導入法人インタビュー
製品名:排泄予測デバイス「DFree(ディーフリー)」
排泄予測デバイス「DFree」とはどのようなものですか。
油さん:
利用者さんのおなかにDFreeを装着すると、超音波が膀胱の中の変化を捉え、尿が「たまった」「排出された」のお知らせがスマートフォンのアプリに届きます。この機器は、夜間には外しますが、一週間ほど装着してもらいます。すると、排尿のリズムがグラフで表示されるアセスメントが取れるので、普段どのタイミングでトイレに誘導したりオムツを替えたりすればいいのかの目安が分かるんです。
加古さん:
多くの利用者さんが日常的に装着していると誤解されることもあるのですが、DFreeは当施設に一台で、お一人ずつ順番に使ってもらいます。あくまでも排尿アセスメントを取るためのデバイスなんですよ。
この機器を導入した理由を教えてください。
油さん:
特別養護老人ホームでは、定時に利用者のみなさんをトイレに誘導して排泄ケアをするのが主流なのですが、本来、トイレに行くタイミングは人それぞれです。なごやかハウス岳見の方針として、利用者さんに合わせた排泄ケアを行いたいという考えがあります。DFreeでアセスメントを取ることで、その方の排尿量の多い時間に合わせてトイレへ誘導できればと思ったのです。
加古さん:
実は、DFreeが届いたのは1ヵ月ほど前です。数年前、お試しとして3ヵ月間ぐらい利用したところ、職員から導入したいという要望が高く、愛知県の補助金に申請し採択されて購入しました。職員にも利用者さんにもプラスになる機器ということで導入に至っています。
使用対象はどのような方ですか。
油さん:
失禁される方やオムツを装着している方などです。
導入効果をお聞かせください。
油さん:
排尿の間隔がつかめるので、その方のタイミングに合わせた介助ができます。これまでは、定時に一人の職員が全員の排泄介助をしなくてはいけませんでしたが、トイレに行く時間が分散され、職員の負担も分散されました。また一般的には、利用者さんをトイレに誘導しても必ずしもその時に用を足せるとは限りません。そのため、何度も誘導したり、パッドを確認したりする必要もありました。こうした仕事も効率化できます。
利用者さんにとっても、良い効果がありました。百歳代の認知症の方は、しばしば不安そうにそわそわして、トイレに行きたいと何度もおっしゃっていたのですが、DFreeで排尿リズムを把握してトイレに誘導するようにしたら、不安そうな様子が治まってきたのです。
このほか、コスト削減にも役立っています。職員はつい大きなパッドを当てがちなのですが、排尿のタイミングが分かれば小さなパッドで済み、無駄がなくなりました。
デジタル機器が苦手な方でも、すぐに慣れることができましたか。
油さん:
導入して間もないので全職員が使ったわけではなく、明言はできませんが、機器の操作は問題ないと思います。ただ、尿量を量ることができる適切な位置にDFreeを装着することに時間を要します。おなかに固定して1、2時間経っても、スマホのアプリに反応が現れなかったら、そこは適切ではありません。右、左、上、下と少しずつ位置を変え、反応が現れたら「やった!」とうれしくなりますね。膀胱を捉えていても、上過ぎたり下過ぎたりすると正しく測定できないので、一日かけて位置を調整したこともありました。膀胱の位置は個人差があるので、これは仕方ないですよね。
もし、何か分からないことがあった場合は、スマホで業者さんに質問でき、アドバイスしてもらえるので安心ですよ。
導入の感想をお聞かせください。また、介護ロボットや介護のICT化は今後どのようになっていくと良いとお考えですか。
油さん:
今までは2時間ごとにオムツを確認して尿量を量っていたので、その分の時間と手間をほかの業務に充てられ、助かっています。これから職員みんなが活用できるよう、情報を共有していきたいですね。
ロボットや新しい機器の利用は広がっていくのではないでしょうか。当施設でも、DFreeのほかに、睡眠時に見守り介護ロボットを取り入れており、さらに台数を増やしてほしいと考えていますし、足に力が入らないなどで立ち上がれない方をトイレに誘導できる機器の導入を検討中です。こうした機器は利用者さんにも良い面が多いと思います。
加古さん:
介護業界の方向性として、ロボット化やICT化は進んでいくのでしょうね。当施設ではロボットや最新機器は、活用しながらもあくまでも支援という位置付けです。すべてを機械化できませんし、人と人のコミュニケーションが何より重要ですから。職員の負担の軽減と、利用者さんの安心のために取り入れつつ、人にしかできない介護も大切にしていきたいと考えています。
答えてくれたのはこのお2人
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社会福祉法人なごや福祉施設協会
特別養護老人ホーム なごやかハウス岳見
施設長 加古 瑞紀さん - 予算や補助金を有効に使い、職員の負担を軽減する機器を取り入れたいと思っています。心にゆとりが生まれ、助け合う雰囲気も広がっていくからです。それは業務全体に影響を及ぼし、利用者さんの希望に沿った介護にもつながっていくと考えます。
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社会福祉法人なごや福祉施設協会
特別養護老人ホーム なごやかハウス岳見
介護主任 油 忍さん - 三大介護といわれるように、食事や入浴とならんで排泄はとても大切です。今後、DFreeでより多くの利用者さんの排泄アセスメントを取り、その方がトイレに行きたい時に行き、トイレで排尿できるような介助に取り組んでいきたいと思います。
取材に協力してくれたのは
社会福祉法人なごや福祉施設協会
特別養護老人ホーム なごやかハウス岳見
名古屋市内に特別養護老人ホーム12施設と単独デイサービスセンター11施設・軽費老人ホーム名古屋市清風荘を展開する、社会福祉法人なごや福祉施設協会の特別養護老人ホームです。ショートステイ、デイサービス、居宅介護支援事業も手がけています。「もっと身近に もっと笑顔に」をモットーに、利用者様の意思や人格を最大限に尊重した個別ケアを実践しています。中でも、自然排便、口腔ケア、利用者様と職員の体を守るためのノーリフティングケアなどに取り組み、「介護オリンピック2022~NFコンテスト〜」では、「定時から自分のタイミングで排泄を」を発表し、最優秀賞に輝いています。
特別養護老人ホーム なごやかハウス岳見
名古屋市瑞穂区岳見町3丁目4番地の1
TEL:052-837-4917
FAX:052-837-4918
URL:https://nagoyaka.or.jp/pages/135/