人づくりを進めてまいります。
 次に、昨年12月に開催されたCOP13の国際自治体会議で発表いたしました「愛知目標達成に向けた国際先進広域自治体連合」の「共同声明」を踏まえ、海外のサブナショナル政府とウェブ会議等により議論を重ね、「愛知目標」の達成に向けた生物多様性保全に関する取組を推進してまいります。
 また、再生可能エネルギーを既設の電線・ガス管で工場などへ輸送し、水素を製造・供給する低炭素水素のサプライチェーンの事業化を市町村、企業等と連携して進めてまいります。

 次に、「東三河の振興」であります。
 「東三河県庁」につきましては、市町村、広域連合、経済団体等とともに、「東三河振興ビジョン」に位置づけた施策に取り組み、着実に成果をあげてきたところであります。来年度は、今年3月に策定する「新東名インパクトを活かした地域振興〜広域観光の新展開〜」をテーマとする主要プロジェクト推進プランに基づく取組を、地域が一体となって推進してまいります。
 また、奥三河地域の市町村、交通事業者、観光団体等が連携して観光地づくりを進める「奥三河DMO(仮称)」の活動を支援するとともに、移住定住促進のため起業支援などの取組を実施してまいります。
 さらに、日本初となる「セーリングワールドカップ愛知・蒲郡大会」の開催を支援するとともに、会場となる海陽ヨットハーバーの施設整備を進めてまいります。
 また、人口減少が進む東三河地域において、若年層の定着を促進するため、地元の中学1年生を対象に、東三河地域の高校生による学校紹介など生徒間交流を実施するとともに、東三河の若手教員を対象とした地元職業科高校でのキャリア教育研修を実施してまいります。
 さらに、完成自動車の輸出入で全国トップクラスの三河港においては、神野西地区のふ頭用地の整備を引き続き進めるとともに、明海地区の民間事業者による埋立事業を官民一体となって進めるなど、産業競争力の強化を図ってまいります。

 次に、「地方分権・行政改革の推進」であります。
 地方創生につきましては、「愛知県人口ビジョン・まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、産業振興や雇用対策のほか、子育て支援、三河山間地域の振興など幅広い施策に取り組んでまいります。
 また、本県は、全体的には人口増加が続いているものの、一方で、20代前半の女性を始めとした若者層を中心に首都圏への転出超過があり、こうした状況に歯止めをかけ、愛知への人口流入・定着を促進するため、強い経済基盤を背景とした安定した雇用環境や、ゆとりある住宅、豊かな自然環境など、本県の強みであるバランスの取れた「住みやすさ」について、分かりやすいキャッチコピーの作成とともに、インターネットを中心に効果的に、広くPR事業を展開してまいります。  また、中京大都市圏づくりを総合的に進めるため、重要プロジェクトの推進はもとより、情報発信や広域的な連携の強化、名古屋市との役割分担・共同連携による取組についても、引き続き推進してまいります。
 行財政改革につきましては、健全で持続可能な行財政基盤の確立に向けて、「しなやか県庁創造プラン」に基づく取組を着実に進めてまいります。民間活力の導入の推進につきましては、PFI方式により、「環境調査センター・衛生研究所」の建設を進めるとともに、「運転免許試験場」の設計に着手し、整備を進めてまいります。
 また、県有施設の長寿命化計画につきましては、愛知県公共施設等総合管理計画に基づき、長寿命化に向けた改修や予防保全を行うための調査を順次実施してまいります。

 以上、予算の主な内容につきまして申し上げてまいりましたが、ここに御審議いただく平成29年度の当初予算は、一般会計2兆5,209億余円、特別会計7,661億余円、企業会計1,975億余円でございまして、合わせて3兆4,846億余円となります。
     このうち、一般会計の予算規模は、平成28年度当初予算に対し、99.8%となります。なお、小・中学校の教職員など県費負担教職員給与負担の名古屋市への権限移譲に伴い、平成29年度から人件費が大幅減となっておりますので、その影響額を除いて比較すると、101.2%となります。
 歳入につきましては、大宗をなす県税は、企業の平成29年3月期の通期業績予想などを踏まえると法人二税の大幅減が見込まれることから、当初予算としては、平成22年度以来7年ぶりに前年度から減額となる1兆1,677億円を計上することといたします。県税全体として前年度から803億円の減額となりますが、これに、県税過誤納還付金及び還付加算金の増を合わせますと、1,000億円近い減収となります。
 こうした厳しい状況の中での予算編成となりましたので、財源の確保とともに歳出の抑制に取り組み、真に必要な分野に、限られた財源を重点的かつ効率的に配分することを基本に、メリハリのついた予算を編成することといたしました。
 地方交付税と臨時財政対策債を合わせた地方財政措置につきましては、税収動向及び平成29年度地方財政計画を踏まえ、2,000億円を計上いたします。このうち地方交付税につきましては、600億円を計上しています。
 県債につきましては、平成28年度当初予算に比べ26.5%の増となる2,726億円を計上することといたしております。このうち、地方交付税の振替措置である臨時財政対策債については、500億円の増額となる見込みであります。
 また、平成29年度末の県債残高につきましては、5兆3,422億円となる見込みです。このうち、社会資本整備などに充当する、いわゆる通常の県債の残高は、行革大綱に基づき、その残高の縮減に努めてきていることから、引き続き減少しておりますが、県債残高の半分以上を占める臨時財政対策債などの特例的な県債の増加により県債残高全体としては増加が続いております。臨時財政対策債の元利償還金は、後年度に国が全額財源保障するものとはいえ、県債残高が増加し続ける事態は決して望ましいことではなく、また、地方財政全体の持続可能性の観点からも大きな課題であると認識しております。本来あるべき姿は、地方交付税として交付されるということであり、国税の法定率の引上げなどによる臨時財政対策債の速やかな廃止について、これからも国に主張してまいります。  一方、歳出につきましては、人件費は、県費負担教職員給与の名古屋市への権限移譲などにより、平成28年度当初予算と比較して860億円減の6,091億円を計上いたします。
 また、扶助費につきましては、後期高齢者医療費負担金や障害者自立支援介護・訓練等給付費負担金などの伸びにより、増加が続いています。
 公債費につきましては、過去の特例的な県債の増発に伴う満期一括償還分の減債基金への積立金などが増加しており、高止まり傾向にあります。
 投資的経費につきましては、県立学校耐震改修事業がほぼ完了することなどにより、総額では46億円の減額となりますが、県民の皆様の安全・安心につながる社会基盤整備については、道路、河川等の公共事業と県単独事業をあわせて、前年度と同額程度を確保することといたしました。なお、平成29年度の公共事業は、平成28年度の国経済対策補正分とあわせて、前年度当初比2割程度の増の事業量を確保いたしました。
 今回の予算編成では、1,590億円という多額の収支不足が見込まれましたが、平成28年度における税収増や地方財政措置の決定増、歳出不用額の補正減などにより、平成28年度内に予定していた減債基金の取崩し880億円を全額取り止めるとともに、財政調整基金取崩し額のうち92億円を取り止め、平成29年度に再活用することにいたしました。
 その上で、平成29年度において、県債を活用した財源確保を行うとともに、財政調整基金の残高として確保していた496億円については全額取り崩すことで、何とか収支不足を解消できたところであります。
 本県の財政運営は、年度内に財源を確保して、翌年度当初予算の収支不足に対応するということを繰り返しており、単年度の歳入だけで歳出を賄うことができない状況が続いています。さらには、今回の予算編成により、年度間の財源調整に用い得る財政調整基金及び減債基金をすべて使い切ることとなり、基金残高が枯渇することから、一段と厳しい財政状況となっております。
 今後も、経済・産業の活性化を進め、税源の涵養につなげるとともに、より一層合理的な行政運営を図り、「しなやか県庁創造プラン」に沿った取組を着実に進め、健全で持続可能な財政基盤の確立に取り組んでまいります。


 次に、予算以外の案件につきまして、御説明を申し上げます。
 条例は、制定、一部改正、廃止を合わせまして、23件を提案いたしております。
 まず、酒類提供等営業に係る不当な勧誘、料金の不当な取立て等の規制等に関する条例の制定についてであります。
 歓楽街の一部地域を中心に、入店した客に対し、社会通念上妥当ではない高額な料金を請求の上、威迫する等の方法により、実際の何倍もの料金を取り立てる、いわゆる「ぼったくり」に対し、必要な規制等を定め、個人の身体及び財産に対する危害の発生を防止するものでございます。
 次に、愛知県県税条例等の一部改正についてであります。
 これは、消費税率引上げ時期に関する部分について、平成28年11月28日に社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律が公布されたことに伴い、改正を行うものなどでございます。
 施行期日は、一部を除き、消費税率が引き上げられる平成31年10月1日に施行するものです。  主な改正内容は、法人の県民税の法人税割の税率引下げ、法人の事業税の所得割等に係る特例の廃止、自動車取得税の廃止、自動車税の環境性能割の創設などであります。
 次に、愛知県職員定数条例の一部改正についてであります。
 知事の事務部局等の職員定数については、事務事業の廃止・縮小、事務処理方法の改善などに取り組む一方で、病院事業庁における精神医療センターの児童青年期病棟の開所等に伴い全体で42人増員いたします。また、治安体制を強化するため警察官を35人増員するものでございます。学校職員及び県費負担教職員につきましては、名古屋市への権限移譲などにより9,691人減員いたします。
 また、知事等及び職員の給与の特例に関する条例の一部改正についてであります。
 現下の厳しい財政状況に鑑み、引き続き私を始め特別職と管理職の職員を対象に、給与の一部を減額するものです。
 さらに、条例以外の案件といたしましては、県道路線の廃止始め14件を提案いたしております。
 このうち、人事案件といたしましては、教育委員会の委員の欠員について新たに委員を選任するとともに、監査委員の任期満了に伴い、その後任者を選任するものであります。


 次に、平成28年度関係の諸議案についてであります。
 まず、今回の補正予算は、国の補正予算への対応や国庫補助金及び事業費の確定に伴う所要の措置並びに平成29年度当初予算編成に向けての財源確保等を行うものであります。
 補正予算を会計別に申し上げますと、一般会計 426億9,731万余円の減額、特別会計91億7,558万余円の減額、企業会計9億9,752万余円の減額でございまして、合わせて528億7,042万余円の減額となります。
 以下、主なものにつきまして、概要を御説明申し上げます。
 国の補正予算関連事業費といたしまして、知多地区新設特別支援学校(大府もちのき特別支援学校)及び尾張北東地区新設特別支援学校の建設費の増額を行いますほか、子育て支援対策基金の増額を行うものなどでございます。
 以上、御説明申し上げました一般会計の一般財源といたしましては、県税収入や地方交付税の増額などにより、全体で243億2,135万余円を増額することといたしております。
 特定財源につきましては、国庫支出金を減額するほか、減債基金取崩し額の全部を取止めましたことなどから、全体で670億1,867万円を減額することといたしております。

 次に、補正予算以外の議案につきましては、条例関係議案以外のその他の議案といたしまして、工事請負契約の締結など14件でございます。


 以上、提案をいたしました案件のうち、主なものにつきまして、その概要を御説明申し上げました。なお、詳細につきましては、議事の進行に従いまして御説明を申し上げたいと存じます。よろしく御審議の上、適切な御議決を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
 最後に、結びとして今一度申し上げたいと存じます。
 昨年は、リニア中央新幹線の本格工事が愛知県内で着工され、MRJがアメリカで飛行試験を開始するなど、日本の未来を創るプロジェクトが、ここ愛知から大きく前進しました。
 また、平和とスポーツの祭典「アジア競技大会」を2026年に愛知・名古屋で開催することや、ロボットの祭典「ワールドロボットサミット」が2020年に愛知県国際展示場で開催されることが決定し、愛知の未来の大きな夢へとつながりました。
 2020年の東京オリンピック開催、2027年のリニア開業といった節目の年にターゲットを置き、着実に歩を進めて地域の力を高め、こうしたビッグプロジェクトを成功させることが愛知のさらなる飛躍につながります。
 そのためには、高い付加価値を有する産業集積が、ヒト、モノ、カネ、情報を呼び込み、さらにイノベーションで新しい産業・雇用・ビジネスが起き、それがまた集積を呼んでいくという愛知型の成長モデルをしっかりと追い求めてまいります。
 また、観光や文化、スポーツなど愛知の魅力を創造し、国内外へ発信することで、愛知のプレゼンスを高めるとともに、培ってきた国際的なネットワークを生かし、グローバルな都市間競争に打ち勝てる愛知を目指していく必要があります。
 さらに、産業人材の育成・確保や教育の充実、女性の活躍促進など、愛知の発展を支える人づくり、医療・福祉の充実など、「すべての人が輝く愛知」の実現にも取り組んでまいります。
 「日本で一番元気な愛知」を支える県政には、産業振興、教育、医療・福祉、インフラ整備、環境対策、地震防災対策、交通安全など、森羅万象、様々な分野があり、常に感度を高く保ち、県民の皆様の声を聴きながら、時代の流れを着実に見通して取り組むことが肝要であります。
 財政状況が厳しい中ではありますが、数年後、10年後のビッグプロジェクトを見据えて、着実に計画を実行していくために、産業力、経済力、文化力、人財力、地域力といった愛知の総合力を一段と高めて、名実ともに「愛知一番」を目指してまいりたいと考えております。
 今後も全力で県政運営に取り組んでまいる所存でありますので、県議会議員の皆様方並びに県民の皆様方の、ご理解と御支援を心よりお願い申し上げます。