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病害虫図鑑 稲こうじ病

ページID:0337141 掲載日:2021年4月3日更新 印刷ページ表示

1 病原菌
 Villosiclava virens E. Tanaka & C. Tanaka (子のう菌)
 (Claviceps virens M. Sakurai ex から学名変更(2011年12月1日))

2 被害の様子
 
  本病はもみにのみ発生する。穂ばらみ期に感染することから、出穂直後のもみを光にかざすと、健全もみは透けて見えるが、罹病もみは内部に乳液状の物質が認められ、不透明にみえる。
  出穂7~10日後頃(乳熟期頃)より内外穎が少し開き、その隙間から小菌塊が現れ、しだいにもみを包むようになる。この塊ははじめは薄い被膜に被われており、緑黄色であるが、日がたつにつれて濃緑色や緑黒色に変化し、被膜は破れて表面は粉状となり亀裂ができる。収穫時ごろになると、この塊の上に黒色の不正形の菌核が形成される。多発すると、穂に濃緑色の塊が多数つき、周辺のもみに胞子が付着し、まわりが坪状に黒ずんでみえる。

3 病原菌の生態
  分生子(厚膜胞子)は淡褐色、球形ないし楕円形で表面に小突起があり、直径4~6μmである。完熟し、厚膜化した、分生子は発芽して無色の分生子柄を生じ、その先端に楕円形の無色の第二次分生子を形成する。その大きさは4~8×2~5μmである。培地上では、非常に緩慢に生育し、初め白~薄橙色、後に灰緑色となる菌叢を形成する。生育適温は28℃前後。
 
 第一次伝染源は、土壌上で越冬した菌核あるいは土壌表面や被害わらで越冬した厚膜胞子と考えられているが、幼芽期感染は明らかではない。
 菌核は気温が20℃を超すころから発芽して子実体を作り、これに形成された子のう胞子が飛散するか、または厚膜胞子から分生子が形成、飛散して、穂ばらみ後期の葉鞘の隙間から雨や露と一緒に葉鞘内へ流れ込み感染する。
 本菌はイネのほかに、トウモロコシに発生したとの報告もある。

4 発生しやすい条件
・出穂期にかけて多雨、低温、日照不足の年に多い。
・遅まき、遅植え、晩生種で発生が多い。 晩期追肥した圃場
・山間地などの日照不足になる圃場。

5  防除対策
・病もみは早めに取り除く。
・施肥基準を守り、窒素の多施用、特に肥料が遅効きしないようにする。
・薬剤防除は出穂10日前までが適期である。

稲こうじ病の菌塊

稲こうじ病の菌塊

稲こうじ病発病株
稲こうじ病発病株