○愛知県警察職員分限取扱規程の運用

平成14年6月24日

務警発甲第91号

このたび愛知県警察職員分限取扱規程(平成14年愛知県警察本部訓令第18号。以下「規程」という。)を制定したことに伴い、その解釈及び運用上留意すべき事項を下記のとおり定めたのでその適正な運用に努められたい。

1 適用範囲(第2条関係)

一般職の地方公務員である愛知県警察職員(条件付採用期間中の者及び臨時的に任用された者を除く。以下「職員」という。)に対する分限については、地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「法」という。)職員の分限に関する条例(昭和43年愛知県条例第4号。以下「条例」という。)等に基づいて行われるわけであるが、この規程はその細部的な取扱いを定めたものである。

「条件付採用期間中の者及び臨時的に任用された者」とは、法第22条に規定する職員をいい、これらの者には、法第29条の2の規定により、法第27条第2項及び第28条第1項から第3項までの規定が適用されないことから、規程の適用も除外されることとなる。

なお、地方警務官の分限については、分限処分権者が異なるため、この規程は適用されない。

2 根拠法令等

(1) 分限処分事由

法第28条及び条例第2条

(2) 手続

法第49条、条例分限及び懲戒の処分の書面交付に関する規則(昭和51年人事委員会規則7―1)及び規程並びに愛知県警察職員の休職等に関する事務取扱要領の制定(昭和60年務警・務厚発甲第18号)

(3) 審査請求

法第49条の2及び第49条の3並びに不利益処分についての審査請求に関する規則(昭和26年愛知県人事委員会規則9―1)

3 所属長の責務等(第3条及び第4条関係)

職員が分限対象事由に該当すると認める場合には、公務能率上の見地から分限処分を行うか否かを判断する必要があることから、所属長は客観性を担保しつつ事実を調査し、その上で、分限手続に付する必要があると認められる場合には、分限処分の申立てを行うこととしたものである。

また、警務部警務課長(以下「警務課長」という。)に職員の分限に関する調査、分限処分の申立てを行う責務を与えたのは、所属長の先の調査及び申立てを補てんさせる趣旨である。

なお、首席監察官が警務課長への通報を行うこととしたのは、監察及び規律違反の調査等の過程で把握した職員の分限対象事由についても組織的な対応を行うことを目的としたものである。

4 委員会の設置等(第5条及び第6条関係)

(1) 分限処分権は、法第6条の規定により、任命権者たる警察本部長の権限であるが、分限処分を慎重かつ公正に行うため、警察本部長の諮問機関として警察職員分限審査委員会(以下「委員会」という。)を設置し、これに分限に関する審査を行わせようとするものである。

(2) 第6条第4項の「あらかじめ」とは、「第8条に規定する審査の下命に先立って」という趣旨であり、委員長に事故があるときには常に指名しておくものではない。

5 審査の通知(第9条関係)

(1) 委員会は、警察本部長から審査の下命があったときは、被申立者に対し、その旨を通知することとした。これは、職員が分限手続に付されていることを知らずにいて分限処分が行われるということのないようにとの配慮からであり、かつ、口頭審査を要求しようとする者にその機会を与えるためである。

なお、この通知は、職員の身分保障の重要性を考慮し、文書によることとした。

(2) 委員会に審査を下命した場合には、該当する分限対象事由により、被申立者に支給品、貸与品等の返納を命じ、又は在所勤務を命ずるなど所要の指示をすることがあるが、これは、警察本部長の職務上の権限として当然できることであるから、この規程には特段の規定をしなかった。

6 審査の方法(第10条関係)

(1) 委員会の審査は書面審査を原則とし、被申立者が口頭審査を要求した場合にのみ、口頭審査を開催するものとした。したがって、被申立者からの明示の意思表示がない限り、審査は書面審査で行うこととなる。

(2) 委員会の意思決定は、多数決により行われる。これは書面審査と口頭審査のいずれにも共通する事項である。

7 口頭審査の要求(第11条関係)

(1) 被申立者は、第9条の規定に基づく通知を受けた場合において、委員会に出席し、陳述しようとするときは、口頭審査要求書を委員長に提出することとなるが、この書面は所属長を経由して提出するものとする。

(2) 被申立者による弁明の機会を担保するため、被申立者が希望する場合は、弁明書の提出を行うことができることとした。

(3) 委員長は、被申立者が弁明書の提出を希望する場合は、審査の期日を被申立者に通知し、審査の期日の前日までに所属長を経由して弁明書を提出させるものとする。

(4) 所属長は、被申立者が第11条に規定する書面又は弁明書を提出したとき若しくは分限審査通知書の受取を拒否したときは、直ちに委員長(警務課長経由)に報告しなければならない。

8 口頭審査の開催通知等(第12条関係)

口頭審査の要求があったときは、要求した被申立者に対し、審査の期日及び場所を委員長から通知するが、この通知は審査期日の7日前までに行われなければならないこととした。これは、被申立者が証人の出席を要求し、又は必要な証拠を提出することができる期日が、審査期日の3日前までとなっているので、その間に若干の期間を置く必要があるからである。

9 口頭審査手続(第13条関係)

口頭審査を開催する場合の定足数を定めたものであるが、委員長又は第6条第4項の規定により委員長の職務を代理する者は、審査に必ず出席することを要し、委員については、半数以上の者が出席しなければ審査を開催できないこととした。

10 書面審査への移行(第14条関係)

被申立者からの要求により、口頭審査が行われることとなったにもかかわらず、同人が正当な理由なく審査期日に出席しない場合には円滑な分限審査手続が阻害されることとなる。このような場合には、委員長の権限により、口頭審査から書面による審査に切り替えることができることとした。

11 除斥(第15条関係)

審査の公平性を担保するため、委員長及び委員は、自己又はその親族に関する分限処分の審査から除斥することとしたものであるが、委員長又は委員は、これ以外の場合においても審査に当たることが不適当と認めるときは、委員会に対しその理由を明らかにしてこれを回避することができるものとする。

12 分限処分(第18条関係)

(1) 警察本部長は、委員会の答申に基づいて分限処分を行うものであるが、必ずしもこの答申に拘束されるものではなく、法第6条に基づく分限処分権者として、その分限処分の種別及び程度を軽減することも加重することもできる。

(2) 分限処分は、分限処分書及び処分説明書を交付して行うものとする。

分限処分は、法及び条例により文書の交付という要式行為が定められており、その効力は、文書(意思表示)が相手方に到達した時期に生ずるが、この到達というのは、必ずしも相手方がこれを現実に受領することを要件とせず、相手方が了知できる状態にあれば足りる。例えば、本人の不在中、家族に交付し、又は本人の面前において手交する場合には、仮に本人が受け取ることを拒否するとしても、交付があったものとして効力が発生する。

なお、被処分者の所在を知ることができない場合は、家族に交付するのみでは了知し得ないことが明白であるから、このような場合は、愛知県公報に登載することとなる。

(3) 分限処分を受けた者がその処分に対し不服があるときは、法第49条の2及び第49条の3の規定により、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に所定の手続により愛知県人事委員会にその処分についての審査請求をすることができる。ただし、処分があった日の翌日から起算して1年を経過したときは、これをすることができない。

13 分限処分の特例(第21条関係)

(1) 所属長は、法第28条第2項第1号に該当する職員が休職を承諾している場合は、愛知県警察職員の休職等に関する事務取扱要領の制定(昭和60年務警・務厚発甲第18号)に定める手続により処理することとする。

(2) 条例第2条第1号及び第2号の事由に該当する職員を休職させる場合には、その都度個別に定める手続により、これを行うこととする。

〔平28務監発甲52号令2務警発甲132号・本記一部改正〕

愛知県警察職員分限取扱規程の運用

平成14年6月24日 務警発甲第91号

(令和2年1月1日施行)

体系情報
第3編 務/第1章 務/第2節 事/第1款 任用等
沿革情報
平成14年6月24日 務警発甲第91号
平成28年 務監発甲第52号
令和2年 務警発甲第132号