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病害虫図鑑 アブラムシ類(ナシ)

ページID:0271896 掲載日:2020年4月1日更新 印刷ページ表示

1 加害する種類と被害の様子
 ナシに寄生するアブラムシ類は20種以上いるが、主な種類は以下の3種である。
○ナシアブラムシ:葉の表面に寄生し、寄生されると葉は裏面から表面に向けて二つ折れに両縁が巻き、顕著な巻葉となる。発生が多い場合は新梢の茎にも群生して加害する。

○ナシミドリオオアブラムシ:葉裏の主脈に沿って規則正しく並列して加害する。密度が高くなると、衰弱して黄変、落葉する。

○ワタアブナシアブラムシ拡大ラムシ:新梢の先端部を中心に上葉から5~6葉までの葉裏に寄生する。密度が高くなると葉が萎縮し生育が抑えられる。

2 形態
○ナシアブラムシ:体色は鮮黄緑色で、体は卵形、腹部が大きい。角状管は長さが中央の幅の約8倍である。触角は体よりはるかに短い。尾片は長さが角状管の約2分の1で、中央部がわずかにくびれて細く、先は太く丸い。約8本の毛がある。

○ナシミドリオオアブラムシ:ナシミドリオオアブラムシ体色は淡緑色で胸、腹部の背面に3条の縦の鮮緑色の線がある。触角は短大である。角状管は短く円錐形で、多数の毛がある。尾片は半円形で、多数の長毛が生える。脚は細長い。

○ワタアブラムシ:体色は黄色、橙黄色、緑色、濃緑色からほとんど黒色に見えるまで変化がある。触角は体よりはるかに短い。角状管は黒褐色から黒色で、長さにかなり変異があるが、触角3節より長い。

3 生態
○ナシアブラムシ:芽の基部などで卵で越冬する。ナシの発芽始めごろから孵化を始め、発芽展葉とともに増殖ワタアブラムシするが、6月始めごろから中間寄主植物であるハマスゲなどに移動していく。9月中旬ごろから再びナシに帰来して産卵雌虫を生じ、卵を芽の周りに産み付ける。

○ナシミドリオオアブラムシ:ビワ、シャリンバイ、アカネモチ、モッコクなどの葉裏で卵で越冬する。3月ごろ孵化、5月ごろからナシに移動し、夏の間繁殖を繰り返す。10月末~11月ごろ、再びビワなどの冬寄主に移動して産卵雌虫を生じ、卵を葉裏の主脈に沿って産み付ける。

○ワタアブラムシ:ムクゲなどから有翅虫が移動し、ナシでは6~7月に発生が多くなる。ナシでの寄生は8月ごろまでみられるが、その後、有翅虫がムクゲなどに移動し越冬する。ワタアブラムシ拡大

4 防除対策
・卵越冬するナシアブラムシは展葉直後から葉を巻き始めるので、開花前に薬剤を散布する必要がある。
・展開葉を次々に巻いてその中に寄生するので、浸透性殺虫剤の散布が有効である。
・ナシミドリオオアブラムシ、ワタアブラムシ等は他の植物から有翅虫が飛来して増殖するので、初期の発生を把握し、防除することが重要である。

 

アブラムシ

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アブラムシ

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