ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 ホーム > あいち病害虫情報 > 病害虫図鑑 キャベツ菌核病

本文

病害虫図鑑 キャベツ菌核病

ページID:0334555 掲載日:2021年4月1日更新 印刷ページ表示

1 病原菌
 学名 Sclerotinia sclerotiorum(Libert)de Bary(糸状菌 子のう菌類)

2 被害の様子
  結球期以降に発生し、はじめ下葉に水浸状で、淡褐色~灰褐色の不規則な病斑を生じ、やがて葉がしおれる。病勢が進むと結球部全体が汚灰白色に腐敗する。結球葉を1、2枚めくると白色綿状の菌糸が密生している。最後には被害部の表面に、灰褐色~黒色でネズミの糞状の菌核を形成する。

3 病原菌の生態
菌核病生態

  菌核は白色綿毛状の気中菌糸上に形成され、宿主体にゆるく付着する。ネズミの糞状で灰褐色~黒色。地上に落ちたり被害植物ごと地面に落ちた菌核は、春もしくは秋に発芽して直径5mm前後の子のう盤(キノコ状)を発生する。子のう盤は菌核より1~数本生じ、有柄、淡褐色で柔らかく、ロート状~カップ状。皿状の頭部に多数の子のうが形成され、子のうは8個の子のう胞子(9~14×3~6μm)を内蔵する。子のう胞子は風により飛散し、葉の基部など湿度の高い部分に落下したものが発芽し、老化した部分や傷口などから侵入する。一次感染は子のう胞子によって起こるが、発病株から隣接株への伝染は菌糸によって起こる。菌核は乾燥条件下では数年以上生存する。畑土壌中での生存期間は2~3年、湛水下では速やかに死滅する。子のう盤の形成には適湿と適温( 15~20℃)が必要である。子のう盤形成には少なくとも20日程度の日数を要する。
 子のう盤形成には近紫外光が必要である。
 菌糸生育の適温は20℃前後である。
 レタス、キュウリなど多数の作物を侵し、寄主範囲は64科361種以上に及ぶ。

4 発生しやすい条件
・3~5月と9~11月は子のう盤の形成に好適な温度( 15~20℃)であり、この時期に大雨があったり降雨が続くと湿度条件も好適となるので本病の発生が多くなる。
・多発作型は春どり栽培3~5月、ついで秋冬どり栽培11~12月である。暖冬の年には1~2月にも発生する。
・春どり栽培では秋から冬にかけて雨の多い年は発生しやすい。

5 防除対策
・前年の発生状況や本年の気象等から発生が多いと予想される場合には、結球開始期から予防的に薬剤散布をする。なお、薬剤は初発部位である株元に十分かかるよう散布する。
・発病株は菌核を形成しないうちに抜き取り、非耕地に深く埋めるなどして除去する。 10cm以上の深さに菌核を埋め込めば、子のう盤の形成を抑えることができ、菌核は数年で死滅するので、天地返しは有効である。
・夏期に湛水すれば菌核は死滅する。

キャベツ菌核病初期症状

キャベツ菌核病初期症状

キャベツ菌核病

キャベツ菌核病