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漁場環境研究部漁場保全グループ
苦潮(青潮)について
苦潮は、三河湾で夏から秋にかけて沿岸域の海水が青白色から青緑色に濁る現象のことで、東京湾などでは青潮とも呼ばれています。
これは沖側の海底に溜まった酸素濃度の乏しい海水(貧酸素水塊)が、風の影響で沿岸の海面にまで上昇してくることによりに発生します。この貧酸素水塊は硫化水素を含んでいるため、苦潮が出現しているときは卵の腐ったような臭いがすることもあります。
苦潮が発生すると、酸素が乏しく有毒な硫化水素が含まれた海水で沿岸域が覆われるため、アサリなどの貝類がへい死して、ときには漁業に大きな被害が生じます。
苦潮による海水の変色は、海底から上昇してきた硫化水素が海面付近で酸素と反応してイオウの粒が生成することにより起こると考えられています。
漁場保全グループでは、伊勢・三河湾で貧酸素水塊が発達する6月から10月にモニタリング調査を行い情報提供しています。

平成19年7月に蒲郡市地先で発生した苦潮。イオウの粒により海水が白濁しているように見えます。
毒化原因プランクトンについて
下痢や神経麻痺を引き起こす貝毒は、ある特定のプランクトンに含まれ、食中毒の原因となります。このプランクトンをアサリなどの貝類が食べて、体内に有毒成分を蓄積することにより貝類が毒化します。
貝類が毒化する原因となるプランクトンとして、下痢性の貝毒にはディノフィシス属の一部などが、麻痺性の貝毒にはアレキサンドリウム属の一部などが知られています。
漁場保全グループでは、定期的に貝毒原因プランクトンのモニタリング調査を行っています。
最新の貝毒情報は、農林水産部水産課のページで提供しています。
【水産課の貝毒情報のページへ】

アレキサンドリウム属の一種
最近の主な研究成果
- 有害プランクトン発生予察
- 三河湾における栄養塩類の動向