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病害虫図鑑 イネ苗立枯病

ページID:0334472 掲載日:2021年4月1日更新 印刷ページ表示

 機械移植の普及によって箱育苗が標準となり、これに伴う育苗時の障害が増加している。特に、糸状菌による病害を総称して苗立枯病と呼んでおり、この中で重要なものは下記の4種であるが、他にもリゾクトニア菌や白絹病菌によるものもある。

1 病害の種類及び被害の様子
(1)フザリウム菌 
 Fusarium avenaceum (Fries) Saccardo, Fusarium solani (Martius) Saccardoなど
 地際部の葉鞘や根が褐変し、生育不良となって枯死する。もみに白色ないし淡紅色の菌糸が確認できる。
(2)ピシウム菌 
 Pythium arrhenomanes Drechsler, Pythium graminicola Subramanian, Pythium spinosum Sawadaなど
 フザリウム菌の症状とよく似ているが、地際部の褐変はやや淡く、水浸状となる。萎凋枯死は急激に起こり、育苗箱内の各所が坪枯れ状に枯れる。
(3)リゾープス菌 
 Rhizopus chinensis Saito、Rhizopus oryzae Went et Geerlingsなど
 出芽時に床土表面に白色菌糸がパッチ状に現れ、緑化開始時に箱全体が菌糸で覆われる。
 多くのイネは出芽前に枯れる。
(4)トリコデルマ菌 
 Trichoderma viride (Persoon) Link ex Gray
 地際部の葉鞘や不完全葉が褐変し、葉色は淡く、根は短くなる。床土表面やもみに白色の菌糸塊がみられ、緑化期以降は青緑色の胞子塊ができるので、区別は容易である。
 
2 発病しやすい条件
・育苗施設内の環境は、本病害の発育に適した条件であり、汚染土壌や汚染資材を使用すると直ちに発病する。
・適正な水管理や温度管理がされないとストレスが原因となって発病が促進されることが多い。
 
3 防除対策
・過湿、乾燥を避ける。
・極端な高温、低温にならないよう温度管理を徹底する。なお、イネの生育ステージ、菌の種類によって、本病の発病適温が異なるため、注意する。

・種子消毒、育苗箱への農薬施用を徹底する。
・厚播きを避ける。
・前年に使用した育苗資材は、十分な消毒を実施する。

4 参考文献
  農業総覧 病害虫診断・防除編

 

イネ苗立枯病の写真
イネ苗立枯病(トリコデルマ)