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県内中小企業が、大企業の特許技術を活用し、新製品を開発しました

ページID:0306437 掲載日:2020年10月9日更新 印刷ページ表示
 2020年10月9日(金曜日)発表

-コンクリート構造物補強・補修作業の工期短縮を実現!-

  愛知県、公益財団法人あいち産業振興機構及び名古屋市は、大企業等の特許技術を活用した中小企業の新製品開発・新事業創出を支援する知財マッチングに取り組んでいます。

 この度、この取組をきっかけに株式会社ライトラバー工業(豊明市)が、東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社及びアルファ工業株式会社の共有特許技術を活用し、「アラミド繊維※1補強材と浸透型下地処理剤のセットによるコンクリート構造物の長寿命化材料」を開発しました。

 この長寿命化材料は、従来工法と比較してコンクリート補強・補修作業の工期のうち下地処理剤によるひび割れ補修の工期を、少なくとも30%短縮することが可能であり、社会の安心安全に広く貢献できるものと期待されます。

株式会社ライトラバー工業製「アラミド繊維補強材と浸透型下地処理剤のセットによるコンクリート構造物の長寿命化材料」

 

 

株式会社ライトラバー工業製「アラミド繊維補強材と浸透型下地処理剤のセットによるコンクリート構造物の長寿命化材料」

 

1 知財マッチングによる中小企業支援

 愛知県、公益財団法人あいち産業振興機構及び名古屋市は、中小企業の新製品開発・新事業創出を支援するため、2015年度から知財マッチングに取り組んでおり、過去9件のマッチングに成功しています。知財マッチングは、中小企業が保有する技術と大企業等の特許技術を組み合わせ、新しい製品・事業を産み出すものです。大企業等の特許を活用できるため、中小企業にとっては、製品開発に要する時間と費用を抑えられる等のメリットがあります。また、大企業にとっても、自社の特許技術が新製品として世に出ることで、特許の発明者である自社従業員のモチベーション向上や、社会貢献につながる等のメリットがあります。

 この知財マッチングを成功させるには、中小企業の固有技術と大企業の特許技術をつなぐコーディネータの役割が重要です。公益財団法人あいち産業振興機構は、愛知県の補助事業によりコーディネータを配置し、中小企業のニーズ把握等に取り組んできました。

  今回、株式会社ライトラバー工業の技術ニーズに応える特許技術を探索した結果、同社のニーズにマッチする特許技術を見いだし、その提案を受けた株式会社ライトラバー工業が当該特許技術を活用し、新製品の開発に成功しました。これにより、知財マッチング支援の取組みで生まれた県内10件目のマッチング事例となります。

2 製品開発の経緯

 株式会社ライトラバー工業は、コンクリート構造物の長寿命化事業等に取り組んでおり、鉄筋コンクリート造及び鉄骨鉄筋コンクリート造の構造物を対象として行われる、耐震補強工事、コンクリートひび割れ補修工事、防災・減災工事に使用する2方向アラミド繊維補強材(写真1、2)を新たに開発しました。

 通常、道路床版をシート状のアラミド繊維補強材で補強する場合、縦方向と横方向の両方向に別々に重ね貼りして補強されることが多いですが、2方向繊維補強材は一度に貼り付けることができ、工期の短縮を実現できます。

 また、従来、補強材を施工する前の下地処理として、ひび割れ箇所に取付けた注入器から接着剤を充填する工法が用いられていましたが、0.2mm以下の微細なひび割れには注入器を取り付けることができませんでした。このため、より簡易な下地処理方法が求められていました。

 そこで、株式会社ライトラバー工業から相談を受けた公益財団法人あいち産業振興機構のコーディネータは、技術課題に応える特許技術を探索した結果、東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社及びアルファ工業株式会社の共有特許である『コンクリート構造物の補強・補修方法および浸透型接着性組成物(特許第3820469号、2000年10月16日出願、2006年6月30日登録)』を見いだしました。公開済みの本特許技術を利用し、アルファ工業株式会社が製造する下地処理剤「アルファテック380(写真3)」は、低粘度でも液だれしにくく、毛細管現象※2によりコンクリートの微細なひび割れに深く自己浸透するため、注入器が不要で、ローラーやハケでコンクリートに塗布できる点に特徴があり、今日までに高速道路を始めとして、各方面で多く採用されている技術です。

 この下地処理剤を用いて株式会社ライトラバー工業が新たに開発した2方向アラミド繊維補強材を施工することで、施工作業が簡易となり、コンクリート補強・補修作業の工期のうち下地処理剤によるひび割れ補修の工期について、少なくとも30%短縮することを実現しました。本開発製品により社会の安心安全に広く貢献できるものと期待されます。

3 製品発売

 2020年10月14日(水曜日)に、株式会社ライトラバー工業が「アラミド繊維補強材と浸透型下地処理剤のセットによるコンクリート構造物の長寿命化材料」の製品名で発売します。 

【写真1】2方向アラミド繊維補強材

【写真1】2方向アラミド繊維補強材

【写真2】2方向(タテ・ヨコ)の織り

【写真2】2方向(タテ・ヨコ)の織り

【写真3】浸透型下地処理剤「アルファテック380」(微細なひび割れに深く浸透する特徴を持つ)

【写真3】浸透型下地処理剤「アルファテック380」(微細なひび割れに深く浸透する特徴を持つ)

4 問合せ先

  ○愛知県としての支援に関すること

 愛知県経済産業局産業部産業科学技術課

  研究開発支援グループ(小久保、秋田)

  電話 052-954-6370  FAX 052-954-6977

○公益財団法人あいち産業振興機構としての支援に関すること 

   公益財団法人あいち産業振興機構 新事業支援部(森)

   電話 052-715-3074  FAX 052-563-1438

○製品開発・販売に関すること

   株式会社ライトラバー工業(寺田、宮本)

   電話 0562-91-6330 FAX 0562-91-6331

【用語説明】

用 語

意 味

※1 アラミド繊維

軽量で高強度な合成繊維で、コンクリート構造物の補強材や防弾チョッキなどに使われている

※2 毛細管現象

液体が、細い隙間に重力等に関係なく浸透していく物理現象