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病害虫図鑑 ダイコン白さび病

ページID:0273355 掲載日:2020年4月1日更新 印刷ページ表示

1 病原菌
 学名 Albugo macrospora (Togashi) Ito

2 被害の様子
 はじめ葉の裏側に乳白色の盛り上がった小斑点を生じ、のちに病斑部が破れて白色の粉末(分生子)を飛散する。葉の表側では輪郭の不鮮明な黄色斑紋となる。
 根に発生すると、「わっか症」と呼ばれる症状を呈する。この症状は、播種50~60日後の収穫期近くになって発生することが多く、主に地上部に出ている部分(青首部)、時に地際部土中浅い部分の根面に、リング状の黒色の斑紋を生じる。斑紋は、輪郭のぼんやりとした淡い黒色の円~楕円形で、直径2~7mmが多いが、1cmを超えるものもある。輪郭はごく細いものから幅1mm程度になるものもある。深さは表面から1~2mmにとどまり、根の内部まで影響することはない。早期に発生した病斑では、リング内の組織が壊死し、亀裂を伴った陥没斑になることがある。

3 病原菌の生態
 病原菌は鞭毛菌類に属するかびの一種で、生きた細胞だけに寄生する絶対寄生菌である。葉柄や花梗等肉厚な組織の病斑部内部には卵胞子が形成され、これが越冬、越夏し、次作の伝染源となる。卵胞子は休眠後水分を得ると発芽、遊走子を放出し、遊走子は水中を泳ぎ、主として気孔から侵入感染する。菌糸は宿主の細胞間隙に蔓延し、表皮下に分生子(遊走子のう)を多数形成し、これが表皮を押し破って露出、飛散して健全な組織に付着し、水分を得ると遊走子を放出して二次伝染を引き起こす。
 分生子の発芽温度は0~25℃、最適は10℃で、比較的低温を好む。潜伏期間は普通7~10日間、好適条件で5~7日間である。わっか症は発症までに20日ほどかかる。
 アブラナ科野菜に発生する白さび病菌は、3つの系統に分かれ、ダイコンを侵す菌はダイコンのみを侵し、他の系統の菌がダイコンを侵すことはない。

4 発生しやすい条件
・春、秋に発生が多くなり、夏季と厳寒期は停滞する。
・降雨が多く、春または秋が低温の年に発生が多くなる。
・窒素質肥料を多用した肥培管理をすると、発病が助長されやすい。
・どの品種にも発病するが、品種により発病程度に差がある。青首系の品種で発生が多いとされる。

5 防除対策
・被害残渣は早期に取り除き、地中深く埋める。
・多湿にならないよう、排水を良好にするとともに密植を避け、通風、採光を図る。
・発生前からの予防散布に努める。
・わっか症防除には、潜伏期間を考慮し、間引き7~30日後(10月中旬~11月上旬)に1~2回、地際部まで十分に薬液がかかるよう散布を行う。

ダイコン白さび病発病葉

ダイコン白さび病発病葉

わっか症

わっか症