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病害虫図鑑 イネごま葉枯病

ページID:0271747 掲載日:2020年4月1日更新 印刷ページ表示

1  病原菌
 学名 Cochliobolus miyabeanus (Ito et Kuribayashi) Drechsler ex Dastur(糸状菌 子のう菌類)

2 被害の様子
 苗では発生すると出芽後葉鞘が褐変し、葉鞘に褐色条斑や斑点ができる。もみ周辺に黒色の菌糸塊がみられ、新葉の出すくみを生じて、緑化期以降に葉身に褐色楕円形の病斑が現れる。
 本田では主に葉身に病斑を形成し、病斑には輪紋があり、維管束に沿った壊死線がないので、いもち病の病斑とは区別が容易である。
 もみに発生するといわゆるもみ枯れを生じ、症状としては最初褐色の斑点ができ、後に灰褐色の崩壊部を生じる。白穂となることはないが、発病すると約10%程度減収することがある。
 褐色葉枯病やすじ葉枯病と混同することが多いが、本病は病斑が丸みを帯びているので見分けはつく。しかし、病斑が融合して大型病斑が生じると見分けにくいため、分生胞子などを検鏡して確認する。 

3 病原菌の生態
 菌糸の生育適温及び分生子の形成適温は、25~30℃である。分生胞子は暗褐色長楕円形でやや湾曲したものもあり、大きさ84~140×14~22μmである。
 分生胞子で被害わらやもみの表面、組織中に菌糸の状態で越冬する。

4 発生しやすい条件
・土壌が還元状態で窒素、燐酸、カリなどが溶脱した老朽化水田
・養分保持力の小さい浅耕土やや砂質土壌のいわゆる「秋落田」。
・縞葉枯病などのウイルス病に感染すると、発生しやすい上、発病程度も大きくなることもわかっている。 

5 防除対策
・種子消毒を徹底する。
・肥料切れが発生を助長するので、気をつける。
・常発田では穂ばらみ期を目途に防除を実施する。
 本病が発生する年は他の病害の発生も多いため、この病害だけによる減収はあまり問題とならないが、潜在的な被害は多い病害と考えられる。