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愛知県の主張・取組

ゲストスピーカー意見発表(要旨)

UFJ総合研究所研究開発第2部長 中丸忠氏(文責事務局)

○20年間の予測、今日のアンケートにもあったが、20年後にどうなっているかという、特に政治的な経済的な枠組みがどうなっているのかということは大変難しい。それは、予測する者としても今の常識、それから最近数年間、2〜3年間の体験をもとに将来を引き伸ばしていく、トレンドを引き伸ばしていくという傾向が強くあるが、20年間というのは、やはりそれを今の延長で引き伸ばして考えると随分危ないと思う。

○よく予測の話で例が出るが、例えば昭和元年に、20年後に日本がアメリカに負けてそして軍隊がなくなってしまうということを予測した人はほとんどいなかった。一方で終戦のときに、20年後に日本が経済大国に返り咲いていると予測した人もいなかった。ということで、大変難しい。

○そうは言ってもまったく手掛かりがないのかというと、一つよく使われているのが、先ほど来話が出ている人口である。人口については、今年生まれた子供というのはおそらく10年後には10歳になっている、こんなふうに考えていくと、今の年齢構成をある程度予測すると、20年後例えば2025年にどういった年齢構成になるかがみてとれるということである。外国人労働者、移民の話が入ってくるこれもかなり怪しくなるが、人口ということを柱に将来を予測すると、人口自体が生産年齢人口、働き盛りの人口がどれくらいなのか、それから扶養すべき高齢者がどのくらいいるのかということになると、おおよその将来の経済とか財政の姿が見えてくるということである。

○例えば都道府県の人口で言うと、今47の都道府県があるが、2025年には人口100万人を切るような県が11個出てくるという予測が出されている。政令市とほぼ同じ数であるが、そうすると、いわゆる市と都道府県というものの大きさが下方ではクロスしてくる。さらに人口というのは、同じように高齢化するとか同じように減少すれまだいいのであるが、跛行的になるものである。例えば愛知県は日本の縮図と言われているが、産業的に伸びて人口が増えるところがある一方で、やはり山間部については、今よりも半減するところが出てくる。

○道州制に先立つ市町村合併という話は、そういうのを織り込んだ中で今さかんに行われていると理解しているし、道州制もその延長として出てくると思っている。ただし、道州制については、政令市や中核市という力のある市があって、県と市町村の力関係が変わってくるとか、国の局と州のエリアが重なって、行政的、職員的には二重組織を解消するという状況もあると思う。これはどちらかというと行政的な宿題として出てくる問題であると思う。

○一方で、私ども民間の目から見た道州制の魅力というものが一つある。それは、今例えばアメリカが非常に元気がいい、それからEU欧州連合が伸びてきている、それから連邦と言えるかどうか分からないが、中国が非常に伸びてきているという状況の中で、彼らのいいところは、非常に大きい経済圏を持っているということと同時に、その中で政治的に、経済的に核となるようなものが分散していて、それぞれ競争していることである。

○中国では、北京があって上海があってライバル意識を持っている。天津があって広東があってさらに香港がある、それらが競争している。それに対して日本は、経済的には中国の4倍であるし、アメリカやEUのほぼ半分の力がある。力はあるが、東京だけが頭になってあとは手足、工場だということで、地方が本来持っている力を発揮できていないという状況にあると思う。

○道州制がどうなるのか、地域的な区分についてはこれから先の話になると思うが、例えばこの中で比較的小さいと言われる九州であっても、人口、面積それからGDPについてもオランダとほぼ同じである。東京や大阪や名古屋については、欧州ではイギリス、フランス、スペインとほぼ同様な力を持っている。つまり、日本の中の小さいEUみたいな状況にある。

○道州制がうまく施行できて、例えば名古屋が中部州の首都になるということになると、当然そこには今までなかったような首都機能が配置される。よくヨーロッパで言われるのが、およそ各国の中で優秀と思われる人間は、基本的には首都に集まるということである。日本は今まで一極集中、東京に人が集まっている。ところが道州制で各州に一つのまとまった単位ができれば、そこに政治的な立法能力がある人や、司法能力のある人、会社の経営能力がある人、カタカナの面白い職業の人が集まるようになる。これが日本の足腰を強くするし、将来的な成長には有効であると思う。

○一方、道州制はこれからの議論として心配なところもある。九州は先ほどオランダと同様と言ったが、日本の中では比較的財政的には厳しい状況にある。例えば東京や名古屋などお金持ちのところと、東北や九州や四国など厳しいところがあるわけで、そこにどういうふうに調整を働かせるのか、あるいは調整を働かせないのか、その場合教育とか福祉とかが同じ日本人でデコボコがあってもいいのかという議論がこれから出てくると思う。

○それからもう一つは、国の役割とは本当は何だろうということが宿題として出てくると思う。例えば北朝鮮と交渉することが新潟県知事の仕事ということになるのか、それはやはり日本で当たるべきである。他方、産業であるとか観光であるとかは、むしろ日本政府というわけではなく、各地方の州政府の責任のもとでやるべきだと思う。それから外国人労働者の話になると、外国人労働力を積極的に受け入れる州があってもいい。あるいは犯罪とかが怖いからうちはやめるという州があってもそれはまたいいのかなと思う。

○最後であるが、2025年愛知県は?という宿題をもらったので、県庁がどうなるかということを考えてみた。県庁については、将来的には州政府に集約されていくという部分と、先ほどの人口の話に関連するが、人口が伸び悩むとか半減するとか、あるいは経済的に苦しくなるという町村が必ず残るはずだと思うので、それらの町村の面倒をみる機能が将来も必要であると思う。地方事務所になるのか、あるいは昔の郡役場になるのか、どういう形になるのか分からないが、そういった機能が今の県庁から派生した業務として出てくると思う。

○それから2025年という宿題であるが、冒頭20年間の予測は難しいということを申しあげたが、ことによると政治状況からすると2025年の愛知県はという話ではなく、2015年やもっと手前の話、近未来の話になってくるという気がする。予測は難しいと思う一方、やはりその予測をどうするのかというのは、基本的にはニュートラルな話ではなく、政治的決心である、あるいはここにいるみなさんのお考えの中で決まっていくものだと思う。

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