ご参考となる取組事例

指導者マニュアル

第1章〜第7章

実践取組事例3

細かいところまで目の届いた柔軟性のある研修を

愛知商工連盟協同組合

外国人材(受け入れ)にかかる課題

●学習面
・送出機関により日本語レベルにばらつきがある。
・同じ送出機関でも日本語レベルにばらつきがある。
・少人数が望ましいが、時間や経営上、難しいため、実際は20人ほどの集合講習になってしまう。
・授業活性化のため、実習生同士のやりとりの活動を多く取り入れたいが、コロナ禍のため、自由にはできない。
・リモート学習の場合、集中が途切れてしまう学習者がいる。また、グループ分けをすると、対面のようにグループの様子を確認できない。
・こちらの指示がうまく伝わらない時、説明の仕方に困ってしまう。
・講習、研修には統一性が必要であると思うが、各講師に講習内容が委ねられており、講習内容にバラつきがある。

●生活面
・ハンガーを使用した洗濯物の干し方がわからなかったり、電子レンジに耐熱ではない製品を入れてしまったり、包丁の保管方法など、細々したところまで指導が必要。→下着などの洗濯物が風で飛ばされてしまうこともありました。
・お金の使い方の指導。中には、あるだけ全額をすぐに使いきってしまう実習生もいるので、注意が必要。

カリキュラム実践を通じて得たいこと

・自信を持って、カリキュラムを実施できるようになりたいです。
・受講者の反応を見ながら、臨機応変に対応できるようになりたいです。
・実りのある研修になるようサポートしていただきたいです。
・サポートしていただくことにより、各担当者の独りよがりではなく、それぞれの持ち味を活かした、統一性のある研修にしていきたいです。
・日本語教師は複数在籍しているのですが、熟練教師は不在のため、普段評価やアドバイスをもらう機会がありません。たくさんご教示いただけるとありがたいです。

企業・団体概要

企業ロゴ

法人名:愛知商工連盟協同組合
従業員数:87人(2021年12月時点)
外国人従業員受け入れ実績:有
業種:総合コンサルタント業・監理団体
業務内容: 労務・会計・共済・保険・技能実習生監理業務

研修案作成~カリキュラム実践までの流れとポイント(JICE記)

コロナ禍による入国制限のため、今回は入国前のミャンマー在住の実習生の方18名を対象に、従来の対面式とは異なるリモート形式で研修を実施されました。

担当者3名で本カリキュラムの全7章を分担し、各自で作成していただいた研修案をJICEがチェックして、気づいた点など適宜コメントを記入しました。その後、個別面談を行い、研修案のコメント部分を中心に活動の流れや具体的な方法についてご意見を伺いながら一緒に確認しました。そのうえで、研修案を再度見直していただき、視覚的に大変わかりやすくまとめられたPowerPointのオリジナル資料に沿って円滑に各章の研修を進められました。実習生との双方向のやりとりを常に意識してQ&Aやクイズを数多く用いたこと、また、具体例やミャンマー語対応のホームページの資料等を適切に示したことで、より理解しやすくなり、高成果に繋がりました。

担当者と実習生の方の信頼関係が深まり、最初は少し緊張気味であった実習生の方が、回を重ねるごとに積極的に発言されるようになったことがとても印象的です。担当者様とJICEで毎回ふりかえりを行い、前回の反省を次回の研修に活かす工夫を重ねました。その結果、一文一文を短く区切って簡潔に要点を伝える、難解な言葉は平易な表現に言い換えたり、補足説明をする等、「やさしい日本語」のスキルが着実に上達されました。また、 PowerPointの資料においても、ルビの振り方や文字の大きさ、フォントの種類、字数など細かい点に気を配り、イラストや写真、動画を多用して、大変わかりやすいものとなりました。時間配分にも注意してテンポよく、終始和やかな雰囲気で研修が進められ、皆様の表情も明るく、素晴らしい内容のモデル実施となりました。今後本カリキュラムの導入を検討されている企業・団体の皆様に、ぜひ参考にしていただきたいと思います。

画像1

個別面談の様子 研修案を一緒に確認しながらアドバイスを受けます

画像2

研修実施の様子

研修実施で工夫した点

・予習指導を丁寧にした。
・意識して問いかけをした。
・なるべく現物を使用して紹介した。
・やさしい日本語、安心させる言葉(声がけ)を用いた。
・研修実施は一人で抱え込まず、チームで協力して研修準備を行った。

画像3

研修実施の様子

研修を受けた実習生の感想

・Aさん
研修を受け、日本のマナー、交通ルールなど何に気を付ければよいかが分かり、何かあった時に具体的にどのように対応するのかがよくわかりました。毎回宿題やテストがあることで、復習ができ、回を重ねる度に先生の話がよく分かるようになりました。先生たちの進め方はとてもわかりやすかったです。

・Bさん
仕事で何に気を付けるべきかがよくわかりました。実際に日本へ行った時に研修で学んだことはとても役に立つと思います。研修を通じて、とてもよく勉強するようになり、自分でも色々調べるようになりました。先生の授業はとてもわかりやすかったです。

画像4

研修実施の様子

カリキュラム実践で学べたこと

特に研修案の提出課題があったのが良かったと思います。研修案の作成に取り組むことにより、実際の講習時のイメージを見える化することができました。またモデルということもあり、JICEのアドバイスを元に何度も作成した資料を見直し、そのことによりこのカリキュラムに愛着を感じ、自分のものにできたのではないかと思います。
研修案提出の際のアドバイスによって、授業前の段階でより具体的に授業の進行について考えることができました。今後の授業準備スキルの向上に繋がったと思います。また、毎回の授業後に良かったことや改善点(話し方や進め方、言葉の言い回しなど)のフィードバックをいただけたことで、個々の反省点を担当講師みんなで共有することができ、良かったと思います。

画像5

研修実施の様子

早期適応研修カリキュラムを他の企業・団体にも勧めたいですか?

【はい】
このガイドブックの存在を知った時から、いつか使用したいと思っていました。モデル実施・カリキュラム実践をすることにより、ガイドブックへの深い理解、また改めて、外国の方が日本で生活する際の不安点、知っておくべきことに気づくことができました。そして何より良かったと思うのが、受講生がとても内容に興味を持ってくれたこと、そして実施するこちら側も、もっと受講生のことを知りたいと思うようになり連帯感が生まれたことです。
このガイドブックを利用することにより、日本での暮らしやルールを外国人に知ってもらうことに加え、日本で迎える側も、働く外国の方の背景や考えを知る機会になり得るのではないかと思います。多くの企業・組合・団体等がモデル実施・カリキュラム実践を通し、より良い共生社会を形成していく礎にしていただけたらと思います。

画像4

研修実施の様子


PAGE
TOP