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【あいち農業イノベーションプロジェクト】 「現場フィールド活用型イノベーション推進事業」の成果について
愛知県では、STATION Ai プロジェクトの一環として、愛知県農業総合試験場(長久手市)とスタートアップ等が連携して新しい農業イノベーションの創出を目指す「あいち農業イノベーションプロジェクト」を2021 年度から実施しています。
当プロジェクトでは、地域の実情に精通した県の普及指導員が、スタートアップ等と産地をマッチングし、現場の「ほ場」で機器の改良やアプリの開発などにより、課題解決のために必要な新技術の迅速な導入を目指す「現場フィールド活用型」を2024 年度に立ち上げ、6課題に取り組んでいます。
2025年8月に、新たに6番目のテーマを設定し、技術提案を募集したところ、2者から提案がありました(募集については2025年8月6日発表済み。)。
この度、2課題が2025 年度をもって開発を完了し、社会実装することになりましたので報告します。
1 IPM技術を推進するUV-Bランプ用アタッチメントの開発
(1)取組の背景
バラ栽培では主要病害である「うどんこ病」に対し、IPM(農薬に頼らない防除)技術の一つとして、紫外線B波(UV-B)照射が普及しています。しかし、現場では、照度のムラによる病害軽減効果の変動、ランプ近接部位の葉焼け、内張ビニル等資材の劣化といった課題が挙がっていました。
この課題を解決するため、照度の安定化と資材の劣化の抑制を目的として、アタッチメントの開発に取り組みました。
(2)農業現場を活用した技術開発の取組
岡崎市の金属加工業者「株式会社新美利一(にいみりいち)鉄工所」が開発に参画し、農業総合試験場普及戦略部と西三河農林水産事務所農業改良普及課西尾駐在室が中心となって、西三河地域をはじめ、県内産地の生産現場で開発を進めました。
2024 年度には、測定データを基に試作機を作製し、生産者ほ場で効果を検証しました。2025 年度には、量産化や販売体制の検討を行うとともに、県内各産地のほ場で最終評価を行い、量産機を完成させました。
(3)成果と期待される効果
完成したアタッチメントは、照度を安定させる「ザル」と、資材劣化を抑制する「傘」で構成され、最適な形状と軽量化が図られています。これにより、化学農薬の使用量削減、防除作業の軽減が期待され、高品質なバラ生産に寄与します。
なお、アタッチメントの詳細は、「株式会社新美利一鉄工所」のWEBページに掲載され、同社にて受注販売が可能です。

【参考】株式会社新美利一鉄工所について
所在地:岡崎市東阿知和町字乗越9-36
設立:1954年6月1日
代表者:新美剛一
事業内容:製缶、板金、レーザー加工
WEBページ:https://www.bright22.jp/
成果物の購入方法:受注販売につき、お問い合わせください。

2 キュウリのつる下げ作業のストレスを軽減するアタッチメントの開発
(1)取組の背景
キュウリ栽培において、「つる下げ・誘引」作業は全作業時間の約3割を占め、手を上げ続ける姿勢によるストレスの大きさが課題となっています。
そこで、作業中に両手を上げる時間を減らして軽労化し、作業者の身長に関わらず誰でも容易に「つる下げ・誘引」作業ができるサポート器具(アタッチメント)の開発に取り組みました。
(2)農業現場を活用した技術開発の取組
高浜市のバネ製造業者「有限会社杉浦発条」が開発に参画し、農業総合試験場普及戦略部と西三河農林水産事務所農業改良普及課西尾駐在室が中心となって取り組みました。
2024 年度には、生産者、県、製造業者が連携して、器具の形状や使用方法を検討し、試作品を作製しました。1戸の生産者ほ場で、作業時間と肘が肩より上にある時間(負荷時間)を計測し、動画解析による効果分析と販売価格の検討を行いました。2025 年度には、実証ほ場を3戸に増やして評価を行うとともに、併せて、普及に向けた販売ルートの検討を進めました。
(3)成果と期待される効果
慣行の「よこひも誘引」と比べて、試験区のつる下げ作業時間はほぼ同等であり、負荷時間は約1時間減少しました。また、作業者からも「慣行のつる下ろしに比べて疲れない」と評価され、軽労化の効果が確認されました。このことから、本アタッチメントは、本県のキュウリ生産者の作業ストレス軽減に寄与することが期待されます。今後は注文販売体制を整え、アタッチメントの普及を進めていきます。

【参考】有限会社杉浦発条について
所在地:高浜市論地町2-5-5
設立:1967 年8 月22 日
代表者:杉浦弘則
事業内容:各種バネの製造・販売
WEBページ:https://s-spring.jp/
成果物の購入方法:JAにて注文販売(予定)

3 成果の発表について
「あいち農業イノベーションサミット」(2025 年12 月16 日発表済み。)において、「IPM技術を推進するUV-Bランプ用アタッチメントの開発」については関係者が登壇して発表とポスター発表を、「キュウリのつる下げ作業のストレスを軽減するアタッチメントの開発」についてはポスター発表を行います。
日 時:2026 年2月9日(月曜日)
登壇発表:午後3時40 分から4時20 分まで
場 所:STATION Ai 1階イベントスペース(名古屋市昭和区鶴舞1-2-32)
【参考】あいち農業イノベーションプロジェクトについて
愛知県では、農業総合試験場や大学が有する技術、フィールド、ノウハウとスタートアップ等の新しいアイデアや技術を活用した共同研究体制の強化を図り、新しい農業イノベーションを創出するために「あいち農業イノベーションプロジェクト」を2021 年度から進めています。
現在、2022 年度に選定したスタートアップ等と農業総合試験場が共同で18 課題の「研究開発型」のイノベーション創出に取り組んでいます。
また、2024 年度からは、新たな取組として、県の普及指導員がスタートアップ等と産地を結び、現場の「ほ場」で既存技術の応用や機器の改良、アプリの開発などにより、課題解決のために必要な新技術の迅速な導入を目指す「現場フィールド活用型」のイノベーション創出に取り組んでいます(2024 年11 月19 日発表済み。)。残されたテーマについては、2026 年度の完了を目指し取り組みます。
| 【テーマ1】ハウス内環境と植物生長の見える化 | |
|---|---|
| 共同研究の相手(所在地) | 株式会社IT工房z(名古屋市中区) |
| 概要 | ハウス内の温度、湿度などの環境の変化が植物の生長に与えた影響を見える化し、栽培管理に活かすアプリの開発。 |
| 【テーマ2】IoTを活用したノンストレス樹体管理 | |
| 共同研究の相手(所在地) | GREEN OFFSHORE株式会社(静岡県浜松市中央区) |
| 概要 | 生育状況や栽培環境のデータから、高品質な果実生産を可能にするアプリの開発。 |
| 【テーマ3】イネカメムシを制するアラートシステム | |
| 共同研究の相手(所在地) | 日本農薬株式会社(東京都中央区) |
| 概要 | 県内各地のイネカメムシの発生状況をリアルタイムに可視化し対策につなげるアプリの開発。 |
| 【テーマ4】IPM(農薬に頼らない防除)技術を推進するアタッチメント | |
| 共同研究の相手(所在地) | 株式会社新美利一鉄工所(岡崎市) |
| 概要 | 花きの病気を防除するUV-Bランプについて、植物や施設の資材への影響を軽減するアタッチメントの開発。 |
| 【テーマ5】作業負荷を軽減するアタッチメント | |
| 共同研究の相手(所在地) | 有限会社杉浦発条(高浜市) |
| 概要 | キュウリのつる下げ作業の省力化に寄与する器具の作成。 |
| 【テーマ6】気候変動に打ち勝つトマトの裂果防止ツール | |
| 共同研究の相手(所在地) | トヨタネ株式会社(豊橋市) |
| 概要 | 暑熱で発生するトマトの裂果を防止し、力が弱い作業者でも使い続けられる器具の開発。 |
このページに関する問合せ先
【現場フィールド活用型イノベーション推進事業に関すること】
愛知県農業水産局農政部農業経営課
普及・営農グループ
担当:浅井、近藤
電話:052-954-6412
内線:3672、3663
メール:nogyo-keiei@pref.aichi.lg.jp
【あいち農業イノベーションプロジェクトに関すること】
愛知県農業水産局農政部農業経営課農業イノベーション推進室
イノベーション推進グループ
担当:市川、久米
電話:052-954-6413
内線:3673、3670
メール:nogyo-innovation@pref.aichi.lg.jp

