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愛知県の主張・取組

ゲストスピーカー意見発表(要旨)

中部経済連合会常務理事 安木正一氏(文責事務局)

○中部経済連合会は愛知、岐阜、三重、静岡、長野がテリトリーであり、枠組みはまだ基本的には考えていないが、一応の前提条件としては5県をメンバーに、先般、各県の広域行政担当、道州制担当の部長さん方と道州制検討協議会を発足させた。これから一緒になって勉強をやっていこうということで進めさせていただいている。

○中部経済連合会では、昭和30年代に、東海三県合併統合構想というものを出したことがある。これは昭和34年に伊勢湾台風がこの地域を襲ったが、その後伊勢湾台風の災害復旧事業を三県が連携をとってやったら非常に効率的に事業が進展した。そういう背景があって、県が三つあるよりも一つの方がいいのではないか、意思決定も早いのではないか、というようなことで三県合併を提唱した。当時、都道府県合併特例法案が作られ、昭和44年に参議院先議で参議院だけ通ったという経緯がある。ただ衆議院は東大紛争など大学の問題で紛糾しており、衆議院で廃案になった。

○また、中部以西の経済団体で西日本経済協議会という組織をもってやっているが、その中でかねてから国に対しては、地方分権、財源も地方へ移せというような事を言ってきている。地方分権一括法については、経団連以下各地方経済連合会が一斉にそろって、総理に陳情した経緯もある。

○国に権限と財源を握られているということは、それぞれの地域が自立的発展を遂げていく上で非常に問題が多いと考えている。今まで中央集権主義という形で日本は運営されてきたが、本来の中央集権ならば総理大臣がトップになって、総理大臣の言うことを各省庁が聞かないといけないが、最近の新聞紙上を見てもわかるように、各省庁ちっとも総理大臣の言うことをきかない。だから、日本の中央集権主義というのは、各省庁の縦割り行政に基づくところの中央集権ではないか、その各省庁の縦割り行政の根本的要因になっているのは何かといえば補助金であり、許認可権であると思う。

○それから全国的に行政サービスの均質化というような理由で、財政規模のないところには地方交付税が交付されている。また補助金というのは、道路をつくったり、いろんな文化施設をつくるときには国の方から補助してあげますよ、その代わり厳しい規制があるということである。これは市町村や県の方はご存知だと思うが、そういう中でバブル経済崩壊以降、5割くらい金を出せば国が施設をつくってくれるからということで公共施設を整備した自治体が多く、最近地方財政の逼迫化というような問題も出てきている。

○基本的に何が問題なのかと言えば、今全国知事会の方で提案しておられるように、補助金行政というのが一番の諸悪の根源になっている。だから、補助金行政みたいなものはやめてもらう。愛知県の知事さんが東京へ陳情に行くことは、あれは仕事なのか。そもそも仕事だということがおかしいのではないか。私どもの会長もよく東京へ引っ張り出されて陳情させられているが、そういうようないびつな形態を変えていくことが重要ではないかと私どもは考えている。

○国は先ほど昇先生がおっしゃったように、国際的な問題を扱うのが国の仕事であって、内政的な問題は地方に任せるべきではないか。イラク派兵以来、国益という表現が最近新聞に載ってくるようになった。中央省庁で国益を考えている役所があるのか。経済産業省くらいであって、あとのところは省益優先ではないか。省益ということは、内政しかやらない。あの中国が日本製品のコピーをどんどん作って売っているが、北京にある日本の大使館が中国に文句を言っているかというと、何も言っていない。だから外務省みたいなものは、私は経済産業省と統合してもらって、国際的な問題をやってもらうようにするとか、国交省は地方へ移管してみんな州政府に移管するとか、そういうような形で、すっきりした形にしていくことが必要ではないか。国は国益に関する事柄を取り扱うことが国の仕事ではないか。大体、地方へ来ていばっとるようなことでは、中央省庁の役人もおってもおらんでも一緒じゃないかなというような感じがするが、いずれにしても、そういう形で権限と財源が地方へ移管されない限り、地域の自立的発展は行うことができないのではないか。

○それで、現在の都道府県制度でもいいのではないかという考え方もあるかとは思うが、やはり将来的な事柄を考えると、明治の府県制度の時代と、時間距離が大幅に変わっている。いろいろな問題、例えば環境問題一つをとっても、愛知県も環境基本条例をつくったりしているが、環境問題などは一県で対応できるような問題ではないので、もっと広域的に対応していただかないといけない。産業廃棄物や交通体系の整備にしても、やはり広域的な対応ということが必要になってくるのではないか。

○そのような考え方で、現在の都道府県の枠というものにとらわれず、中部5県とは言わないが、もうひと周り広域的に考える必要がある。先日、長野県での中経連の会員懇談会の折に、伊那市長と駒ヶ根市長と飯田市長が懇談会に出席された。そのときに道州制の話題になったが、伊那谷は中部に入れてくださいと、そんな話も少し出ていた。

○ただ、今までは各種プロジェクトをやるときは何でも国に陳情すればよかったが、やはり道州制になるということは、地域経済を主体として、いろいろな事業を自己責任原則のもとでやっていくことになる。例えば、私どもにも伊勢湾架橋の問題などがあり、三重県の知事さんも一生懸命であるが、本当に伊勢湾架橋というのは、やって事業的に採算がとれるのか、産業振興や地域開発の面でどういう効果があるのか、そういったいろいろな事柄を分析していくことが必要ではないか。仮に自己責任原則でやっていれば、四国に3つの橋が架かったのか。あれは国へ陳情すればいいからということで、政治的決着でやられたのではないか。

○あくまでも自己責任原則というのが大前提。どこか関西の方の市で、第3セクターが借金を抱え事業運営をできなくなり銀行に借金の棒引きを要請したが、そういうことは、自治体だといってもやってはいけないのではないか。

○また、そうした点とともに、広域的にバランスのある発展ということを考えていく必要性があるのではないか。先ほど先生から国際化やグローバル化といった問題に対応していくためにも、やはりこの地域が一体となった運動をやっていかないと、というお話があった。愛知県も、愛知万博で多少は知られるかも分からないが、やはり国際的な知名度が低いわけで、地域が一体となった運動をやっていかないといけない。

○ただ、道州制の実現というのは、やはり中央省庁とのせめぎあいであると思う。全国知事会が今三位一体改革の問題で東京で決起集会をやっているが、やはり基本的に役人というのは補助金を自分のところから手放そうという気持ちは持っていない。構造改革特区のときでも幼稚園と保育園の問題、一般的に幼稚園も保育園も我々から見ると同じようなものであるが、幼稚園は文部科学省所管、保育園は厚生労働省所管、それぞれが補助金を持っている。文部科学省の方に渡すと厚生労働省がそれだけ予算が少なくなるから絶対に渡さない。国民不在の行政が展開されているというのが現在の実態ではないか。だから、そういう補助金行政をまず基本的に見直すことが重要ではないかと考えている。ただ、容易ではないなということである。

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