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県議会知事提案説明

令和3年2月定例県議会 知事提案説明要旨

今議会に提案をいたしました諸議案のご説明を申し上げるに先立ちまして、所信の一端を申し述べ、県議会並びに県民の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げます。 今年、2021年は、愛知県知事として10年が経過する節目の年であります。3期目の任期4年の折り返しの年でもあり、しっかりと取り組んでまいります。
 昨年は、新型コロナウイルス感染症により、県民生活や経済活動に大きな影響が生じる中、「感染拡大防止・医療」、「県民生活」、「経済」面での対策の3つを柱に、感染拡大防止と社会経済活動の両立に向け、県民の皆様を始め関係者一丸となり、全力で取り組んでまいりました。
 こうした中でも、ジブリパークや国内最大のスタートアップ支援拠点「ステーションAi」の整備など、ウィズコロナ・アフターコロナを見据えつつ、愛知の未来を形づくるプロジェクトを着実に進め、「愛知」を「新起動」させる1年となりました。 今後も、様々な取組を積極的に進め、愛知の更なる発展に向けて、議会の皆様と県民の皆様のご理解とご支援をいただき、県政運営に全力で取り組んでまいります。
 それでは、新型コロナウイルス感染症への対応について申し上げます。
 本県では、第3波を克服するため、県内全ての医療機関と協力して医療提供体制を確保し、県民、事業者の皆様とともに感染防止対策に取り組んでまいりました。
 1月に、愛知県始め11都府県に対し緊急事態宣言が発出されたことを受け、直ちに緊急事態措置を定め、県民の皆様には不要不急の外出と県をまたぐ移動の自粛、事業者の皆様には飲食店等の営業時間の短縮とテレワークの徹底をお願いするなど、感染拡大につながる人の流れを抑制する対策の強化を図ってきたところです。
 この結果、感染状況は、1月7日に過去最多の431人を記録した新規陽性者数が減少に転じ、1月21日には7日間平均値がステージⅣの260人を脱し、さらに2月2日にはステージⅢの160人を下回るとともに、入院患者数・重症者数も改善しておりますが、医療のひっ迫状況は続き、厳しいものとなっております。
 このような状況の中、2月2日、愛知県、岐阜県始め10都府県で、3月7日までの1か月間、緊急事態宣言の継続が決定されたところであり、引き続き、オール愛知で感染防止対策に取り組んでまいります。 県民、事業者の皆様には、早期に宣言が解除されるよう、引き続きご理解とご協力をお願いします。
 医療提供体制についても更なる強化を図ってまいりました。1月21日、私の特命で新型コロナウイルス感染症調整本部に医療体制緊急確保統括官、その下に医療体制緊急確保チームを新たに設置し、病床確保と入院調整の機能強化を図りました。
 さらに、1月26日、「愛知県回復患者転院受入医療機関応援金」を創設し、入院患者のうち、退院基準を満たしても後遺症や持病などのため、引き続き入院が必要な患者がスムーズに転院できるよう、回復患者を受け入れた医療機関を対象に患者一人当たり10万円を上限に補助することとしました。
 現在、入院病床は74病院1,215床+α、重症病床は、4大学病院を中心に126床、宿泊療養施設は3施設合計1,109室を確保するとともに、診療・検査医療機関は1,564医療機関を指定し、1日あたり約4万件の抗原検査・PCR検査が可能となっております。
 引き続き、医療機関及び関係団体の協力をいただきながら、医療提供体制の強化に努めてまいります。
 次に、感染拡大を抑える手段として期待されているワクチン接種です。
 今回のワクチン接種は、国の主導のもと、市町村が接種を行いますが、都道府県では、広域的観点から、市町村や地域の医療機関等に対して、必要な調整を行います。すでに、国関係の医療従事者等約4万人を対象とした先行接種が始まり、今後、医療従事者全般、高齢者、基礎疾患のある方等への優先接種が順次実施されます。
 本県においても、1月27日、「ワクチン接種推進本部」を設置し、接種体制の整備を加速しております。
 また、「県・市町村新型コロナウイルスワクチン接種連絡協議会」を設置し、ワクチン接種に関する速やかな情報共有や実務的な調整を行っているところです。
 さらに、ワクチン接種に関する事務を専門に担当する「ワクチン接種体制整備室」を新たに設置しました。今後も引き続き、市町村や医療関係団体等と調整を行い、円滑かつ速やかに接種が実施できる体制を整備してまいります。

 
 それでは、最初に、愛知県政を取り巻く最近の状況について申し上げます。

 まず、国政の状況等についてです。
 国においては、経済財政運営で、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図ることとし、行政のデジタル化や規制改革を含め、集中投資・実装とその環境整備により、デジタル社会の実現を目指すとともに、新しい社会を支える「人」・イノベーションへの投資を強化することを掲げています。
 本県においても、引き続き、国内外のネットワークを活用して最先端の技術・サービス・人材を取り込みながら、県内のモノづくり産業と融合した愛知独自のスタートアップ・エコシステムを推進し、新たな付加価値を創出し続ける「愛知発イノベーション」の実現を目指してまいります。

 次に、第76回国民体育大会冬季大会「夢!きらリンク愛知国体」です。
 32の都道府県選手団が参加し、約1,200名の選手が熱戦を繰り広げ、1月27日から5日間の会期を無事に終えることができました。私も会場に足を運び、豊橋・長久手でのアイスホッケーや、ガイシアリーナでのフィギュアスケート、ショートトラックの各競技で、選手を応援しました。
 愛知県の出場選手も男女総合成績は3位、女子総合成績は4位と素晴らしい成績を収めました。選手の皆さんの健闘を心から称えます。
 また、今大会は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から無観客の開催となったほか、策定したガイドラインに沿った対策を実施したうえでの開催となりました。選手を始め全ての大会関係者の努力により全競技を実施できたことに、心から感謝申し上げます。

 次に、中部国際空港沖公有水面埋立事業です。
中部国際空港沖公有水面埋立事業は、国土交通省中部地方整備局が、名古屋港において発生する浚渫土砂を処分するため、新たに中部国際空港沖に埋立地を整備する事業であり、愛知県の経済を牽引する名古屋港の機能を維持するとともに、更なる強化・発展のため非常に重要な事業です。
 埋立地周辺は良好な漁場のため、中部地方整備局が、名古屋港管理組合とともに、愛知県漁業協同組合連合会と漁業補償交渉を行ってきました。
 このたび、愛知県漁業協同組合連合会から事業に対する理解が得られ、ボーリング調査の実施と公有水面埋立法に基づく手続きを進めることについて了解され、いよいよ事業がスタートします。
 地域としては、埋立により造成される土地は、将来的には中部国際空港の二本目滑走路として活用したいと考えておりますので、この事業のスタートは、二本目滑走路の実現に向けた大きな前進です。
 今後とも、埋立事業を推進していくとともに、国際拠点空港として不可欠な完全24時間化を達成するため、中部国際空港の二本目滑走路の早期実現を目指してまいります。
 また、埋立地周辺は良好な漁場であるため、漁業者の皆様におかれましては、大変難しい判断であったと思います。
 本県としましては、漁業振興に取り組む立場として、将来に向けて、愛知県全体の水産業が持続的に発展できるよう、その振興にしっかりと取り組んでまいります。

 次に、スタートアップの支援です。
 本県は、「国際イノベーション都市」を目指し、様々なスタートアップ支援に取り組んでおります。昨年7月に、内閣府から愛知・名古屋及び浜松地域が、全国で4か所の「スタートアップ・エコシステム グローバル拠点都市」の1つに認定されました。このグローバル拠点都市の活動の一環として、当地域の有望なスタートアップを強力に支援するプロジェクト「J-Startup CENTRAL」を始動し、先月25日には、支援対象となるスタートアップ20社を選定したところです。今後、選定したスタートアップに対し、プロモーションやビジネスマッチング等の支援を集中的に実施します。
 また、スタートアップ・エコシステムの構築のため、世界中の支援機関と連携を進めておりますが、その一環として、フランス政府系金融機関であり、スタートアップ支援においても重要な役割を担う「Bpiフランス」と、2月2日にオンラインミーティング方式で協定を締結しました。昨年1月に私がパリを訪問して面談した際、スタートアップ支援における連携について協定締結の要請があり、このたび実現したものです。
 今後も、海外の支援機関等との連携をより一層促進し、それを強みとする愛知県らしいスタートアップ支援施策を着実に推進してまいります。

 次に、新体育館の整備です。
 PFI法に基づくBT(Build Transfer)コンセッション方式により整備・運営する新体育館につきましては、昨年8月に整備・運営事業者を募集し、3グループから応募をいただきました。外部有識者を含む選定委員会の審査を経て、2月17日に「Aichi Smart Arena」グループを事業者として選定し公表しました。
 折しも、事業者募集を開始した昨年は、新型コロナウイルス感染症の影響により社会全体が大きな変化を迫られ、新体育館の整備についても事業環境が大きく変化した1年でしたが、選定した提案は、感染症を踏まえた施設整備・運営が盛り込まれており、国内の通信最大手「株式会社NTTドコモ」と世界トップの米国のアリーナ運営事業者「AEG (アンシュツ・エンターテイメントグループ)」が運営に携わり、最先端のICT技術を活用した世界トップレベルの未来の新体育館として大変魅力ある内容となっています。
 また、設計には、新国立競技場を手掛けた隈研吾氏が携わり、施設デザインは、名城公園の木々と調和し、緑の一体感を創出する「樹形」のアリーナとなっています。
  アフターコロナの時代に相応しい新たな施設となるよう2025年夏のオープンに向け、着実に整備を進めてまいります。

  次に、交通安全対策です。
  昨年の交通事故死者数は154人となり、2019年に続き2年連続で、全国ワースト1位を回避するとともに、「第10次愛知県交通安全計画」に掲げた「2020年までに年間の24時間死者数を155人以下」とする目標も達成いたしました。交通安全にご尽力いただいております、県民や関係者の皆様に感謝申し上げます。
 悲惨な交通事故による犠牲者を1人でも減らせるよう、「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」の制定等の新たな取組を進めるとともに、引き続き、県、県警察、市町村、関係機関の連携による啓発の実施や、県警察による取締りの強化等を通じ、県民総ぐるみで交通事故抑止に取り組んでまいります。

  それでは、2021年度当初予算編成につきまして、ご説明いたします。
 昨年11月に策定した「あいちビジョン2030」では、「暮らし・経済・環境が調和した輝くあいち~危機を乗り越え、愛知の元気を日本の活力に~」を基本目標として掲げ、「危機に強い愛知」、「すべての人が生涯輝き、活躍できる愛知」、「イノベーションを創出する愛知」、「世界から選ばれる魅力的な愛知」の実現を目指すこととしております。
 そのため、2021年度は、新型コロナウイルス感染症の克服に向け、県民の皆様を始め、医療関係者、経済界、労働団体、市町村等の皆様と力をあわせ、オール愛知で一丸となって取組を進めるとともに、感染症克服後のウィズコロナ・アフターコロナを見据え、これまでに蒔いてきた種から芽吹いた成長の芽を、大きく育てていく必要があります。
 そして、ジブリパークやアジア競技大会、リニア中央新幹線など数多くのビッグプロジェクトを成功させることにより、愛知の更なる発展につなげていくとともに、これらを最大限活かしてイノベーションを創出する好循環を生み出すことで、将来にわたって、日本の成長をリードし続ける愛知を形作っていけるよう『克服前進』との思いをもって、2021年度当初予算を編成したところです。
 現在の我が国の景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるものの、持ち直しの動きがみられております。先行きについては、持ち直しの動きが続くことが期待されますが、内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意し、また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。
 加えて、世界は今、新型コロナウイルス感染症の感染拡大、グローバル化やデジタル化の加速度的な進展などにより、日々刻々と変化し続けています。愛知が活力を維持し、日本の成長エンジンとして我が国の発展をリードし続けるためには、そうした変化に的確に対応し、新たな付加価値を生み出していかなければなりません。
 その実現に向け、2021年度当初予算については、新型コロナウイルス感染症対策に加え、安全・安心の確保に向けた社会基盤整備等も盛り込んだ今年度2月補正予算と合わせ、切れ目のない15か月予算として編成するとともに、選挙で県民の皆様にお示しした4年間の政策集「あいち重点政策ファイル330プラス1」と、「あいちビジョン2030」に掲げた重要政策の方向性を踏まえ、それを具現化する施策を、15の柱に沿って整理させていただきました。
 それでは、この柱立てに沿いまして、主要な事業を説明させていただきます。

◎ 新型コロナウイルス感染症の克服
 まず、「新型コロナウイルス感染症の克服」です。
  新型コロナウイルス感染症対策については、これまで、医療提供体制の充実・強化や医療従事者支援、休業協力要請などの「感染拡大防止・医療」面での対策、休業や失業に伴う収入減収世帯への支援、SNSを活用した相談体制の整備、オンライン学習支援や学校のICT環境の整備などの「県民生活」への対策、そして、中小企業の資金繰り支援や新サービス・新製品の開発支援など「経済」面での対策の3つを柱に、感染拡大防止と社会経済活動の両立に向け、全力で取り組んでまいりました。
 引き続き、新型コロナウイルス感染症の克服に向けて、感染状況を的確に把握・分析しながら、適時適切に必要な対策を講じてまいります。

  感染拡大防止・医療面での対策としては、医療提供体制やPCR検査体制の確保及び医療機関に対する支援等を実施します。
 重点医療機関・協力医療機関に対し、病床確保に要する経費を支援し、中等症患者を集中的に受け入れる「県立愛知病院」を運営します。
 診療・検査医療機関や入院医療機関、重点医療機関に対し、施設・設備整備に要する経費を支援し、軽症者等が療養を行う宿泊施設を運営します。
  医療従事者等へのワクチン接種体制を整備し、副反応に関する専門相談窓口を設置するなど、県民の皆様への接種体制を確保します。
 大学に委託して検査数の増加を図り、医療機関でのPCR検査等、行政検査に係る本人負担分を公費で負担します。
 本県独自の「愛知県医療従事者応援金」を交付し、医療従事者の処遇改善を促進します。
 患者の転院を受け入れた医療機関に対し、本県独自の「愛知県回復患者転院受入医療機関応援金」を交付します。
  経営が悪化している第2次救急医療を担う医療機関に対し、本県独自の無利子・無担保の融資制度により、経営を支援します。
  児童福祉施設のほか、感染者が発生した介護施設や障害福祉サービス施設等における消毒液、マスク等の衛生用品の購入等を支援します。
 特別支援学校のスクールバスの増車を継続し、乗車定員の少人数化を図ります。
 観光事業者向けに、感染症対策の先進事例の紹介等を行うセミナーを開催し、旅行者向けには「新しい旅のエチケット」の普及啓発動画を配信します。

 県民生活への対策としては、SNSを活用した相談体制の整備、オンライン学習支援や県立学校の通信環境の整備、教育環境の充実などを実施します。
  SNS等を活用した相談を実施し、社会生活や経済活動に不安を抱いている方や、様々な悩みを抱える生徒の心のケアを行います。
  GIGAスクール構想を推進し、県立学校のICT機器について、授業で活用ができるよう通信環境を整えます。
 民間学習支援サービスを継続利用し、授業や家庭学習の定着に活用します。
 小中学校において感染症対策等の補助的な業務を行うスクール・サポート・スタッフや学習指導員を配置し、児童生徒に対する教育環境を充実し、教員の負担を軽減します。
  経済面での対策としては、中小企業の資金繰り支援や新サービス・新製品の開発支援、プレミアム商品券発行事業の支援、雇用・労働問題への対応等を実施します。
 中小企業への制度融資については、「経営改善等支援資金」の創設や、融資対象者の拡大や金利の引下げ等を行います。
  中小企業等が取り組む、新サービス・新製品の開発や販路拡大を支援します。
  商店街への支援については、商店街が感染防止対策を講じて行うイベントや販売促進、オンライン化の推進等の新しい生活様式に対応した事業や、市町村のプレミアム商品券発行事業等に対して支援します。
  県内の事業者、労働者を対象に、社会保険労務士や臨床心理士など専門の相談員による個別相談会を継続的に開催します。
  採用活動のオンライン化への対応が遅れている中小企業を支援するセミナーを開催します。
 国の「Go To トラベル事業」の延長を踏まえ、主に県民を対象とした県内旅行商品の割引等、県内旅行の需要拡大を図る取組を継続します。
  愛知県国際展示場「Aichi Sky Expo」において、感染防止対策を実施して開催される音楽コンサートに対し、会場利用料を補助します。

◎ With/Afterコロナを見据えた成長戦略
  次に、「With/Afterコロナを見据えた成長戦略」です。
  ウィズコロナ・アフターコロナを見据え、芽吹いてきた成長の芽をさらに大きく育てていくため、「ステーションAiプロジェクト」で進めている、海外の主要な大学やスタートアップ支援機関との連携による国際的なイノベーション創出拠点の形成や、日本が世界に誇るスタジオジブリの世界観を表現した唯一無二の公園施設「ジブリパーク」の魅力やブランド力により、世界中から最先端の技術・サービス、人材を愛知に呼び込み、新時代を担う人材の発掘・育成を進めてまいります。
  まず、「ステーションAiプロジェクトの推進」です。
  グローバル化やデジタル技術の加速度的な進展により、この地域の産業構造も大きく変革していくことが想定されている中、引き続き本県が競争力を維持・強化していくためには、革新的ビジネスモデルや、最先端技術を持つスタートアップを起爆剤としたイノベーションの創出が必要です。
 本県の強みであるモノづくりの伝統や優れた技術・技能との融合による新たなイノベーションを誘発し、本県産業の成長を拡大させるエコシステムを形成するため、国内最大のスタートアップ支援拠点「ステーションAi」を始めとした「Aichi-Startup戦略」に基づく取組を強力に推進します。
 名古屋市鶴舞において、PFI法に基づくBTコンセッション方式により整備・運営する「ステーションAi」については、昨年11月に入札公告を行い、PFI事業者の選定手続を進めているところです。今後は、本年7月に落札者を決定し、9月議会に事業契約議案を提出する予定としており、その後、10月にPFI事業契約を締結し、設計・建設の整備期間の約2年8か月を経て、2024年10月に供用開始する計画です。これらの取組を、PFIアドバイザリー支援のもと、着実に進めます。
  グローバルゲート名古屋に開設した早期支援拠点を発展的に解消し、新たに「プレ・ステーションAi」として開設・運営し、スタートアップの成長段階に応じた数々のソフト支援事業を集中的に展開します。
  アメリカ・テキサス大学、フランス・INSEAD、中国・清華大学及びその関連組織TUSホールディングス、シンガポール国立大学を始めとした、海外の主要な大学やスタートアップ支援機関との連携事業をより一層加速します。
  世界トップレベルのアクセラレーターによるスタートアップの成長支援と、海外スタートアップと県内企業との協業を促進するプログラムを実施します。
  「あいち・なごやスタートアップ海外連携促進コンソーシアム」において、スタートアップの海外展開を支援します。
  「あいちパートナーベンチャーキャピタル制度」を創設し、スタートアップの資金調達の円滑化を進めます。
  県全域にわたるスタートアップ・エコシステムの形成に向けたサテライト支援拠点構想も進め、東三河地域において、新たに統括マネージャーを配置し、地元の支援機関等との連携のもと、スタートアップ支援に取り組むとともに、当地域の強みである「農業・食」をテーマとしたイベントを開催し、世界へ発信します。
中部経済連合会、名古屋大学、名古屋市、浜松市等と組成した「Central Japan Startup Ecosystem Consortium」が国のスタートアップ・エコシステムグローバル拠点都市に認定されたことを活かして、国際的なイノベーション創出拠点を形成します。

 次に、「ジブリパークの整備推進」です。
  ジブリパークの整備については、昨年7月に、5つのエリアのうちの3エリア(「青春の丘エリア」、「ジブリの大倉庫エリア」、「どんどこ森エリア」)について、整備工事に着手するとともに、展示・演示計画を検討してまいりました。
  あわせて、残りの2エリア(「もののけの里エリア」、「魔女の谷エリア」)についても、ECI方式を活用し、実施設計を進めてまいりました。
  スタジオジブリの作品には、愛知万博の理念である、人、いきもの、地球に対する「愛」が一貫して流れております。それは、刻々と変化する時代にある現在の私たちだけでなく、世代を超え、国を超え、時代を超えても、人を元気づけ、楽しませてくれる普遍的な世界観であります。
 ジブリパークが、日本が世界に誇るスタジオジブリの世界観を表現した唯一無二の公園施設として、愛・地球博記念公園の魅力と価値を一層高め、将来の長きにわたって、子どもから大人まで多くの方々に愛される公園となり、皆様に笑顔あふれる日々をお届けできるよう、2022年秋の開業に向けて、着実に整備を進めます。
  2021年度は、引き続き、「青春の丘エリア」、「ジブリの大倉庫エリア」、「どんどこ森エリア」の3エリアの整備工事を進め、展示・演示工事に着手し、「もののけの里エリア」、「魔女の谷エリア」の2エリアの整備工事にも着手します。
  愛・地球博記念公園については、北エントランスや休憩所、園路等の整備を進め、新たな駐車場も整備します。
  公園周辺の道路について、交通渋滞緩和に向けた工事等を実施します。
  国内外から訪れる多くの来場者を、県内での宿泊や周遊観光へ誘導するための仕組みを構築します。

  次に、人を呼び込むための社会インフラの整備と仕掛けづくりです。
  人の往来が戻るアフターコロナの世界に備え、リニア中央新幹線の推進、二本目滑走路の整備を始めとする中部国際空港の機能強化、国際展示場の最大限の活用、アジア競技大会の推進、新体育館の整備、官民におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進など、人を呼び込むための社会インフラの整備と仕掛けづくりを進めてまいります。

  まず、「リニア中央新幹線の推進」です。
  首都圏、中京圏、関西圏の三大都市圏が一体化した人口7千万人の世界最大の経済規模を持つスーパー・メガリージョン「リニア大交流圏」を形成します。
  リニア開業後にリニア大交流圏の玄関口となる名古屋駅については、名古屋市と連携しながら、わかりやすい乗換空間の形成等によるスーパーターミナル化を推進します。
  名古屋駅からの40分交通圏拡大に向けた検討や、中部国際空港や東海道新幹線駅へのアクセス向上等に向けた取組を進めます。

  次に、「二本目滑走路の整備を始めとする中部国際空港の機能強化」です。
  国際線の復便を始め航空ネットワークの回復・拡充を図るとともに、スーパー・メガリージョンにおける国際拠点空港としての役割を十分に発揮していくために不可欠な二本目滑走路の早期実現に向けた取組を進めます。

  次に、「国際展示場の最大限の活用」です。
  国際空港直結や日本唯一の常設の保税展示場という特徴を有する愛知県国際展示場「Aichi Sky Expo」を最大限活用し、官民連携による新たな展示会需要を創造します。
 本年秋に「SDGs AICHI EXPO 2021」を開催するとともに、国連地域開発センター、環境省及び国土交通省が主催する 「SDGs関連国際会議」を支援し、本県のSDGsの取組を国内外に発信します。
 中部国際空港や周辺地域を中心に、国際会議や見本市などMICEを誘致し、我が国を代表する国際観光都市を実現します。最先端技術やサービスの社会実装フィールドとし、イノベーション創出の拠点とする「スーパーシティ」に向けた基本構想の策定やビジネスモデルの検討を進めます。

  次に、「アジア競技大会の推進」です。
  競技・輸送など個別の運営計画の検討、メイン選手村となる名古屋競馬場跡地での将来のまちづくりを見据えた後利用の検討、開催機運醸成に向けた広報・PR等を行います。
 「第5回アジアパラ競技大会」については、開催に向けた調査を実施します。

  次に、「官民におけるDXの推進」です。
 イノベーションを巻き起こすためには、DXの推進が必須であり、県行政のみならず、県内企業のデジタル化・デジタル人材の育成とバランスを取りながら、官民の取組を車の両輪として推進します。
 本年4月に新たに「DX推進室」を設置し、「あいちDX推進プラン  2025」に基づいて、強力に推進します。
 県行政においては、AI・RPA等の先進的なICT技術を取り入れた業務変革を行います。テレワーク環境の整備・拡充、庁内ネットワーク再構築計画の策定に向けた検討、行政手続のデジタル化、デジタル人材の育成研修等を実施します。
 経営者を対象とするセミナーや、企業内でデジタル化を推進する人材を育成する研修会を開催します。相談窓口の設置やコンサルティングも実施し、中小企業のデジタル技術の利活用を促進します。
  中小企業のテレワークの導入に関する相談、情報発信等の支援をワンストップで実施する拠点を設置し、テレワークの導入・活用のポイント等を学ぶスクールも開催します。

 以上、当初予算編成の大方針及び新型コロナウイルス感染症の克服、成長戦略について申し上げました。続いて、予算の重点事項を13の柱に沿って説明いたします。

 (1) 「リニア大交流圏」の形成
 まず、「『リニア大交流圏』の形成」です。
 リニア大交流圏の基盤となる道路網については、三遠南信自動車道や名豊道路、西知多道路などの広域幹線道路を始めとした道路ネットワークの整備を推進します。
  名古屋環状2号線の全線開通に合わせた新たな料金制度の導入や、名古屋高速道路の都心アクセス向上などの取組を推進します。 地域の皆様の生活に密着する道路や山間道路などの整備についても、しっかりと取り組みます。
  「愛知県港湾物流ビジョン」に基づき、ふ頭用地の整備等により港湾物流機能の強化に取り組み、名古屋港、衣浦港、三河港と自動車産業や航空機産業を始めとしたモノづくり産業とのサプライチェーンを強固にします。
 デジタル技術や新しい技術を積極的に活用する「MaaS」の導入に向けて、名古屋東部丘陵地域において実証実験を実施します。
  JR刈谷駅において、ホーム拡幅やコンコース拡張、ホームドア設置等を支援します。

  (2) 産業首都あいち       
 次に、「産業首都あいち」です。
  国際イノベーション都市あいちへの飛躍とともに、製造品出荷額等が42年連続して日本一という、圧倒的な産業集積を誇る愛知の産業力を一層強化し、「産業首都あいち」を目指してまいります。
 事業継続・雇用維持の支援など、感染症による危機に対応した緊急対策に全力で取り組むとともに、自動運転やロボットなど、モノづくりとデジタル技術を融合した革新的技術の社会実装に向けた取組や、中小・小規模企業におけるデジタル技術の導入支援など、愛知発のイノベーション創出に向けた施策をしっかりと進めます。
 本県独自の補助制度により、水素ステーションの整備や燃料電池フォークリフトの導入を支援し、燃料電池自動車(FCV)の更なる普及を促進します。
 次世代自動車の重要なテクノロジーである自動運転の社会実装の実現については、ショーケースモデルとなる中部国際空港島や愛・地球博記念公園などの集客施設のほか、新たに名古屋市内の都心において実証実験を実施します。
 デンソーの次世代自動車産業の生産拠点である西尾次世代産業地区を始め、豊橋三弥地区、刈谷依佐美地区、岩倉川井野寄地区において企業団地の造成を進め、新たに知多大興寺(2期)地区の造成に着手します。
  自動車産業の研究開発施設用地である豊田・岡崎地区については、本年3月にトヨタ自動車へのすべての用地の引渡しが完了し、モノづくりの技術革新を支える研究開発機能の強化が一層進みます。
  本県が主導して立ち上げた「あいち・なごやエアロスペースコンソーシアム」において、航空機産業の経営基盤強化のため、他産業分野への参入を支援します。
  航空機製造の需要回復期を見据え、企業の経営改善や生産性向上のためのコンサルティングや、販路拡大、各階層における人材育成等を支援します。
  本年11月に、「Aichi Sky Expo」で開催されるロボットの国際大会「ロボカップアジアパシフィック2021あいち」の成功に向け、開催準備を推進します。
  そのレガシーとして、高校生向けの新たなロボット競技会の実施に向けたトライアル大会を開催します。
  サービスロボット導入に関する実証実験を行うとともに、ロボット大会等の場で一般の方に披露するなど幅広く情報発信します。
  「知の拠点あいち重点研究プロジェクト」を推進し、新技術の開発・実用化、新たなサービスの提供や次世代産業の創出を図ります。
  産業空洞化対策減税基金による補助制度については、この9年間で企業立地・再投資の分野で364件の補助対象案件を採択し、総投資額6,117億円、約5万7千人の雇用維持・創出効果という大きな成果があがりました。また、研究開発・実証実験の分野では、9年間で688件の補助対象案件を採択し、高付加価値のモノづくりの拡大が図られました。
  2021年度は、基金に40億円を積み立てるとともに、引き続き、本県産業の振興と雇用の維持・創出に取り組みます。
  本年11月に、「Aichi Sky Expo」において「第38回伝統的工芸品月間国民会議全国大会」を開催します。

 (3) 農林水産業の振興
 次に、中部最大の農業県・愛知の力を更にパワーアップさせるための「農林水産業の振興」です。
 本県独自の「あいち型産地パワーアップ事業費補助金」により、農業施設の整備を支援し、本県農業の更なる生産力向上による競争力の強化を目指します。
  ドローンやICT等の次世代技術について現地実証を行います。研究機関との連携のための環境を整備し、スマート農業技術の現場への導入を加速化します。
  国内で開催されるアジア最大級の食品展示会へ出展するほか、海外の展示会へ出展する事業者を支援し、農林水産物の輸出を促進します。
  「あいち花マルシェ2021(仮称)」を開催し、58年連続花き産出額全国1位を誇る愛知県の花きの魅力を全国に発信します。
  農業及び福祉分野が連携した農福連携相談窓口を設置します。新たに愛知県版農業ジョブコーチ研修等を実施します。
  鳥インフルエンザの感染を防止する防鳥ネット等の設置を支援します。豚熱対策については、飼養豚へのワクチン接種のほか、野生イノシシの捕獲や経口ワクチンの散布を実施します。
 畜産総合センターの豚舎については、2022年4月の開場に向け、整備を進めます。
  小牧市内への種鶏場の移転整備を進め、名古屋コーチンの生産体制や防疫体制を強化します。
  ICTを活用したスマート林業を推進します。次世代種苗であるエリートツリーや成長の早い樹木の普及に取り組みます。
  あいち森と緑づくり税を活用し、森林、里山林及び都市の緑の整備・保全に取り組みます。森林環境譲与税を活用し、林業従事者の養成や、市町村が行う森林整備等を支援します。
  水産業については、日本一のあさり漁業を支える干潟・浅場の造成や貝類増殖場の整備をしっかりと推進します。
  新たに、漁業者が利用する製氷施設整備や、漁船の更新等への支援を行い、漁業経営の安定化や、将来に向けた持続的な発展を支援します。

  (4) 次代を創る教育・人づくり
 次に、「次代を創る教育・人づくり」です。
 元気な愛知の礎は、「人づくり」です。
 まず、子どもたちの学力を伸ばす教育の充実、「教育立県あいち、人財創造あいち」です。
 小学校第1学年・第2学年、中学校第1学年で実施している35人学級を、国に先駆けて小学校第3学年に拡充します。
  県立高校については、第2期「県立高等学校教育推進実施計画」に基づき、本年4月に県立工業高校の「工科高校」への校名変更や学科改編を、2022年4月には、瑞陵高校及び岡崎北高校への「理数科」の設置や、守山高校及び幸田高校への「企業連携コース」の設置を行います。2023年4月の城北つばさ高校の総合学科への改編に向けた準備を着実に進め、魅力ある学校づくりに取り組みます。
  公立高等学校の入学者選抜制度を改善します。
  スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置を拡充し、児童生徒の不安等に適切に対応します。
  小中学校における様々な問題に対し、法的知見から助言するスクールロイヤーを配置します。
 校舎等の県立学校施設については、「県立学校施設長寿命化計画」に基づき、改修工事を計画的に実施します。特に、校舎のトイレについては、2023年度までに、すべての普通教室棟、管理棟及び一部の特別教室棟にある湿式トイレについて、洋式化や乾式化を実施します。
  PTA負担により設置した空調設備を活用し、県立高校の空調設備を公費により設置運用します。
 総合教育センターについて、組織・機能のスリム化を図った上で移転するための調査を実施します。 ノーベル賞受賞者顕彰施設について、名古屋市との共同事業として、名古屋市科学館内に「あいち・なごやノーベル賞受賞者記念室」を本年3月にオープンします。
  私立学校については、経常経費への助成を着実に実施します。高等学校及び専修学校高等課程の授業料及び入学納付金について、引き続き年収720万円未満の世帯まで実質無償化します。
 幼稚園について、預かり保育の補助対象教員の資格要件の緩和や、主任相当の職にある教員に対して月額1万円を補助する制度を創設します。
  施設設備整備費補助金の補助対象に、専修学校の高等課程及び専門課程を追加します。
  学習が遅れがちな中学生等を対象に、教員OBや大学生等の地域住民の協力により学習支援を行う「地域未来塾」の活動を支援します。高校中退者等や外国人を対象とした学習支援の実施地域を拡充します。

  次に、「グローバル人材の育成・獲得」です。
  外国語指導助手の活用による高校生の英語力強化や国際交流・異文化体験の促進、専門高校生の海外インターンシップ等を通じて、グローバル人材を育成します。
  中国・清華大学、上海交通大学及び浙江大学の中国3大学を始めとした国内外の大学との学生交流や、スタートアップ支援を始めとした幅広い分野における連携を強化し、本県の人材育成や海外高度人材の誘致、地域の活性化等を推進します。
 本年6月に開催される「アジア大学サミット2021」の機会を捉え、海外大学との連携を進めます。
 外国人留学生の県内企業でのインターンシップや企業との交流会の開催等を行います。帰国した留学生の県内企業現地法人でのインターンシップを実施し、県内企業への就職を促進します。
  愛知モデルとして全国に先駆けて作成した「早期適応研修」のカリキュラム及び教材等について、外国人材受入企業等での活用を促進します。

 (5) 安心と支え合いの福祉・社会づくり
 次に、「安心と支え合いの福祉・社会づくり」です。
 まず、「子ども・子育て支援」です。
  「子どもが輝く未来へのロードマップ」に基づき、生活困窮世帯やひとり親家庭の子どもの学習支援や子ども食堂の開設支援など、子どもが輝く未来に向けた取組を実施します。
 県民の皆様からいただいた多くのご寄附により創設した「子どもが輝く未来基金」を活用し、「児童養護施設入所児童等の自立支援」や「子ども食堂の支援」、「子どもの学習支援」の取組を実施します。
  子ども・子育て支援新制度に基づき、認定こども園・幼稚園・保育所、市町村が認可する地域型保育事業への給付を行うとともに、幼児教育・保育の無償化にも対応します。
 放課後児童クラブの設置促進など、子育て支援事業を着実に推進します。 保育人材の確保対策については、潜在保育士の就職支援や、保育士の負担軽減を図る保育補助者等を雇用する経費に対して助成します。
  国の「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」を踏まえ、児童福祉司や児童心理司の増員、弁護士との連携による相談体制の確保など、児童相談センターの機能を強化します。

  次に、「高齢者・地域福祉対策」です。
  「あいちオレンジタウン構想第2期アクションプラン」に基づき、「地域づくり」と「研究開発」の両面から、認知症対策として先進的・重点的な取組を実施します。
 新たに「愛知県認知症本人大使」の委嘱や協働した啓発イベントの開催、若年性認知症の人の社会参加支援モデル事業の実施、認知症カフェにおける交流の推進等を実施します。
 国立長寿医療研究センターとあいち健康プラザの「連携ラボ」における共同研究開発を進めるとともに、研究を推進するための新棟整備を支援します。
  「地域医療介護総合確保基金」を活用して、介護従事者の確保、介護施設等の整備を推進します。
  高齢者に医療・介護・予防・生活支援・住まいを一体的に提供する地域包括ケアを推進します。
 高齢者が参加しやすいように配慮した通いの場を設置するモデル事業や、地域における入退院支援ルールの策定に向けたモデル事業等を実施します。
 高齢者の就労から生きがいづくりの一体的な支援や、多世代交流を通じた高齢者の活躍、地域の実情に応じた移動手段の確保等のモデル事業や情報発信を実施します。
 高齢者、障害者、子ども等の各分野を超えて市町村が相談支援等の取組を一体的に行う重層的支援体制の整備を支援します。

  次に、「障害者福祉・支援、ノーマライゼーション推進」です。
 西尾市内に整備する本県初の知的障害と肢体不自由の児童生徒に対応する「にしお特別支援学校」について、2022年度の開校を目指し、校舎建設工事を進めます。
  県立東浦高校の敷地内に設置する幼稚部及び小学部に対応した聾学校の分校については、2023年度の開校に向けて、校舎の実施設計を行います。
  県立農業大学校の校地へ移転する岡崎特別支援学校については、2024年度の開校を目指し、実施設計等を行います。
  特別支援学校については、トイレの洋式化を進め、医療的ケアが必要となる児童生徒に適切なケアを行う、看護師の配置を拡充します。
  実習先や就職先を開拓し、就労につなげる就労アドバイザーを追加配置します。
 障害者福祉減税基金を活用し、知多地域で初となる重症心身障害児者入所施設を東海市に整備します。
 「あいち障害者雇用総合サポートデスク」において、新たに障害者のテレワークに関する情報発信を行います。全ての中小企業を対象とした本県独自の「中小企業応援障害者雇用奨励金」を支給するなど、障害者の雇用を支援します。
  手話通訳者や要約筆記者等の意思疎通支援者の養成や派遣を行います。「あいちアール・ブリュット障害者アーツ展」を開催するほか、障害者の芸術文化活動を支援する人材の育成を進めます。
  スポーツ団体、医療、教育、経済界など様々な分野との連携を強化するほか、情報交流の場としてポータルサイトを構築します。「あいちトップアスリートアカデミー」に、パラアスリート部門を新設します。

  (6) 安心できる医療体制の構築
  次に、「安心できる医療体制の構築」です。
  新型コロナウイルス感染症拡大防止、医療提供体制の充実、強化に全力で取り組み、県民の皆様の安全・安心を確保します。
  がん患者等の妊よう性(妊娠するための力)温存治療に対する助成制度を創設します。
  不妊症や不育症に悩む方に対する相談支援事業を充実強化し、不妊治療に対する費用助成について、所得制限の撤廃や助成費用の増額を行うほか、不育症検査にかかる費用に対する助成制度を創設します。
  がんセンターにおいて、ゲノム解析を基盤とした4つの重点プロジェクトを実施し、「がんにならない、がんになっても安心な愛知県」を目指します。
 「地域医療介護総合確保基金」を活用し、病床機能の分化・連携や病床規模の適正化、在宅医療の充実、医療従事者の確保を推進します。

  (7) 誰もが活躍できる社会づくり
  次に、「誰もが活躍できる社会づくり」です。
  まず、「産業人材の育成・確保」です。
  技能五輪メダリスト等による小中学校等での出前講座に加え、未来のデジタル人材を育成する技能競技大会を開催します。
  高等技術専門校の再編・整備については、岡崎校新校舎の建設工事を進め、デジタル活用分野や介護・福祉分野など、離職者の多様なニーズに応じた職業訓練を拡充します。
  また、雇用促進に向けた相談対応や、就職面接会の開催等により、若年者を始め、障害者や高年齢者、定住外国人など多様な人材が活躍できる社会づくりを推進します。
  県内企業の働き方の現状と課題等を把握する実態調査を実施するとともに、課題解決に繋げるワークショップ等をオンラインで開催します。

  次に、「女性の活躍促進」です。
  新たに、中学校・高校・大学等において、固定的な性別役割分担意識にとらわれないキャリアプランについて考える出前講座を実施するほか、企業の人事担当者等で構成する研究会を設置し、モノづくり企業における女性管理職登用に向けた取組を促進します。
  企業における女性活躍の好事例、活躍する女性のロールモデルを県内外の若年女性に向けて発信し、女性起業家の事業拡大を支援します。
  「あいち子育て女性再就職サポートセンター」において、窓口相談や出張相談を実施するとともに、就職支援セミナー等を開催し、女性の再就職を支援します。
  ワーク・ライフ・バランスの推進、イクメン・イクボスの普及拡大を図ります。仕事と介護の両立支援による介護離職の防止や、市町村と連携したタウンミーティングを開催します。

  次に、「就職氷河期世代対策」です。
  2019年に、全国に先駆けて、国、経済団体、労働団体、業界団体等と設置した「あいち就職氷河期世代活躍支援プラットフォーム」による官民一体となった取組を推進します。
  人材派遣会社が就職氷河期世代や新規学卒者の求職者を一定期間雇用し、求職者が派遣先企業に直接雇用されることを予定して派遣就業させる紹介予定派遣制度を活用した職場実習を新たに実施し、実習先での就職につなげます。
  新規学卒者等の若者の、企業における職場定着を支援します。
  「あいちひきこもり地域支援センター」において、市町村が実施するひきこもり対策を支援します。
 就労に向けた基礎能力の形成や家計管理能力の改善に向けた相談支援を実施します。ひきこもり状態など支援対象者の掘り起こしや、働き掛けを行うアウトリーチによる支援を実施します。

  (8) あいちのグローバル展開
  次に、「あいちのグローバル展開」です。
  「あいち国際戦略プラン」に基づき、産業のグローバル化、魅力の創出等の視点から、グローバルに成長を続けるあいちを目指します。
  海外産業情報センターや、県内企業の現地での相談窓口であるサポートデスクにおいて、進出企業からの各種相談対応や相手国政府への要請等を行います。
  日本語に不慣れな外国人児童生徒に対応する小中学校の教員の配置を拡充し、小中学校に語学相談員を派遣します。
  市町村が実施する「日本語初期指導教室」の運営や多言語翻訳機を活用した教育を支援します。
  外国人児童生徒数が多い県立学校への小型通訳機の配備を拡充し、県立定時制高校に就労アドバイザーを配置します。
  外国人生徒等が在学する県立学校に、学習活動や学校生活を支援する教育支援員の配置を拡充します。
  「あいち地域日本語教育推進センター」を拠点として、コーディネーターによる指導・助言や、市町村が実施する日本語教育関連事業を支援し、新たに「地域日本語教育の総合的な推進計画」を策定します。
  日本人及び外国人の親子が子育てに関する意見交換を行いながら日本語習得を促進する「多文化子育てサロン」を実施します。外国人の子どもの進学・就職の実態を調査し、子どもや保護者、支援者向けの情報をまとめたガイドブックを作成するなど、日本語教育を推進します。

(9) 選ばれる魅力的な地域づくり
  次に、「選ばれる魅力的な地域づくり」です。
  日本が世界に誇るオリジナルコンテンツであるスタジオジブリ作品の世界を再現する「ジブリパーク」の整備に加え、芸術文化やスポーツの振興など、愛知の魅力、ブランド力を高める取組を進め、国内外における愛知のプレゼンスの向上を図ります。

  まず、「文化・芸術都市あいち」です。
  国際芸術祭「あいち2022」については、2022年夏から秋の開催に向けて、参加作家の選定等の開催準備や広報PR活動を実施します。若手芸術家を対象とした公募による現代美術の企画展示「アーツチャレンジ」を、芸術祭のプレ事業として実施します。
  県立芸術大学については、2022年4月の美術学部デザイン・工芸科「メディア映像専攻」開設に向け、映像スタジオ棟の建設工事や既存施設の改修工事を実施するほか、新彫刻棟の整備に向けた実施設計を行います。
 昨年11月にオープンした「あいち朝日遺跡ミュージアム」においては、全国一の点数を誇る重要文化財を中心とした企画展を開催します。
  愛知県最大の前方後円墳である国指定史跡「断夫山古墳」については、名古屋市と共同で発掘調査を実施します。

 次に、「スポーツ王国あいち」です。
  本年4月に、県内15市・20区間において「オリンピック聖火リレー」を実施するほか、8月には、県内市町村とともに「パラリンピック聖火フェスティバル」を開催します。
  また、「東京オリンピック・パラリンピック競技大会ホストタウン等新型コロナウイルス感染症対策基金」を設置し、ホストタウンや事前キャンプ地における選手等の受け入れに関する感染症対策を実施します。
  本年11月に、愛知・岐阜で開催されるFIA世界ラリー選手権ラリージャパンの成功に向け、開催機運の醸成を図り、大会会場を盛り上げ、開催を支援します。
 尾張地域唯一の第2種公認陸上競技場である知多運動公園陸上競技場におけるフィールド走路の全天候舗装など改修整備を支援します。

  次に、「観光都市あいち」です。
  愛知ならではの多様な地域資源を「ツウ」な魅力として磨き上げ、質の高い体験コンテンツとしての造成・販売をモデル的に実施します。
  「サムライ・ニンジャフェスティバル」の開催、「徳川家康と服部半蔵忍者隊」による武将観光のPR等、「武将のふるさと愛知」を発信します。
 「あいち山車まつり日本一協議会」の取組により、市町・保存団体とともに愛知の山車まつりの魅力を広く発信します。
  外国人旅行者の誘客については、「ハート・オブ・ジャパン」のキャッチワードのもと、海外に影響力のある国内のインフルエンサー等を活用したプロモーションを実施し、多くの外国人旅行者が旅行情報を得る際に利用する、世界最大級の口コミサイトへの観光施設等の情報の登録も支援します。

  次に、「あいちの魅力発信」です。
  2022年は、現在の愛知県が誕生して150周年の節目にあたることから、これまでの愛知県の歩みや地域の文化・歴史・風土・産業等について、わかりやすく紹介するホームページやポスターを作成する等、県民の皆様の郷土への愛着や誇りを醸成する取組を推進します。
  20代前半の女性を始めとした若年層に「愛知の住みやすさ」がわかりやすく伝わるような漫画形式の動画を制作するほか、広くPRすることで「働くなら愛知、住むなら愛知」という流れを促進します。
  東京と名古屋に設置したUIJターン支援センターにおいて、就職イベントや個別相談を実施するほか、就職支援協定を締結している大学等と連携・協力して、学生のUIJターン就職活動を支援します。
  SNS等を活用したPRや首都圏でのプロモーションを実施し、名古屋コーチン、花、抹茶、あさり、うなぎなど全国トップレベルの本県の農林水産物のブランド力を一層強化します。本県が開発したブランド米「愛ひとつぶ」のPR等、次代を担う新品種のブランド化に取り組みます。
 三河山間地域の振興については、「あいち山村振興ビジョン2025」に基づき、市町村の社会資本整備等に対する貸付制度の創設や、バス路線を維持している市町村への補助の拡充、東京都内のふるさと回帰支援センターに移住相談窓口の設置を行います。テレワーク・ワーケーションを促進・誘致する施設の環境整備・実証実験等にも取り組みます。

  (10) 安全・安心なあいち
  次に、「安全・安心なあいち」です。
  ゼロメートル地帯において整備を進めている広域的な防災活動拠点については、木曽三川下流域の愛西市において、拠点整備を完了し、2022年度に供用開始するとともに、新たに弥富市において、拠点の基本設計に着手します。
  西三河南部地域の西尾市において、地盤改良工事を実施するとともに、東三河南部地域においては、整備候補地の調査・検討を進めます。
  大規模災害時に、後方支援を担う新たな防災拠点の整備に向け、豊山町青山地区を候補地とし、現地測量・地質調査の実施、愛知県・名古屋市の消防学校をはじめとした建物の基本構想の策定や、平時の利用目的となる公園の基本設計等を進めます。
  「防災ボランティア活動基金」を設置して広く寄附を募り、県内外で活動するボランティアを支援します。
  市町村が実施する消防団の小型動力ポンプ付積載車等の更新について、補助率の引上げを行います。
 住宅や建築物の耐震診断、耐震改修、ブロック塀除却費用に対する補助を実施します。
  交通安全対策について、交通安全県民運動を中心とした取組を積極的に展開します。横断歩道における歩行者保護意識の醸成に向けた重点的な広報や高齢者の事故防止、車両運転中の「ながらスマホ」や「あおり運転」の防止等ドライバーの運転マナー向上に向けた取組を実施します。
 高齢運転者の安全運転支援装置の購入設置費用に対する補助制度を継続します。
 「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」を制定し、自転車に係る交通事故の防止、並びに被害の軽減及び被害者の保護に取り組みます。若年層や高齢者に対するヘルメットの購入補助制度を創設するほか、事業者、学校等と連携し、保険の加入促進に努めます。
 信号灯器の視認性を高めるためのLED化を進めるとともに、横断歩道を始めとした道路標示、道路標識の整備等、交通安全施設の整備に取り組みます。
  犯罪被害者及びその家族又は遺族の方に対する支援の強化のため、県・県民等の責務や基本的施策を定める条例の制定に向けた検討を行い、犯罪被害者等の経済的負担の軽減を図る給付金の支給制度や、損害賠償請求権の消滅時効を防ぐために必要な再提訴費用を助成する制度を創設し、犯罪被害者等の多角的な支援を推進します。
  地域の治安や災害時の活動拠点である警察署については、津島警察署、豊川警察署の建築工事や岡崎警察署の実施設計を行うとともに、半田警察署の基本設計等に着手します。
  一宮警察署は、現地建替えに向け、ボーリング調査を実施します。
  地域住民の安全・安心を守る交番・駐在所は、8交番・1駐在所の建替えを実施します。
 食の安全・安心の確保や食育については、本県において2022年度に開催する「第17回食育推進全国大会」の準備を進めます。

  (11) 環境首都あいちの推進
  次に、「環境首都あいちの推進」です。
  事業者が行う温室効果ガス削減対策に対して現地調査や助言を行うなど、地球温暖化対策の取組を推進します。
  家庭部門の温室効果ガスの排出削減に向けて、住宅用地球温暖化対策設備の導入補助制度により、太陽光発電施設やHEMS、住宅の断熱性能等を高める設備等の一体的導入を支援します。
 次世代自動車については、本県独自の助成制度と併せて、「自動車税の課税免除制度」を2年間延長し、普及を促進します。
  プラスチックごみを資源として循環利用する新たなビジネスモデルの構築を目指し、次期「あいち地域循環圏形成プラン」を策定します。「あいちプラスチックごみゼロ宣言」に基づき、事業者向けのオンラインセミナーや消費者向けの普及啓発を実施します。
  「食品ロス削減推進計画」を策定するほか、その削減に向けたイベントの開催や、小学生を対象とした環境学習プログラムによる普及啓発に取り組みます。
  「浄化槽設置費補助金」の補助メニューに市町村が設置する公共浄化槽に対する補助を追加し、合併処理浄化槽への転換を一層促進します。
  中国・昆明で開催されるCOP15等に「国際先進広域自治体連合」として参加し、次期世界目標における自治体の果たすべき役割の重要性を発信します。
  幼児から中高年・シニアまで幅広い世代で環境学習を実施し、持続可能な未来のあいちの担い手となる人づくりを進めます。

  (12) 東三河の振興
  次に、「東三河の振興」です。
  次期「東三河振興ビジョン」を2年前倒しし、本年12月までに策定します。
  本年3月に策定する「地域活性化に向けた戦略的展開~『食』、『健康』、『ローカル鉄道』の新展開~」をテーマとする取組を、地域が一体となって推進します。
  東三河地域への「新しい人の流れ」を創出する取組を進めます。豊かな自然を活かし、アウトドアスポーツを中心とした東三河スポーツツーリズムを、市町村、観光団体等とともに推進します。
 奥三河地域の市町村、交通事業者、観光団体等が連携して観光地づくりを進める「奥三河DMO」の活動を支援するとともに、移住定住促進のための起業支援等の取組を実施します。
 地域産業の担い手やグローバルリーダーを育成する「東三河教育プロジェクト」として、時習館高校の「あいちグローバルハイスクール」の指定による地域と国際社会の懸け橋となるグローバルリーダーの育成、豊橋西高校における総合学科の設置による学校の活性化、豊橋工科高校のロボット工学科におけるSTREAM教育の推進、渥美農業高校における「あつみ次世代農業創出プロジェクト」を推進します。
  へき地学校におけるICTを活用した交流学習等への支援を拡充します。
  三河港については、神野西地区のふ頭用地の整備及び蒲郡地区における大型自動車船が安全に寄港できる岸壁の延伸整備を進めるほか、港湾計画の改訂を進め、国際競争力の強化を図ります。

  (13) 地方分権・行財政改革の推進
  次に、「地方分権・行財政改革の推進」です。
  「あいちビジョン2030」に位置付けた政策の具体的な道筋を明らかにするため、実施計画を策定するとともに、中京大都市圏づくりの推進に向け、情報発信に取り組みます。
  地方創生については、第2期「愛知県人口ビジョン・まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、幅広い施策に取り組みます。
  行財政改革については、「あいち行革プラン2020」に基づき、「スピーディーでしなやかな県庁」への進化を目指し、全庁を挙げて取り組みます。
  RPAの活用と、職場や業務の実態に合わせた業務改革を実施し、効率化と行政サービスの一層の向上を図るほか、職員のテレワークを推進します。
  民間活力の導入については、PFI方式により、県営住宅の建替えを推進します。
 県有施設については、長寿命化に向けた改修等を実施するとともに、「愛知県公共施設等総合管理計画」の見直し・充実を図ります。
  また、知多総合庁舎と知多福祉相談センターについては、2施設を集約した新総合庁舎の整備に向けた基本設計を実施し、施設の老朽化と、児童福祉司や児童心理司等の増員に伴う狭あい化に対応します。
  重要文化財である本庁舎については、老朽化が著しい銅板屋根の全面葺き替え等の修理に着手します。
  有料道路コンセッションや愛知総合工科高等学校専攻科の公設民営化等に続き、自動運転等の近未来技術の社会実装に向けた制度整備や、医療ツーリズムの推進のための規制改革等、国家戦略特区に提案している規制改革の早期実現を目指します。

 以上、予算の主な内容についてご説明いたしましたが、ここにご審議いただく2021年度の当初予算は、
一般会計 2兆7,163億余円
特別会計 1兆3,515億余円
企業会計    2,356億余円
でございまして、合わせて4兆3,034億余円となります。
  このうち、一般会計の予算規模は、2020年度当初予算に対し、105.6%となります。新型コロナウイルス感染症対策に1,308億円を計上したことなどにより、予算規模が大幅に拡大しておりますが、これを除いて比較すると、100.5%となります。
  歳入について、県税は、前年度から1,137億円減の1兆532億円を計上します。
  新型コロナウイルス感染症の税収への影響が本格的に現れ、企業収益の悪化により法人二税は684億円の減、地方消費税は228億円の減、個人県民税は144億円の減となります。
  また、法人事業税の一部を国税化し国から譲与を受ける特別法人事業譲与税など、地方譲与税は、全国的な企業収益の悪化により481億円の減が見込まれ、県税と地方譲与税の合計で、1,618億円にのぼる大幅な減収となります。
  これは、当初予算としては、リーマンショックの影響が直撃した2009年度、赤字決算となった1999年度に次ぐ、過去3番目の減収幅です。地方交付税と臨時財政対策債は、2021年度地方財政計画及び本県の税収動向を踏まえ、前年度から1,400億円増となる、3,300億円を計上します。このうち、地方交付税については、800億円を計上します。
  県債については、前年度から1,700億円増、当初予算としては過去最大となる4,080億円を計上します。地方交付税の振替措置である臨時財政対策債を、2,500億円計上するほか、県債の活用として、当初予算段階から通常の充当率を上回って、178億円を増発します。
  2021年度末の県債残高は、5兆6,404億円と、過去最大となる見込みです。満期一括償還積立を除く、通常の県債の実質的な残高は、2020年度国経済対策補正に積極的に対応する一方、着実に償還を進めていくことで、2兆441億円(県債全体の36%)と、あいち行革プラン2020に掲げた数値目標を堅持し、財政の健全化にも留意します。一方、特例的な県債の実質的な残高は、2020年度に減収補塡債や猶予特例債などを最大限に活用するほか、2021年度の臨時財政対策債の倍増を見込み、大きく増加します。
  一方、歳出では、新型コロナウイルス感染症対策に、1,308億円を計上します。この結果、2019年度2月補正から2021年度当初予算までの事業費の累計では、5,651億円となります。
 人件費・扶助費・公債費からなる義務的経費は、前年度から212億円増の1兆3,033億円を計上します。
  人件費は、会計年度任用職員の期末手当が平年度化により増加する一方、定年退職者の減により退職手当が減少し、前年度とほぼ同程度となります。
  扶助費は、介護給付費負担金や、障害者自立支援介護・訓練等給付費負担金などの伸びにより、一貫して増加が続いております。
  公債費については、県税の徴収猶予の特例による減収に対応するため、2020年度に発行する猶予特例債の償還により、大きく増加します。
  投資的経費のうち、国庫補助金を活用した道路、河川等の公共事業は、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の初年度分である2020年度国経済対策補正分と合わせて、前年度から18.9%の増と、大きく上回る額を確保しました。
  単独事業については、ジブリパークなどウィズコロナ・アフターコロナを見据えた投資を計画的に進めるとともに、県民の皆様の安全・安心につながる社会基盤整備についても、財源を確保しながら着実に推進します。
  今回の予算編成では、1,654億円という多額の収支不足が見込まれました。
  まず、2020年度における財源確保については、県税及び地方譲与税が当初予算を大幅に下回るという大変厳しい状況の中ではありましたが、経費の節減や、新型コロナウイルス感染症の影響による不執行事業の補正減、さらには、減収補塡債や猶予特例債などの県債を最大限に活用することにより、年度内に予定していた基金の取崩し1,451億円を全額取り止めることができました。
  その上で、2021年度においても、県債を活用した財源確保を行うとともに、減債基金999億円、財政調整基金477億円、合わせて1,476億円を取り崩すことで、何とか収支不足を解消できました。
  本県財政は、年度内に財源を確保して、翌年度当初予算の収支不足に対応するということを繰り返しており、単年度の歳入だけで歳出を賄うことができず、多額の基金取崩しに依存する予算編成が継続しています。
  さらに、2021年度は、新型コロナウイルス感染症の影響による大幅な税収減に見舞われたことにより、収支不足額が近年にない水準に拡大しており、極めて厳しい財政状況にあると言わざるを得ません。
  しかし、昨年来、新型コロナウイルス感染症に対応するため、累次の補正予算を編成してきた経験からは、このような非常時に備え、厳しい財政状況にあっても、一定の財政調整基金を確保しておくことの重要性を、改めて認識しました。
そこで、2020、21両年度を通じ、県債を可能な限り活用し、さらに、県税収入等の減収を受け地方交付税の振替措置である臨時財政対策債は倍増となるなど、県債残高を膨らませながらではありますが、2021年度当初予算編成後における財政調整基金の残高は477億円を確保しました。
  新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けては、関係者一丸となり、躊躇なく、果断に、全力で取り組んでまいります。

 次に、予算以外の案件につきまして、ご説明を申し上げます。
  条例は、制定、一部改正を合わせまして、26件を提案いたしております。
  まず、自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例の制定については、自転車に係る交通事故のない社会の実現に向け、県、県民、自転車利用者等の責務を明らかにするとともに、ヘルメット着用の努力義務化や損害賠償責任保険等の加入義務化等、施策の基本となる事項を定めるものです。
  次に、愛知県県税条例の一部改正については、防災事業の推進を図るため、法人事業税の超過課税について、さらに3年間の延長をお願いするものです。
  次に、愛知県職員定数条例の一部改正については、知事の事務部局等の職員定数について、事務事業の見直し、業務改善等に取り組む一方で、新型コロナウイルス感染症対策の体制強化を始め、児童相談センターの体制強化やアジア競技大会の開催準備等に伴い、全体で313人増員します。
 また、小学校第3学年への35人学級の拡充や中学校の生徒数の増加等により教職員を6人増員するものです。
  次に、知事等の給与の特例に関する条例の一部改正については、現下の厳しい財政状況に鑑み、引き続き私を始め特別職の職員を対象に、給与の一部を減額するものです。
  このほか、4月1日から一宮市が中核市に指定されることに伴い、保健所業務等を一宮市が行うことになるため、愛知県行政機関設置条例を始め関係条例において所要の改正を行うものです。
 さらに、条例以外の案件として、名古屋高速道路公社の基本財産の額の変更始め27件を提案しております。
  このうち、人事案件としましては、教育委員会の委員、監査委員及び愛知海区漁業調整委員会の委員の任期満了に伴い、その後任者を選任するものです。

 次に、2020年度関係の諸議案についてです。
 まず、令和2年度補正予算(第21号)です。
  これは、国において、本県を含む10都府県を対象に、3月7日まで、緊急事態宣言の継続が決定されたことに伴い、県の営業時間短縮要請に応じていただける事業者に対して交付する「愛知県感染防止対策協力金」を増額するものです。
  協力金は、2月8日以降、緊急事態措置の期間である3月7日まで、引き続き1店舗につき1日当たり6万円とし、その所要額として、一般会計で674億789万円を計上するものです。
  なお、この予算案につきましては、国の緊急事態宣言の継続に基づく本県緊急事態措置の継続に伴い、速やかに協力金を増額する必要がありますことから、よろしくご審議の上、早期のご議決を賜りたくお願い申し上げます。
  続いて、令和2年度補正予算(第20号)です。
  これは、国の補正予算への対応や、新型コロナウイルス感染症対策のほか、国庫補助金及び事業費の確定に伴う所要の措置並びに2021年度当初予算編成に向けての財源確保等を行うものです。
  補正予算を会計別に申し上げますと、
一般会計  145億8,318万余円の増額
特別会計  143億  278万余円の減額
企業会計    49億6,939万余円の減額
でございまして、合わせて46億8,899万余円の減額となります。
  以下、一般会計の主なものにつきまして、概要をご説明申し上げます。
  国の補正予算関連事業費といたしまして、道路事業や河川事業、農地防災事業等の公共事業に係る所要の経費を計上するほか、新型コロナウイルス感染症対策として愛知県医療従事者応援金を増額するものなどです。
  一般会計の一般財源といたしましては、県税収入を9月補正予算に引き続き減額するほか、財政調整基金の取崩しの取止めなどにより、全体で463億6,373万余円を減額します。
  特定財源につきましては、減債基金取崩しを取り止めるものの、県債を最大限に活用して財源確保を図ることから全体で609億4,692万余円を増額します。

  次に、補正予算以外の議案につきましては、条例は制定2件を提案しております。
  このうち、東京オリンピック・パラリンピック競技大会ホストタウン等新型コロナウイルス感染症対策基金条例の制定につきましては、その安全・安心な運営を確保するために、国の交付金を受けまして、新たに対策基金を設置するものです。
  さらに、条例関係議案以外のその他の議案といたしまして、物品の買入れなど11件でございます。

 以上、提案をいたしました案件のうち、主なものにつきまして、その概要をご説明申し上げました。なお、詳細につきましては、議事の進行に従いましてご説明を申し上げたいと存じます。よろしくご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます

 最後に、結びとして一言申し上げたいと存じます。
 これからも本県は、東京一極集中にストップをかけ、イノベーションを創出する好循環を生み出す日本の成長エンジンとして、将来にわたって我が国の発展を力強くリードし続けてまいります。
  そのために、新型コロナウイルス感染症を克服し、アフターコロナの時代に向けて愛知をさらに前進させてまいりたいと考えております。
 引き続き、「日本一元気な愛知」、子ども・若者・女性・高齢者・障害のある方など「すべての人が輝く愛知」、そして、県民の皆様すべてが豊かさを実感できる「日本一住みやすい愛知」を実現するため、全力で県政運営に取り組んでまいる所存でありますので、県議会議員の皆様方並びに県民の皆様方の、ご理解とご支援を心よりお願い申し上げます。