女子に限らず魚を食べるのが苦手、きれいに食べられないと言う人が多くなり「魚離れ」という言葉もあるほど。でも、日本の女性「大和なでしこ」の美しさを支えてきたのは古来より魚食なのです。
そこで現代の「大和なでしこ」の女子力アップにも「魚食は必須で効果的なはず」と、愛知県に四人居る「おさかなマイスター」のうちの一人である神谷友成さんを訪ねて、読めば魚食に走りたくなる知恵を授かってきました。
▶ おさかなマイスターとは
日本おさかなマイスター協会が認定した、生活者に魚の知識を伝えて美味しく食べてもらうための伝道師。
魚食を通じて「日本の食文化」を考え、食育に関する様々な活動に参加し、各地で講師としても活躍しています。
「魚は骨があるからきれいに食べられなーい!」、と現代のなでしこ達は言いますよね。刺身なら食べる、魚は嫌いじゃないけれども、焼魚や煮魚、特にイワシのような小骨が多い魚は骨が邪魔で食べたくないのでしょうね。でも、それは現代のなでしこ達の想像力のなさに問題アリ!魚の構造さえ知って理解すれば、簡単に美味しく食べられるはずです。
なにも魚図鑑を横にして食べなくても大丈夫。魚のレントゲンを想像しながら箸という日本古来の道具を上手く使って骨から身をはずしてみましょう。魚は人間と同じ脊椎動物です。背骨があり、口からおしりの穴まで内蔵があります。その内蔵を守るために肋骨があるのです。また、口の中に刺さる、喉に引っかかるなどと怖がられてしまう小骨は背ビレや胸ビレなどのヒレを支える骨。これも箸を上手に使って取り除けば良いだけです。こんな風に魚の骨格を考えながら、箸を身に入れて食べ進んでいく…。骨から大きく身が離れるとなんだかうれしいし、その魚特有の味も感じることができるでしょう。
そして、この「考えて食べる」行為自体がなでしこ達にはイイ。まず、肉のようにがっつけない、噛みつけない。骨があるから口に運ぶにも時間がかかる。そのインターバルが早食いからくる食べすぎも防いでダイエットには好都合。一緒に食事をする人との会話も楽しませてくれるでしょう。
また、箸の持ち方や使い方も魚食で学んでみては。魚に限らず、箸で料理をきれいに食べられる人は育ちが良い、品があると言われ、日本では美徳とされています。デートも普通はまず食事から。どんなに美人で可愛いアユのような女の子でも、食べ方が汚いのはNG!男子が引いてしまいます!知恵と道具を巧みに使う魚食で女子力を鍛えて磨いて、狙った男子を引きつけてくださいね!
食事を楽しくするには空間やムードといった演出も大切ですが、知恵や話題が豊富な女性との食事はより楽しいものです。
そこで少し考えてみたいのが会話の内容。この頃は流通や産業の発達、異常気象などで季節感を失いつつありますが、衣替えなどで暦・季節を意識することもあると思います。日本には四季があり、旬がある。魚は短歌や俳句などの季語に引用されるほど季節を感じさせてくれるものです。また、魚はウンチクが多いので、季節やそのウンチクを語り合うことが食事を楽しくする最高のスパイスとなって、思い出に残るひとときを演出してくれることでしょう。
でも、魚料理を前にして季節やウンチクを語るには、やはり知識だけでは足りません。知識に加え、味を知っている、という経験が必要です。そこで、まずは「食べてみること」から始めましょう。食べて美味しければウンチクも知りたくなるものです。肉に比べて魚の種類は食用に限っても180種以上!全部はもちろん無理でも、旬の魚は安価で手に入り、脂がのって旨い!旬を逃さず食べることも和の心。本物の「大和なでしこ」に一歩近づけるはずです。
▶ おさかなマイスターとは
おさかなマイスター
神谷友成さん
親子中央卸売市場教室、名古屋市環境大学・中学校出張食育講座、名古屋市消費生活講座、名古屋市生涯学習センター講座、小学校出張食育講座など、講師として従事し、16年に渡り、朝日新聞「魚市場歳時記」を連載しています。おさかなマイスター&お魚かたりべとして各種イベントに参加して、魚食普及、食育活動に意欲的に取り組んでいます。
1957年愛知県名古屋市緑区生まれ。
名古屋市中央卸売市場 中部水産株式会社 取締役販売促進部長。
2008年、日本おさかなマイスター協会認定「おさかなマイスター」取得。2009年、大日本水産会・魚食普及表彰、名古屋市中央卸売市場市場協会功労者表彰。2012年、水産庁長官任命「お魚かたりべ」として「魚の国のしあわせ」プロジェクトに参加。