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病害虫図鑑 ハマキムシ類(ナシ)

ページID:0271880 掲載日:2020年4月1日更新 印刷ページ表示

ナシを加害するハマキムシ類として10種類以上が知られているが、その中で主要なものはチャハマキ(学名 Homona magnanima Diakonoff)、リンゴコカクモンハマキ(学名 Adoxophyes orana fasciata Walsingham)、ミダレカクモンハマキ(学名 Archips fuscocupreanus Walsingham)である。

1 形態
チャハマキ:雌成虫の開張26~37mmで淡黄褐色。幼虫は体長20mm前後、淡暗緑色で硬い葉を食害する。

リンゴコカクモンハマキ:雌成虫の開張14~22mm、前翅は赤褐色。老熟成虫は体長17mm前後、淡黄緑色。

ミダレカクモンハマキ:リンゴコカクモンハマキよりやや小型。 

2 被害の様子
 発芽開始時期から新葉展開期にりん片をつづり合わせたり、開花中の花をつづり合わせて花心や花弁を食害する。発芽時には芽が正常に開かず、りん片がいつまでも残る。展開した葉では1枚の葉を巻き込んだり、成熟した葉を2~3枚重ね合わせたようにつづる。果実に対しては、果面をなめるように食害する。

3 生態
 チャハマキ:年4回位の発生。イヌマキやサンゴジュで幼虫で越冬して、4月上旬から5月下旬にかけて発生した越冬世代成虫が飛来する。越冬世代成虫から生まれた幼虫の世代から増加する。

 リンゴコカクモンハマキ:ナシの粗皮の間隙やナシノカワモグリ(ナシホソガ)の被害部などで、3齢前後の幼虫が白い薄い繭を作って越冬する。萌芽期頃活動を開始して満開期頃までには越冬場所を離れて、りん片や花弁をつづったり、新芽や幼果を食害するといった被害を与え始める。年4~5回の発生。成虫の発生時期は、第1回が5月、第2回が6月中旬~7月上旬、第3回が7月下旬~8月中旬、第4回が9月。早く経過したものは10月頃第5回成虫が現れる。10月終わり頃幼虫は越冬場所へ移動する。

 ミダレカクモンハマキ:100個程の暗褐色の卵からなる卵塊がナシの樹幹や表面に産み付けられて、この卵の形で越冬する。年1回の発生。3月下旬~4月上旬頃からふ化し始める。幼虫は発芽、開花期頃から加害し始めるが、5月には成虫となり越冬卵を産む。

4 発生しやすい条件
・ナシ園で越冬する種については、ナシホソガの被害や粗皮が多い管理の行き届かない園で、越冬場所が多くなることから発生しやすい。
・チャノコカクモンハマキの発生量は前世代の発生量と関係が深い。
・越冬世代と第1世代は高い相関関係がある。

5 防除対策
・ナシ園で越冬する種については、粗皮削りなどを行い越冬量を少なくする。
・発芽から開花期は越冬の場所や形態を問わず加害部位に集まってくる時期でしかも虫の生育ステージがそろっている時期であり、防除効果が上がりやすいので、この時期をねらって薬剤防除する。
・1年間に数世代を繰り返すタイプの種には、それぞれ卵からふ化した若齢幼虫期に防除を行う。