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病害虫図鑑 コスカシバ(モモ)

ページID:0271904 掲載日:2020年4月1日更新 印刷ページ表示

学名 Synanthedon hector (Butler)

1 形態
成虫:体長15mm内外、翅の開張30mm内外。黒紫色のからだ。腹部に黄色の横線が2本ある。からだの尾端に雌は房状、雄は軍配状に広がる鱗毛がある。
蛹:体長約17mm。蛹化したての頃は黄色、まもなく黄褐色になる。
幼虫:乳白色で頭部は褐色。環節の毛は黄白色。老熟すると体長25~30mmになる。
卵:径1mm位。楕円球形。

2 被害の様子
 幼虫が幹や枝の樹皮下を食害する。食入孔近くから虫糞をだし、また、樹脂も流れ出る。たくさん寄生すると著しく樹勢が弱くなり、樹の寿命が短くなる。

3 生態
 幼虫で越冬する。越冬幼虫の令には幅があり、羽化の最盛期は越冬した幼虫の大きさと関係がある。老齢幼虫で越冬したものは春から初夏に羽化し、若齢で越冬したものは夏から秋に羽化する。多くの場合、羽化の最盛期は8~9月頃。成虫が羽化するとき、蛹の半身を幹や枝の外部にずり出し、羽化後はこの蛹殻が残る。卵は樹皮上の肌の荒れたところに1個ずつ産み付けられる。ふ化した幼虫は皮目や樹皮の割れ目から食入し、初めは浅いところを、徐々に深く食入し、形成層を侵す。被害部の樹皮下で蛹化する。木くずや糞を集めて楕円形の繭を作る。

4 発生しやすい条件
・樹が古くなったり、胴枯病などにおかされて樹皮が荒れると、食入が容易になり発生が多くなる。
・近くにモモ、ウメやサクラの放任園があると、そこからの飛来が多くなる。

5 防除対策
・成虫の発生が始まる前に交信攪乱用のフェロモン剤を設置し、成虫の交尾率を低くする。
・幼虫による被害を見つけナイフで削って幼虫を捕殺する。4月頃は幼虫の活動が活発で見逃しにくい。10~11月なら幼虫が浅いところにいるので、金槌で上からたたくだけで圧殺できる。一度食入したあとには再度入りやすい。

6 愛知県での近年の発生状況
目立って多発した年はないが、樹の古くなった園で放任されている園が増えており、局部的に多くなっていることがある。

コスカシバ画像