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病害虫図鑑 ハクサイ黄化病

ページID:0273364 掲載日:2020年4月1日更新 印刷ページ表示

1 病原菌
 学名 Verticillium dahliae Klebahn

2 被害の様子
 結球開始期以降に外葉が黄白化し始め、急速に株全体に黄化が進展、結球が不十分となり外側に開くようになる。症状が激しいと、外葉は葉ボタン状となり、葉柄基部から離脱しやすくなる。発病株の根や茎の導管部は褐色~黒褐色に変色するのが特徴であるが、軟腐病のように腐敗することはない(軟腐病が二次寄生した場合には軟化腐敗が起こる。)。症状が軽ければ出荷も可能であるが、品質の低下は免れない。

3 病原菌の生態
 病原菌は土壌伝染性のかびの一種で、アブラナ科のほかにナス科、ウリ科など多くの作物に寄生するが、寄生性の違いからナス系、トマト系、ピーマン系、エダマメ系、アブラナ科系に分けられる。本病の病原菌は主としてアブラナ科系であるが、近年、アブラナ科系は別種(Verticillium llongisporum (Stark) Karapapa, Bainbridge et Heale)に分類されるようになっている。
 被害株とともに土壌中で微小菌核の形で越年し、翌年ハクサイが作付けされ、地温が20℃前後になると根部付近の微小菌核が発芽して、その菌糸が根から侵入感染する。根から侵入した菌は、根部や茎、葉の維管束の中で増殖しながら蔓延し、毒素を産生するため、結球するころになるとハクサイの生育が衰え、黄化萎凋症状を引き起こす。下葉が枯死するころになると、土壌と接するような葉には黒色すす状の微小菌核を多数形成する。微小菌核は土壌中で10年以上生存が可能である。なお、本病は種子伝染することも知られている。

4 発生しやすい条件
・20~24℃の比較的冷涼な時期に発生が多い。
・土壌の過湿、センチュウ類の根部寄生は発病を助長する。
・連作すると発病が激しくなる。

5 防除対策
・発病した株は、腐敗した下葉とともに根まで抜き取り処分して、土壌中の伝染源をできるだけ少なくする。
・アブラナ科野菜の連作を避け、イネ科作物やレタスと輪作する。しかし、1作での効果は低く、輪作だけでは本病を防除することは難しい。
・田畑輪換できるほ場では、2~3年水田にしてイネを栽培する。
・夏期に石灰窒素と稲わらをすき込み、湛水状態にしたのち透明フィルムで土壌を被覆、1か月間太陽熱消毒をすると発病を軽減できる。
・土壌くん蒸剤で土壌消毒を行う。
・ネグサレセンチュウは発病を助長するので、土壌くん蒸剤や対抗植物で防除する。
・汚染ほ場で用いた農機具等はよく洗浄して、未発病地に病原菌を持ち込まないようにする。

ハクサイ黄化病

ハクサイ黄化病

導管褐変症状

導管褐変症状