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県議会知事提案説明

平成31年2月定例県議会 知事提案説明要旨

今議会に提案をいたしました諸議案のご説明を申し上げるに先立ち、知事就任のごあいさつと所信の一端を申し述べ、県議会並びに県民の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。
 私は、去る2月3日の知事選挙におきまして、これまでの最多得票となる177万4,763票もの県民の皆様方からの絶大なるご支援と県議会議員の皆様方のご支持をいただき、引き続き4年間、県政を担当させていただくことになりました。また、得票率も83.32%と、これまでの最高得票率となりました。改めてその責任の重大さに身が引き締まる思いであります。
  この上は、県民の皆様方から寄せられました熱い期待と信頼にしっかりと応え、愛知のさらなる発展に向けて、引き続き県政運営に全力で取り組んでいく所存であります。重ねて、議員の皆様方、県民の皆様方のご支援とご協力を心よりお願い申し上げる次第でございます。
 今回の知事選挙にあたり、私は、「あいち重点政策ファイル330プラス1」と名付けた政策集を県民の皆様にお示しさせていただきました。新たな任期の4年間において、330項目にわたる政策一つひとつについて、スピード感をもって着実に実行していくことが、愛知県民の皆様の信託、負託に応えていくことだと思っております。
 そして、「プラス1」である「県民それぞれの夢」を実現させてまいりたい、叶えてまいりたいと考えております。
 さて、私は、知事就任以来、「日本一元気な愛知をつくる」という決意のもと、二期8年間、全力で県政運営に取り組んでまいりました。県民の皆様と議員各位のご理解とご協力をいただき、社会インフラの整備は順調に進み、日本一の産業力をさらに強化し、雇用も30万人増加することができ、教育、医療、福祉、女性の活躍、子ども・子育て支援、障害者福祉など、人づくりを大きく前進させることができました。
 こうした取組により愛知の総合力を大いにパワーアップさせ、日本一の産業力で、本県の県別GDPは2ケタの成長を続け大阪府を抜き東京都に次いで全国2位になるとともに、本県人口は755万人に迫り、人口が増え続けている数少ない県となっております。
  続く三期目の4年間は、さらにその勢いを加速させ、日本一元気な愛知をつくり、日本の未来をつくってまいりたいと考えております。  
 継続は力です。愛知の経済・産業を強化し、雇用をつくり、地域を元気にする。そして、すべての人が活躍し、人が輝く愛知をつくっていくという愛知のこれまでのいい流れ、好循環を着実に前進させていきたい。オール愛知で「働くことを軸とする安心社会」をつくっていきたい。そうした思いを念頭に、今後とも、議会の皆様と県民の皆様のご理解とご支援をいただきながら、県政運営に全力で取り組んでまいりますので、引き続き、何卒よろしくお願い申し上げます。
 さて、まずは、豚コレラへの対応について申し上げます。
 去る2月6日に豊田市の養豚場と田原市の関連農場で発生した豚コレラにつきましては、7千頭を超える豚の殺処分を、豊田市と田原市の2つの養豚場で同時に進めるという、極めて困難な事態でありましたが、国、地元自治体、自衛隊、県農業土木研究会などの皆様のご協力により、防疫措置を無事完了いたしました。
 感染経路については、国の疫学調査チームで調査が進められておりますが、豊田市の養豚場から豚を仕入れていた他府県の農場でも豚コレラ感染が確認され、極めて深刻な事態であると認識しております。
 さらに、2月13日に、田原市の養豚農場において、新たに豚コレラが確認され、翌14日には、国及び疫学調査チームから、この農場が所在する養豚団地のすべての農場を対象に殺処分等の防疫措置を行う必要があるとの判断が示されました。本県では、これ以上の感染拡大を防ぐため、国の示した判断を踏まえ、速やかに養豚団地全体で防疫措置を行うことが適切であると決定し対処いたしました。1万7千頭を超える非常に大規模なものであり、養豚農家はもちろんのこと、現場で実際の作業に携わった県職員、国、市、JA、自衛隊、建設業界の皆様のご尽力により、昨日、防疫措置を無事完了することができました。心から感謝申し上げます。感染をこれ以上拡大させないために必要な措置でありましたので、何卒ご理解をお願い申し上げますとともに、養豚農家の経営再建につきましては、万全の措置をもって取り組んでまいります。
 日本の畜産、愛知の畜産を守るため、関係機関と連携し、豚コレラの防疫対策と感染防止対策に、職員全庁一丸となって、死力を尽くして取り組んでまいります。
 
それでは、最初に、愛知県政を取り巻く最近の状況について申し上げます。

 まず、国政の状況等についてであります。
 国においては、引き続き、人づくり革命と生産性革命に最優先に取り組むとともに、地方創生や女性の活躍、働き方改革、外国人材の受入れなどの施策の推進により、経済の好循環をより確かなものとし、一億総活躍社会の実現を目指すとしております。
 本県は、こうした国の動きに先駆けて、次世代自動車や航空宇宙、ロボットの分野を始め、ICTやAIなどのデジタル分野まで幅広く産業集積を進めるとともに、スタートアップ支援に戦略的に取り組むことで、次々とイノベーションを湧き起こす世界一の産業の革新・創造拠点を目指してまいりました。  
 今後も、愛知の経済・産業力をさらに強くしていく中で、若者や女性の雇用を増やし、人づくりを進め、そのことでさらに地域を元気にするという好循環を加速してまいります。

 次に、地方法人課税の見直しについてであります。
 平成31年度税制改正において、地方法人特別税・譲与税が廃止され、復元後の法人事業税の一部を新たに特別法人事業税とし、その全額を特別法人事業譲与税として都道府県に譲与するとともに、不交付団体への譲与制限の仕組みを設けるなどの措置が講じられることとなりました。
 本県はこれまで、まずは法人事業税の暫定措置は期限の到来をもって当然かつ確実に廃止すべきであること、地方税で財政調整を行うような議論が進められると地方税の原理原則を歪めることから、経済活動の実態を見て「税源の適切な帰属」の観点から幅広く税制の議論を行い、すべての地方自治体の財政運営等に支障が生じないよう適切な措置が講じられるべきであること、併せて、地方間での財源の取り合いではなく、日本全体の活性化と税収全体のパイの拡大が重要であることを主張してまいりました。
 これまでの一連の地方法人課税制度の議論等を俯瞰して、改めて私の考えを申し上げると、現在のような東京一極集中の流れが加速する経済情勢の中では、地方税収の配分を見直したとしても、数年後にはまた同じような状況になってしまうのではないかと思われます。
 根本的な問題は、明治以来、一向に止まることのない東京一極集中の流れであります。これをいかに是正していくか、具体的には、企業や大学の地方への移転・分散に真剣に取り組まなければ、地方税財源の配分の問題は何度やってもまた元の木阿弥になるものと考えます。このことを今後、あらゆる機会を捉え、国に対し強く申し上げていきたいと考えております。

 次に、自動車諸税の見直しについてであります。
 私は、知事に就任した平成23年以来、自動車税制の抜本的見直しに取り組み、昨年11月にも、10県知事2市長の連名で緊急声明を取りまとめ、政府・与党に対し、働きかけを行ってまいりました。
 その結果、今回の税制改正では、制度創設以来初めて自動車税が恒久的に減税されることとなり、全国の自動車ユーザーや自動車産業関係者の積年の願いに応えるもので、その点では評価したいと考えております。一方、自動車ユーザーにとって実質の減税規模は当初期待していたものとまでは言えず、引き続き今後の課題となったと受け止めております。
 自動車を取り巻く環境は、CASEといった言葉に表されるように、電動化やシェアリングなど百年に一度の大変革期を迎えており、「保有から利用へ」と自動車関連税制の議論が進むことは不可避であり、経済社会の実態に合わせた税体系のあり方を早急に議論し、構築していかなければならないと考えております。
 今回の見直しが自動車ユーザーの負担軽減や地域の経済・雇用に与える影響を注視し、引き続き、日本経済の「稼ぐ力」の回復、持続的な経済成長、地方創生の実現に取り組んでまいります。

 次に、地方選挙の執行に関する要請についてであります。  
 2月6日、菅内閣官房長官を始め自由民主党二階幹事長、甘利選挙対策委員長、公明党山口代表、立憲民主党枝野代表、国民民主党玉木代表に、今回の知事選挙でも課題が浮き彫りとなった受験シーズンと重なる地方選挙について、その期日をずらすための法的措置を講じるよう要請いたしました。
 平成27年の公職選挙法改正により選挙権年齢が18歳以上に引き下げられましたが、1月から3月に執行される選挙は、多くの18歳の高校生にとって、人生をかけて臨む極めて重要な受験の時期と重なります。  
 このような時期の選挙執行は、18歳の真面目に勉強に取り組む受験生に対し、受験に専念したい中で投票には行かなければならないと葛藤させ、深刻に悩ませるものであり、極めて問題が大きいものと考えます。
 受験時期を動かすことが現実的には難しいということであれば、こうした時期を極力避けて選挙を執行することが、高校生を始めとした青少年の健全育成に努める責務がある我々大人の責任であります。
 この問題を早急に国会において議論していただき、任期満了に伴う地方選挙は、1月から3月前半までの間は執行せず、その前後の時期に執行できるよう、特別な立法措置を講じることを強く求めてまいります。どうか県議会におかれましても格別のご支援をお願い申し上げます。

 次に、第70回全国植樹祭についてであります。  
 2月7日、衆議院議長公邸において開催された「第70回全国植樹祭特別委員会」に出席し、全国植樹祭愛知県実行委員会で承認された実施計画案についてご審議いただき、原案どおり決定されました。  
 続いて、宮内庁において、第70回全国植樹祭行幸啓のお執り成し書を山本長官にお渡ししました。天皇皇后両陛下におかれましては、全国植樹祭にご臨席いただき、天皇陛下よりお言葉を賜りますとともに、愛知の地方事情をご視察いただくため、愛知県への行幸啓を仰ぎたく、県民ともども心から念願しております。  
 第70回全国植樹祭の開催まで100日を切りました。5月1日にご即位される新天皇陛下の最初の行幸啓になろうと思われ、全国の注目を集めることから、引き続き、成功に向けてしっかりと準備を進めてまいります。

 次に、交通安全対策についてであります。
 昨年の交通事故死者数は189人で、前年より11人減少し、昭和25年以来、68年ぶりに200人を下回りましたが、16年連続の全国ワースト1位という残念な結果となりました。
 一方で、人口10万人当たりでは、全国40位であり、県民始め関係の皆様には交通安全にご尽力いただいており、感謝申し上げます。
 今後も、県、県警察、市町村、関係機関の連携による啓発の実施や、県警察による取締りの強化に加え、自動車安全技術の普及などを通じて、交通事故の抑止、交通事故死者数の減少に全力で取り組んでまいります。

 それでは、平成31年度当初予算編成につきまして、ご説明いたします。
 平成31年度当初予算は、骨格的予算として編成を始めましたが、県政には緊急に対応しなければならない課題が多く、停滞は許されません。そこで、知事選挙後の短い期間でありましたが、精力的に編成作業を行い、「年間総合予算」といたしました。

 まず、最近の経済情勢であります。
 我が国の景気は、個人消費が持ち直すなど緩やかに回復しております。先行きについては、雇用・所得環境の改善が続く中で、緩やかな回復が続くことが期待されますが、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。

 そうした中、本県では2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2026年のアジア競技大会、2027年度のリニア開業という節目の年にターゲットを置きつつ、様々な取組を積極的に進め、大きな成果をあげてまいりました。
 来年度も引き続き、「日本一元気な愛知」、「すべての人が輝く愛知」、「日本一住みやすい愛知」の実現を目指して全力で取り組み、日本一元気な愛知が先頭に立って東京一極集中にストップをかけ、日本の活力を取り戻し、日本の成長を力強くリードしていく、そうした思いをもって予算編成にあたったところであります。
 平成31年度当初予算は、今回の選挙で県民の皆様にお示しした政策集と、「あいちビジョン2020」を踏まえて、12の柱立てを作らせていただきました。  
 以下、その柱立てに沿いまして、主要な事業をご説明いたします。  

 まず、「ジブリパークを2022年に実現」であります。
 2005年に愛知万博が開催された愛・地球博記念公園にジブリパークを整備する構想については、平成29年5月にスタジオジブリと合意し、平成30年4月に基本デザインを発表いたしました。その後、スタジオジブリと協議を重ね、平成30年12月には、中間的な取りまとめ状況を整備構想の概要として発表したところであります。
 ジブリパークは、愛知だけのプロジェクトではなく、まさに日本のプロジェクトであります。愛知万博の理念をより良い形で未来に継承し、愛・地球博記念公園の魅力と価値を一層高めるため、公園整備事業として、2022年秋の開業に向けて、しっかりと取り組んでまいります。
 平成31年度は、ジブリの世界を再現した施設の実施設計を行うとともに、ジブリの大倉庫の予定場所である旧温水プールの設備の撤去工事を行ってまいります。あわせて、交通対策の検討について、関係者・関係機関と協議・調整を行ってまいります。

 次に、「『リニア大交流圏』の形成」であります。  
 2027年度のリニア中央新幹線の開業により、首都圏から中京圏に及ぶ5千万人規模のメガリージョン「リニア大交流圏」の形成を進めてまいります。  
 リニア大交流圏の基盤となる道路網につきましては、名古屋環状2号線、三遠南信自動車道、名豊道路、西知多道路、名岐道路などの広域幹線道路の整備を始めとした道路ネットワークの整備を推進してまいります。また、地域の皆様の生活に密着する道路や山間道路などの整備についても、しっかりと取り組んでまいります。  
 さらに、名古屋港、衣浦港、三河港と自動車産業や航空機産業を始めとしたモノづくり産業とのサプライチェーンを強固にするため、昨年3月に策定した「愛知県港湾物流ビジョン」に基づき、ふ頭用地の整備などにより港湾物流機能の強化に取り組んでまいります。  
 リニア大交流圏の玄関口となる名古屋駅につきましては、名古屋市と連携しながら、わかりやすい乗換空間の形成等によるスーパーターミナル化を推進してまいります。あわせて、リニア開業による時間短縮効果をより広域に波及させ、最大限活用するため、名古屋駅からの40分交通圏拡大に向けた検討や、中部国際空港、東海道新幹線駅へのアクセス向上に向けた取組を進めてまいります。  
 また、鉄道駅利用者の安全性向上を図るため、鉄道事業者が行うホームドア設置に対する補助制度を創設し、支援してまいります。  
 さらに、中部国際空港の二本目滑走路の早期実現に向け、エアポートセールスやアウトバウンドの促進に取り組み、LCCを含めた航空ネットワークの拡充と航空需要の一層の拡大を図ってまいります。  
 次に、20代前半女性を始めとした若年層を中心に東京圏に対し転出超過となっている状況に歯止めをかけるため、東京圏の若年女性・ファミリー層を対象としたPRイベントの開催や、若年層がよく閲覧する情報サイトへの広告記事の掲載などにより、本県の強みである「愛知の住みやすさ」を広くPRし、「働くなら愛知、住むなら愛知」という流れを促進してまいります。  
 また、首都圏や関西圏等から本県に人を呼び込み、産業人材を確保するため、東京と名古屋に設置したUIJターン支援センターにおいて、就職イベントや個別相談を実施してまいります。  
 さらに、首都圏からの移住・就業希望者に対して県内中小企業の求人情報を提供するマッチングサイトを開設するとともに、掲載企業に就業した移住者等に移住支援金を支給する市町村への補助制度を創設し、本県への移住を促進してまいります。

 次に、「産業首都あいち」であります。
 国際イノベーション都市あいちへの飛躍とともに、製造品出荷額等が40年連続で日本一という、圧倒的な産業集積を誇る愛知の産業力を一層強化し、「産業首都あいち」を目指してまいります。
 愛知県国際展示場「Aichi Sky Expo」につきましては、本年8月30日の開業に向け、引き続き整備を進めるとともに、世界の展示会産業でトップクラスの実績を誇るGLevents等からなる運営事業者と連携した開業準備や広報・営業活動を実施してまいります。 あわせて、開業を広く周知するため、オープニングセレモニーを開催いたします。
 また、コンセッション方式の採用により運営事業者から支払われる運営権対価を原資として基金を創設し、官民連携による新たな展示会需要の創造等に取り組んでまいります。  
 中部国際空港やその周辺エリアにおいては、「MICEを核とした国際観光都市」の実現を目指し、魅力ある機能整備の具体化に向けた検討を進めてまいります。  
 次に、本県の強みであるモノづくりの伝統や優れた技術・技能との融合による新たなイノベーションを誘発し、本県産業の成長を拡大させる好循環(エコシステム)を形成するため、昨年10月に策定した「Aichi−Startup戦略」に基づき、スタートアップ企業を支援する拠点のあり方や資金面での支援手法について検討・調査を行うとともに、世界的な先進地である米国・テキサス大学オースティン校  ICスクエア研究所と連携した支援を行うほか、海外の他の支援機関との連携について検討してまいります。
 また、新たに東京にコーディネーターを配置し、首都圏のスタートアップ企業と県内モノづくり企業とのマッチングを支援するとともに、スタートアップ企業の創出を図るための支援金制度を創設し、スタートアップ・エコシステムの形成に取り組んでまいります。  
 次世代自動車のキーテクノロジーである自動運転につきましては、2020年の社会実装を目指し、公園などの集客施設や住宅団地・郊外、空港島など実現可能性が高い具体的なモデル地域において、実際のビジネスモデルを想定した実証実験や県民試乗によるモニター調査を実施してまいります。
 また、燃料電池自動車(FCV)のさらなる普及に向け、本県独自の補助制度により水素ステーションの整備など引き続き促進してまいります。
 さらに、EV化の進展など自動車産業を取り巻く環境変化に対応するため、中堅・中小自動車部品メーカーが有する技術を活用した新分野への進出や新商品開発を支援してまいります。
 自動車産業の研究開発施設用地である豊田・岡崎地区におきましては、10本のテストコースが整備される東工区の一部を来年3月にトヨタ自動車へ引き渡す予定としております。引き続き、残りの東工区や研究開発施設等が整備される西工区の造成工事を実施してまいります。
 また、稲沢三宅2期地区、安城榎前地区、豊橋三弥地区において引き続き工業団地の造成を進め、新たに刈谷依佐美地区の造成に着手するなど、県内産業の基盤整備を図り、企業立地を推進してまいります。
 次に、航空宇宙産業の国際競争力強化と販路拡大を図るため、本県が主導して立ち上げた「あいち・なごや航空宇宙産業海外販路開拓推進コンソーシアム」を中核に、本年6月のパリ・エアショー2019や9月のエアロマート名古屋2019への県内企業の出展を支援するとともに、開発完了後のMRJを実証インフラとして活用するための環境整備に向けた調査・検討を行ってまいります。
 ロボット産業分野では、平成32年10月に愛知県国際展示場で開催されるロボットの国際大会「ワールドロボットサミット」と、昨年12月に同時開催が決定した「ロボカップアジアパシフィック大会」の成功に向け、着実に準備を進めてまいります。
 また、両大会の開催を見据え、本県ロボット産業の技術力を世界に発信するため、引き続きサービスロボットの社会実装に向けた研究開発や実証実験を支援してまいります。
 さらに、中部国際空港等において、新たにサービスロボット導入に向けた実証実験を実施するとともに、「ショーケース」として一般の方が体験できる機会を設け、披露してまいります。
 また、県内企業による介護・リハビリ支援ロボットの開発・実用化の取組に対し、専任コーディネーターを配置して、医療現場ニーズに基づく臨床試験の支援や相談対応を実施してまいります。
 さらに、無人飛行ロボット「ドローン」を活用し、山間部等における荷物搬送等の社会実装に向けた実証実験を実施し、近未来技術の社会実装を後押ししてまいります。
 加えて、県内産業が抱える課題解決のため、知の拠点あいちにおいて、大学等の研究シーズを活用した第V期の重点研究プロジェクトを開始し、日本一の産業県・愛知の産業競争力を高めてまいります。
 産業空洞化対策減税基金による補助制度につきましては、この7年間で企業立地・再投資の分野で296件の補助対象案件を採択し、総投資額5,017億円、約4万8千人の雇用維持・創出効果という大きな成果があがっております。また、研究開発・実証実験の分野では、7年間で541件の補助対象案件を採択し、高付加価値のモノづくりの拡大が図られております。
 平成31年度は、基金に45億円を積み立て、これを原資とする日本一の補助制度により、本県産業の振興とさらなる雇用の維持・創出に取り組んでまいります。
 また、本年度末で期限を迎える本県独自の企業立地促進のための「不動産取得税の減免制度」を3年間延長し、本県へのさらなる企業立地を図ってまいります。
 愛知の産業力を支える中小企業への制度融資につきましては、創業支援のための資金の金利を0.3%引き下げるなど、中小企業の資金繰りをきめ細かく支援してまいります。
 商店街の振興につきましては、「あいち商店街活性化プラン2016−2020」に基づき、引き続き活性化に向けた取組を支援してまいります。

 次に、中部最大・全国三番手の大農業県・愛知の力をさらにパワーアップさせるための「農林水産業の振興」であります。
 TPP11や日EU・EPAが発効される中、昨年12月補正予算で創設した「あいち型産地パワーアップ事業費補助金」により、産地の競争力向上を図る農業施設の整備を強力に支援し、全国有数の本県農業のさらなる生産力向上を図ってまいります。
 水田農業の経営合理化や生産性向上のため、ドローンやICT等の次世代技術を活用した本県独自の栽培管理技術を開発するとともに、あいち米のブランド化を推進してまいります。
 また、農業分野において多様な労働力を確保するため、引き続き国家戦略特区を活用し、相談窓口の運営などにより、農業支援外国人材の受入れを図ってまいります。
 さらに、農業分野における人材確保と障害者の就労分野の拡大のため、農業及び福祉分野が連携した農福連携相談窓口を設置し、農業への障害者の就業を促進してまいります。
 次に、本県の優れた農林水産物の輸出を促進するため、国内で開催されるアジア最大級の食品展示会へ出展するほか、海外の展示会へ出展する事業者を支援してまいります。
 また、お茶の生産技術向上と消費拡大を目的として、「全国お茶まつり」を西尾市で開催し、全国トップレベルの抹茶など愛知のお茶を全国に発信してまいります。
 本県は、56年連続花き産出額全国1位を誇る花の王国であります。本県産花きの輸出拡大を図るため、県内農業団体等とともに「北京国際園芸博覧会」に出展し、世界にPRしてまいります。
 さらに、本県が誇るブランド地鶏名古屋コーチンの生産体制強化のため、小牧市内への種鶏場の移転整備に向けて、引き続き用地造成工事を進めてまいります。
 また、生産者に供給する種豚を維持・増殖している畜産総合センターの豚舎につきましては、防疫性が高い密閉型の新豚舎の建設に向け、地質調査等を実施してまいります。
 次に、あいち森と緑づくり税を活用し、森林、里山林及び都市の緑の整備・保全を進めるとともに、国が平成31年度に創設する森林環境譲与税を活用して基金を創設し、林業従事者の養成や木材の利用促進、航空レーザ計測による森林情報の整備に取り組み、市町村が行う森林整備等を支援してまいります。
 本年6月に森林公園をメイン会場として開催する「第70回全国植樹祭」につきましては、成功に向けて、着実に準備を進めてまいります。
 水産業につきましては、日本一のあさり漁業の振興のための干潟・浅場の造成や、魚礁漁場の整備を引き続き推進してまいります。
 また、近年あさりの漁獲量が減少していることから、新たに波浪に弱い稚貝の定着を図る貝類増殖場を整備し、あさり資源の回復に取り組んでまいります。
 次に、「人が輝くあいち」であります。
 元気な愛知の礎は、「人づくり」です。すべての人が輝き、活躍する愛知をつくってまいります。そのため、子どもたちの学力を伸ばす教育の充実、女性の活躍促進、子ども・子育て支援、県民の皆様の健康を支える医療・健康長寿、障害者福祉・支援、産業人材・雇用といった施策を進めてまいります。

 まず、教育の充実、「教育立県あいち、人材創造あいち」であります。
 県立高校につきましては、生徒の多様なニーズに応えるため、本年4月から、知立高校を総合学科に改編するとともに、小牧工業高校に本県初となる航空産業科を、名南工業高校にエネルギーシステム科とエネルギー化学科を、刈谷北高校に国際教養科を設置する学科改編を行うほか、普通科高校2校にコースを新設いたします。
 さらに、今後も魅力ある学校づくりを進めるため、2020年度からの5年間を計画期間とする、新たな「県立高等学校教育推進実施計画」を策定してまいります。
 また、子どもたちの学習意欲を引き出し、基礎学力の向上を図るため、小学校1年生及び2年生並びに中学1年生の35人学級を引き続き実施するとともに、発達障害児への学習支援など、きめ細やかな配慮のできる教育環境づくりを進めてまいります。
 愛知・名古屋ゆかりのノーベル賞受賞者の方々の業績を、地域を挙げて称え、次世代の科学技術を担う小中学生にもわかりやすく紹介するノーベル賞受賞者顕彰施設につきましては、平成32年度内のオープンを目指し、名古屋市と共同で名古屋市科学館サイエンスホールの改修、展示コンテンツの製作に着手いたします。
 いじめ・不登校対策としましては、中一の壁に対応するためスクールカウンセラーによる小中連携の相談体制を充実するとともに、小中学校のスクールソーシャルワーカーの配置を支援してまいります。
 校舎等の県立学校施設につきましては、本年3月に策定予定の「県立学校施設長寿命化計画」に基づき、改修工事を計画的に実施してまいります。特に、校舎のトイレにつきましては、平成35年度までの5年間で短期集中的に、すべての普通教室棟と管理棟、一部の特別教室棟にある湿式トイレについて、洋式化や床の乾式化を実施し、学校の教育環境を改善してまいります。
 また、中学校及び県立高校への部活動指導員の配置を継続するとともに、新たに中学校へのスクール・サポート・スタッフの配置を支援し、教員の多忙化解消と教育環境の充実を図ってまいります。
 本県の学校教育において重要な役割を果たしている私立学校につきましては、その振興と父母負担の軽減を図るため、私立学校経常経費や授業料、入学納付金への補助など各種助成を着実に実施してまいります。また、幼稚園について、待機児童解消のため、預かり保育・長期休業日預かり保育への補助を充実するほか、10月から実施される幼児教育無償化に適切に対応してまいります。
  また、若者の社会的自立に向けた切れ目のない支援を行うため、学習が遅れがちな中学生等を対象に、教員OBや大学生などの地域住民の協力により学習支援を行う「地域未来塾」の活動を支援するほか、高校中退者や外国人を対象とした学習支援の実施地域を拡充してまいります。

 次に、「女性の活躍促進」であります。
 本県の総合力をさらに高めていくためには、働く場における女性の定着と活躍の拡大が不可欠です。
 「あいち女性の活躍促進プロジェクト」のさらなる充実に向けて、新たに「あいち女性輝きカンパニー」認証企業である中小企業の魅力を広く知らせるPR動画を制作するとともに、中小企業における取組のポイント等を紹介する小冊子を作成し、就業を希望する女性や女性活躍の取組が進んでいない中小企業等に発信してまいります。
 また、女性の県外流出の防止や県内への流入促進を図るため、企業における女性活躍の好事例、活躍する女性のロールモデルなどの情報を、県内外の若年女性に向けて発信するとともに、新たに女性起業家の事業拡大に対する支援を実施してまいります。
 女性の再就職の支援につきましては、「あいち子育て女性再就職サポートセンター」において、窓口相談及び出張相談を実施するとともに、新たに就職支援セミナーを開催するなど、女性の就業支援を拡充してまいります。
 ワーク・ライフ・バランスの推進につきましては、イクメン・イクボスの普及拡大を図るとともに、テレワーク導入事例集の作成や体験研修の実施により、企業のテレワーク導入を支援してまいります。
 また、「あいち女性の活躍促進プロジェクトチーム」を設置し、全庁を挙げた取組を始めてから5年が経過したことから、県内の女性の活躍の現状を把握・検証し、今後のプロジェクト事業に反映してまいります。

 次に、「子ども・子育て支援」であります。
 本県が活力を維持しながら持続的に発展していくため、また、女性の活躍を促進するためにも、次代の担い手である子どもを安心して生み育てることができる環境づくりが求められています。  
 昨年2月に策定した「子どもが輝く未来へのロードマップ」に基づき、「教育の機会の均等」、「健やかな成育環境」、「支援体制の充実」の3つの視点から、生活困窮世帯やひとり親家庭の子どもの学習支援や、子ども食堂の開設支援、県福祉事務所への相談支援員の配置など、子どもが輝く未来に向けた取組を実施してまいります。
 あわせて、県民の皆様からのご寄附の受け皿として「子どもが輝く未来基金」を創設し、「児童養護施設入所児童等の自立支援」や「子ども食堂の支援」、「子どもの学習支援」の取組を充実してまいります。
 また、子ども・子育て支援新制度に基づき、私立の認定こども園・幼稚園・保育所や、市町村が認可する地域型保育事業への給付を行うほか、幼児教育・保育の無償化への対応として、新たに認可外保育施設の利用料無償化のための給付を実施してまいります。 認可外保育施設につきましては、新たに重大事故防止のための研修及び巡回指導を実施するほか、事故防止のための機器導入を支援し、保育の質の向上を図ってまいります。
 また、「小1の壁」を打破するため、放課後児童クラブの設置を促進するなど、子育て支援事業を着実に推進してまいります。
 さらに、増え続ける児童虐待に対応するため、国の「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」を踏まえ、児童福祉司や児童心理司等の増員、医療を必要とする児童の保護体制の強化、実践力強化に向けた職員研修の実施など、児童相談センターの機能強化を図ってまいります。

 次に、「医療・健康長寿」であります。
 すべての人が活躍する「人が輝くあいち」の実現のため、医療・福祉を充実し、日本一の健康長寿を実現してまいります。
 がん対策につきましては、がんセンター中央病院及び研究所において、難治がんや罹患者数の多いがんを主な対象に、ゲノム解析を基盤とした4つの重点プロジェクトを実施し、「がんにならない、がんになっても安心な愛知県」を目指してまいります。
 また、外国人患者への先進的な医療の提供や最先端の医療機器を使った検診の実施など、愛知の優れた医療技術の活用による医療の国際化を進めるため、県内医療機関へのアドバイザーの派遣など、医療ツーリズムを推進してまいります。
 さらに、骨髄及び末梢血幹細胞移植を推進するため、骨髄提供者及び骨髄提供者が勤務する事業所に対する補助制度を創設し、骨髄提供者の負担軽減を図り、骨髄提供しやすい環境をつくってまいります。
 昨年7月に法律が公布された受動喫煙防止対策につきましては、制度の周知とともに、喫煙可能室を設置する施設に対し保健所による立入り検査を実施してまいります。
 本格的な超高齢社会の到来により、今後、認知症高齢者の大幅な増加が見込まれ、認知症施策の推進は喫緊の課題であります。昨年12月に制定した「愛知県認知症施策推進条例」及び認知症に理解の深いまちづくりの先進モデルを目指す「オレンジタウン構想」に基づき、企業サポーター養成プログラムや認知症予防プログラムを開発してまいります。
 また、新たに、認知症の人によるピア活動を推進するとともに、国立長寿医療研究センターの機能を強化し研究を推進するための新棟整備を支援するなど、認知症の人及びその家族が安心して暮らすことのできる地域社会の実現に取り組んでまいります。
 次に、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、医療・介護サービスの提供体制の改革を推進するため、「地域医療介護総合確保基金」を活用し、病床の機能分化・連携や在宅医療の充実、医療・介護従事者の確保、介護施設の整備等を引き続き推進してまいります。
 また、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らすことができるよう、医療・介護・予防・生活支援・住まいを一体的に提供する地域包括ケアを推進するため、新たに高齢者の社会参加を促すモデル事業を実施するとともに、市町村に対する相談支援等を行ってまいります。

 次に、「障害者福祉・支援、ノーマライゼーション推進」であります。
 特別支援教育につきましては、知的障害特別支援学校の過大化による教室不足の解消のため整備を進めてきた「瀬戸つばき特別支援学校」を本年4月に開校いたします。
 西三河南部地区(西尾市内)に整備する本県初の知的障害と肢体不自由の児童生徒に対応する特別支援学校につきましては、平成34年度の開校を目指し、実施設計を行うとともに造成工事に着手いたします。
 みあい特別支援学校では、過大化による教室不足に対応するため、平成32年度の供用開始に向け、校舎増築工事に着手してまいります。
  岡崎特別支援学校につきましては、学習環境の改善と立地上の課題を解消するため、県立農業大学校の敷地内への移転に向けた調査を新たに実施し、早期移転に取り組んでまいります。  
 さらに、特別支援学校の教育環境の改善を図るため、引き続きトイレの洋式化を進めるとともに、空調設備の整備につきましては、国の補正予算を活用し、平成30年度2月補正予算に前倒し計上し、普通教室は概ね本年夏から、特別教室は来年夏から、すべての教室で冷房が使用できるよう整備を進めてまいります。
 また、昨年12月に策定した「愛知・つながりプラン2023」に基づき、児童生徒の心のサポート体制を充実するため、特別支援学校にスクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーを新たに配置するとともに、就職率の向上を図るため、実習先や就職先を開拓する就労アドバイザーを増員してまいります。
 「医療療育総合センター」につきましては、現在、病棟や外来部門、知的障害児の入所支援部門となる本館棟の整備を進めており、本年3月に全面オープンいたします。今後は、この医療療育総合センターを拠点として、障害児者への医療・療育を推進してまいります。
 また、高次脳機能障害のある方に対する支援体制を強化するため、尾張地域に加え、三河地域に支援拠点を新設し、専門的な相談支援や研修等を実施してまいります。
 さらに、障害者の就業・雇用を促進するため、愛知労働局等と連携した一体的な支援が行えるよう、ウインクあいちに、「あいち障害者雇用総合サポートデスク」を開設し、障害者の雇用拡大・職場定着支援を強化してまいります。
 障害者の社会参加と障害への理解促進を図る「あいちアール・ブリュット障害者アーツ展」につきましては、新たに三河地域でサテライト開催するとともに、障害者の芸術文化活動を支援する人材を育成してまいります。

 次に、「産業人材・雇用」であります。
 本県の産業競争力を一層強化し、モノづくりあいちの次代を担う産業人材を育成・確保するため、本県において史上初めて「技能五輪全国大会」と「全国アビリンピック」の両大会を、2019年度と2020年度に連続開催いたします。本年11月に開催する2019年度大会を成功させるとともに、2020年度大会に向け、大会実施計画の策定など準備を着実に進めてまいります。
 また、日本・愛知が開催地に立候補している2023年「技能五輪国際大会」につきましては、本年8月にロシア・カザンで開催されるWSI(ワールドスキルズ・インターナショナル)総会での開催国決定に向け、国と一体となって招致活動を進めてまいります。
 あいち航空ミュージアムにつきましては、新たに航空機エンジンの実物大模型を展示するなど、コンテンツを充実し、航空機産業の情報発信や人材育成機能を一層強化してまいります。
 また、次代を担う人材がこの地域に集まる流れを創出するため、新たに「モノづくり×IT」をテーマとした大学対抗ハッカソンを開催し、IT人材の確保・育成と県内大学の取組をアピールするとともに、大学連携ホームページを作成し本県の大学の魅力を広くPRしてまいります。
 公共職業訓練を担う高等技術専門校の再編・整備につきましては、平成31年度から名古屋校に、IoT人材を育成する「組込みシステム科」及び建築分野の「インテリア科」を開設するとともに、岡崎校の新校舎建設に向けた実施設計などを実施してまいります。
 雇用対策につきましては、企業における「働き方改革」の取組を支援するため、働き方改革推進キャラバンとして、県内の経済団体、労働団体等と一体となり、街頭啓発活動や企業向けセミナー等を実施するとともに、若者の職場定着に向け、企業へのアドバイザーの派遣や若手社員向けセミナーの開催などの取組を進めてまいります。
 また、県内の中小企業を中心とした人手不足に対応するため、新たに外国人雇用に関するマニュアルの作成、就職面接会の開催などにより、外国人の雇用拡大に向けた企業の取組を支援してまいります。

 次に、「観光あいち・魅力発信」であります。
 今年度に引き続き、JRグループ等と連携し、10月から12月にかけて、全国から愛知へ観光客を呼び込む愛知デスティネーションキャンペーン(アフターキャンペーン)を展開してまいります。
 また、新たに女性をターゲットにした魅力発信や、近隣県の有力観光地を利用した本県観光地への誘導、幅広い業種との観光プログラム開発を実施してまいります。
 武将観光につきましては、全国の武将隊や忍者隊が集結する「サムライ・ニンジャフェスティバル」を開催するとともに、「徳川家康と服部半蔵忍者隊」による観光イベントでの武将観光のPRなど、「武将のふるさと愛知」を国内外に発信してまいります。
 また、ユネスコ無形文化遺産に登録されている全国33件の「山・鉾・屋台行事」のうち、本県には最多の5件が所在しております。引き続き「あいち山車まつり日本一協議会」の取組により、市町・保存団体とともに愛知の山車まつりの魅力を広く発信してまいります。
 次に、増加する訪日外国人旅行者を本県に取り込むため、「ハート・オブ・ジャパン」のキャッチワードのもと、ドイツ・アメリカでの海外プロモーションや、欧米豪の大手メディアを活用した情報発信に取り組むほか、クルーズ船誘致のためのポートセールスや、韓国・中国・台湾・タイの個人旅行者向けプロモーションを実施してまいります。
 また、外国人旅行者が快適で安心して滞在できるよう、新たに多言語コールセンターを設置するほか、無料公衆無線LANに簡易に接続できるアプリの開発・提供、観光事業者を対象としたセミナーの開催など、受入環境の整備を進めてまいります。
 さらに、本年11月22日、23日に愛知・名古屋で開催されるG20外務大臣会合の成功に向け、名古屋市や地元経済団体等と連携し、各国外務大臣やメディア関係者の受入れに万全を期すとともに、この機会を活用し、本県が誇る産業力、技術力、観光資源など、この地域の多彩な魅力を世界に発信してまいります。
 本県の優れた農林水産物につきましては、SNS等を活用したPRや首都圏でのプロモーションを実施し、名古屋コーチン、花、抹茶、あさり、うなぎ、小麦など、全国トップレベルの本県の農林水産物のブランド力を一層強化してまいります。
 県営都市公園につきましては、民間事業者の資金やノウハウを活用し、魅力ある公園施設を導入するための調査を実施するほか、大高緑地でのイベント促進のための芝生広場の整備など、県営都市公園の整備を推進してまいります。

 次に、「文化・スポーツの振興」であります。
 本年8月から10月にかけて、「あいちトリエンナーレ2019」を、愛知芸術文化センター始め名古屋市美術館、名古屋市内のまちなかに加え、新たに豊田市美術館、豊田市内のまちなかで開催し、魅力的な現代美術、舞台芸術等を展開いたします。
 県立芸術大学の美術学部につきましては、新デザイン棟を4月に供用開始いたします。
 また、アニメ・映画産業の担い手の育成や最新技術を活用した芸術の創造を図るため、デザイン・工芸科「メディア映像専攻」の新設に向け、映像スタジオ棟の新設や既存施設の改修のための実施設計を行ってまいります。
  さらに、教育研究活動の多様化に伴う機能不足や空間不足、老朽化に対応するため、新彫刻棟の整備に向けた基本調査に着手してまいります。
 また、昨年オープンした本県ゆかりの杉原千畝氏の人道的功績を称える顕彰施設「杉原千畝広場 センポ・スギハラ・メモリアル」の展示をもとに、中学生向け副読本を作成し、杉原氏の人道的功績を広く発信してまいります。
 愛知を代表する朝日遺跡の魅力を発信する清洲貝殻山貝塚資料館の拡充整備につきましては、平成32年秋のオープンを目指し、新資料館の建設工事、展示物の製作、史跡の整備を進めてまいります。
 次に、新体育館につきましては、12,000〜15,000以上の観客席を有し、バスケットボール等の世界選手権の規定に適合する「アリーナ標準」クラスSの規模を想定し、今年度実施している検討調査結果を踏まえ、PFI導入の準備を進めてまいります。
 本年9月から開催される「ラグビーワールドカップ2019」に向け、豊田市と連携し、開催機運の醸成を図るとともに、大会期間中にはファンゾーンの開催や交通輸送・警備を実施してまいります。
 2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに本県ゆかりの選手を多数輩出し、活躍ができるよう、強化指定選手の競技力強化や次世代の人材を育成するとともに、小学校・中学校・高校・特別支援学校において、オリンピック・パラリンピック教育を実施いたします。 また、2020年の県内での聖火リレーの実施に向け、交通規制・警備計画の策定やランナーの募集・選考を実施してまいります。
 2021年1月に開催する国民体育大会冬季大会につきましては、本県でスケートのショートトラック、フィギュア競技会及びアイスホッケー競技会を実施いたします。大会要項の策定など、開催準備を着実に進めてまいります。
 2026年に開催予定の「第20回アジア競技大会」につきましては、5月以降に組織委員会を設立し、大会開催基本計画の策定に向けた検討や選手村に関する調査など、名古屋市やJOCなどと連携し、開催に向けた準備を進めてまいります。
  また、新たに、アジア競技大会を始めとする国際競技大会で活躍できる地元選手の発掘・育成に取り組むほか、アジアパラ競技大会の開催に向けた検討も進めてまいります。

 次に、「あいちのグローバル展開」であります。
 「あいち国際戦略プラン」に基づき、グローバル人材の育成、産業のグローバル化、魅力の創出などの視点から、グローバルに成長を続けるあいちを目指してまいります。
 本県と友好交流に関する覚書を締結しているアメリカ・テキサス州で開催される世界最大級の複合イベント「サウス・バイ・サウスウエスト」に県内の学生研究グループを派遣し、研究成果の発表を行うとともに、中国・広東省など提携先との高校生交流事業を実施し、グローバル人材の育成と友好交流の促進を図ってまいります。
 2020年に開催される「ドバイ国際博覧会」につきましては、本県の世界最先端のモノづくりや伝統、文化、愛知万博開催の成果を発信する行催事を名古屋市と共同で実施するため、出展計画の策定など、準備を進めてまいります。
 また、外国人留学生の当地域への定着を図るため、インターンシップや企業との交流会の実施などにより、留学生の県内企業への就職を促進してまいります。
 次に、本年4月に施行される改正出入国管理法により、さらに多くの外国人材の就労や居住が想定されるため、国始め関係行政機関や経済団体、労働者団体からなる「あいち外国人材適正受入れ・共生推進協議会」を設置し、情報共有や相互連携を図ってまいります。
 また、外国人県民がスムーズに生活できるよう、愛知モデルとして全国に先駆けて早期適応研修のカリキュラム及び教材等を作成し、外国人材受入企業等への普及を図り、外国人県民が安心して暮らせる環境を整備してまいります。
 本県は、日本語指導が必要な外国人の児童生徒数が全国で最も多く、かつ増加が続いているため、小中学校において、外国人児童生徒に対応する教員を増員するとともに、引き続き語学相談員を派遣し、外国人児童生徒に対する学習支援を実施してまいります。
 県立学校においては、日々の意思疎通が円滑に行えるよう、外国人児童生徒数が多い定時制高校及び特別支援学校に小型通訳機を配備するとともに、外国人生徒の正規雇用としての就職を進めるため、定時制高校に新たに就労アドバイザーを配置してまいります。
 また、外国人の子どもたちが能力を発揮し活躍できる環境をつくるため、引き続き、乳幼児を持つ外国人が日本人親子と交流しながら日本語習得のポイント等を学ぶ「多文化子育てサロン」を設置するほか、子どもたちが地域の日本語教室へ通うための支援を実施するなど、乳幼児期から高校卒業までの各段階における日本語教育を推進してまいります。

 「安全・安心なあいち」をつくることは、すべての基本であります。
 南海トラフ地震により浸水が予測されるゼロメートル地帯の木曽三川下流域(愛西市)において、円滑な救出・救助活動に必要となる広域的な防災活動拠点の整備工事を進めてまいります。
 また、西三河南部地域につきましては、西尾市が今後取得する民有地を整備候補地として決定いたしました。残る未決定地域につきましては、引き続き候補地の選定を進めてまいります。
 次に、住宅や建築物の耐震化を促進するため、引き続き耐震診断費用や耐震改修費用に対する補助を実施するほか、危険な民間ブロック塀の除却費用等に対する補助制度を創設いたします。
 加えて、本年は、伊勢湾台風の襲来から60年の節目の年にあたるため、被害に遭われた方々への慰霊と伊勢湾台風の記憶・教訓等を広く共有し、風水害に対する防災意識を高める講演会等を開催いたします。
 また、近年、全国各地で多発している大規模な風水害を踏まえ、行政やNPO等の支援団体と自主防災組織等の受援団体を対象に、被災地の状況を追体験する研修を実施し、多様な主体が連携する防災体制を構築してまいります。
 消防学校につきましては、教育機能の充実を図るため、初任科生・女性消防職員の受入体制や実践的な訓練施設の整備、既存施設の長寿命化改修に向けて、実施設計を行ってまいります。  
 次に、交通安全対策につきましては、交通事故死者数の減少を目指し、交通安全県民運動を中心とした取組を積極的に展開するとともに、増加する原付・自動二輪車の事故防止の啓発活動に重点的に取り組むほか、車両運転中の「ながらスマホ」の危険性や歩行者保護、高齢者の事故防止など、法令遵守と運転マナー向上を訴える取組を実施してまいります。
 また、交通事故の抑止と道路交通の円滑化のため、信号灯器の視認性を高めるLED化を進めるとともに、横断歩道を始めとした道路標示、道路標識の整備など、交通安全施設の整備に取り組んでまいります。
 地域の治安や災害時の活動拠点である警察署につきましては、改築中の蟹江警察署が本年12月に供用開始いたします。引き続き、蒲郡警察署、西尾警察署、津島警察署の建築工事を実施するとともに、豊川警察署の基本設計に着手してまいります。また、岡崎警察署について、建替え工事に向け、移転先候補地のボーリング調査を実施してまいります。
 地域住民の安全・安心を守る交番・駐在所につきましては、8交番・1駐在所を建て替えるとともに、長久手市内での新たな交番設置に向けた設計に着手してまいります。
 次に、犯罪を減少させ、安全に安心して暮らせる社会を実現するため、犯罪をした者に対し、立ち直りや職場定着など円滑な社会復帰を支援し、再犯防止に向けた取組を推進してまいります。
 また、性犯罪・性暴力につきましては、被害者に総合的な支援を行うワンストップ支援センターの運営を支援するほか、性暴力被害者支援看護師の養成及び救命救急センターへの配置促進などに取り組み、被害者支援体制を強化してまいります。

 次に、「環境首都あいちの推進」であります。
 日本一の産業県である本県は、環境面においてもトップランナーを目指しており、昨年10月に制定した「愛知県地球温暖化対策推進条例」に基づき、4月から、新たな「地球温暖化対策計画書制度」を開始し、事業者の温室効果ガス削減対策を評価するとともに、優れた取組を公表するなどの取組を推進してまいります。
 また、家庭部門の温室効果ガスの排出削減に向けて、環境配慮住宅の普及を図るため、住宅用地球温暖化対策設備の導入補助制度について、太陽光発電施設、HEMSとともに住宅の断熱性能等を高める外壁や断熱窓を一体的に導入する補助メニューを追加してまいります。
 次世代自動車につきましては、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)及び燃料電池自動車(FCV)に対する本県独自の助成制度の対象に、新たにEV・PHV・FCVバス及びハイブリッドのユニバーサルデザインタクシーを加え、名称を「低公害車導入促進費補助金」から「先進環境対応自動車導入促進費補助金」に改め、導入を支援してまいります。
 さらに、本年度末で期限を迎える本県独自の次世代自動車に対する「自動車税の課税免除制度」を2年間延長し、普及を促進してまいります。
 また、食品ロス削減のため、新たに県内3地域で一般家庭から発生する食品ロスの調査を実施するほか、県民向けシンポジウムの開催や小中学生向けの学習プログラム作成など、広く啓発を実施いたします。
 次に、生物多様性の「愛知目標」の目標年2020年に向け、またSDGsの取組の一環として、国内の取組成果をまとめる「未来へつなぐ『国連生物多様性の10年』せいかリレー(仮称)」のキックオフイベントをCOP10開催地である本県で開催するほか、取組の優良事例の募集・発信を行ってまいります。
 さらに、世界の広域自治体で構成する「愛知目標達成に向けた国際先進広域自治体連合」として、2020年のCOP15の準備会合に参加し、サブナショナル政府の貢献と役割の重要性を発信するとともに、ポスト愛知目標に向けた議論に主体的に参画してまいります。
 また、次期「あいち生物多様性戦略」の策定に向けた検討を開始するとともに、「レッドデータブックあいち」を改訂し、戦略策定の基礎資料として活用してまいります。
 三河山間地域で増加が著しい指定管理鳥獣のニホンジカ、イノシシにつきましては、農林業被害や生態系被害が懸念されるため、広域的かつ集中的な捕獲を新たに実施いたします。
 また、持続可能な未来のあいちの担い手となる人づくりを進めるため、幼児から中高年・シニアまで幅広い世代で環境学習を実施するほか、PFI方式による建替えを進めている環境調査センターにおいて、2020年度から1階スペースで実施する環境学習の展示物の整備を進めてまいります。

 次に、「東三河の振興」であります。
 「東三河県庁」につきましては、市町村、広域連合、経済団体等とともに「東三河振興ビジョン」に位置付けた施策に取り組み、着実に成果をあげてまいりました。平成31年度は、3月に策定する「交通基盤の整備と利便性向上に向けた地域連携の推進」をテーマとする主要プロジェクト推進プランに基づく取組を、地域が一体となって推進してまいります。
 また、東三河地域への「新しい人の流れ」を創出するため、ドローンを活用した東三河の魅力を伝える動画の制作や、若者に対する「地元愛」醸成イベントを実施してまいります。
 さらに、奥三河地域の市町村、交通事業者、観光団体等が連携して観光地づくりを進める「奥三河DMO」の活動を支援するとともに、移住定住促進のための起業支援などを実施してまいります。
 また、農商工のバランスがとれた産業構造となっている東三河地域において、地元企業と高校生とのマッチングを実施し、高校生の発想を活かした新たな商品開発を推進してまいります。
 東三河地域の県立高校につきましては、本年4月に、新しいタイプの総合学科として「新城有教館高校」を開校いたします。
 また、平成32年度から県立高校4校において地域産業の担い手やグローバルリーダーを育成する東三河教育プロジェクトを推進してまいります。時習館高校の「あいちグローバルハイスクール」の指定、豊橋西高校の総合学科への改編、豊橋工業高校での本県初のロボット工学科の設置、渥美農業高校における次世代農業創出プロジェクトの実施に向けた準備を進めてまいります。  
 完成自動車の輸出入で全国トップクラスの三河港においては、神野西地区のふ頭用地の整備を引き続き進めるとともに、明海地区の民間事業者による埋立事業を官民一体となって進めてまいります。
 また、三河港のさらなる国際競争力の強化を図るため、港湾計画の改訂に向けた基礎調査等に着手してまいります。

 次に、「地方分権・行財政改革の推進」であります。
 2040年頃の社会経済を展望し、2030年までの重点的な政策の方向性を明らかにする次期あいちビジョンの2020年度中の策定に向けて、基礎調査等に着手してまいります。
 地方創生につきましては、「愛知県人口ビジョン・まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、産業振興や雇用対策のほか、子育て支援、三河山間地域の振興など幅広い施策に取り組むとともに、来年度末を目途に、次期戦略を策定してまいります。
 また、中京大都市圏づくりを総合的に進めるため、重要プロジェクトの推進はもとより、情報発信や名古屋市との連携・共同による取組についても、引き続き推進してまいります。
 行財政改革につきましては、健全で持続可能な行財政基盤の確立に向け、「しなやか県庁創造プラン」に基づく取組を着実に進めてまいります。 また、職員の多様で柔軟な働き方の実現や、業務の効率化と行政サービスの一層の向上のため、モバイル端末を導入しテレワークを試行実施するほか、定型業務を自動処理するプログラムであるRPAを試行導入してまいります。
 民間活力の導入につきましては、PFI方式により、環境調査センター・衛生研究所、運転免許試験場の整備を進めてまいります。また、県営住宅の建替えにおいて、既に実施している東浦住宅に加え、新たに鳴海住宅、上和田住宅でPFI方式による建替えに着手するほか、野並住宅始め4住宅についてPFI事業者の選定を進めてまいります。
 県有施設につきましては、公共施設等総合管理計画に基づき、個別施設計画の策定を進めるとともに、長寿命化に向けた調査や改修を実施してまいります。
 また、我が国随一の成長産業や先端技術の中枢拠点を形成するためには、総合的な規制・制度改革が必要です。有料道路コンセッションや愛知総合工科高等学校専攻科の公設民営化に続き、医療ツーリズムの推進や自動運転などの近未来技術の実証等、国家戦略特区に提案している規制改革の早期実現を目指してまいります。

  以上、予算の主な内容につきまして申し上げてまいりましたが、ここにご審議いただく平成31年度の当初予算は、 一般会計2兆5,124億余円 、特別会計1兆3,398億余円、企業会計3,114億余円でございまして、合わせて4兆1,638億余円となります。   
 このうち、一般会計の予算規模は、平成30年度当初予算に対し、100.7%となります。
 歳入につきましては、大宗をなす県税は、前年度から100億円増の1兆1,817億円を計上いたします。
  このうち法人二税は、通商問題の動向等を警戒して慎重となっております県内企業の平成31年3月期の業績予想を踏まえ、156億円の増にとどまる一方、個人県民税は、平成30年度に実施された名古屋市への税源移譲の影響が平年度化することにより、85億円の減となります。
 なお、地方消費税は、本年10月から税率が引き上げられる予定ですが、初年度の平成31年度税収への影響はわずかにとどまる見込みです。
  県税収入に、地方法人特別譲与税の計上額1,314億円を加えますと、前年度から298億円増の1兆3,131億円となります。
 地方交付税と臨時財政対策債を合わせた地方財政措置につきましては、税収動向及び平成31年度地方財政計画を踏まえ、1,500億円を計上いたします。このうち地方交付税は、600億円を計上しております。
 県債につきましては、平成30年度当初予算に比べ101億円、3.9%の減となる2,509億円を計上いたします。このうち、地方交付税の振替措置である臨時財政対策債は、300億円減となる900億円を計上しております。
 一方、歳出につきましては、人件費は、平成30年度人事委員会勧告に基づく給与の増額改定の一方、定年退職者の減により退職手当が減少し、前年度とほぼ同額を計上いたします。
 扶助費につきましては、障害者自立支援介護・訓練等給付費負担金や介護給付費負担金などが引き続き増加するほか、本年10月から実施されます幼児教育・保育の無償化に対応するため、大幅な増加となっております。
 公債費につきましては、依然高止まり傾向にありますが、近年の低金利を反映した県債利子の減により、当初予算としては、平成10年度以来21年ぶりに減少に転じます。
 投資的経費につきましては、国庫補助金を活用した道路、河川等の公共事業は、国の公共事業予算の状況を踏まえ前年度を上回る額を確保したほか、単独事業についても、県民の皆様の安全・安心につながる社会基盤整備を引き続き着実に進めるため増額いたしました。
 このように、県税収入の伸びがわずかにとどまる一方、医療・介護等の扶助費が着実に増加する、厳しい財政状況の中ではありましたが、将来にわたり、持続的かつ積極的に施策展開するための基盤として、財政健全化を着実に推進することも念頭に、予算編成を進めてまいりました。
 その結果、まず、平成31年度末の県債残高は、平成30年度末を  432億円下回る5兆3,764億円となる見込みであります。
  このうち、社会資本整備などに充当する、いわゆる通常の県債の残高は、平成31年度末には平成30年度末残高を322億円下回る2兆 4,044億円となる見込みであり、平成26年度決算時点より減少させるという「しなやか県庁創造プラン」に掲げた目標を達成いたします。
 さらに、臨時財政対策債など特例的な県債の残高も初めて減少に転じ、平成31年度末には平成30年度末残高を110億円下回る2兆9,720億円となる見込みであります。
 しかしながら、特例的な県債残高の全体に占める割合は55.3%とさらに拡大します。臨時財政対策債の元利償還金は、後年度に国が全額財源保障するものでありますが、地方財政全体の持続可能性の観点から言えば、本来あるべき姿は地方交付税として交付されるということであり、国税の法定率の引上げなどによる臨時財政対策債の速やかな廃止について、これからも国に主張してまいります。
 また、年度により県税収入が大きく変動するという本県財政の特徴を踏まえると、基金残高の確保も極めて重要であります。
 そこでまず、平成30年度において、県税収入及び地方財政措置が当初予算額を上回ったことや、歳出不用額の補正減などにより確保した財源によって、当初予算に計上した基金取崩し1,283億円を全額取り止めました。
 さらに、平成30年度中の法人二税収入の増加に伴う交付税の後年度減額精算や、本県財政を取り巻く経済環境の変化等に備えるため、財政調整基金に400億円を積み立てます。
 その上で、平成31年度においては、再び1,176億円もの多額の基金取崩しを計上せざるを得ませんでしたが、財政調整基金及び減債基金の任意分の平成31年度末残高は810億円の見込みとなり、可能な限り基金残高を確保することといたしました。
 本県は、リーマン・ショックにより地方交付税の交付団体となって以降、単年度の歳入だけで歳出を賄うことができず多額の基金取崩しに依存する厳しい財政状況が継続しており、平成31年度も同様の対応を取らざるを得ませんでしたが、そのような中でも、県債残高の縮減、基金残高の確保など、健全で持続可能な財政基盤の確立に向け、着実に歩みを進めることができたと考えております。
 今後も、経済・産業の活性化を進め、税源の涵養につなげるとともに、より一層合理的な行政運営を図り、「しなやか県庁創造プラン」に沿った取組を着実に進め、健全で持続可能な財政基盤の確立に取り組んでまいります。

 次に、予算以外の案件につきまして、ご説明を申し上げます。
 条例は、制定、全部改正、一部改正を合わせまして、30件を提案いたしております。
 まず、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十三条第一項の規定に基づく職務権限の特例に関する条例の制定についてであります。
 教育委員会の職務権限のうち、スポーツに関する事務を知事部局に移管し、一元的に管理執行するものでございます。
  次に、公の施設の使用料等の改定に関する条例の制定についてであります。
 これは、県の施設の使用料等について、消費税及び地方消費税の税率引上げの影響を適切に反映するため、対象となる28条例を一括して改正するものでございます。
 次に、愛知県部局設置条例の全部改正についてであります。
 本県を取り巻く社会経済情勢の変化に柔軟かつ的確に対応し、愛知の総合力を一層高め、すべての人が輝く日本一元気な愛知をつくり、日本の未来をつくるため、「局制」を導入し、県政のあらゆる分野にわたる政策課題に迅速・着実に取り組むことができる、県民の皆様にとって、簡素で分かりやすい組織を構築するものでございます。
 次に、愛知県職員定数条例の一部改正についてであります。
 知事の事務部局等の職員定数については、事務事業の廃止・縮小、事務処理方法の改善などに取り組むほか、病院事業庁におけるがんセンター愛知病院の岡崎市移管に伴い減員する一方、児童相談センターの機能強化やアジア競技大会に向けた準備などに必要な人員を確保し、全体で251人減員いたします。また、小中学校の特別支援学級の増加などにより教職員を239人増員するものでございます。
 次に、知事等及び職員の給与の特例に関する条例の一部改正についてであります。
 現下の厳しい財政状況に鑑み、引き続き私を始め特別職の職員を対象に、給与の一部を減額するものであります。
 さらに、条例以外の案件といたしましては、愛知県国際展示場の指定管理者の指定始め11件を提案いたしております。

 次に、平成30年度関係の諸議案についてであります。

 まず、今回の補正予算は、国の補正予算への対応や国庫補助金及び事業費の確定に伴う所要の措置並びに平成31年度当初予算編成に向けての財源確保等を行うものであります。
 補正予算を会計別に申し上げますと、一般会計167億2,847万余円の増額、特別会計1億3,472万余円の増額、企業会計9億5,444万余円の増額でございまして、合わせて178億1,764万円の増額となります。
 以下、主なものにつきまして、概要をご説明申し上げます。
 まず、国の補正予算関連事業費といたしまして、道路街路事業や農地防災事業などの公共事業に係る所要の経費を計上するものでございます。
 次に、児童養護施設入所児童等の自立支援や子ども食堂への支援のための寄附金の受け皿として新たに「子どもが輝く未来基金」を造成いたします。
 このほか、県立病院事業の安定的な運営に向けた貸付や財政調整基金への積立てを行うものなどでございます。
 以上、ご説明申し上げました一般会計の一般財源といたしましては、県税収入や地方交付税の増額などにより、全体で167億2,847万余円を増額することといたしております。
 特定財源につきましては、国庫支出金を減額するほか、減債基金取崩し額の全部を取り止めましたことなどから、全体で527億8,410万円を減額することといたしております。

 次に、補正予算以外の議案につきましては、条例は、制定、廃止を合わせまして、2件を提案いたしております。
 このうち、子どもが輝く未来基金条例の制定につきましては、補正予算でご説明申し上げましたとおり、基金を設置し、広く県民の皆様からの寄附を募るものであります。
 さらに、条例関係議案以外のその他の議案といたしまして、工事請負契約の締結など13件でございます。

 次に、追加をいたしました豚コレラ緊急対策につきまして、その概要をご説明申し上げます。
 豊田市及び田原市で確認された豚コレラにつきまして、一刻も早い農家の皆様の経営再建に県としても全力で取り組んでいくため、緊急対策を実施してまいります。
 まずは、国から手当金等の支払いがなされる前であっても、農家が経営再建に必要となる資金を直ちに確保できるよう、それまでの間のつなぎ融資を促進してまいります。
 内容といたしましては、農家が金融機関から資金を借り入れる際の利息を県が利子補給補助金により全額負担して実質無利子化するための経費として1,170万円、また、農家が負担する保証料が不要となるよう金融機関に対し損失補償を行うための経費として11億7千万円、合わせて11億8,170万円の債務負担行為を設定するものであります。
 これらの債務負担行為の設定により、今年度中から農家が金融機関から無利子・無保証で資金を借り入れることが可能となります。国から農家に支払われる手当金等は、一定の申請や審査等の手続があり、通常、交付まで4か月程度は要すると見込まれることから、この緊急対策により農家の資金繰りを円滑にし、早期の経営再建を支援してまいります。
 なお、この予算案につきましては、緊急に実施する必要がありますことから、できる限り速やかなご審議とご議決を賜りたくお願い申し上げます。

 以上、提案をいたしました案件のうち、主なものにつきまして、その概要をご説明申し上げました。なお、詳細につきましては、議事の進行に従いましてご説明を申し上げたいと存じます。よろしくご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
 最後に、結びとして今一度申し上げたいと存じます。
 今年は、愛知県国際展示場のオープンや全国植樹祭、あいちトリエンナーレ、ラグビーワールドカップ、技能五輪全国大会と全国アビリンピック、G20愛知・名古屋外務大臣会合などの開催と、たいへん賑やかな1年となります。昨年は、その下ごしらえと日本の成長エンジンとして力を蓄える1年でありました。
 2027年度にはリニア中央新幹線が開通します。
 首都圏と中京圏とで5千万人規模のメガリージョン「リニア大交流圏」を実現するとともに、「産業首都あいち」を、日本の未来を切り拓く「国際イノベーション都市」へと進化させてまいります。
 さらに、世界一の自動車産業やアジアNо.1の航空宇宙産業を始め、ロボット・AI・ICT、健康長寿、環境、エネルギーの各分野を強化し、中小企業、商店街、農林水産業を活性化してまいります。
 そして、日本一の産業力により県別GDPで大阪府を抜いて東京都に次ぐ全国2位となった愛知の経済力をさらにパワーアップし、「日本一元気な愛知」をつくってまいります。
 そのためには、人であります。教育、医療、福祉、介護、雇用等の施策を充実させ、子ども、若者、女性、高齢者、障害のある人など、「すべての人が輝く愛知」を目指してまいります。
 また、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2023年の技能五輪国際大会、2026年のアジア競技大会、2027年度のリニア中央新幹線の開通を見据え、着実に歩を進めるとともに、スポーツ、芸術文化など、愛知の魅力を一層磨き上げ、愛知を大きく前進させてまいります。
 2022年にオープンを目指すジブリパークは、その象徴であります。2005年の愛知万博の理念を継承し、人、いきもの、地球に対する愛を体現した魅力あふれる公園を整備し、子どもから大人まで広く世界中の人々に楽しんでいただけるジブリパークをつくってまいります。
 もとより、県政には、産業振興、社会インフラの整備、農林水産業の振興、女性の活躍、医療・福祉、教育・人づくり、環境、地震防災、安全・安心なまちづくり、東三河地域の振興など、森羅万象、様々な分野にわたります。
 常にアンテナを高くし、県民の皆様の声を聞きながら、そして時代の流れを着実に見通しながら、取り組んでいくことが肝要であります。
 私は、年末年始から、17日間に及ぶ選挙期間中を含め、三河山間部から知多・渥美両半島、三河湾に浮かぶ島々を始め、県内隈なく、隅から隅まで、すべての市町村を駆け巡ってまいりました。朝から晩まで本当に多くの県民の皆様にお会いし、多くの声を耳にしてまいりました。
 物事の真実は現場にあります。これからも、現地・現物・現場主義を貫いて、「日本一元気な愛知」、「すべての人が輝く愛知」、県民の皆様すべてが豊かさと多様な文化、スポーツ、歴史を享受できる「日本一住みやすい愛知」を実現し、未来へ輝く『進化する愛知』を創ってまいりたいと考えております。
 今後も、愛知がさらに進化発展していく、まさに未来へのグレートジャーニーを県民の皆様とともに歩んでいけるよう、全力で県政運営に取り組んでまいる所存でありますので、県議会議員の皆様方並びに県民の皆様方の、ご理解とご支援を心よりお願い申し上げます。