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病害虫図鑑 コナジラミ類(野菜共通)

ページID:0272994 掲載日:2020年4月1日更新 印刷ページ表示

野菜を加害するコナジラミの主要種は、タバココナジラミ(Bemisia tabaci (Gennadius))とオンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum  (Westwood))の2種である。 

タバココナジラミ
学名 Bemisia tabaci (Gennadius)

オンシツコナジラミ
学名 Trialeurodes vaporariorum (Westwood)

1 形態
・成虫=両種とも体長1.0mm程度で、体色は白色。両種は酷似しているが、タバココナジラミはわずかに翅を開いて静止する個体が多く、オンシツコナジラミは翅を背中で合わせてたたんで静止する個体が多い。
・卵=両種とも産卵直後は淡黄色。タバココナジラミは孵化直前に淡褐色、オンシツコナジラミは黒褐色になる。
・幼虫=両種とも1齢幼虫は歩行が可能であり、2齢幼虫以降は定着する。
3,4齢幼虫はタバココナジラミは平滑で、中央部が少し山形に膨らんでおり、突起物は少ない。全体的に黄色。オンシツコナジラミは小判型で全体的に厚みがあり、体表から分泌物が針状に伸びるため、刺毛のように見え、全体的に白っぽい。

2 被害の様子
 コナジラミ類による主な被害は、成虫及び幼虫の吸汁加害による生育抑制と、排泄物にすすが発生することによる葉や果実の汚れ及びそれに伴う光合成の阻害である。
 タバココナジラミは多発生すると、トマトでは着色異常果となり、カボチャの葉、キャベツの茎や葉柄、セルリーの葉柄、ミツバの葉柄は白化することがある。
 コナジラミ類は様々な病原ウイルスを媒介する。タバココナジラミは、トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)、キュウリ退緑黄化ウイルス(CCYV)、トマト退緑ウイルス(ToCV)などを媒介する。オンシツコナジラミはビートシュードイエロースウイルス(BPYV)、トマト退緑ウイルス(ToCV)などを媒介する。

3 生態
・タバココナジラミは、野外では、成虫は4~11月まで見られ、夏に発生が多い。低温に弱いため、降霜地帯では野外越冬できない。施設栽培では周年で発生する。
・オンシツコナジラミは、寒さに比較的強いので、野外で越冬できる。冬から初夏の施設栽培で発生が多い。成虫は生長点や若い新芽を好み、葉裏に産卵する。
・25℃で卵から成虫になるまでの期間は、両種ともほぼ同じで約23日である。
・タバココナジラミには、外観は同じだが、遺伝子型や生物学的特性が異なる複数のバイオタイプが存在する。国内では、バイオタイプBとQ、JpL(在来系統)、Nauruが確認されている。バイオタイプQは薬剤抵抗性が発達しているため、防除対策上、問題となっている。バイオタイプは遺伝子診断でしか判別できない。

4 防除対策
・施設栽培の場合、開口部へ防虫ネット(目合い0.4mm以下)を展張する。
・定植時に粒剤を処理する。
・早期発見に努め、発生密度の低いうちから防除に努める。黄色粘着板で発生のモニタリングを行うことも有効である。
・薬剤抵抗性の発達を防ぐため、ローテーション防除を行う。
・タバココナジラミバイオタイプQは多くの薬剤の感受性低下が報告されているため、効果の高い薬剤を選定する。
・施設栽培の場合、作期終了時には、作物が枯死するまで施設を密閉し、コナジラミ類の野外への分散を防止する。
・施設ナスや施設キュウリでは、発生密度の低いうちから、天敵製剤(スワルスキーカブリダニなど)を利用する。

タバココナジラミ幼虫

タバココナジラミ幼虫

タバココナジラミ成虫

タバココナジラミ成虫

オンシツコナジラミ幼虫

オンシツコナジラミ幼虫

オンシツコナジラミ成虫

オンシツコナジラミ成虫