○子供・女性被害防止対策推進要綱の制定

平成21年3月27日

生地・生総・生少・務住・地総・刑総・刑一発甲第43号

このたび、子どもと女性を性犯罪等の被害から守るため、別記のとおり子ども・女性被害防止対策推進要綱を制定し、平成21年4月1日から実施することとしたので、その効果的な運用に努められたい。

なお、子どもを犯罪から守るための対策の推進要領の制定(平成17年生総・生少・地総発甲第135号)は、平成21年3月31日限り廃止する。

別記

子供・女性被害防止対策推進要綱

第1 趣旨

この要綱は、子供と女性を性犯罪等の被害から守るために推進すべき対策について定める。

第2 定義

この要綱において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。

(1) 子供 16歳未満の者をいう。

(2) 性犯罪等 子供の生命又は身体を害する犯罪及び女性に対する性的犯罪(犯罪手口資料取扱細則(平成15年警察庁訓令第11号)別表に規定する性的犯罪をいう。)をいう。

(3) 前兆的事案 性犯罪等の前兆とみられる子供又は女性に対する声かけ、つきまといその他の不安を覚えさせる行為をいう。

(4) 性犯罪等情報 性犯罪等及び前兆的事案に関する情報であって、性犯罪等の抑止に資するものをいう。

(5) 先制・予防的活動 性犯罪等を未然に防止するため、前兆的事案の行為者を特定して、検挙し、又は指導、警告その他の必要な措置を講ずる活動をいう。

第3 警察活動の積極的な展開

1 警察官による街頭活動の強化

(1) 発生実態に応じた警戒活動の強化

街頭活動の実施に当たっては、性犯罪等及び前兆的事案の発生が予想される場所及び時間帯を中心として、制服警察官による警ら及び警戒活動を強化するなどして、見せる活動に努めること。

(2) 職務質問等の徹底

街頭活動等において、前兆的事案の行為者又は言動その他周囲の状況から判断して前兆的事案を行うおそれのある不審者(以下これらを「不審者」という。)を発見した場合は、積極的に職務質問するとともに、各種照会を徹底するなどして、当該不審者の人定事項を確認し、それぞれの状況に応じて検挙し、又は指導、警告その他の必要な措置を講ずること。

(3) 不審者に関する相談等に対する迅速な対応

警察署長は、学校付近等に不審者が出没している、通行する場所に暗がりがあるなど、性犯罪等及び前兆的事案の発生のおそれがある相談を受理し、又は引き継いだ場合は、警ら及び警戒活動を強化するなどの措置を迅速に講ずること。特に、性犯罪等が発生した地域については、集中的な街頭活動を実施し、同種事件の連続発生の防止を図るとともに、相談者等の不安の解消に努めること。

2 性犯罪等情報の網羅的な収集及び積極的な提供

(1) 性犯罪等情報の網羅的な収集

ア 子供と女性を性犯罪等の被害から守るため、あらゆる警察活動を通じて確実に性犯罪等情報を収集すること。この収集に当たっては、学校関係者(学校及び教育委員会をいう。以下同じ。)、ボランティア団体又は地域住民との間で会合を開催するなどして、平素から連携を密にし、遅滞なく網羅的に収集できるよう努めること。

イ 性犯罪等情報に関する相談を受理した場合は、行為者及び行為事実を特定するために必要な事項を確実に聴取して、生活安全課長(生活安全刑事課長を含む。以下同じ。)を経由して警察署長に報告し、その指揮により所要の警察活動を実施すること。

なお、当該情報の内容が他の警察署管内に関係する場合は、関係警察署の生活安全課長を経由して関係警察署長に通報すること。

ウ 警察署長は、収集した性犯罪等情報を速やかに生活安全特別捜査課長に報告し、この報告を受けた生活安全特別捜査課長は、性犯罪等情報を一元的に管理すること。

エ 収集した性犯罪等情報は、刑事部門を始め関係部門との共有化を図るとともに、保秘を徹底し、当該性犯罪等情報の適正な管理に努めること。

(2) 性犯罪等情報の積極的な提供

警察署長は、ホームページ、パトネットあいち(愛知県警察広報活動規程の制定(昭和62年総広発甲第23号)に定めるパトネットあいちをいう。)、ミニ広報紙(誌)等のあらゆる媒体を活用し、時機を失することなく、迅速かつ的確に、学校関係者、ボランティア団体、地域住民等に対し、必要に応じて性犯罪等情報を提供すること。この提供に当たっては、二次的被害の防止に十分配意すること。

(3) 性犯罪等の前歴者に関する情報の有効活用

警察署長及び生活安全特別捜査課長(以下「警察署長等」という。)は、捜査部門と情報を共有するなどして、連携を密にし、性犯罪等の前歴を有する者に関する情報の有効な活用に努めること。

3 先制・予防的活動の推進

(1) 情報の分析及び先制・予防的活動の対象事案の選定

ア 警察署長は、性犯罪等情報、被害記録(犯罪手口資料取扱規則(昭和57年国家公安委員会規則第1号)第5条に規定する被害記録をいう。)等を分析して、先制・予防的活動が必要な事案(以下「対象事案」という。)を選定すること。

なお、選定に当たっては、重大な性犯罪等に発展するおそれが相対的に低いと考えられるものであっても、地域住民等に高い不安感を与えているものであれば、積極的に検討すること。

イ アにより対象事案を選定した警察署長は、対象事案の行為者の特定に資する分析を行うとともに、必要な情報を各課で共有できるよう努めること。

ウ 生活安全特別捜査課長は、広域的な分析を行い、対象事案に選定することが必要と認めるものについて、関係警察署長と協議の上、当該選定及び先制・予防的活動の実施について調整を図ること。

エ アにより対象事案を選定した場合は、生活安全部長が別に定める様式により遅滞なく生活安全部長に報告(生活安全特別捜査課長経由。以下同じ。)すること。

(2) 対象事案に対する措置

ア 警察署長等は、(1)による分析の結果を活用するなどして、効率的かつ効果的なよう撃活動、行動確認等を実施し、対象事案の行為者の特定に努めること。

なお、警察署長は、必要があると認める場合は、対策班を編成するなどして、挙署一体となった先制・予防的活動を推進すること。

イ アにより行為者の特定ができた場合において、法令違反(軽犯罪法(昭和23年法律第39号)第1条第20号又は第28号、愛知県迷惑行為防止条例(昭和38年愛知県条例第4号)第2条の2違反等)に該当するときは、速やかに検挙し、法令違反に至らないときは、指導、警告その他の必要な措置を講ずること。

ウ アにより行為者の特定ができない場合は、具体的な防犯対策を教示するなどして、地域住民等の不安感の解消に努めること。

(3) 活動経過の記録化等

警察署長等は、先制・予防的活動を実施した場合は、その経過を確実に記録するとともに、その措置結果を生活安全部長が別に定める様式により遅滞なく生活安全部長に報告すること。

(4) 適切な情報発信の推進

(2)により行為者を特定して、検挙し、又は指導、警告その他の必要な措置を講じた場合は、地域住民等の不安感を解消するため、必要に応じて適切に情報発信等を実施すること。

(5) 再発防止のための措置等

(2)により行為者を特定して、検挙し、又は指導、警告その他の必要な措置を講じた場合は、当該行為者について再発防止に向けた措置を継続して講ずること。さらには、当該検挙に係る事件はもとより、手口、態様等から当該行為者が犯した可能性があると思料される余罪事件がある場合は、DNA型鑑定(DNA型記録取扱規則(平成17年国家公安委員会規則第15号)第2条第3号に規定するDNA型鑑定をいう。)の実施を検討するなどして、当該行為者に関する情報をできる限り収集すること。

(6) 各部門の連携の強化

ア 先制・予防的活動は、特定の部門に偏ることなく、分掌するそれぞれの事務に応じて各部門が連携を密にし、推進すること。特に、性犯罪等情報の収集は、部門を問わず、積極的に実施すること。

イ 性犯罪等情報の分析及び事件の検挙は、それぞれの事案に応じ、刑事部及び生活安全部を中心として、積極的に実施すること。

ウ 先制・予防的活動を推進中に性犯罪等を始めとする法令違反が判明した場合は、分掌事務に従い、処理すること。

4 性犯罪等の検挙の徹底

性犯罪等は、被害者となった子供や女性の心身に深刻な影響を及ぼすだけでなく、地域住民等の不安感を高めることから、その未然防止に努めることはもとより、万が一発生した場合は、警察が一体となって迅速な検挙に努めること。

第4 各種団体、地域住民等との連携の強化

1 こども110番の家の支援及び被害防止のためのネットワークの充実

(1) こども110番の家の支援

警察署長は、こども110番の家がより効果的に機能するようにするため、こども110番の家運用要領の制定(平成16年生総・地総発甲第116号)に基づき、保護、通報等に関するマニュアルの配布、犯罪情勢等に関する情報提供等を継続的に実施し、その活動の活性化を図ること。

(2) 被害防止のためのネットワークの充実

警察署長等は、学校関係者、ボランティア団体、地域住民等と連携を密にし、各種ネットワークを通じて、性犯罪等情報の早期通報が確実になされるよう働き掛け、その充実及び活性化を図ること。

2 防犯教室等による啓発活動の実施

(1) 子供に対する被害防止教育の推進等

関係所属長は、学校関係者と連携を密にし、防犯訓練、防犯教室等の機会を活用して、子供に対する参加・体験・実践型の被害防止教育を推進するほか、子供自身の自主防犯意識や危機回避能力を向上させるために、防犯に関する安全教育を実施するなどして、下級生等に対し自主的な防犯活動ができる子供の安全リーダーの育成に努めるとともに、学校警察等連絡協議会の活動の活性化、機能の充実等による被害防止教育の推進にも配意すること。

(2) 女性に対する自主防犯活動の支援

警察署長等は、事業者、地域女性会等に対して積極的に働き掛け、女性を対象とした防犯教室、護身術講習等による被害防止啓発活動を積極的に実施し、自主防犯活動を支援すること。

3 学校への立寄り等の推進

警察官等による学校への立寄り、学校施設内のパトロール等について学校関係者から要請があった場合は、その必要性、効果的な実施方策等について当該学校関係者と十分な協議を行い、適切に実施すること。その際、学校等への侵入を企図する者に対する抑止効果を高めるため、警察官等が立寄り等を行っていることを明示するなどの見せる活動の推進に配意すること。

4 防犯訓練の積極的な推進及び防犯設備の整備への協力

(1) 防犯訓練の積極的な推進

警察署長等は、学校関係者と連携を密にし、子供の連去りや学校への不審者等の侵入に対する実践的な対処方法を身に付けさせる防犯訓練を積極的に推進すること。

(2) 防犯設備の整備への協力

ア 関係所属長は、不審者等の学校への侵入防止等のため、効果的な対応がとれるよう学校関係者及び愛知県警察スクールサポーター(愛知県警察スクールサポーター運用要綱の制定(平成19年生少・生総発甲第44号)に定める愛知県警察スクールサポーターをいう。)と協働し、学校施設の防犯設備、対応要領等の点検を行うなどして、その整備に協力すること。

イ 学校等における非常通報装置の整備について学校関係者等から要請があった場合は、非常通報装置の設置及び運用に関する事務手続要綱の制定(平成15年地通発甲第159号)に基づき、適切に対応するとともに、効果的な運用が図られるよう努めること。

5 防犯機器の貸与等

警察庁が定める性能基準に適合する防犯ブザーの普及に努めるとともに、防犯ブザー、防犯笛等の効果的活用方法について、防犯講話、防犯教室等のあらゆる機会を通じて指導及び講習を行い、自主防犯活動の支援を行うほか、自治体、防犯協会等にこれらの防犯機器の販売、貸出、あっせん等の事業が実施されるよう働き掛けること。

第5 子供と女性の安全確保に力点を置いた安全なまちづくり

1 危険箇所の把握及び改善措置の働き掛け

関係所属長は、自治体、地域住民、事業者等と協働して、通学路を始めとする学校周辺、公園、地下道、空き屋等の性犯罪等の発生が懸念される危険箇所の把握に努めるとともに、把握した危険箇所に対し、必要に応じて速やかな改善措置がとられるよう管理者等に働き掛けること。

2 指針に沿った設備等の整備促進

関係所属長は、愛知県安全なまちづくり条例(平成16年愛知県条例第4号)に基づく道路、公園、自動車駐車場等に関する防犯上の指針及び学校等における児童等の安全の確保のための指針に沿った設備等が整備されるよう自治体、事業者、学校関係者等に働き掛け、子供と女性が安全に安心して暮らすことができる社会の実現に努めること。

3 自治体の実施する事業等への積極的な参画

自治体の実施する子供と女性の安全確保のための事業等について、連携を密にし、防犯意識を醸成するため積極的に参画すること。

第6 その他

この要綱の実施に関し必要な細目的事項は、別に関係部長が定める。

〔平24務警発甲52号平29生子発甲174号平30生子発甲144号平31務警発甲47号・本別記一部改正〕

子供・女性被害防止対策推進要綱の制定

平成21年3月27日 生地・生総・生少・務住・地総・刑総・刑一発甲第43号

(令和6年4月1日施行)

体系情報
第4編 生活安全/第1章 生活安全/第1節 地域安全活動
沿革情報
平成21年3月27日 生地・生総・生少・務住・地総・刑総・刑一発甲第43号
平成24年 務警発甲第52号
平成29年 生子発甲第174号
平成30年 生子発甲第144号
平成31年 務警発甲第47号
令和5年7月12日 生隊発甲第128号
令和6年3月29日 務警発甲第94号