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環境放射能調査

ページID:0385393 掲載日:2023年1月18日更新 印刷ページ表示

環境放射能調査とは

 私たちの生活空間には、様々な放射性物質があります。

 放射性物質には、地球誕生時から存在していて地殻構造物となって土壌中に存在するもの、遠く宇宙からやってくる宇宙線が地球に到来して大気中で作り出したものなどがあります。これらは自然放射性核種と呼ばれ、代表的なものはU(ウラン)、Ra(ラジウム)、Rn(ラドン)、K-40(カリウム-40)及びC-14(炭素-14)などです。

 この自然放射性核種とは別に、1945年の世界初の大気圏内核実験以来、私たち人類が地球上に作り出した人工放射性核種があります。人工放射性核種の代表的なものはCs-137(セシウム-137)、I-131(ヨウ素-131)及びSr-90(ストロンチウム-90)です。

 環境放射能調査とは、これらの物質が環境に与えている影響を調査するものです。

環境放射能調査の経緯

 環境放射能調査は、1954年3月に米国がビキニ環礁で行った水爆実験によって日本のマグロ漁船第5福竜丸(乗員23名)が被ばくした事件を契機に開始されました。

 愛知県では、1960年に科学技術庁(当時)からの環境放射能調査委託事業を衛生研究所で開始しました。この頃は、米・英・旧ソの核競争に加えて、フランスや中国が大気圏内核実験を開始した時期で、地球の歴史上最も放射能汚染が重大な時期でした。
 大気圏内核実験のうち、特に中国の核実験の日本への影響は顕著で、その度ごとに日本における雨水や降下じん、大気浮遊じんに顕著な放射能汚染が見られました。なお、大気圏内核実験は1980年10月の中国の実験を最後に、全てが地下における核実験になったために、環境への直接的な放射能汚染は、それ以降はそれほど顕著には見られなくなりました。そのため、1980年代以降は、一旦地球上に放出された人工の放射性核種で特に半減期の長いCs-137(半減期30.1年)やSr-90(同28.8年)等についての成層圏からの降下量や地上での残留量等に着目したモニタリング調査が主体となりました。当県では、この時期までGM計数管によるベータ線計測が主力でした。

 1986年4月26日に旧ソビエト連邦(当時)のチョルノービリ(チェルノブイリ)原子力発電所4号炉において、炉心溶融に至るまでの史上最大の原発事故が発生しました。チョルノービリから8,000 km離れた日本にも放射性物質が飛来し、5月初旬の雨水から異常に高い放射能が全国的に検出されました。この事故を契機に、科学技術庁(当時)は翌年度より4年間でそれまでの32都道府県の放射能監視網を全国に拡大し、原発等立地隣接県としての施設周辺モニタリングも強化することにしました。
 当県には1988年2月にガンマ線放出核種測定に有効なゲルマニウム半導体核種分析装置が配備されました。そのため、1988年度からは、全ベータ放射能調査は定時降水(9時から翌日9時までの降雨)のみを対象として実施し、その他の環境試料についてはゲルマニウム半導体核種分析装置によるI-131(半減期8.0日)、Cs-137等に着目した核種分析調査が主力となり、現在も実施しています。なお、モニタリングポストによる空間放射線量率の連続測定は1991年2月に開始しました。

 2011年3月11日、東日本大震災の発生により引き起こされた東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故では、環境中に大量の放射性物質が放出される事態となり、測定頻度や検体数の増加などにより測定体制が強化されました。全国的にCs-137やI-131などの人工放射性核種が検出され、特に事故のあった原子力発電所の周辺地域では、非常に高濃度の放射能が観測されました。そのため、文部科学省(当時)はこの事故を受け、放射能調査体制を強化するため、愛知県を含む全国にモニタリングポストやゲルマニウム半導体核種分析装置等の測定機器を増設するとともに、全国のモニタリングポストをネットワークでつなぎ、自動的にデータ収集を行う体制を整備しました。また、愛知県も独自に降下物や海水等の調査を行うよう体制を強化しました。