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病害虫図鑑 スクミリンゴガイ

ページID:0271754 掲載日:2020年4月1日更新 印刷ページ表示

学名 Pomacea canaliculata Lamarck

1 形態
 主にジャンボタニシの名で知られている。
 分類学上では、軟体動物腹足類タニシモドキ科に位置した甲殻類である。外套腔が空気呼吸と水呼吸できるよう上下に2分している。石灰質の蓋をもち、殻の螺層の縫合がくぼんで溝状になっているのがこの貝の特徴である。殻高3cm以上は成貝とみなされている。雌貝は雄貝より大きいが、外観的に雌雄の区別は難しい。

2 被害の様子
 この貝は水中で腹足により植物に吸着しながら、茎葉を食害する。イネ稚苗では、茎を食いちぎり、葉鞘を食害する。他に食べ物がないと根まで食い荒らす。ただし、水稲では水深1cm以下では食害はみられない。
 なお、この貝の食性は広く、主に水田雑草のウキグサ、セリ、アゼナ等を好んで食べ、各種植物とも発芽期の幼植物や軟らかい植物を好んで摂食する。よってこの種の雑草植物がないとイネ稚苗、レンコンの浮葉を食害する。

3 生態
 通常の生活は水中が主体で、雌貝は主に夜間水上に移動し産卵する。産卵は、用排水路のコンクリート壁面、杭棒、畦畔雑草の茎、水田等にあっては、イネの茎や畦波トタン(ビニール波板)、レンコン田ではレンコンの立葉の茎など、植物体、人工物のいずれでも産みつける。
 卵は、数十個から数百個の卵粒を塊で産みつけ、通常1つの雌貝の産卵回数は1晩に卵塊1個のようであるが、外的条件によっては2卵塊産む例が記述されている。
 卵期間は、積算温度によって差異があるが、 25℃の条件下で平均15.4日で、最短で9日、最長で37日を要し、一般に昆虫卵のような斉一度はない。産卵直後の卵塊は鮮やかな紅赤色で、孵化直前になると灰色から白色に変色する。孵化した幼貝は、水中に落下し直ちに水中生活を始める。
 なお、産卵直後の卵塊は、水中に落した場合、一定期間を経過しても水中では孵化しないが、産卵10~13日後の卵塊では水の浸漬を受け孵化することが熊本農試の試験で確認されている。
 産卵は、暖かい条件下では4月中旬頃から始まり、 11月上旬頃まで続き、最盛期は6月~8月である。孵化した稚貝は、早いもので50日後には産卵がみられ、夏期は2か月で成貝に成長する。 

4 防除対策
・産卵直後の卵塊は、水中に落とすだけで、殺卵効果がある。
・冬期にほ場を耕起し、土中の越冬虫の密度を下げる。
・常発地帯では、育苗箱施薬や本田期の粒剤防除を行う。

スクミリンゴガイ成貝

スクミリンゴガイ成貝

 スクミリンゴガイ卵スクミリンゴガイ卵

スクミリンゴガイ卵