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病害虫図鑑 ムギ縞萎縮病

ページID:0271773 掲載日:2020年4月1日更新 印刷ページ表示

1 病原ウイルス
 オオムギ縞萎縮病 学名 Barley yellow mosaic virus
 コムギ縞萎縮病 学名 Wheat yellow mosaic virus

2 被害の様子
 オオムギの縞萎縮病とコムギの縞萎縮病は別のウイルスによって起こる病気で、相互に感染することはない。しかし、ともに土壌伝染性のウイルス病で、病徴も病原ウイルスの性質も非常によく似ているので、対策も同じである。コムギには抵抗性品種が多く、近年は発病が少ない。オオムギとくにビールムギには強い品種がなく被害が著しかったが、抵抗性品種が育成されている。
 縞萎縮病は、畑で発病の甚だしい部分を中心にほぼ同心円状に、外側になるにしたがって症状が軽くなっている場合が多い。畦方向に沿って蔓延する傾向があり、また、発病の中心とみられる部分は、道路または畦畔沿いの場合が多い。早春から茎葉が黄化し、黄緑色の細長いかすり状の斑点、または、褐色のえそ斑が葉脈に平行して葉と葉鞘に多数現れ、次第に拡大、融合する。また、新葉はやや細めで内側に巻き、淡黄緑色の退色斑を生じ、次の葉が出る頃にモザイク症状になる。病株は、分けつが減り、草丈が低くなるが、萎縮の程度は著しいものでない。また、根の伸長が悪く、新根の発生が顕著に減る。下葉は黄変して葉先から淡褐色になり、次第に枯れる。症状の激しい株は、茎立ち後に黄枯症状を呈して枯死する。ビールムギはモザイクとともにえそ斑が出やすく、被害が激しくなる。軽症のものは気温の上昇につれて回復するが、生育不良で草丈が低く、出穂期間が長引き、穂の抽出が不完全になつたりする。穂数、粒重が著しく減少し、不稔粒が多くなる。

3 病原ウイルスの生態
 播種後10日でウイルスのムギへの移行が認められ、30~40日で最高に達する。感染期が13~16゜Cで、冬期間に0~2゜Cで5日間以上、4゜Cで15日間以上の低温があること、発病期の温度が10~15゜Cであることが、最も発病を多くするようである。このウイルスがムギに侵入するのは、ウイルスを保毒した土壌中のPolymyixaという 菌がムギの根に寄生することによって起こると考えられる。 伝染源は、土壌中の比較的浅い部分(深さ3~15cm)に存在するとき感染が起こりやすい。

4  発生しやすい条件
・早播きすると発病しやすい。
・播種後、降雨が多く地温が感染に好適な期間が長く続くことで発病しやすくなる。
・保湿性の高い土壌では、降水量が多くなくとも地温条件が整えば発病しやすくなる。
・感染後潜伏期間の気温が低いとき発病が多く、発病後の低温は、症状の回復を遅らせて、病勢の進展を助長する。

5  防除対策
・発病してからでは防除対策はない。
・土壌伝染するので、農機具に付着した病土の移動は汚染の拡大の原因となる。従って、汚染ほ場は作業を後にする。
・作業後は、未汚染ほ場に洗浄水が流れ込まない場所で機具などをよく洗うなどの工夫で汚染域の拡大を防ぐ。
・本病にいったん汚染されると数年程度の輪作や休耕で伝染源を消滅させることはできない。しかし、オオムギの発病地にコムギを、コムギの発病地にオオムギをそれぞれ3年程度作付けする(麦種転換)ことで、発病が軽減される。
・播種量を多くすることで被害が軽減できる。これは、秋期の生育量の減少を補うことにもなるので、晩播と組み合わせると有効である。
・深さ30cm程度の反転耕により発病が減少する。

コムギ縞萎縮病

コムギ縞萎縮病