あいちdeニューノーマルの選択肢、半農半Xな暮らしガイド ー買うからつくるへー

先駆者からのメッセージ

先駆者からのメッセージ 半農半X研究所塩見直紀氏

プロフィール 塩見 直紀(しおみなおき)[半農半X研究所代表、総務省地域力創造アドバイザー、AtoZ Maker]
1965年、京都府綾部市生まれ。フェリシモに約10年在籍。 1999年、33歳を機に故郷の綾部へUターン。2000年、「半農半X研究所」を設立。 21世紀の生き方、暮らし方として、「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを25年前から提唱。著書に『半農半Xという生き方【決定版】』など。 半農半X本は翻訳され、台湾、中国、韓国でも発売され、海外講演もおこなう。若い世代のX応援のために、コンセプトスクールや半農半Xデザインスクール、綾部ローカルビジネスデザイン研究所、スモールビジネス女性起業塾(京都府北部対象)などもおこなってきた。 古典的編集手法「AtoZ」を使って、人と地域のXの可視化をおこなう。京都市立芸術大学大学院美術研究科博士後期課程(メディアアート領域)単位取得退学、美術博士。

塩見直紀

半農半Xとは、生き方・暮らし方・働き方に悩んだ20代の私が自分自身を救うために作りました。1993年から94年頃、私の中に生まれた言葉です。 背景には2つのことがありました。ひとつは、環境問題への課題意識から農業の大切さに気付いたこと。もうひとつは生きる意味をどう見つけるかということです。 農業への関心があっても専業農家としてやっていくのはハードルが高い。けれど持続可能な農ある小さな暮らしをベースに、「天与の才」(X=天職、使命、生きがい、大好きなこと、ライフワークなど)を世に活かす生き方であれば、誰にでも開かれて、敷居が低くなる。こうして半農半Xというコンセプトが生まれました。 2020年3月、閣議決定された食料・農業・農村基本計画に半農半Xの文字が盛り込まれていました。また、日本のみならず、台湾、中国、韓国、ベトナムで現地出版社から翻訳出版され海外でも広がりを見せています。半農半Xがキーワードとして四半世紀、残り続けているのは、このコンセプトに普遍性があるからではないかと思っています。 まず生命維持のためには農業が欠かせません。しかし食べ物があっても生きる意味がなければ辛い。自然災害や経済危機、そして新型コロナウイルスの登場など社会不安が募れば募るほど、人々が半農半Xのコンセプトを求め、その評価が高まってきたと感じています。 近年、農村の人口が減り続け、地域コミュニティや農地の維持が難しくなっています。そこにたとえ1人でも、新しく移り住んだり、関わったりすることの影響力は大きいです。また農村では、人数が少ない分、与えるこころやコツコツ努力する継続力、創造性があればすぐにプレイヤーの、レギュラーの一員になれる環境があります。 半農半Xを実践したい皆さんが、自らが暮らしているイメージが湧く場と巡り合い、大好きな場所で農に携わりながら、自分を活かし、周囲を活かす、新しい生き方を愛知で作っていただければうれしいです。

石川浩之氏
株式会社アグリトリオ 石川浩之氏 マッチングサイト「農How」スマートフォン用
株式会社アグリトリオ 石川浩之氏 マッチングサイト「農How」

プロフィール 石川浩之(株式会社アグリトリオ代表取締役)]
愛知県豊橋市生まれ。豊橋商業高校を卒業後、地元企業である武蔵精密工業へ入社。製造部門への配属で数年間の現場作業に従事した後、経理部門からの要請により経理へ転属し、製造と管理を熟知した社内でも異色の経歴。武蔵精密工業の社内公募型スタートアップ「Musashi Innovator’s Gate 2017」へ応募し、本事業の企画が採用され、新規事業として立ち上げを行う。2020年4月に分社化すると同時に、株式会社アグリトリオの代表取締役に就任。人生のミッションは、「人とひとをつなげ、誰もが活躍できる世の中にする」

農業経験は全くなかったのですが、「米作りをしたい。社内に農業部門をつくって社内食堂の運営を手掛けているグループ企業に提供できたら」と7~8年前から思っていました。農業は儲からないイメージがありますが、やり方によっては儲かる産業、成長産業なのではないかと感じていたからです。実際、私が生まれ育ち、働いている豊橋市やその周辺一帯は全国的にみても有数な農業地域です。農業が盛んなこの地域に対して会社として何か社会貢献ができないかという想いが募ってきました。 そこで、社内の新規事業コンテストに応募することにしました。そして、80人くらいの農業者から生の声を聴いてみたところ、収穫などをする人手が不足していることが明らかになりました。この課題を解決する仕組みとして思いついたのが「農How」です。

農Howイメージ

「農How」は、“人手が欲しい農家”と“働きたい個人”の双方を繋ぐデイワークマッチングサービスです。いわば、すぐ働けてすぐお金がもらえる農業版スキマバイトアプリ、農作業の人材マッチングサイトです。 「農業経験はゼロだけどできるだろうか」と不安に思う方も多いと思いますが、「農How」なら大丈夫です。初めての人でもスマートフォンで作業内容を事前に確認できます。いつ、どこで、どれぐらいの時間、どのような内容の農作業をやるのか、動画を用いながら作業手順や作業方法わかりやすく説明しています。この作業マニュアルをみて、農家や作物の好みで仕事を選ぶことができます。 働き手(クルー)の登録者数は、現在7,000人でどんどん増えています。30~50歳代の女性がボリュームゾーンですが、副業・兼業として働き盛りの男性がクルーとして働くケースも多くみかけるようになっています。「土に触れながら気持ちよく汗を流したい」とか、「希望時間で働けるから子育てと両立できそう」といった声がクルーのみなさんから聞かれます。 中には、「プロの農業者に野菜づくりのアドバイスをもらいたい」、「新規就農を考えているので、どんな作物が自分に合っているか確かめたい」といった農ある暮らしや農業をやりたいという動機でクルーになっている人もいます。「自分が作った新鮮な野菜を料理してお客さんに提供するレストランを開業したい」と、コロナ禍で時間の余裕が生まれたホテルのシェフがクルーになり、実践的に農業を学んでいるケースもあります。 農業に興味があるならば、「とりあえずやってみる」ということが大事だと思います。といっても、何から取り組んだらよいかわからない人も多いと思います。「農How」は、バイト代をもらいながら気軽に農作業にチャレンジできる機会や、プロの農家さんのもとで働いて色々な品目の農作業を学ぶ機会を提供することができます。半農半Xの入り口として活用していただければ嬉しいです。 アグリトリオ「農How」 https://agritrio.co.jp/index.html

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