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病害虫図鑑 フジコナカイガラムシ (果樹共通)

ページID:0271829 掲載日:2020年4月1日更新 印刷ページ表示

学名  Planococcus kuraunhiae (Kuwana) 

1 形態 
 雌成虫は体長2.5~4.0 mmで楕円形。体色は暗褐色から紫褐色で、背面は全体に白色粉状のろう質物で覆われている。体周縁にろう質物の突起が18対あり、尾端の1対はやや長い。雄成虫は翅の開張が約1mmの微小な虫である。卵は黄褐色のやや長い楕円形で、白い綿状の卵のうに包まれている。ふ化幼虫は雌雄ともに体長1mm程度で3対の脚をもち、比較的活発に歩行する。1齢幼虫後期からろう質物で覆われるようになる。

2 被害の様子
 本種はカンキツ、ナシ、ブドウ、カキ、イチジクなど極めて広食性で、幼虫と雌成虫が新芽、新梢、葉裏、枝幹などに寄生して吸汁する。特にせん定の傷跡や果実のへた部、粗皮の隙間など狭い場所を好む。果実に袋がけをする果樹では、袋の中に入って果実のくぼみに寄生する。発生が多いときは寄主植物の生育が阻害され、枯死枝を生じる。さらに、大量の排泄液にかびなどがつき、へたや果皮が汚れる。

3 生態 
 雌は3齢幼虫を経て成虫となり、雄は3齢幼虫から前蛹、蛹を経て有翅の成虫となる。愛知県では年3回発生し、主に1、2齢幼虫が枝の粗皮間隙や粗皮下などで越冬する。越冬した幼虫は3月下旬頃から新梢へ移動を開始し、発芽し始めた芽の付近に集まって成虫となり、卵のうを形成して産卵する。卵は10~15日でふ化し、本県では、第1世代幼虫は主に6月上旬から7月下旬に発生する。葉裏や幼果のへた付近など日陰となるところに寄生することが多い。第2世代幼虫は7月下旬から9月中旬に、第3世代幼虫は9月中旬から発生し、10月下旬頃から越冬場所へ移動する。

4 発生しやすい条件
・高温・乾燥条件で増殖しやすい。
・他害虫の防除で合成ピレスロイド剤やネオニコチノイド剤を多用した場合、天敵が減少して発生が多くなる。

5 防除対策
・雌成虫、卵、2、3齢幼虫はろう質物に覆われており、薬液をはじいてしまうため、防除適期はふ化幼虫(1齢幼虫)時期である。特に、第2世代及び第3世代はふ化時期がばらつくので、第1世代のふ化時期に防除を行うのが効果的である。
・薬剤による防除効果の低くなる第2世代以降は、天敵を活用して本種の密度を抑制する。そのため、他の病害虫を防除する際には、天敵に対する影響が少ない薬剤を選択する。
・バンド誘殺を行う。
・冬期には、粗皮削りを行った後、マシン油乳剤を丁寧に散布する。

 雌成虫

雌成虫

カキのへた部への寄生状況
 カキのへた部への寄生状況