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病害虫図鑑 トマトかいよう病

ページID:0272999 掲載日:2020年4月1日更新 印刷ページ表示

1 病原菌
 学名 Clavibactaer michiganensis subsp. michiganensis(Smith 1910)Davis, Gillaspie,
Vidaver and Harris 1984(細菌)

2 被害の様子
 内部組織が侵されて茎葉が萎凋しその後枯死する症状と、小葉が黒褐色に変色して枯死する症状が見られる。一般的に苗床や幼苗では発病せず、ほ場に定植した後に発生する。
 萎凋症状を示す場合は、はじめ下葉や葉柄に萎れが現れ、葉縁から乾燥して次第に上方に巻き上がり、やがて葉脈間が黄変し、葉全体が褐変し枯死する。茎を切断すると、維管束が淡褐色に変色し、病勢の進んだものでは柔組織が淡褐色に変色し崩壊して粉状となり、激しいときは柔組織が消失して空洞となる。
 果実では白色でわずかに盛り上がった斑点を生じ、後には灰色から褐色になって堅くなり、中心部に亀裂が生じる鳥目症状が見られるとされているが、このような症状を示さない場合が多い。
 冬春トマトの施設栽培では、主に管理作業による二次伝染と考えられる、萎凋症状を示す場合が多い。病勢の進展は露地栽培に比べて一般的に緩慢で、促成栽培では着果負担がかかり始める頃から発病が見られ、冬期の低温時にも新たな発病株が見られる。
 萎凋症状のみの場合には、青枯病、萎凋病、半身萎凋病など維管束が褐変し、萎凋症状を示す他の病害との判別が難しい。また、青枯病ほど顕著ではないが、水中での維管束からの白色菌泥の流出が見られることがある。葉縁が萎れて煮えたように黒変する症状は疫病に似ている。

3 病原菌の生態
 桿状細菌の一種で鞭毛はなく、大きさは0.7~1.2×0.6~0.7μm。植物病原細菌では数少ないグラム陽性菌。菌の発育適温は25~27℃、最適pHは6.9~7.9。トマトのみを侵す。
 種子伝染、接触伝染、土壌(主に罹病残渣)伝染をする。その他に、育苗時の頭上灌水や薬剤散布時に二次伝染するとの報告がある。

4 発生しやすい条件
・多湿。特に傷口の濡れ。

5 防除対策
・種子消毒(乾熱または温湯)をする。
・使用資材、土壌等の消毒を行う。土耕栽培では太陽熱や熱水による土壌消毒の効果が高い。
・施設内の湿度を下げる。マルチ内灌水や通路に籾殻を敷く等するとともに、暖房機が稼働しない場合も換気や送風を積極的に行う。
・管理作業時は、使用するハサミや手指の消毒を行う。
・曇雨天時や早朝等の茎葉がぬれている時間の摘芽、摘葉、つる下げ等の管理作業は避ける。
・発病株は早期に除去し、適切に処分する。

トマトかいよう病

トマトかいよう病

トマトかいよう病発病激発ほ場

トマトかいよう病発病激発ほ場