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病害虫図鑑 カメムシ類(イネ)

ページID:0334572 掲載日:2021年4月1日更新 印刷ページ表示

 本県のイネに加害するカメムシ類は、多数知られているが、そのうち主な種類は、クモヘリカメムシ、ホソハリカメムシ、トゲシラホシカメムシ、ミナミアオカメムシである。また、近年イネカメムシの多発生が報告されている。他にもアオクサカメムシ、カスミカメ類など非常に種類が多い。


1 形態
(1)クモヘリカメムシ Leptocorisa oratoria Fabricius
  成虫の体長16mm位で細長く全体は黄緑色であるが、翅は褐色である。発生は中山間地の水田地帯に多く、とくに山林の近くの水田で発生が目立つ。

(2)ホソハリカメムシ Cletus punctiger Dallas
  成虫の体長は9~11mmで細長く、全体に褐色から暗褐色で胸部の縁が尖っており、本種の見分け方は比較的容易である。

(3)トゲシラホシカメムシ Eysarcoris aeneus Scopoli
  成虫の体長は5mm前後で、背面は灰褐色中胸部に2対の白い斑点があることと前胸の縁が尖っているので見分けるのは簡単である。
  近縁種にはシラホシカメムシやオオトゲシラホシカメムシがある。

(4)ミナミアオカメムシ Nezara viridula Linnaeus
  成虫の体長は12~16mmで、体色は全体として緑色だが模様には多様性がある。アオクサカメムシによく似ているが、触角第3~5節の先半部が褐色であること、腹部背面が緑色であることから判別できる。広食性で水稲・ダイズ・コムギをはじめ、野菜類や果樹類も加害する。斑点米産出能力は非常に高い。

(5)イネカメムシ Niphe elongata Dallas
  成虫の体長は12~13mm。体色は、成虫は黄白色で体のへりの部分以外は茶褐色である。幼虫は、灰緑色で丸くて平たいが、育つにつれて褐色がかってくる。開花初期の籾を集中的に加害し、不稔を引き起こす。

2 被害の様子
 稔実が悪くなってしいなになったり、吸汁後が褐色に変色する斑点米となる。早期及び早植え栽培で被害が大きく、出穂期が比較的高温の7月下旬以降に被害が集中する。
 斑点米などの変色米がわずかでもあると等級が著しく低下するため、収量よりも経済的被害が多い。

3 生態
 多くのカメムシは単一植物を加害することはなく、年数世代繰り返す中で、寄主を変えて行くことが多く、イネを加害するカメムシ類は、イネ科の雑草などで生活していることが多い。特に畦畔雑草は好適な寄主植物となる。
 越冬はイネ科のススキやチガヤの中や、水田近くの常緑樹の中で行う。

4 防除対策
・畦畔雑草の除草が有効であるが、出穂期直前の除草は斑点米カメムシ類を水田に追い込むことになるため控える。
・作型では早期栽培の被害がもっとも大きく、一般に出穂期が早いほど被害が大きい。また、畦畔率の高い山沿いの地域や休耕田の多い地域で発生することが多いため、常発地では出穂期前頃から乳熟期頃までの防除が必要である。 
・発生は環境的な要因も大きいが、近年、水稲の防除意欲の低下も被害を助長していると思われる。

5 参考文献
・農業総覧 病害虫診断・防除編
・植物防疫 第7巻9号

 クモヘリカメムシ ホソハリカメムシ
          クモヘリカメムシ                  ホソハリカメムシ

トゲシラホシカメムシ ミナミアオカメムシ成虫
       トゲシラホシカメムシ                ミナミアオカメムシ

ミナミアオカメムシ幼虫 イネカメムシ
    ミナミアオカメムシ(幼虫)                    イネカメムシ