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病害虫図鑑 カメムシ類(ダイズ)

ページID:0334815 掲載日:2021年4月1日更新 印刷ページ表示

 本県の大豆を加害するカメムシ類は、多数知られているが、そのうち子実を加害する主な種類は、イチモンジカメムシ(Piezodorus hybneri Gmelin)、アオクサカメムシ(Nezara antennata Scott)、ホソヘリカメムシ(Riptortus clavatus Thunberg)、ミナミアオカメムシ(Nezara viridula Linnaeus)、ブチヒゲカメムシ(Dolycoris baccarum Linnaeus)である。他にもクサギカメムシ、チャバネアオカメムシや茎を加害するマルカメムシなど非常に種類が多い。

1 形態
(1)イチモンジカメムシ
 成虫の体長は9~11mmでやや細長い楕円形状、全体は淡黄緑色で前胸背部に紅色(雌)または白色(雄)の横帯がある。

(2)アオクサカメムシ
 成虫の体長は12~16mmで、やや細長い6角形状である。体色は、あまり光沢がない緑色だが、模様には多様性がある。

(3)ホソヘリカメムシ
 成虫の体長は14~17mmで、極めて細長く扁平でない。体色は暗褐色で雄は東部と胸部の側面に黒く縁取りされた黄色の不連続紋があるが、雌では不明瞭である。幼虫はアリに似ており、若齢幼虫は特に見分けが難しい。

(4)ミナミアオカメムシ
 成虫の体長は12~16mmで、体色は全体として光沢がない緑色だが模様には多様性がある。アオクサカメムシによく似ているが、触角第3~5節の先半部が褐色であること、腹部背面がアオクサカメムシは黒色に対して、本種は緑色であることから判別できる。

2 被害の様子
 子実の被害は発育中の莢の中に口針を刺して吸汁することが原因であり、生育初期であると子実はほとんど肥大しない。肥大中期以降に加害を受けると子実が変形や変色するため、商品性は著しく低下する。加害が激しい場合、茎葉がいつまでも緑色のまま落葉しない青立ちとよばれる状態となる。1頭が加害する子実量は、カメムシの種類によって異なり、一般的にアオクサカメムシやイチモンジカメムシは、ホソヘリカメムシより多い。被害は越冬場所や他の寄主植物から近いところほど多く、夏期の高温乾燥が続いた年は多い傾向にある。

3 生態
 多くのカメムシは単一植物を加害することはなく、年数世代を繰り返す中で寄主を変えることが多い。ダイズを加害するカメムシ類は、マメ科雑草を主な寄主とするものが多いが、ナス科やイネ科雑草などに一時的に寄生することもある。また、ミナミアオカメムシ、アオクサカメムシは広食性であり、水稲・ダイズ・ムギのほか、野菜類や果樹類も加害する。越冬は温暖な場所の落葉や草むらの中で行うものが多く、春にマメ科雑草(カラスノエンドウなど)の花が咲く頃から活動を開始する。山沿いの地域や休耕田の多い地域で多発する傾向がある。

4 防除対策
・周辺の除草は飛び込み量が減少するので有効である。
・開花時期の遅い品種は一般的に被害が少ない。
・莢伸長初期から子実肥大終期にかけて、農薬使用基準を厳守して7~10日間隔で薬剤散布する。
・ミナミアオカメムシは、ピレスロイド系殺虫剤の感受性が低いことが報告されているため、農薬の選定に注意する。

5 参考文献
・農業総覧 病害虫診断・防除編
・農業総覧 防除・資材編
・日本原色カメムシ図鑑
・ダイズカメムシ類対策マニュアル(農研機構)

イチモンジカメムシ アオクサカメムシ終齢幼虫 
        イチモンジカメムシ             アオクサカメムシ(幼虫)

 

 ホソヘリカメムシ ミナミアオカメムシ(幼虫)
     ホソヘリカメムシ       ミナミアオカメムシ(幼虫)の寄生状況