「フェアトレード」という言葉は、近頃、多くの人に知られるようになりました。
「フェアトレード」は直訳すると「公平・公正な貿易」という意味になり、
開発途上国で作られた作物や製品を適正な価格で継続的に取引をすることを指します。
「フェアトレード」がエシカル消費といえるのは、「フェアトレード」が行われることにより、
弱い立場にある開発途上国の生産者や労働者が適正な収入を得られるようになり、
その結果、その人たちの生活改善につながっていくためです。
また、「フェアトレード」は有機栽培農業も推奨しています。作物をつくる過程で化学肥料や農薬を使用しない「オーガニック製品」を
多くの消費者が選ぶようになれば、農薬による農地へのダメージや生産者の健康被害を防ぐことができるため、
「オーガニック製品の購入」はエシカル消費と言えます。
エシカル消費は、「フェアトレード製品」や「オーガニック製品」の購入に限りません。
愛知県では、エシカル消費を「人・社会に優しい消費」、
「地域に優しい消費」、「環境に優しい消費」の3つに分類しています。
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- 人・社会に優しい消費
- 「困っている誰かのために」、「弱い立場の人々のために」、「より良い社会のために」の思いを持って消費することです。「フェアトレード製品の購入」や「寄付付き商品の購入」などがその代表例です。また、障がいのある人の支援につながる「福祉作業所などでつくられた製品の購入」のほか、最近では、新型コロナウイルスの感染拡大により、消費需要が低迷する中、過剰な在庫を抱える農林水産業者を応援するための「通信販売によるお取り寄せ」など、コロナ禍で拡がる「応援消費」も、エシカル消費そのものと言えます。
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- 地域に優しい消費
- 「地域に優しい消費」とは、「地元のために」、「どこかのために」の思いを持って消費することです。地元で生産された農林水産物を地元で消費する「地産地消」がその代表例です。また、2011 年の東日本大震災以後、活発となっている「被災地産品の購入」についても、風評被害などに苦しむ被災地の復興支援につながるエシカル消費です。その他、地域の活性化につながる「地元商店街での買い物」や、地域の魅力ある工芸技術を守り継承する「伝統工芸品の購入」などが挙げられます。
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- 環境に優しい消費
- 「環境に優しい消費」とは、「地球のために」の思いを持って消費することです。「地球のため」のエシカル消費は、「エコ商品」や「リサイクル製品」など、環境のことを考えて、環境負荷ができる限り小さい製品を選ぶグリーン購入などが代表例となります。また、農薬を使用しない「オーガニック製品」の購入は、農家・生産者の健康被害の防止と同時に、農薬による農地ダメージがないことから、「環境への思いやり消費」と言えます。
その他、森林の適切な管理・保全に資する「国産材の利用」や、持続可能な森林資源や水産物の資源調達につながる「認証製品」などが挙げられます。
また、「動物の幸せ」として、「アニマル・ウェルフェア(※)」という考えが大切とされています。具体例としては、「動物実験をしていない」や「放牧」など動物の気遣いを表示している製品の購入が挙げられます。
(※)「アニマル・ウェルフェア」とは、動物福祉と訳されたりしますが、人間が動物に対して与える痛みやストレスといった苦痛を最小限に抑えるなどの行動により、動物に福祉を実現する考えのことを言います。私たちが日々の生活の中で、動物を利用したり、命を頂くことや、ペットとして飼ったりする上で、自由に動ける広い環境で飼育したり、麻酔を使ったり、必要なエサを与え適切に管理するなど、動物の感じる苦痛の回避や除去に配慮しようとする考え方のことです。