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令和5年度外部評価結果

ページID:0495442 掲載日:2023年12月7日更新 印刷ページ表示

令和5年度愛知県農業総合試験場外部評価会議の開催状況

1 日時

  令和5年10月13日(金曜日)午後2時から午後5時まで

2 場所

  愛知県農業総合試験場 中央研究棟 第1会議室・研修ホール

3 評価委員(敬称略)

令和5年度愛知県農業総合試験場外部評価委員
所属・職名 氏名
名古屋大学大学院生命農学研究科 教授 浅川 晋(座長)
株式会社CBCテレビ 報道・情報制作局 専任部長 伊藤 博康
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 基盤技術研究所 所長 井上 孝司
生活協同組合コープあいち 参与 平光 佐知子

4 評価内容

  「愛知県農林水産業の試験研究基本計画2025」に基づき実施した試験研究(研究課題)に関する評価について

5 報告

  会議座長の浅川 晋氏から次のとおり評価結果票が提出されました。

令和5年度農業総合試験場外部評価結果票

評価結果の総括

 担い手の減少と高齢化、人手不足が進む中、農業経営の革新と産地強化、環境保全を図りつつ、安全・安心・良質な農畜産物を安定供給するという使命に応えるため、日々地道な努力と工夫を重ね試験研究・技術開発に取り組まれていることに敬意を表します。従来からの多収・高品質化、高収益・省力化に加え、スマート化、気候変動への対応、持続的農業の推進、ブランド力の強化、さらには国により策定された「みどりの食料システム戦略」への対応と、農業には多種多様な課題へ対処することが求められています。コロナ禍とウクライナ紛争に伴う物流停滞や輸出規制は肥料・飼料・燃料などの生産資材費の高騰あるいは供給不足を招き、それらの多くを輸入に依存する国内農業はさらに難しい課題への対応が迫られています。加えて、世界で情勢不安は続いており、食料安全保障の観点から国内生産による食料供給は今後一層重要性を増すと思われます。このような複雑かつ困難な状況下、今回の評価対象課題は、それぞれのニーズと背景に対し適切な目標を定め計画を策定して試験研究を実施し、概ね着実に成果を上げていると評価できます。

 産学等との共同研究による関連分野の知見や技術の積極的な導入および必要な場面での場内の他部門との連携の取り組みが順調に進められていると評価します。新技術の実装化・普及には生産者・消費者等のニーズとのマッチング、効果的な普及方法や広報・啓発活動の検討も重要です。農業技術開発は長年にわたる地道な研究活動が基盤となっており、以前にも増して高度化・複雑化した問題に対応すべき試験研究課題が多くなっていると思います。それらを支える基盤的な試験研究予算を継続的に手当てし、専門性に配慮した人材養成・配置を行っていくことが重要であると考えます。

(研究テーマ) キャベツの追肥可変施肥システムによる生育斉一性向上技術の開発

研究テーマの設定について

 出荷量全国一を誇る県産キャベツの大規模農家を対象に、生育のバラツキのため複数回行っている収穫作業を、圃場内での生育を揃えて収穫回数の削減を目指す課題であり、農作業省力化と生産コスト削減に貢献する重要なテーマ設定と評価します。

研究の取り組み状況について

 既存の乗用管理機で活用可能なシステムを目指し、深層学習を利用してキャベツの生育程度を把握するセンシング方法を開発済みである点を高く評価します。生育のバラツキの要因は養分以外にもありうるため、その点の診断・評価が必要と思います。

今後の計画について

 センシングの多品種対応や開発施肥機による実証等を行う計画は妥当であり、斉一性向上効果の検証試験に期待します。収穫作業時間や施肥量削減の数値目標を明示すると良いと思います。また、他の野菜栽培や有機栽培等への展開も期待します。

総合評価:B(A~Dの4段階評価)​

 

(研究テーマ) 農薬耐性菌を見逃さない!簡単・迅速な遺伝子識別手法で農作物を病害から守る

研究テーマの設定について

 施設野菜の重大病害である灰色かび病の農薬耐性菌を遺伝子変異の検出により簡便・迅速に診断する手法を開発する課題であり、無駄な農薬散布を回避し、農家への適切な防除法の指導と環境負荷低減に繋がる重要なテーマ設定と評価します。

研究の取り組み状況について

 2種の殺菌剤に対する耐性変異株の検出法を開発済みで、県内の耐性菌の発生状況を一部明らかにしており、順調に研究を進めていると評価します。さらに、農家の意識改革や行動変容に繋がる啓発活動を積極的に行っている点は高く評価します。

今後の計画について

 残り1系統の殺菌剤に対する耐性変異株の検出法を確立し、県内の耐性菌の発生状況を明らかにする計画は妥当と評価します。今後、農家が本技術による耐性菌の診断を簡便・安価に利用できるよう、どこで(県、民間、農協)どのように(有償、無償)普及・展開するのか検討が必要であり、消費者へのアピールも重要かと思います。

総合評価:A(A~Dの4段階評価)

 

(研究テーマ) 黒毛和種肥育牛における食肉脂肪中のオレイン酸割合向上技術の開発

研究テーマの設定について

 すでに十分向上している歩留・肉質以外の特性として食味に着目し、未利用資源の活用によりオレイン酸の割合を高める技術を開発しようとする課題であり、みかわ牛のブランド力向上に寄与するテーマ設定と評価します。

研究の取り組み状況について

 計画通りの取り組みが行われていると評価します。オリーブ粕配合飼料の肥育後期の給与ではオレイン酸含量の向上効果は認められておらず、今後の試験に期待します。コストや調達面から、オリーブ粕以外の配合資材の検討も必要かと思いました。

今後の計画について

 給与量や給与期間を変えデータを得ることは必要と評価します。さらに、例えば、県独自の配合資材やオレイン酸以外の特性の付与などにより、他県との差別化、複数の視点でブランド力の向上を図ることも必要かと思います。また、近年の消費者に見られる肉食に対する意識変化についても考慮すべき点と考えます。

総合評価:C​(A~Dの4段階評価)

 

(研究テーマ) 直売、観光農園に適したイチゴ促成栽培用系統の開発

研究テーマの設定について

 県でほぼ半数を占める直売、観光農園でのイチゴ生産に適した促成用系統を開発する課題であり、重要かつ新しい視点によるユニークなテーマ設定と評価します。農業以外の分野への波及も期待できます。

研究の取り組み状況について

 観光農園のニーズ調査を行い、交雑、一次選抜を進め候補系統の選出を行っており、順調に研究を進めていると評価します。消費者のニーズも考慮されることが望ましいと思います。

今後の計画について

 候補系統の現地適応性試験、有力系統の評価、品種化へと進む計画であり、妥当と評価します。直売、観光農園での新たな品種として、PR・啓発活動を行い、県のイチゴのブランド力向上への貢献に期待します。また、将来の新規参入の拡大にも繋がることを期待しています。

総合評価:A(A~Dの4段階評価)

 

問合せ先

愛知県農業総合試験場
研究戦略部 企画調整室
電話: 0561-62-0085 内線323
E-mail: nososi@pref.aichi.lg.jp