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病害虫図鑑 トマト黄化葉巻病

ページID:0273000 掲載日:2020年4月1日更新 印刷ページ表示

1 病原ウイルス
 学名 Tomato yellow leaf curl virus (TYLCV)

2 被害の様子
 はじめ新葉の縁が退色しながら葉巻きし、後に葉脈の間が黄化し縮れる。さらに症状が進むと、葉はちりめん状になり、節間は短くなり、株は萎縮する。
 特に生育初期に感染すると病徴は甚だしく、生育は停滞し、多数の萎縮したわき芽が出るため叢生状態になる。また、病勢が進んだ株では、小葉の縁が葉の裏側に巻き込み球状になったり、小葉が退化して棒状になるなどの奇形葉が現れる。
 発病前に着果した果実は、比較的健全であるが、発病後は、普通は開花することはなく、開花しても不稔となることが多く、商品価値のある果実の生産は望めない。

3 病原ウイルスの生態
 TYLCVはベゴモウイルス属の一種で、タバココナジラミにより媒介される。タバココナジラミは幼虫、成虫ともにウイルスを獲得でき、罹病株を吸汁し、約1日の潜伏期間を経た後に伝搬能力を持ち、かなり長期間ウイルスを伝搬できるが、経卵伝染はしない。タバココナジラミによる伝染のみで、種子伝染、土壌伝染、汁液伝染、その他の虫媒伝染はしないとされている。タバココナジラミには、遺伝子型や生物学的性質が異なる系統(バイオタイプ)が20種類以上存在するが、日本国内には在来系統、バイオタイプB及びQが分布している。バイオタイプQは薬剤抵抗性が発達しているため、防除対策上の問題となっている。
 本ウイルスにはイスラエル系、マイルド系と呼ばれる系統があり、日本では両系統が分布している。
 本ウイルスの感染植物の範囲は、ナス科、キク科、マメ科、アオイ科、リンドウ科、トウダイクサ科で、経済作物でウイルスが感染し発病が確認されているのは、トマト、ミニトマト、トルコギキョウ、インゲン、ペチュニアである。

4 発生しやすい条件
 虫媒伝染性のウイルス病であるため、媒介昆虫であるタバココナジラミが多発生する季節や年に発病が多い。

5 防除対策
(1)侵入防止対策
・ハウス開口部へ防虫ネット(目合い0.4mm以下)を展張する。
(2)栽培ほ場での対策
・ハウス内に侵入したタバココナジラミの発生を抑制するため、定植時に粒剤を処理する。
・薬剤抵抗性の発達を防ぐため、ローテーション防除を行う。
・ハウス内の発病株は見つけ次第抜き取り、埋没またはビニル袋に入れて熱殺処分する。
(3)分散防止
・作期終了時には、作物が枯死するまでハウスを密閉し、ハウス内のタバココナジラミの野外への分散を防止する。

トマト黄化葉巻病発病葉

トマト黄化葉巻病発病葉

タバココナジラミ蛹(左)と成虫(右)

タバココナジラミ蛹(左)と成虫(右)