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2016年職員仕事始め式あいさつ(1月5日)

ページID:0385962 掲載日:2022年3月24日更新 印刷ページ表示

職員仕事始め式あいさつ

   あけましておめでとうございます。
   昨年は、リニア中央新幹線、燃料電池自動車FCV、国産初のジェット旅客機MRJという、日本の未来を創るプロジェクトが大きく動き出した年でした。中でも、11月の県営名古屋空港におけるMRJの初飛行は、半世紀ぶりとなる国産旅客機の量産という大きな夢を乗せた飛行であり、その記念すべき日を愛知で迎えられたことは、当地域の航空宇宙産業の発展に大きな弾みとなるものと大変うれしく思っています。
   ここ愛知県は、日本の中心に位置し、日本一のTechnology(技術)とTradition(伝統)を誇る、我が国の産業の中心地であり、まさに“Heart”of JAPANです。日本の未来を創るプロジェクトが愛知を舞台に花咲こうとしている今、愛知の強みを更に進化させてまいりたいと思っております。
  さて、今年は申年です。毎年、職員仕事始め式あいさつ干支にちなんだ書き初めを行っていますが、猿から連想されるものといえば、誰もが知る中国の古典『西遊記』に登場する孫悟空があります。そこで、今年は、きんと雲に乗って大空を駆け巡って大活躍する孫悟空をイメージして、「飛猿乗雲(ひえんじょううん)」と書かせていただきました。自由自在に空を飛ぶ孫悟空のように、愛知県も自由な発想で県政を取り巻く様々な課題に取り組んでいきたい。そして、孫悟空が数々の敵と対峙(たいじ)し、様々な困難を乗り越えて、ついには天竺へたどり着いたように、愛知も常に新たな課題に果敢に挑戦していきながら、更なる発展・飛躍を遂げてまいりたい。そういう思いを込めて、「飛猿乗雲」といたしました。ぜひ、今年は愛知が一段と発展する年にしたいと思います。

   そのためには、まず、世界に発信する「中京大都市圏」づくりです。2027年度のリニア開業を見据え、5,000万人規模のリニア大交流圏の西の拠点として、ヒト・モノ・カネ・情報を呼び込むことができる大都市づくりを目指し、鉄道・道路の整備を着実に進め、名古屋駅を起点とした40分交通圏の拡大を図るとともに、名古屋駅のスーパーターミナル化を進めてまいります。
  また、今年2月には、いよいよ新東名高速道路の愛知県区間が開通します。我が国の産業・経済・暮らしを支える「日本の新たな大動脈」として大きな役割を果たすことが期待されていますが、あわせて、中部国際空港の2本目滑走路の実現や路線の拡充、物流の拠点となる港湾の機能強化などインフラの整備を進めてまいります。
  そして、全国初となる有料道路コンセッションの取組についても、いよいよ民間事業者による運営が開始されます。民間事業者の創意工夫による低廉で良質な利用者サービスの提供と利便性の向上、さらには沿線開発等を行うことにより、この地域の更なる活性化と国際競争力の強化にしっかりと取り組んでまいります。
 そして、製造品出荷額等38年連続日本一を誇る、愛知の産業力をより一層強化してまいります。
 現在、県営名古屋空港隣接地でMRJの量産工場の建設が進むほか、ボーイング787の増産も始まるなど、航空宇宙産業の一大拠点が完成しつつあります。また、昨年11月のH-2Aの商業衛星打ち上げ成功を機に、我が国が世界の宇宙ビジネスの市場での存在感を高めつつある中、更なる産業集積に力を入れていくとともに、航空宇宙産業分野における人材育成の強化にも積極的に取り組み、「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター」形成の実現に向けた取組を発展させてまいります。
  さらに、次世代産業の育成・振興として、自動車の自動走行や無人飛行ロボット、リハビリ遠隔医療・ロボットといった最先端技術の実現に向けた近未来技術実証プロジェクトを積極的に推進し、新たなビジネスモデルをこの愛知から発信してまいります。
  そして、引き続き「産業空洞化対策減税基金」を活用した企業立地や研究開発支援を推進するとともに、愛知の産業を支える中小企業支援や雇用対策などにも、しっかりと取り組んでまいります。
  また、全国有数の農業県・愛知として、TPP協定の発効も見据えた農林水産業の強化やブランド力のアップ、さらにはICTの活用など一層の振興に力を入れるとともに、52年連続生産額日本一を誇る「花の王国」として、愛知の花の魅力のアピールに積極的に取り組み、更なる需要の拡大を図ってまいります。

   国家戦略特区を活用した規制緩和にも積極的に取り組んでまいります。昨年8月に区域指定を受けて以降、全国初となる有料道路コンセッションや、農業、医療、教育、雇用・労働などの分野で特区制度を活用した具体的な取組を進めています。さらに、近未来技術の実証や外国人の産業人材の受入れに関する規制緩和についても、早期実現を目指してまいります。今年も引き続き特区の取組を活用し、国内最大のモノづくりの集積地として、我が国の成長を牽引する成長産業・先端技術の中枢拠点の形成に向け、全力で取り組んでまいります。

   もちろん、こうした取組のためには、愛知の未来を支える「人財力」の強化が重要です。今年4月に開校する県立愛知総合工科高等学校は、次世代自動車産業や航空宇宙産業など次世代のモノづくりに必要な技術・技能を総合的に学べる新しい形の工業高校であります。特区制度を活用しての平成29年度からの専攻科の公設民営化についても着実に進め、企業や大学等と連携して、生産現場で「今」必要とされる生きた技術・技能を学べる、日本一・世界一の工業高校を目指してまいります。
  そして、産業首都あいちを支えるモノづくり技能を次代の若者に継承していくため、技能五輪全国大会の愛知県での定期的な開催と、青年技能者が一層輝く夢舞台として技能五輪国際大会の誘致に力を入れてまいります。
  また、地域の発展・成長に不可欠な女性の活躍を促進するとともに、障害のある方々の雇用促進についても、「全国アビリンピック」の開催誘致や職業能力開発の充実などに取り組んでまいります。
  さらには、「人づくり」の核となる学校教育についても、「第三次愛知県教育振興基本計画」及び「愛知の教育の大綱」を今年度中に策定することとしております。次代の愛知を担う子どもたち一人一人の個性や可能性を伸ばす、きめ細かな教育を充実させていくとともに、学びがいのある魅力的な教育環境づくりをしっかりと進めてまいります。
 こうした取組を通じて、すべての人が輝き、活躍する愛知づくりを全力で進めてまいります。

   訪日外国人旅行者数は、依然、好調な伸びを示しており、本年も、引き続き、この勢いが持続するものと見込まれます。
  愛知県では、昨年、「あいち観光元年」を宣言するとともに、「“Heart”of JAPAN~Technology&Tradition」を新たなキャッチワードとして定めるなど、観光集客を新たな戦略産業と位置づけたところであり、今年度末には2020年を目標年次とした「あいち観光戦略」を策定することとしております。
  この戦略に基づき、訪日客誘致に向けたプロモーションと受入態勢の強化、観光資源の充実とブランド化の推進などに力を入れ、愛知の魅力を国内外に広く発信し、より多くの観光客をこの愛知に呼び込んでまいりたいと思います。

   今後の人口減少と超高齢社会を見据え、「次期あいち健康福祉ビジョン」や「地域医療構想」を策定するなど、将来のニーズに合った医療福祉の充実にもしっかり取り組んでまいります。
   特に、医療施設等の整備については、「あいち小児保健医療総合センター」において、小児専用の集中治療室などを備えた救急棟を整備し、2月から小児三次救急医療を開始いたします。さらに、新生児医療に対応するための整備も進めているところです。
   また、県内の精神科医療の先進的かつ中核的病院として、県立城山病院を全面改築した「愛知県精神医療センター」が2月に一部オープンいたします。精神科救急医療への対応を強化するとともに、高度な精神科専門医療を提供するため、引き続き整備を進めてまいります。
  さらに、重症心身障害児者施設については、民間初となる「一宮医療療育センター」、県立の「三河青い鳥医療療育センター」及び「医療療育総合センター」が今年開所いたします。重症心身障害児者の方が身近な地域で医療や療育などの支援を受けられるよう、引き続き一層の充実を図ってまいります。

   もちろん、県民の皆様の安全・安心を確保することも重要です。
  発生が危惧される南海トラフ地震などの大規模地震に備え、「愛知県地域強靱化計画」に基づいた住宅・建築物などの耐震化を進めるとともに、ゼロメートル地帯における広域的防災体制の強化に向けた取組を進めてまいります。
  また、昨年は、これまで減少傾向が続いていた交通事故死者数が前年を上回るという大変残念な状況となりました。交通安全啓発や取締りの強化に加え、自動車安全技術への支援などを通じて、交通事故の抑止、交通事故死者数の減少に、県民一丸となって取り組んでまいります。

    さて、愛知県には、日本一の産業県としての高い産業力・技術力に加えて、愛知万博、COP10、ESDユネスコ世界会議により培われてきた県民の皆様の高い環境意識があります。こうした特長を生かして、環境施策においてトップランナーである「環境首都あいち」を目指していきたいと考えています。
  そのため、持続可能な未来のあいちの担い手の育成や環境配慮行動「エコアクション」の促進、次世代自動車の普及促進など地球温暖化防止への取組のほか、COP10において採択された「愛知目標」の達成に向けた生物多様性の保全に積極的に取り組んでまいります。
  これらの取組をしっかりと進め、この地域から、世界、そして、地球の未来に向けて、持続可能な社会の実現に貢献していきたいと考えています。

   スポーツには、人を感動させる力があり、また、多くの人を呼び込む力があります。今年も、様々なスポーツ大会を誘致・開催して愛知県を大いに盛り上げていきたいと考えています。
  2020年のFIFAフットサルワールドカップ招致については、今年いよいよ開催国が決定される予定であり、愛知県の充実した競技環境などをしっかりとアピールしてまいります。先に開催が決まった2019年のラグビーワールドカップと合わせ、着実に準備を進め、開催に向けて機運を盛り上げてまいります。

   また、こうした取組を進めていくにあたっては、より一層効果的・効率的な行政運営を行っていくことも必要です。国からの権限・財源の移譲など地方分権を推進していくとともに、財源確保や経費の節減、未利用県有財産の有効活用など、歳入歳出全般にわたる行財政改革を着実に進めてまいります。

   そして、愛知県が元気であるためには、県内の各地域が元気でなければなりません。東三河地域は、豊かな自然や歴史に培われた伝統文化など、優れた地域資源を有しています。新東名高速道路の開通を機に、東三河地域の一層の振興に努めるとともに、今年度末までに策定する新たな山村振興ビジョンに基づいた三河山間地域の振興や、離島の活性化などにも力を注いでまいります。
  愛知県は、日本一の産業県であり、自然増・社会増の両方を維持しながら、人口増加を続けている数少ない県であります。昨年策定しました「愛知県人口ビジョン、まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、幅広い政策に総合的に取り組み、持続的でバランスある愛知の発展を図ってまいります。

    さて、今年は5月に三重県で伊勢志摩サミットが開催されます。愛知は、そのゲートウェイとして関係者の受入れに万全を期することはもちろん、これを好機と捉え、来日する多数の海外メディア関係者に対し、産業観光や武将観光、日本一の山車からくり、なごやめしなど、愛知が世界に誇る様々な魅力を積極的にPRしてまいります。
  この年明けから日本が正式にサミット議長国になり、国においても本格的に体制が強化されることから、本県としてもサミット対策室の増員、外務省への職員追加派遣を行い、しっかりと対応してまいります。

   そして、今年は、8月から12月にかけて、「あいちトリエンナーレ2016」、「第31回国民文化祭・あいち2016」、「第16回全国障害者芸術・文化祭あいち大会」と、大規模な文化行事を連続して開催する「芸術・アートの年」でもあります。最先端の現代アートから県内各地域で保存・継承されてきた伝統文化、さらに障害者アートまで、多様な魅力あふれる文化芸術作品を、この愛知で存分にお楽しみいただき、愛知の文化の多様さ、豊かさを多くの皆様に感じていただきたいと思います。

   こうした取組を通じ、愛知の総合力を一段と高め、「日本一元気な愛知」の実現に全力で取り組んでまいりますので、県民の皆様の一層の御理解と御支援をお願い申し上げます。
   そして、今年1年が、県民の皆様にとりまして幸せな1年となりますよう心から御祈念申し上げ、新年の御挨拶とさせていただきます。