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病害虫図鑑 キクわい化病

ページID:0273693 掲載日:2020年4月1日更新 印刷ページ表示

1 病原ウイロイド
  Chrysanthemum stunt viroid(CSVd )

2 被害の様子
  CSVdに感染したキクは健全株に比べ節間が短縮して草丈が1/2~1/3にわい化し、葉は小型になり、葉色がわずかに淡くなる。また、葉と茎との角度が小さくなり、直立して生育する傾向がある。花も、小型化し開花期が正常個体に比べ3~7日程度早くなる。赤色系の品種では、花の退色が起こりやすい傾向にある。
 病徴の程度は、品種によって大きく異なり、わい化症状を示さない無病徴の品種もある。また、病徴は高温期に現れやすく、低温期は感染していても症状が出ないことがある。

3 病原ウイロイドの生態
 本病は虫媒伝染、土壌伝染は認められておらず、主に汁液伝染する。感染は幼苗期に起こりやすい。主な伝染源は、罹病したキク(病徴が現れていない株も含む)で、キクの摘蕾、台刈りなどの作業によって伝染する。罹病株の残さが混入した用土で育苗したり、苗の植え付け時に、罹病苗の根と健全苗の根が接触すると伝染する可能性がある。
 病徴は高温期(25~30℃)に現れやすく、病徴の発現には汁液接種で接種後1~2ヶ月、接木接種では20~30日を要する。
 本ウイロイドの寄主範囲はキク科植物に限られる。

4 発生しやすい条件
 病徴は高温期(25~30℃)に現われやすい。低温・弱光下では病原ウイロイドが増殖しにくく、感染していても病徴が現われにくい。第一次伝染源は無病徴株を含めた罹病株で、苗購入に伴う持ち込みが多く、新品種の導入や親株の更新時にほ場に持ち込まれる。

5 防除対策
・薬剤による防除方法がないため、罹病苗をほ場に持ち込まないことが最も重要である。このため、本病が発生したほ場では、親株を更新する。
・罹病株は速やかに抜き取り、適切な処理(土中深くに埋める、焼却処分する、袋等で密閉して腐敗させる等)を行う。
・作業時には、頻繁にハサミを替えるか消毒するなどして、汁液による伝染を防ぐ。
・育苗は罹病株の残さが混入している土壌は用いず、苗同士の根の接触の少ない育苗(セル成形苗など)を行う。
・無病徴でも感染している可能性があるので、新しく導入した品種では取扱に注意する。

 罹病株(右)

罹病株(右)