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病害虫図鑑 ヤノネカイガラムシ(カンキツ)

ページID:0271867 掲載日:2020年4月1日更新 印刷ページ表示

学名:Unaspis yanonensis (Kuwana)

1 被害の様子
 果実、葉、枝などに寄生する。果実に寄生した場合、その周囲の着色が目立って遅れ、品質を低下させる。枝に多発すると赤茶色に枯れあがる。木の内ふところや頂上部のように目や薬剤の届きにくいところで発生しやすい。程度がひどくなると、木を枯死させる。

2 形態
雌成虫:茶色でやじりの形。長さ3.5mm~5mm。
雄蛹:白い綿状の分泌物をかぶっている。体長3mm~4mm。古葉の裏などに集団で着生している。
歩行幼虫:平たく、体長0.2mmくらい。
雄2令幼虫:ロウ物質を分泌して白い綿をつけているように見える。体長0.5mm。

3 生態
 越冬は雌成虫が枝葉上で行うのが一般的。越冬した雌成虫は5月上旬頃から産卵する。卵は数時間後に孵化し、歩行して葉や枝に分散して定着する。このとき雄は母虫の近くの古葉にとどまって集団を作ることが多く、一方雌は春枝の先まで移動して若葉に一頭ずつ散らばって定着することが多い。孵化から定着までに経過する時間は数時間以内。1令幼虫の発生は、5月中旬から6月上旬に最も多い。定着した雄の幼虫は直ちに白い綿のようなロウ物質を、雌の幼虫は灰白色のカイガラを分泌し始める。幼虫期間は2令まで。その後雄は蛹になり、雌は未熟成虫となる。1令期間は12~15日、2令期間は20日前後。5月から発生した第1世代幼虫が成熟して第2世代を産むのは7月から10月と幅広いが、第2世代幼虫発生のピークは7月下旬から8月中旬である。早く発生した第2世代は成熟して9月ごろから第3世代を産む。第3世代2令幼虫、第3世代未熟成虫、あるいは遅く発生した第2世代成虫の形で越冬する。雄は年内に蛹となり羽化して、雌と交尾した後死ぬ。

4 発生しやすい条件
 高温・乾燥条件で増加しやすく、冬季に暖かいと越冬成虫の生存率が高くなって翌春の発生が多くなる。(が、他のカンキツ害虫に比べて環境条件による増加率の変動が少ない。)

5 防除対策
・密植や、樹形の過大をさけて、薬剤がもれなくかかるよう管理する。
・発生のある園(前年の収穫果への寄生の有無で判断)では、マシン油により冬季防除を行う。
・高所から見渡して樹冠頂上部の枝枯のある園では、冬季防除のほか第1世代、第2世代に対する防除も行う。2令幼虫をすぎると薬剤の効果が悪くなるので、1令幼虫の定着を発見してからの日数で防除時期の見当をつける。