中央病院について

院長ごあいさつ

コロニー中央病院 院長

~愛知県医療療育総合センター中央病院に期待される役割~

 長らく皆様にご迷惑をかけておりましたコロニー中央病院本体の建築工事もようやく完成しました。平成29年度2月定例県議会で決まりました「愛知県医療療育センター条例」に基づき、このたび心身障害者コロニー中央病院は「医療療育総合センター中央病院へと生まれ変わりました。愛知県医療療育総合センター(以下、新センター)には心身の発達障害医療・療育に関して幅広く専門的なサービス・情報を社会に提供するという貴重な使命があります。中央病院は名実共にその要となります。これまでの約50年にわたる心身障害者コロニーの貴重なノウハウを生かしつつ、「入所者の地域生活移行」「障害児者の在宅医療」や「医療・療育ネットワーク」などをキーワードに新しい愛知県の障害医療・福祉の拠点センターとしての役割が期待されていると自負しております。

1)新センター中央病院の更なる活性化
 今後は地域の基盤整備が重要な課題とされる一方で、拠点センターとして中央病院が十分に機能してこその「地域生活移行」であり、地域への人材提供であることは言うまでもありません。障害医療は急性期、慢性期医療という一般的な分類で区分しきれない、慢性期の患者でも多様な急性期病状での医療対応を必要とする場合が多く、そこに関わる専門的な経験と技術が求められます。それらに対応できる人材が居なくては、とても「県下の障害児・者医療のセンターオブセンター」とはいえません。小児神経科、小児外科を始めとして小児内科、遺伝診療科、整形外科、麻酔科など身体系の診療科と児童精神科に関わる多くのスタッフなど多彩な医療陣で幅広く対応していきます。また、小児期発症の障害に対する専門的なリハビリテーションの実施も重要な役割と考えます。

2)重症心身障害児や在宅困難児のためのセイフティネットとしての役割
 ここ数年で愛知県内にも幾つかの医療型障害児入所施設ができました。地域ごとにそのような施設が整備される事により重症児者を取り巻く環境は大きく向上しました。一方で新センターには地域で対応困難なケースに関しては「セイフティネット」としての役割が期待され、安定した継続的な在宅医療を支えるためには家族のレスパイト機能も必須であると考えられます。新センターでは4階に内科系、外科系の急性期型の2病棟と3つの手術室が整備されました。また、医療型障害児入所施設でもある「こばと棟」は120床の病床を維持して常時濃厚医療を必要とする重症児者を受け入れます。加えて、強度行動障害があり地域生活が困難な児や保護者がケアできないなどの事情のある障害児については、3階全フロアを使って2病棟(開放型と閉鎖型)、外来部門を合わせて精神科部門が幅広く対応します。新センターには、こうした医療部門に加えて療育支援センターを設置しており、この部門は地域との連携を深めるとともに、中央病院スタッフと協力しながら発達障害児などの療育支援を担うことになります

3)障害児者の地域診療体制の整備について
 障害児・者が自宅で暮らす場合のサポート体制は基本的には訪問看護ステーションやグループホーム、地域のクリニックなどが「皆で支える」というスタンスで進めていくことが重要です。これまでも地域の障害児者医療に係る関係者向けの定期的な研修講座や実地講習を開催してまいりました。幸い医療に関しては「在宅医療の推進」という世の中の流れもあり、診療報酬の改訂なども追い風として「かかりつけ医」を軸とした対応が進んできているところであります。一方で、在宅児・者のケアは基本的に家人が担うものと考えられます。そこでの必要な視点は、「ケアを担う人のケア」が、障害児・者自身の予後にも大きく関与するという事実です。すなわち、「家族全体をユニット」として捉える視点が重要となってきます。新センターでは医療部門に加えて療育支援センター部門が整備され福祉、療育の視点からも大きく貢献することが期待されます。

 これらの事は新センター単独では出来るものではありません。中央病院を核として発達障害研究所や療育支援センター部門など新センター内での日常的な連携は言うまでもなく、あいち小児保健医療総合センターや精神医療センター、県下の医療療育センターとの連携、地域基幹病院や関係医療福祉施設、医師会との連携など新センターが自ら働きかけていく姿勢が問われる時代と認識しております。

さいごに ~安心して子どもを生み育てられる愛知県を目指して~
 最近は様々な医療・療育ネットワークが整備されていますが、重要なことはそのシステムが継続して活性を維持し、実のあるアウトカムを生み出していく事です。愛知県医療療育総合センターは、心身障害者コロニーの50年にも及ぶ知識と技術の蓄積を糧に「持続可能な障害児者の在宅医療」を支える、そのための大きなエンジンだと自負しております。少子高齢化が叫ばれる昨今ですが、障害のある子どもは増加しているという統計もあります。重い障害のある人も社会みんなで支えあって護り育てる、“安心して子どもを生み育てられる愛知の実現”に寄与することが新センターの存在意義だと考えます。

愛知県医療療育総合センター中央病院 院長  吉田 太