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病害虫図鑑 カメムシ類(果樹共通)

ページID:0335681 掲載日:2021年4月1日更新 印刷ページ表示

チャバネアオカメムシ(Plautia crossota stali Scott)
ツヤアオカメムシ(Glaucias subpunctatus Walker)
クサギカメムシ(Halyomorpha halys (Stal))

1 形態
 チャバネアオカメムシ:11mm内外 緑色のからだに茶褐色の翅をもつ。
 ツヤアオカメムシ:15~17mm 全体が鮮緑色で、つやがある。
 クサギカメムシ:14~18mm 暗褐色の地に不規則な茶褐色の斑点がある。

2 被害の様子
 果樹カメムシ類はほとんどの果樹に対し、果実を吸汁することで加害するが、そのうちウメ、モモ、スモモ、ナシ、ビワは主に越冬成虫、ナシ、カキ、カンキツは主に当年成虫(新成虫)により加害される。被害果の症状は、吸汁部の果肉がスポンジ状に変質し、周りの正常な部分の肥大から取り残されて果実表面に凹みを生ずるというのが一般的である。

・ナシへの加害時期は、開花期~収穫期まで長期に及ぶ。被害果は落果しないが、幼果期は加害部が大きく陥没した変形果となる。収穫期近くの果実では、加害部分が浅く凹む。有袋栽培でも果実が肥大し、果面が袋に密着してくると袋の上からでも加害される。
・モモへの加害時期は、幼果期~収穫期まで。幼果期に加害されると吸汁部分が凹み落果する。成熟期に加害されると吸汁部分が水浸状となり変色する。有袋栽培でも果実が肥大し、袋が密着してくると袋の上からでも加害される。
 ・ウメへの加害時期は、幼果期~収穫期まで。越冬成虫が多い年には果実だけではなく新梢が吸汁され、萎ちょう、枯死することもある。幼果の早い時期に加害されると落果することもある。
 ・カキの7~8月の早期の被害は、吸汁部が指で押したように水浸状となり、加害後2~3日で落果する。9月以降の加害では落果しないが、吸汁部が凹状となり、その部分の果肉がスポンジ状となる。
・カンキツでは5月に花や蕾、新梢を吸汁するが、通常発生年では実害がない。しかし、越冬成虫が多い年には落花や落葉する。果実への加害時期は、通常9月中旬に早生温州が少し黄色味を帯びた頃からであるが、年によっては8月中旬となる。気温が高い時期の加害では、果実はまだらに早期着色し、やがて落果する。10月中旬以降は、落果しないが、剥皮すると加害部の皮と果肉がくっついたり、果肉がスポンジ状になる。一般に早生温州では被害が多く、特に着色の早い樹では集中的に加害される傾向がある。

 

3 生態
 越冬形態:上記3種のカメムシはいずれも成虫態で越冬するが、越冬場所は種類によって異なり、チャバネアオカメムシは主として常緑広葉樹林の落葉下、ツヤアオカメムシは常緑広葉樹の樹冠内、またクサギカメムシは作業小屋の中や大木の樹皮下である。なお、チャバネアオカメムシは11~3月の越冬中には体色全体が周りの落葉と同じ暗褐色を呈している。

4 発生しやすい条件
・越冬密度を調査することにより、越冬成虫が主に加害する7月頃までのモモ、ウメ、ナシ、カキの被害量を予測できる。
・予察灯の誘殺数は7月下旬を境として前期と後期に分けると、前期に誘殺数が多い年にはモモ、ウメ、ナシで被害が多く、後期に多い年にはカキとミカンでの被害が多くなる傾向にある。カキの被害は、7月下旬~8月下旬の誘殺数との間に高い正の相関がある。
・新成虫の発生動向を知るためには、7月以降のヒノキ、スギ樹上における生息動向を把握することが重要である。
・チャバネアオカメムシの増殖源であるヒノキ球果の豊凶はカメムシの発生量を大きく左右する。カメムシによる被害は、下記に示すようにヒノキの球果の結実量及び、その年の越冬世代の発生量によって決まる。

 ア 球果量が少ない年は、カメムシが早く球果を吸いつくすため、果樹園への飛来が早い。
 イ 球果量が多い年は、餌に余裕があるので越冬までヒノキ上に定着し、果樹園への飛来はおそくなるが、増殖に適した条件となるため、新成虫の発生量が多くなる可能性が高い。
ウ 球果の量がやや多く、当年の越冬世代成虫の発生が多い年は、球果が多いにもかかわらず吸いつくすため、大量に羽化した新成虫が果樹園に飛来して大きな被害が発生する事もある。

5 防除対策
・加害時期や程度は年、場所により大きく変動するので、的確な発生予察に基づいて防除する。成虫は広域にわたって移動するので、防除効果を高めるために広域一斉防除を行う。

 

チャバネアオカメムシ成虫
     チャバネアオカメムシ(成虫)

ツヤアオカメムシ成虫
     ツヤアオカメムシ(成虫)

カメムシによるカキの吸汁痕
      カキにおける吸汁痕