愛知県衛生研究所

植物由来の食中毒に注意しましょう!!

2015年3月16日

食中毒という言葉からは、腸管出血性大腸菌O157ノロウイルスアニサキスなどの微生物が直接原因となって腹痛・嘔吐・下痢等の症状を引き起こすものが思い浮かぶのではないでしょうか。しかし、これら微生物による食中毒以外にも、動物や植物の体内に含まれる有毒物質(自然毒)による食中毒があります。動植物の種類と含まれる自然毒やその症状については、自然毒のリスクプロファイル(厚生労働省ホームページ)をご覧ください。

これら食中毒のうち、フグに含まれている有毒物質テトロドトキシンによる食中毒はよく知られていますが、有毒物質を含む野草やきのこを食用可能なものと間違えて食べてしまうこと(誤食)による食中毒も各地で散発しています。

トリカブトの写真
図1.トリカブト

例えば、ウルイと間違えて採取したバイケイソウを誤食したり、知人がモミジガサと間違えて採取したトリカブト(図1)を譲り受けたものを誤食したりと、春の行楽シーズンには食用可能な山菜と有毒植物を間違えてしまい食中毒となるケースが多く発生しています。また、家庭菜園で育てていたニラと間違えて観賞用に植えてあった有毒物質を含むスイセンを誤食したり、植えた記憶のないゴボウの根(実際は有毒成分を含むチョウセンアサガオの根)を食べたりと、庭や自宅周辺で採取した植物による食中毒も起きています。

近年の健康志向による自然食ブームや登山ブームを反映してこれらの食中毒事例は増加傾向にあり、有毒植物による食中毒に対する注意が必要です。以下に予防のための注意点等をお示ししました。

植物性自然毒による食中毒の注意点

厚生労働省通知
有毒植物による食中毒予防の注意喚起
平成26年4月21日付け(PDF形式, 373.95KB)
平成25年6月27日付け(PDF形式, 107.71KB)
平成25年3月29日付け(PDF形式, 423.04KB)

厚生労働省ホームページ「有毒植物による食中毒に注意しましょう」

愛知県衛生研究所における検査対応

愛知県内でも、過去にチョウセンアサガオやバイケイソウの誤食による食中毒が発生しています。そのような植物性自然毒による食中毒が疑われた場合、当研究所では、次のような手順で検査を行います。持ち込まれた試料に対して適切と考えられる抽出・精製などを行って試験溶液を調製した後、紫外可視分光検出器を装備した液体クロマトグラフ(LC :Liquid chromatograph)を用いて原因物質の種類や濃度を特定します。さらに必要に応じて、化合物の構造情報等を得ることができる質量分析計(MS:Mass Spectrometer)を装備したLCを用いて有毒物質を確認します。このようにして得られた原因物質の情報を速やかに行政機関へ提供しています。

LC-MS/MS
液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計(LC-MS/MS、Liquid chromatograph/tandem mass spectrometer)