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病害虫図鑑 ブロッコリー黒腐病

ページID:0273391 掲載日:2020年4月1日更新 印刷ページ表示

1 病原菌
 学名 Xanthomonas campestris pv. campestris (Pammel 1895) Dowson 1939

2 被害の様子 
・育苗期から収穫期まで全期間で発生する。
・子葉での発生部位は頂部のやや凹んだ付近であり、黄色から灰白色の病斑が生じ、やがて枯れる。
・本葉での発生部位は主に下葉であり、はじめは葉縁部に暗緑から黒色水浸状の病斑を生じ、V字又は葉縁に沿って黄化する。その後、葉縁から中央に向かってV字形の黄色病斑を生じる。病斑が拡大すると病斑内の葉脈は褐色から紫褐色に変色する。病斑が古くなると病斑部は枯死、乾燥して破れる。発病程度が著しい場合は、茎の維管束も黒変する。また、直径1mm程度の黒色の小斑点を多数形成し、その後拡大し、中央部が灰白色で、周りは黒色から黒褐色の病斑を生じる場合もある。
・花梗部に発生した場合、薄紫色又は黒色で不整形の小斑点を生じる。
・花蕾では、花蕾表面に黒褐色又は黒色の病斑を生じて腐敗する。
・細菌による病気であるが、軟腐病とは異なり、悪臭は生じない。本病で株が枯死することはほとんどない。

3 病原菌の生態
・発育適温は30~32℃と高いが、病気の発生は比較的温度の低い初秋から晩秋に多い
・土壌伝染と種子伝染をするが、主な伝染源は土壌中や収穫残さ等である。
・風雨やかん水等で雨滴と一緒に跳ね上げられて、茎葉の傷や葉のへりの水孔から侵入し、導管を伝って広がる。
・発生後、曇雨天が続き、排水不良等で土壌水分が多い場合、急激に進展する場合が多い。
・ダイコン、ハクサイ、カブ、キャベツ、ブロッコリーなど多くのアブラナ科作物を侵す。キャベツやブロッコリー、カリフラワーは他のアブラナ科作物に比べて一般に被害が大きい。

4 発生しやすい条件
・生育初期から発生し、発生量及び降水量が多い場合は、生育後期に多発生となる。 ・病勢進展は、降雨、虫害、台風等による傷害により助長され、特に降雨の影響が大きい。
・育苗中に大雨があると苗床で発生し、本ぽでの多発を招く。
・秋冬作では9~10月頃に比較的気温が低いと発生しやすい。
・アブラナ科作物の連作ほ場では多発しやすい。

5 防除対策
・アブラナ科作物の連作を避け、イネ科・マメ科作物等と輪作を行う。
・種子消毒を行う。
・病原菌に汚染されていない育苗土で育苗する。
・適正な肥培管理を行い、軟弱徒長や肥料切れとならないようにする。
・被害株などの残さはほ場から持ち出して適切に処分する。
・過湿条件では被害が大きくなるため、ほ場排水を良くし、降雨時の停滞水を早めに排水させる。
・中耕など管理作業でできた傷から菌が侵入する場合があるため、傷を作らないようにする。
・薬剤防除は予防を中心に行う。また、害虫の食害痕からの侵入を防ぐため、害虫防除も併せて徹底する。台風、大雨後には薬剤散布を行う。

 葉縁部からの発病

葉縁部からの発病