○愛知県警察大規模災害対応業務継続計画の制定

平成24年9月6日

備災発甲第130号

この度、愛知県警察大規模災害対応業務継続計画を別記のとおり制定し、実施することとしたので、その適正な運用に努められたい。

別記

愛知県警察大規模災害対応業務継続計画

第1 総則

1 目的

愛知県警察大規模災害対応業務継続計画(以下「計画」という。)は、愛知県警察自然災害警備基本計画の制定(令和4年備災発甲第60号。以下「基本計画」という。)の対象である大規模な災害が発生した場合において、優先的に継続する業務及び治安確保に必要な業務を的確に継続していくために必要な事項を定めることを目的とする。

2 定義

この計画において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。

ア 所属 警察本部の課、室及び部の附置機関、名古屋市警察部の課、警察署並びに警察学校をいう。

イ 所属長 所属の長をいう。

ウ 本部所属 警察本部の課、室及び部の附置機関、名古屋市警察部の課並びに警察学校をいう。

第2 実施方針等

1 実施方針

(1) 大規模災害の発生直後においては、災害応急対策業務を最優先した上で、継続の必要性の高い通常業務については、その継続に努めるものとする。

(2) 計画の遂行に当たっては、本部所属の長が主体的に取り組み、必要な調整、指導、助言を行うとともに、各部門が相互に連携を密にして一体的な業務継続の推進に努めるものとする。

(3) 知事部局等関係機関と連携し、的確に業務継続の推進に努めるものとする。

2 公安委員会への報告等

計画の実施状況については、時機を失することなく公安委員会に報告し、所要の指導を受けるとともに、公安委員会を的確に補佐し、その権限に属する事務の迅速かつ適切な実施に努めるものとする。

3 教養、訓練等

所属長は、職員に対し、計画に関する教養、招集及び参集訓練、大規模災害発生時を想定した初動措置訓練等を実施し、業務継続のための手順について周知徹底を図るものとする。

4 計画の修正

計画の内容については、基本計画を踏まえて随時検討を加え、被害想定等が見直された場合のほか、計画を修正する必要があると認める場合は、速やかに計画を修正するものとする。

第3 想定する大規模災害及び被害想定

この計画において想定する大規模災害は、愛知県防災会議等が発表する地震に関する被害予測調査結果(以下「被害予測調査結果」という。)で示された地震に関する被害想定の中で最も被害規模の大きいものを想定するものとする。

なお、この想定を基準とした本庁舎(警察本部本館及び警察本部北館をいう。以下同じ。)機能の状況については、別表のとおりである。

第4 平素の措置

1 実施体制の確立等

大規模災害の発生に備えた業務継続の実施体制及び計画の修正に関する審議は、愛知県警察災害対策検討委員会等設置要綱の制定(平成23年備災発甲第280号)に定める愛知県警察災害対策検討委員会(以下「委員会」という。)において行うものとする。

2 業務継続実施責任者等

(1) 業務継続実施責任者

大規模災害の発生時に的確に業務継続を推進するため、所属に業務継続実施責任者(以下「実施責任者」という。)を置き、所属長をもって充てるものとする。

(2) 業務継続実施副責任者

実施責任者を補佐するため、所属に業務継続実施副責任者を置き、次長、副隊長、副署長及び副校長をもって充てるものとする。

3 関係機関等との連携

本部所属(部の附置機関及び警察学校を除く。)の実施責任者は、大規模災害の発生時における業務継続の推進に当たっては、警察庁との連絡調整に努めるほか、知事部局等関係機関と積極的に連携し、業務継続を推進するものとする。

4 業務の分類等

(1) 業務の分類

実施責任者は、大規模災害の発生に備え、その所掌する業務をあらかじめ災害応急対策業務、継続の必要性の高い通常業務及びその他の通常業務に分類するものとする。

(ア) 災害応急対策業務

大規模災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、愛知県警察が最優先で執るべき措置であって、負傷者の救出・救助、避難・誘導、緊急交通路の確保等基本計画に規定する業務をいう。

(イ) 継続の必要性の高い通常業務

災害応急対策業務以外の個人の生命、身体及び財産の保護並びに公共の安全と秩序の維持に必要な業務であって、一定期間縮小し、又は中断することにより、治安や県民生活・経済活動に重大な影響を与えるため、大規模災害の初動対応中であっても業務量を大幅に縮小することが困難な業務をいう。

なお、大規模災害への対応は長期化することが考えられるため、組織の維持に最低限求められる業務を含むものとする。

(ウ) その他の通常業務

災害応急対策業務及び継続の必要性の高い通常業務(以下「非常時優先業務」という。)以外の業務であって、緊急に実施することが必須ではなく、大規模災害の発生に際して、一定期間大幅な縮小又は中断が可能な業務及び積極的に中断すべき業務をいう。

(2) 継続の必要性の高い通常業務の選定及び人員計画の策定等

ア 実施責任者は、所掌する業務において継続の必要性の高い通常業務を選定して、優先順位を付すとともに、警察本部及び名古屋市警察部の部長(以下「主管部長」という。)は、部(警務部にあっては警察学校を含む。)の継続の必要性の高い通常業務を取りまとめ、委員会の審議を経た上で、これを示すものとする。

イ 実施責任者は、大規模災害が発生した直後で、参集した職員の数が十分でない状況であっても、最大動員して災害応急対策業務を推進するとともに、限られた人員の中で効果的に継続の必要性の高い通常業務を推進するものとする。

ウ 大規模災害発生時における職員の応招又は参集予定時間を把握しておくとともに、短時間で参集可能な職員は、基本計画に定める警備本部要員に充て、又は災害応急対策業務に従事させ、遠距離から参集する職員は、比較的優先度の低い業務に従事させ、又は大規模災害の発生直後から業務に従事している者との交代若しくは補充要員とするなどし、業務の優先順位を踏まえて、人員計画を策定するものとする。

エ 実施責任者は、人員計画の策定に当たり、継続の必要性の高い通常業務を推進する上で必要な人員及び物資を確保するため、その他の通常業務については計画的に休止し、又は継続の必要性の高い通常業務の実施に影響を及ぼさない範囲で策定するものとする。

オ 実施責任者は、被災等により幹部が欠けた場合に備え、あらかじめ職務代行者を定めておくものとする。

5 備蓄・情報通信の確保

(1) 食料の備蓄等

実施責任者は、大規模災害発生時に、食料、装備資機材、事務用品等の物資の入手が困難となることを踏まえ、調達業者を確保するなどし、業務継続に必要な食料等の適切な備蓄及び管理を行うものとする。

(2) 救護用品の確保

実施責任者は、大規模災害の発生に備え、あらかじめ負傷者の応急救護に必要な救護用品を確保しておくものとする。

(3) 情報通信の確保

実施責任者は、大規模災害の発生に備え、警察通信施設の整備や維持管理、応急用通信資機材の確保等のため関係部門との連携を図り、大規模災害発生時に、基本計画に定める警備本部の開設に必要な通信資機材の確保に努めるものとする。また、愛知県警察情報セキュリティに関する規程(平成30年愛知県警察本部訓令第20号)に規定する警察情報システムの可用性を確保するため、関係部門と連絡体制の構築に努めるものとする。

(4) 電源等の確保

実施責任者は、大規模災害の発生時に、広域にわたる停電等により電力供給の途絶が予想されるため、非常用発電装置及び非常用発動発電機の整備及び点検に努めるなど、電源の確保に向けた対策を講ずるものとする。また、上下水道の断水も予想されるため、引き続き飲料水、簡易トイレの更なる確保に努めるものとする。

6 職場における被害軽減対策等

(1) 職場における被害軽減対策

実施責任者は、大規模地震の発生に備え、執務室内の書棚、ロッカー、テレビ、プリンター等の転倒及び落下を防止するための措置を講ずるほか、非常用電源コンセントの位置を明示するなど、職場環境の整備に努めるものとする。

(2) 職員に対する被害軽減対策

実施責任者は、災害応急対策業務を推進する職員に対し、受傷事故を防止するため指導及び教養を徹底するとともに、各種事故防止資機材の整備に努めるものとする。

(3) 職員及びその家族に対する指導及び教養

実施責任者は、大規模地震の発生に備え、職員及びその家族に対し、自宅の家具、家電製品等の転倒及び落下を防止するための措置、最寄りの避難所の確認、家族との連絡手段及び方法の確認、食料の備蓄等を講じるよう指導教養に努めるものとする。

(4) 施設課長及び装備課長は、(1)及び(2)の推進に当たっては、必要な助言及び指導を行うものとする。

7 代替施設の整備

(1) 代替施設への移転

ア 警察本部長及び警察署等の長は、あらかじめ大規模災害の発生に伴う警察施設の損壊等により、警察本部又は警察署等の庁舎が使用不能となった場合において警察業務の運営に必要な機能の移転先となる代替施設を指定するものとする。この場合において、道路の損壊や浸水等を想定し、移動手段の多重化に努めるものとする。

イ 警察本部長及び警察署等の長は、あらかじめ代替施設に移転する人員、業務、資機材等について選定しておくものとする。

(2) 代替施設に対する備蓄及び情報通信の確保

警察本部長及び警察署等の長は、代替施設への移転を考慮した飲料水、食料等の備蓄に努めるほか、移転先における通信機能、警察情報システムの機能確保に配意するものとする。

8 安否確認方策

実施責任者は、大規模災害の発生時における職員及び家族の安否確認については、電話回線がふくそうすることを考慮し、電子メール、災害伝言ダイヤル、通信事業者が提供する災害用伝言板等を活用するなど、複線化を図るものとする。また、実施責任者は職員に安否確認の方策について、職員に徹底しておくものとする。

9 応招又は参集に関する留意事項

(1) 職員は、基本計画に定める自主参集の要件に該当する事態を認知したときは、招集命令を待つことなく参集するものとする。

(2) 職員は、自己の所属に対する安否確認の連絡方法及び参集後の自己の任務について把握しておくものとする。

(3) 職員は、大規模災害の発生に伴う交通途絶を考慮した応招又は参集の手段及び経路の把握に努めるものとする。

(4) 職員は、応招又は参集に備え、あらかじめ必要な食料や着替えなどを準備しておき、応招又は参集時には、これを持参するものとする。

10 警察署等の業務継続計画の策定

警察署等の実施責任者は、的確に業務継続を推進するため、警察署等業務継続計画を策定するものとする。この場合において、庁舎機能の状況については、被害予測調査結果を参考とするほか、各市町村の行政機関の防災担当者又は地域のライフライン事業者から電力、ガス、水道等の復旧見込み等を聴取するなど、管轄区域の特性に応じて作成するものとする。

なお、具体的な非常時優先業務の項目及び被害予測調査結果は、別途、関係部長が示達するものとする。

第5 大規模災害発生時の措置

1 非常時優先業務への移行等

(1) 非常時優先業務への移行

県内に震度6弱以上の地震が観測された場合は、自動的に非常時優先業務に移行するものとするほか、警察本部長が必要と認める場合は、非常時優先業務へ移行するものとする。

(2) 警備要員の招集等

実施責任者は、大規模災害発生時には、基本計画に定めるところにより職員の招集を行い、非常時優先業務を実施するための体制を早期に確立するものとする。

(3) 職員の安否確認等

実施責任者は、通信事業者が提供する電子メール、災害用伝言板等により把握した職員及び家族の被害状況を基本計画に定める警備本部に災害警備対策システム(愛知県警察災害警備対策システム運用要綱の制定(平成16年備災・総情・生総・刑一・交規・交管発甲第85号)に規定する愛知県警察災害警備対策システムをいう。以下同じ。)により報告するものとする。

なお、災害警備対策システムが使用できない場合は、有線又は無線通信等適宜の方法により報告するものとする。

(4) 職務代行者による指揮

幹部が大規模災害発生時の被災等により、出勤又は勤務の継続が困難となった場合は、あらかじめ指定された職務代行者の指揮命令により非常時優先業務等を実施するものとする。

(5) 計画の変更等

ア 警察本部長は、被害の状況により、非常時優先業務への移行を中止又は変更するものとする。

イ 実施責任者は、非常時優先業務を継続することが困難となった場合は、必要な応援を求めることができるものとする。

(6) その他の通常業務の再開

ア 実施責任者は、大規模災害の発生に伴う災害応急対策業務の状況及びライフラインの復旧状況等を勘案して、縮小し、又は中断しているその他の通常業務を段階的に再開できるものとする。

イ 実施責任者は、縮小し、又は中断しているその他の通常業務を再開した場合は、警察本部長(警備第二課長経由)に報告するものとする。

2 庁舎機能の確保等

実施責任者は、大規模災害の発生により非常用発電装置による電力供給が行われた場合は、非常時優先業務を実施するために必要な電力以外の電力の使用を抑制するとともに、庁舎の破損の有無を確認し、危険があると認める場合は、立入禁止措置等必要な措置を講ずるものとする。

3 来庁者への対応

(1) 庁舎管理責任者(庁内管理規程第3条に規定する管理責任者をいう。以下同じ。)は、大規模災害の発生により庁舎が被災した場合は、来庁者を安全な場所へ誘導するものとする。

(2) 庁舎管理責任者は、大規模災害の発生により来庁者を庁舎内に一時待機させる必要があると認めた場合には、非常時優先業務の実施に影響を及ぼさない場所において、来庁者を一時待機させるものとする。

(3) 庁舎管理責任者は、庁舎内に一時待機している来庁者の待機時間が長時間にわたるなど、非常時優先業務の実施に影響を及ぼすおそれがあると認める場合には、愛知県災害対策本部及び各市町村災害対策本部と調整の上、来庁者を庁舎周辺の避難所に案内し、又は誘導するものとする。

4 警察本部機能等の移転

(1) 警察本部長は、大規模災害の発生に伴い、本庁舎が使用不能となった場合は、速やかに警察本部機能を代替施設に移転するものとする。

(2) 執務時間外において緊急に判断を求める場合は、当直司令が基本計画に定める警察本部長への報告の際に指揮を受けるものとする。

(3) 警察署等の長は、指揮機能を代替施設に移転する場合は、事前に警察本部長(警備第二課長経由)に報告するものとする。ただし、事前に報告するいとまがない場合は、移転後、速やかに警察本部長(警備第二課長経由)に報告するものとする。

5 通常業務への復帰

警察本部長は、計画による業務継続の必要がなくなった場合は、通常業務に復帰することを決定するものとする。

第6 雑則

この計画に定めるもののほか、計画の実施に関し必要な事項は、主管部長が別に定めるものとする。

〔平25総情発甲231号平27備災発甲20号平30情管発甲105号令4備災発甲70号・本別記一部改正〕

別表

〔平27備災発甲20号・本表一部改正〕

大規模災害発生時の本庁舎機能の状況

機能

状況

電力

一時的に停電する可能性が高い。復旧は事業者による。

非常用発電装置稼働時の電力供給等

供給能力

本館及び北館

3,500kVA及び1,000kVA発電機により本館及び北館に3日間程度電力を供給することが可能

発電機の運転時間は、電力供給量により変化するため、指揮指令機能維持を最優先として必要ない電気の使用を抑制

照明

本館

約20%の照明機器に電力供給可能

北館

約30~50%の照明機器に電力供給可能

エレベーター

本館

使用可能(使用を抑制)

北館

使用可能(使用を抑制)

コンセント

本館

本部長室及び各部長室のコンセントに供給可能

その他の室の分電盤内のコンセントに供給可能

北館

非常用コンセントに供給可能

エアコン

本館

使用可能(使用を抑制)

北館

使用可能(使用を抑制)

水槽用ポンプ

非常用発電機から供給され使用可能

電話

警察電話

警察電話は使用可能

加入及び携帯電話

ふくそう等により1週間程度つながり難い状態

上水道

使用可能

配管等の破損がなければ使用可能であるが、配管等が破損した場合には、事業者による復旧までの間(1週間程度)使用不能

使用不能

本館には、飲料用として地下3階受水槽に45t、雑用として雑用水槽に190tを貯水

北館には、飲料用として屋上高架水槽に12t、地下3階受水槽に48t、雑用として屋上高架水槽(空調用)に30t、高架水槽(トイレ用)に12t、地下3階受水槽(トイレ用及び空調用)に300tを貯水

下水道

配管等の破損がなければ使用可能であるが、配管等が破損した場合には、事業者による復旧までの間(1週間程度)使用不能

ガス

配管等の破損がなければ使用可能であるが、配管等が破損した場合には、事業者による復旧までの間(1か月程度)使用不能

愛知県警察大規模災害対応業務継続計画の制定

平成24年9月6日 備災発甲第130号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第8編 備/第2章 備/第2節 災害警備
沿革情報
平成24年9月6日 備災発甲第130号
平成25年 総情発甲第231号
平成27年 備災発甲第20号
平成30年 情管発甲第105号
令和4年 備災発甲第70号
令和5年3月28日 務警発甲第66号