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病害虫図鑑 トマト灰色かび病

ページID:0334541 掲載日:2021年4月1日更新 印刷ページ表示

1 病原菌

 学名 Botrytis cinerea Persoon (糸状菌 不完全菌類)

 

2 被害の様子

 果実、花弁、葉などに多く発生するが、茎、葉柄にも発病する。幼苗期や定植直後の茎の地際に発生すると被害部は褐変し、灰色のカビを生じ、病勢が激しいと株全体が枯死することがある。また地際より上の茎に発生すると、紫褐色に囲まれた暗褐色で楕円形の大型病斑となる。病斑が茎を一周すると、その部分から上がしおれて枯死する。幼果では、咲き終わった花のしぼんだ花弁に灰色のカビを密生し、花落部から幼果全体に拡がる。未熟果では被害部は水浸状となり、その表面に灰色のカビを生じ軟化腐敗する。地際に近い果実で発生しやすい。発生が多い場合は、果実の表面に2~3mmの白色リング状の病斑(ゴーストスポット)を生じることもある。

 

3 病原菌の生態

 本菌は、傷口や枯死した部分から侵入する。

菌の発育適温は23℃。最低2℃。最高31℃。一般に低温では胞子を形成しない。また胞子の飛散は曇雨天のときに多く、快晴時にはほとんど行われない。

伝染源:菌糸、分生胞子の形で被害組織中で越年し、伝染源となる。菌核はまれに形成され、土中でも越年する。

寄主:キュウリ、イチゴ、トマト、ナスなど多くの野菜、花き類、果樹類

 

4 発生しやすい条件

・20℃くらいで多湿のときに発生しやすい。

・12月~4月頃にかけての温室やハウス栽培に発生が多い。

・密植しすぎたり、軟弱な成長となったり、過繁茂になると発生しやすい。

・朝夕の急激な冷え込みは、本病の発生を著しく助長する。

・花落ちの不良な品種に発生しやすい。

 

5 防除対策

・換気を図り多湿にならないようにする。

・マルチを行い、土壌からの病菌の伝染を防止する。

・受精を終わった花の花弁は摘み取り、病原菌が侵入するのを防ぐ。

・発病果、発病葉は速やかに取り除、焼却する。。

・発病前から、薬剤散布を行い予防する。薬剤は7日に1回くらいの割合で散布する。

・同一系統の薬剤を連用せず、必ず他系統の薬剤とローテーションする(耐性菌対策)。

灰色かび病発病果実

灰色かび病発病果実

灰色かび病発病葉

灰色かび病発病葉

白色リング状の病斑(ゴーストスポット)

白色リング状の病斑(ゴーストスポット)

灰色かび病茎の症状

灰色かび病茎の症状

 

参考文献

農業総覧 病害虫防除・資材編