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病害虫図鑑 モトジロアザミウマ

ページID:0336820 掲載日:2021年4月1日更新 印刷ページ表示

学名 Echinothrips americanus Morgan

1 形態
 成虫は体色が暗褐色で、前翅の基部及び中央部が灰白色、頭部と胸部の節間が赤みを帯びている。成虫の体長は雌が約1.3mmで雄が約1.2mmである。卵は葉脈沿いの葉肉内に産み付けられ、長径0.3mm、短径0.2mmの俵型で乳白色をしている。シソなどの薄い葉では光にかざすと卵が透けて見える。1齢幼虫は体長約0.5mmで黄白色をしており、2齢幼虫は体長0.7~1.2mmで黄色である。前蛹(3齢幼虫)および蛹(4齢幼虫)は体長1.1~1.3mmで白色をしている。幼虫から蛹はいずれも複眼が赤い。

2 被害の様子
 野菜では、キュウリ、メロン、ナス、トマト、ピーマン、バジル、イタリアンパセリ、シソなど、花きでは、ポインセチア、バラなどに寄生する(伊藤・大野2003)。他に、ミョウガ、インゲン、ハイビスカス、ディフェンバキア及びシンゴニウム(サトイモ科の観葉植物)で被害が確認されている。シソでは、食害を受けた葉は褐変して艶がなくなり、簡単に落葉する。寄生部位は主に中位葉以下で、寄生密度は下位葉で高い。ミョウガとポインセチアでは、食害を受けると葉がかすり状になる。

3 生態
 温室内の野菜および観葉植物で見つかることが多い。本種は両性生殖と単為生殖を行い、卵から成虫までの生育期間は、20℃で33.9日、25℃で15.0日、30℃で11.4日という報告がある。

4 発生状況
・東京都、愛知県、高知県、鹿児島県、香川県、栃木県、宮崎県、福島県、大分県で確認されている。
・愛知県では2002年に豊橋市の施設栽培のシソで確認されたが、本県への侵入経路は明らかでない。シソ以外での被害報告はなく、分布の拡大は近隣に留まっている。

5 防除対策
・アザミウマ類に登録のある農薬を散布する。
・スワルスキーカブリダニによる防除効果が低いと考えられることから注意が必要である。

モトジロアザミウマ
  モトジロアザミウマ成虫・幼虫

関連文献
・愛知県. 2002. 平成14年度病害虫発生予察特殊報第2号. 愛知県農業総合試験場 病害虫部 病害虫防除室.
・日高春美・松浦明・森下勝. 2015. 宮崎県で初確認されたモトジロアザミウマに対する薬剤の殺虫効果およびスワルスキーカブリダニの捕食量. 九州病害虫研究会報61: 57-61.
・伊藤啓司・大野徹. 2003. シソの新害虫モトジロアザミウマ(仮称). 植物防疫57: 223-225.
・Oetting、 R.D. & R.J. Beshear. 1993. Biology of the greenhouse pest Echinothrips americanus Morgan (Thysanoptera: Thripidae). Journal of Pure and Applied Zoology 4: 307-315.