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病害虫図鑑 カンキツ黒点病

ページID:0271862 掲載日:2020年4月1日更新 印刷ページ表示

1 病原菌
    学名 Diaporthe citri Wolf (糸状菌 子のう菌類)
 
2 被害
 葉、果実、枝に発生する。ふつうは組織の表面に黒い小さい斑点がポツポツできる。感染時の病原菌の密度が低い場合には0.1~0.5mmの黒色で円形の黒点となるが、密度が高い場合には雨滴の流れた跡が発病して涙斑状となり、さらに果実一面に感染して発病時期により泥塊状となる。
 
3 病原菌の生態
 枯れ枝に柄子殻をつくりその中の胞子の形で冬を越す。気温が20℃前後になって雨などで濡れた状態になると、粘質物と混ざった胞子が胞子角となって柄子殻から出る。胞子角が雨滴により溶かされると、胞子は雨滴とともに飛び散る。胞子が葉や果実に到達すると、20~27℃で水滴の中で発芽して感染して黒点などができる。胞子は雨滴とともに、何かの事情で出来た枯れ枝や落ちている枝にも感染する。一旦枯れ枝に本病原菌がまん延すると、菌は3年ほど生存して降雨の度に胞子を出して感染源となる。
 
4 発生しやすい条件
・果実の発病は5月及び8月の枯枝形成量並びに枯枝の胞子形成量が多いと多発する。
・降雨日の気温(最低気温)が14℃以上となると比較的感染が起こりやすくなり、22℃以上となると容易に起こる。20℃で12時間以上、24~28℃で8時間以上のぬれ時間が必要である。
・果実の感染時期は、6月中旬~7月中旬の梅雨時期と8月中下旬~9月中下旬の秋雨期が最も感染しやすい。
・果実における潜伏期間は温度と関係が深い。10℃で7日、12~14℃で6日、16℃で4日、18℃で3~4日、20~22℃で3日、25℃では1~2日間である。
・冬期の低温・乾燥は3~6月の枯枝量の増加を助長する。
・木が古くなると枯れ枝が多くなるため病原菌の密度が高まり発生が多くなる。
・剪定した枝や枯れた枝を園地内に放置しておくと感染源が多くなり、発生が多くなる。

5 防除対策
・間伐、整枝、剪定を徹底し、園内や樹冠内部への採光、通風を良くする。
・枯れ枝発生の原因となる落葉(乾燥、風害、寒害などによる)を防止する。
・伝染源となる枯れ枝、剪定枝は園内や園周辺に放置せず、適切に処分する。
・果実への主な感染時期は梅雨期と秋雨期なので、6月上~中旬、7月上~中旬、8月中~下旬を基本に薬剤防除を行う。
・薬剤の散布間隔は、マンゼブ剤、マンネブ剤の場合は散布後30日、または散布後の累積降雨量300~350mm、ジネブ剤の場合は散布後30日降雨量250~300mm、有機銅剤の場合は散布後20~25日、降雨量250mmを目安とする。降雨量は簡易雨量計または近隣のアメダスで把握するとよい。

果実表面の黒点

果実表面の黒点

被害果

被害果

枯れ枝(伝染源)

枯れ枝(伝染源)