メインメニュー
知事のマニフェスト 知事の発言・寄稿 知事記者会見 県議会知事提案説明 知事からのメッセージ 知事交際費の執行状況 プロフィール トップページ 写真で見る主な活動


県議会知事提案説明

平成30年6月定例県議会 知事提案説明要旨

このたびの定例県議会に提案をいたしました諸議案のご説明を申し上げるに先立ち、本日、午前7時58分、大阪府北部で発生した地震について申し上げます。大阪府北部では、震度6弱、愛知県では震度3から4を観測しました。本県では、地震発生とともに、第1非常配備体制を執り、被害情報の収集を行っておりますが、現在のところ被害の報告はありません。引き続き、最新の状況把握に努め、関係機関から要請があった場合には、迅速に対応してまいります。
 それでは、県政を取り巻く最近の状況について申し述べ、議員の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。

 はじめに、最近の経済情勢と本県の財政運営、経済・産業の活性化についてであります。
 最近の経済情勢につきましては、企業収益が改善し、個人消費は持ち直すなど、景気は緩やかに回復しております。先行きにつきましては、雇用・所得環境の改善が続く中で、緩やかな回復が続くことが期待されておりますが、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
 こうした中、本県の財政運営についてであります。
 平成29年度の一般会計の決算は、28年度に引き続き、実質収支が確保できる見込みとなりました。しかしながら、平成30年度当初予算では、法人二税収入が大幅な減収となる前の平成28年度の水準にまで回復するには至らない一方、扶助費などの義務的経費が増加し、減債基金880億円及び財政調整基金403億円、合わせて1,283億円もの多額の基金の取崩しを計上して対応したところであり、本県財政は依然として厳しい状況にあります。
 来年度以降の財政運営を考えますと、基金残高を回復させることが必要でありますので、本年度内の財源確保に努めるとともに、行革大綱「しなやか県庁創造プラン」に沿って、健全で持続可能な財政基盤の確立に向け、不断の行財政改革にしっかりと取り組んでまいります。
 一方で、こうした取組に加え、経済・産業の活性化を進めることにより、地域の雇用を維持・拡大し、税収の確保につなげることも重要であります。
 このため、平成24年度から「産業空洞化対策減税基金」による補助制度を創設し、これまでに企業立地・再投資の分野で、249件の補助対象案件を採択し、総投資額4,443億円、約4万2千人の雇用維持・創出効果が見込まれるという、大きな成果を上げてまいりました。
 また、研究開発や実証実験の支援についても、5月に、平成30年度の採択案件を決定いたしました。本年度は、これまで採択実績がない中小企業を対象として別枠で採択する「トライアル型」を新設し、これを含めて、82件に対し、7億6千万円の補助金を交付することとしており、次世代自動車、航空宇宙、環境・新エネルギー、健康長寿、IT・ロボットなど、今後成長が見込まれる分野で高付加価値のモノづくりの維持・拡大を図ってまいります。
 さらに、本年度から新たに「サービスロボット実用化」の支援メ ニューを設け、8件に対し、1億円の補助金を交付することとしました。 2020年に本県で開催されるワールドロボットサミットを見据え、会場となる中部国際空港島等での社会実装に向けた取組を支援し、本県のロボット産業の技術力を世界へ発信してまいります。
 本県は、製造品出荷額等が40年連続で日本一という、圧倒的な産業集積を誇っており、先般公表された平成27年度の都道府県別GDPでは、初めて本県のGDPが大阪府を抜いて全国2位となりました。今回から国際標準に合わせて企業の研究開発費を含めて算出された結果であり、本県の製造業が付加価値を大いに生み出している証左であります。
 まさに、愛知は日本経済を牽引する成長のエンジンであり、引き続き、経済・産業の活性化を進め、集積がさらに集積を呼ぶ好循環を加速させ、新しい産業や雇用、消費、投資を生み出す愛知型の成長モデルの実現に全力で取り組んでまいります。

  次に、国際交流の推進についてであります。
  3月29日に、インドネシア・ジョグジャカルタ特別州のハメンク・ブウォノ10世知事が来県されました。ジョグジャカルタ州にあるガ ジャマダ大学は、愛知県立大学と学術交流協定を締結し、学生交流などを行っております。私も平成27年10月に訪問して当時のカルナワ ティ学長にお会いするとともに、多くの学生の皆さんに本県の魅力について講演したところであり、今後も、こうした若い世代の交流が末永く続くよう意見交換をいたしました。
 また、本年は、日本とインドネシアの国交樹立60周年の節目の年でもあり、4月28日から30日まで、久屋大通公園もちの木広場で「インドネシアウィーク2018名古屋」が、県内在住のインドネシア人コ ミュニティの主催で開催されました。私もアリフィン・タスリフ駐日インドネシア大使とともに開幕式に出席し、会場を見て回りましたが、本県には全国で最も多い6千人を超えるインドネシアの方が居住されており、多くの方で賑わっていました。
 インドネシアとは、昨年2月に経済担当調整大臣府と「経済交流に関する覚書」を締結し、本年1月には現地にサポートデスクを設置しており、今後も愛知とインドネシアとの経済交流を更に深めるとともに、友好関係を発展させてまいります。
 続いて、4月5日には、ベトナム・ホーチミン市のグエン・タイン・フォン委員長が来県されました。ホーチミン市とは、平成28年9月に「友好交流及び相互協力に関する覚書」を締結しており、愛知とベトナムとの人的、経済的、文化的交流を更に深めていくために、意見を交わしました。
 翌6日には、「ベトナム・ホーチミン投資セミナー」及び「ベトナム・ホーチミン観光セミナー」を開催し、多くの関係者にお越しいただきました。また、4月7日、8日に、久屋大通公園久屋広場で開催された 「2018ベトナムフェスティバル ホーチミンin愛知名古屋」には、私も2日間とも参加しましたが、近年急激に増える在日のベトナムの 方々の熱気を強く感じたところであります。  
 続いて、4月13日には、同じく久屋広場で14日、15日に開催された「韓国フェスティバル2018in名古屋」に合わせて、京畿道の韓光燮(ハン・クァンソプ)国際関係大使が来県されました。京畿道とは、平成27年11月に「友好交流及び相互協力に関する覚書」を締結しております。本年度、京畿道には、高校生訪問団を派遣する予定であり、こうした将来を担う若い世代を中心に今後も交流を深めていくことで一致しました。  
 さらに、5月17日には、駐日アメリカ大使公邸において、ケンタッキー州のマット・ベビン知事の来日を機に、テネシー州出身のウィリアム・ハガティ大使が両州のバーボンウイスキーを通じ日米の友好を深めるため開催したイベントに招待され、両氏と共にお祝いのスピーチをし、参加された多くの皆様と日米の友好関係の発展をアピールしました。ケンタッキー州とは、昨年10月に「友好交流及び相互協力に関する覚書」を締結しており、本県からは米国内で最多の94社(59社94拠点)が進出し、トヨタ自動車の米国内最大の工場が生産活動をしていることなど、本県企業による米国経済への貢献をPRするとともに、ハガティ大使やベビン知事に本県企業の米国での活動への支援を要請してまいりました。
 翌週23日にも、同じく駐日アメリカ大使公邸で開催されましたミシシッピ州ブライアント知事歓迎レセプションにお招きをいただきました。ミシシッピ州にもトヨタ自動車を始め本県企業が進出しており、本県企業の米国での活発な事業活動のPRや支援要請をするとともに、ブライアント知事との個別ミーティングでは、私から、自由貿易とNAFTAの重要性を申し上げたところ、ブライアント知事から「2日前に、ワシントンDCにて、5人の知事でトランプ大統領とミーティングをし、 NAFTAはアメリカ経済にとって必要と大統領に強く進言した」との発言があり、今後とも緊密な日米経済関係の必要性をお互いに確認しました。  
 続いて、6月2日、3日には、久屋大通公園久屋広場で「タイフェスティバルin名古屋2018」が開催され、私も参加してまいりました。 このフェスティバルは平成17年から毎年開催されており、今年も大いに盛り上がりました。
 6月5日には、タイ・バンコク都のパタラット・タトラーノン事務次官が来県され、本県とバンコク都は、高校生訪問団の相互派遣などを活発に行っており、今後もこうした交流を深めていくことを確認いたしました。
 タイへは、本県の企業438社(295社438拠点)が進出しており、東南アジアの中では最も多く、全ての進出先の中でも中国、アメリカに次ぐ規模で、タイは本県経済にとって欠かすことのできない国であります。また、本県は、平成24年7月にバンコク都と「相互協力に関する覚書」、平成26年9月にはタイの工業省と「経済連携に関する覚書」を結んでおり、若い世代を中心とした交流や経済面での連携を更に深めてまいります。 また、6月19日から24日まで「愛知県・江蘇省友好書道展」を昨年11月の南京での開催に続き、名古屋で開催いたします。多くの皆様のご来場をお待ちしております。こうした文化面での交流を含めて、友好提携を結んでいる江蘇省・広東省はじめ中国との友好交流を進めてまいります。  
 今後とも、海外諸地域とのつながりをより深め、経済、教育、観光など、幅広い分野の交流を進め、お互いの発展につなげてまいります。
 
  次に、低炭素社会の実現についてであります。  
 本県では、低炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの活用などにより、低炭素な水素サプライチェーンの構築に取り組む事業者を支援するため、全国に先駆けて、本年度から、水素の製造・輸送・利用に伴う二酸化炭素の排出が少ない水素を「低炭素水素」として認証する「低炭素水素認証制度」を実施しております。
  4月25日には、トヨタ自動車元町工場における「知多市・豊田市再エネ利用低炭素水素プロジェクト」を、県内第1号の低炭素水素製造計画として認定し、私も現地に赴き、関係企業の皆様とともに発表いたしました。
  今後は、このプロジェクトをしっかりと成功させるとともに、認証制度の活用により低炭素水素の製造と利活用の取組を県内各地に広げ、低炭素社会の実現を目指してまいります。

  次に、三河港の機能強化についてであります。
 4月26日に、御津ふ頭1号岸壁が、続いて6月2日には、神野ふ頭地区耐震強化岸壁が供用開始されました。  
 三河港は、モノづくり愛知を代表する国内の自動車関連産業が集積するとともに、海外の自動車メーカーも多数立地し、特に輸入自動車は、台数、金額ともに25年連続で全国1位を誇るなど、我が国を代表する自動車流通港湾として重要な役割を担っております。
 両岸壁が三河港の物流活動の中核となり、効率的な物流機能が確保され、地域産業の国際競争力の強化が期待されます。
 今後とも、地域の産業や生活を支える港湾機能や、地震・台風など自然災害への対応力など、三河港の機能強化にしっかりと取り組んでまいります。

  次に、医療提供体制の充実・強化についてであります。
 4月30日に、愛知医科大学病院のドクターヘリ格納庫運用式典が行われ、私も出席してまいりました。
 愛知医科大学病院は、県内唯一の高度救命救急センターを有し、平成14年1月からドクターヘリの運航が開始されております。ドクターヘリは、県内全域の救急現場に25分程度で駆けつけることができ、年間約400件の緊急出動を行うなど、救命医療活動や、さらには災害時の重要な機動力となっております。
 このたび、本県も強力に支援をしたところでありますが、この格納庫には、必要な点検・修理や燃料給油を行う設備などが整備され、ドクターヘリのより一層の活躍が期待されます。
 今後とも、県民の皆様に安全・安心な医療を提供できる体制の充実・強化にしっかりと取り組んでまいります。

  次に、第70回全国植樹祭についてであります。
 本県では、来年春に「木に託す もり・まち・人の あす・未来」をテーマに、第70回全国植樹祭を、尾張旭市と名古屋市に広がる愛知県森林公園をメイン会場として開催いたします。  
 5月19日には、愛西市において、平成30年度愛知県植樹祭と併せて、第70回全国植樹祭1年前記念イベントを開催し、LOVEあいちサポーターズあいち音楽大使である岡村孝子さんに、大会イメージソング「と・も・に」を初披露していただきました。  
 また、6月10日には、東日本大震災の甚大な被害から、緑豊かなふるさとの再生と復興に向けて力強く歩み続けている福島県において、第69回全国植樹祭が開催され、私も次期開催県知事として出席してまいりました。
 天皇皇后両陛下ご臨席の記念式典において、内堀福島県知事から、東日本大震災復興支援の全国への感謝として、全国都道府県知事を代表して、桜の苗木の贈呈を受けるとともに、全国植樹祭のシンボルである「木製地球儀」を引き継ぎました。その際、内堀知事から、「愛知県大会の成功を祈ります」と発言いただき、私からは、「福島大会のように、成功に向けて一生懸命努めます」と決意を申し上げました。  
 40年ぶりに本県で開催する第70回全国植樹祭まで、残すところ1年となります。大会の成功に向けてしっかりと準備を進めてまいります。

  次に、防災対策の推進についてであります。
 南海トラフ地震を始めとする大規模災害の発生が危惧される本県では、災害に対する事前の備えが大変重要であります。  
 このため、本県を始め東海から九州地方までの南海トラフ沿いの10県で「南海トラフ地震対策の充実強化に関する提言」をとりまとめ、5月28日に、小此木内閣府特命担当大臣に対し提言活動を行い、私からは、河川・海岸堤防の耐震化や、ゼロメートル地帯の対策への支援、基幹的広域防災拠点の早期整備等を要請しました。  
 また、5月31日には、防災関係機関が一堂に会する愛知県防災会議を開催し、被災者生活再建支援に関する県独自の補助制度の創設等に伴う地域防災計画の修正案を審議・決定しました。
 引き続き、関係機関と緊密に連携し、県内の防災体制の更なる強化を図るとともに、県民の皆様の安全・安心を確保する防災対策にしっかりと取り組んでまいります。

  次に、国家戦略特区についてであります。
 5月30日に開催された愛知県国家戦略特別区域会議において、全国で初めて、テレビ電話を活用した薬剤師による遠隔服薬指導を可能とする新たな特例を盛り込んだ区域計画が決定され、6月14日に内閣総理大臣から認定されました。  
 この特例を活用することにより、離島や三河山間地域の方々が受診から薬の受け取りまでを在宅でできるようになり、地域医療の一層の充実が期待できます。本県では、本日18日から、遠隔服薬指導を行う薬局開設者の登録申請の受付を開始し、今後、全国に先駆けた遠隔服薬指導の実施を目指してまいります。
 引き続き、国家戦略特区を活用し、我が国随一の成長産業・先端技術の中枢拠点の形成と、総合的な規制・制度改革の実現に向け、全力で取り組んでまいります。

  次に、豊川用水通水50周年についてであります。
 東三河地域が飛躍的に発展する原動力となった豊川用水が、渥美半島の先端まで届いてから、本年で50年となりました。
 豊川用水の恵みが、生産額が全国1位であるキャベツや花の農業生産、自動車などのモノづくり産業を支えており、6月3日には、私が実行委員長を務める「豊川用水通水50周年記念事業実行委員会」主催で、豊橋駅前の広場で「通水の日」イベントを開催いたしました。私も参加し、豊川用水や水源地域の特産品のPRを行ってまいりました。
 今後も、豊川用水を守り続けていくことが東三河地域の更なる発展のために重要であることを伝えていくとともに、豊川用水二期事業による幹線水路の複線化や耐震化等の整備をしっかりと進めてまいります。

  次に、第20回アジア競技大会についてであります。
 これまで、開催都市契約について、本年9月25日の締結期限に向け、アジア・オリンピック評議会(OCA)と協議を進めてまいりました。
 その結果、既に主要な事項で合意が得られたことから、6月4日に、私を本部長とする「第20回アジア競技大会推進本部会議」を開催し、8月19日にインドネシアのジャカルタで開催される予定のOCA総会での締結を目標に、最終調整を実施することといたしました。
 また、8月18日から9月2日にかけて、インドネシアのジャカルタ・パレンバンで第18回アジア競技大会が開催されます。これに合わせて、国内向けPRや現地ジャカルタでの海外向けPRを実施するとともに、大会運営に関する輸送や警備等の諸計画を検討するため、詳細に現地調査を行うなど、大会の成功に向けて着実に準備を進めてまいります。

  次に、ヘルプマークの普及についてであります。
 本県では、義足等を使用している方や、内部障害や難病の方、妊娠初期の方など、援助を必要としていることが外見からは分かりにくい方が、周囲からの援助を得やすくなるヘルプマークの普及を図るため、7月 20日から県内一斉に、市町村の窓口等を通じて「ヘルプマーク」の配布を開始いたします。
  ヘルプマークの普及に当たっては、県民の皆様のご理解とご協力が不可欠となるため、配布に先立ち、6月から駅構内などに啓発用ポスターを掲示するほか、県内すべての小・中・高校にリーフレット等を配布し、全県的な普及啓発に取り組むとともに、配布開始日には、名古屋駅で街頭啓発キャンペーンを実施することとしております。
 加えて、普及啓発効果を上げるため、新たに「ヘルプマーク普及パートナーシップ制度」を設け、普及啓発にご協力いただける民間事業者を広く募集することとしました。
 今後もヘルプマークの普及・活用を積極的に進め、障害の有無にかかわりなく、お互いを尊重する共生社会の実現を目指してまいります。

  次に、フランス・オクシタニー地域圏政府との覚書締結についてであります。
 6月5日に、フランス・オクシタニー地域圏政府と「友好交流及び相互協力に関する覚書」を締結いたしました。
  オクシタニー地域圏政府は、平成28年に発足した広域自治体で、圏都のツールーズ及び周辺地域にはエアバス社を中心に航空宇宙産業関連の企業が集積しています。また、オクシタニー地域は、フランスワインの3分の1を生産し、トリュフやフォアグラの産地としても有名で、航空宇宙産業の分野だけでなく、農業が盛んな地域であるという点でも、本県とは多くの共通点を有しています。
 平成28年7月に、私がエアバス社を訪問した際、エアバス社のグ ループ会社のOBであるベルナール・プラノ議員と意見交換をし、多くの共通点を有する両地域の連携を深めていくことで意見が一致したことを契機に、実務者レベルでの協議を経て、このたびの覚書締結に至ったものであります。
 調印式には、オクシタニー地域圏政府の行政トップであるキャロル・デルガ議長が来県され、私とデルガ議長が会談し、今後の両地域の経済交流等に関する意見交換もいたしました。私から、「本年12月のエアロマート・ツールーズ2018に本県と関係企業とで出展をするので、来年のエアロマート名古屋2019には、フランス側からも是非参加してほしい」と申し上げたところ、デルガ議長からは、「我々も、多くの企業と共に参加したい。両地域の企業間交流を加速したい」との発言がありました。
 この覚書締結により、本県は、ボーイングの本拠地シアトルがあるワシントン州に続き、世界の航空宇宙産業の2大集積地と連携関係を構築することになります。この提携を機に、航空宇宙産業に加え、自動車産業、観光など様々な分野において、地域レベルでの関係を一層強化し、両地域の更なる発展につなげてまいります。

  次に、リニア中央新幹線の建設促進についてであります。
 リニア中央新幹線の「東京−名古屋」間については、現在沿線各地で本格的な土木工事が進められており、本年3月には、事業主体である東海旅客鉄道株式会社から、鉄道事業者では初めてとなる大深度地下使用の認可申請が、国土交通大臣に対し行われたところであります。  
 こうした中、6月6日に、東京において、私が会長を務める「リニア中央新幹線建設促進期成同盟会」の総会を開催し、「東京−名古屋」間の工事実施計画に基づく早期整備や、「東京−大阪」間の早期全線整備の実現に向けた取組などを決議いたしました。  
 さらに総会後には、沿線県の知事とともに、国土交通省に対し、決議した内容を要請してまいりました。  
 引き続き、リニア中央新幹線の早期整備に向けて、沿線地域の皆様とともにしっかりと取り組んでまいります。

  次に、6月11日に岐阜県各務原市で開催されました「第108回中部圏知事会議」についてであります。  
 今回の会議では、インフラ整備や防災対策など、中部圏が抱える諸課題や必要な施策に関する国への提言について、中部9県1市の知事、市長が提案を持ち寄り、意見交換を行いました。  
 本県からは、「世界的なスポーツ大会開催への支援」について提案いたしました。特に、第20回アジア競技大会の開催については、アジア最大のスポーツの祭典であり、本県にとどまらず中部圏・全国に大きな効果が及ぶこと、また、中部各県での競技実施も調査・検討していることから、大会を運営する組織委員会への協力や競技会場の整備・改修等に対し、国の支援を求めるものであります。
 こうした本県からの提案を含め、「リニア中央新幹線の東京・名古屋間開業効果の最大化と一日も早い全線開業の実現」や「中部国際空港の二本目滑走路を始めとする機能強化の早期実現」などについて、中部圏知事会の「国への提言」として取りまとめることができました。
 今後とも、中部圏知事会の会長として、各県の知事や市長と力を合わせ、中部圏の更なる飛躍に向けて全力を尽くしてまいります。

  次に、自動運転実証推進事業についてであります。
 自動運転は次世代自動車のキーテクノロジーであります。国においては、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを目標として、無人自動運転による移動サービスの実現に向け、実証実験の実施や各種法制度の整備に向けた検討を加速させております。
 本県では、全国に先駆けて、将来の自動運転サービスの実現を目指し、平成28年度から、県自らが先導する形で、国内に類例を見ない大規模な自動運転の実証実験を積み重ねてまいりました。
 これまでに終了した25か所の実証路線の総延長は、約63キロ、総実走距離は3,500キロを超えております。
 特に、昨年12月には、幸田町において、全国で初めて一般公道における遠隔型自動運転の実証実験を成功させたのを皮切りに、春日井市、名古屋市においても実施し、まさに自動運転社会の到来を、ここ愛知から全国に発信する契機となりました。
 こうした成果を踏まえ、本年度はこれまでの取組を更に進め、豊橋市、一宮市、常滑市において、複数台の遠隔型自動運転車両を同時に走行させる実証実験や、大容量、超高速、低遅延を特徴とする第5世代移動通信システム「5G」の実験無線局を活用した実証実験を行うなど、自動運転の社会実装を見据えた最先端の実証実験に挑戦してまいります。
 自動運転社会の実現に向け、自動車産業の一大集積地である愛知が、引き続き日本、そして世界をリードする存在であり続けるため、自動運転の更なる高度化を推進してまいります。

  次に、交通安全対策についてであります。
 本県では、6月1日に、県、県警察及び国の関係機関の代表者による「愛知県交通安全対策会議」を開催し、本年度の交通安全対策である「平成30年度愛知県交通安全実施計画」を策定いたしました。  
 この実施計画には、道路交通環境の整備、交通安全教育の推進、道路交通秩序の維持、車両の安全技術の推進などにおける具体的な取組を盛り込んでおりますが、横断中の歩行者事故が多発している状況を踏まえ、本年度は新たに歩行者保護対策などを加えました。
 今後、この実施計画に沿って、県警察や市町村、関係機関と緊密に連携して交通安全対策を推進することにより、交通事故及び交通事故死者数の減少を図ってまいります。

  次に、安全・安心なまちづくりの推進についてであります。
  6月4日に、県、県警察、行政機関、事業者団体及び地域団体による「愛知県安全なまちづくり推進協議会」を開催し、本年度の行動指針である「あいち地域安全県民行動計画2020」を策定いたしました。  
 この行動計画は、防犯意識の高揚と地域防犯力の向上、犯罪の起きにくい社会づくり、県民の安全・安心を脅かす犯罪への対策の推進で構成しており、本年度は新たに再犯防止対策に関する取組などを加えました。
 本県の刑法犯認知件数はピーク時の約3割まで減少しておりますが、引き続き、この行動計画に沿って、地域全体で安全・安心なまちづくりを推進してまいります。

  それでは、今回提案をいたしております補正予算案及びその他の議案につきまして、その概要を申し上げたいと存じます。
 まず、補正予算案についてであります。補正予算の総額は、 3億9,677万余円でございまして、 会計別では、一般会計で1億2,639万余円、 企業会計で2億7,037万余円であります。
 一般会計補正予算案の主な内容でございますが、まず、第20回アジア競技大会について、先に申し上げましたとおり、8月19日の開催都市契約の締結を目標に調整を進めておりますことから、契約締結に伴い必要となるOCA憲章に基づく負担金について、所要の経費を計上するものであります。
 次に、本年4月8日に発生した火災により被災した岡崎商業高等学校の特別教室棟及び産振棟の早期復旧を図るため、被災校舎の取壊しの設計及び新校舎の設計に必要な経費を計上するとともに、取壊工事費について債務負担行為を設定するものであります。
 このほか、企業会計につきましては、三河地域におけるがん診療の充実及び愛知県地域医療構想の実現に向けた医療提供体制の確保を図るため、岡崎市と締結した移管の覚書に基づき、がんセンター愛知病院において、平成31年4月の円滑な移管に向け、老朽化している施設や医療情報システムの改修を行ってまいります。

  次に、補正予算案以外の議案についてであります。
 今回提案をいたしております案件は、条例関係議案が8件、その他の議案が9件でございます。
 主な案件につきまして、ご説明申し上げます。
  まず、条例関係議案のうち、愛知県県税条例等の一部改正についてであります。
 これは、地方税法等の一部改正に伴い改正を行うものでございまして、その主な内容は、資本金等の額が1億円超の法人等に対し、平成32年4月1日以後に開始する事業年度において、法人県民税及び法人事業税に係る電子申告を義務付けるものであります。
 次に、その他の議案のうち、人事案件でございますが、公安委員会の委員及び人事委員会の委員の任期満了に伴いまして、その後任者を選任するものでございます。

 以上、提案をいたしております案件の主なものにつきまして、その概要をご説明申し上げましたが、詳細につきましては、議事の進行に伴いましてご説明を申し上げたいと存じます。
 どうかよろしくご審議の上、適切なご議決を賜りますよう、お願いを申し上げます。