皆さんは、おさかながどんな風に獲られているか、想像したことがありますか?
私たちの食卓に並ぶ海の幸は、漁師さん達が技術を駆使して水揚げして届けてくれる、海からの恵みです。
このページでは、そんな漁師さん達の声、水産物への想いをご紹介します。
お話しを聞いたのは、愛知県が認定している「漁業士」の皆さんです。漁業士の人たちは、みんなのお手本になる漁村のリーダーとして、色んな活動に頑張っている人たちです。
漁師さんって、ちょっとコワイイメージがあるけれど、本当はとっても優しくて、プロ意識が高くて、カッコイイ人たちなんですよ。
アナゴ(マアナゴ)
選ぶ時は、腹のところが白っぽいものを選ぶといい。白い方が脂が乗っていて美味いんだ。あまり大きくなったやつより、細いほうが旨みがあると思う。やっぱり干物が一番美味いね。豊浜の名産品だから漁港に来たら買ってってよ。
豊浜漁協 吉原武男さん
イワシ(マイワシ)・カタクチイワシ
イワシは大群で潮に向かって右回りに泳ぐことを知っているかな?プランクトンが多く、大きい魚におそわれにくい陰を求めて棲みやすい場所にいるんだよ。だから、魚群探知機などの最新機器はもちろん船には載せているけれども、前日の漁場に当たりをつけて漁に出る、というのが基本だね。マイワシ一匹を調理するのが難しい、という人は、ちりめんじゃこや、はんぺいなどの加工品を料理に活用してみては。
豊浜漁協 磯部治男さん
カワハギ
一番好きな魚かぁ・・・うん、俺はカワハギだな。フグに似ているけどフグより上だと思うよ。安いしね。料理法は煮魚だね、やっぱり。秋から冬は肝が大きくなって美味いんだ。
常滑漁協 安田利明さん
キス
幼稚園や大学主催のイベントなどで、朝獲れのキスを使った「魚を自分でさばく」料理教室を行い、魚食を推進し、食育を考える地域活動にも積極的に参加しているよ。ママ達だけでなく、子ども達にさばいてもらうことも。丁寧に下ごしらえした魚を食べると、小さな子でもみんな「オイシイ!」と言ってくれる。要は骨とウロコを丁寧に取れば良いのだからね。我々漁師はみな、魚それぞれの素材の美味しさ、本来の味を知ってほしい、といつも願っている。それも小さな頃から覚えれば、魚離れしない。こうした活動は広げていきたいよね。
常滑漁協 安田利明さん
クロダイ
季節によって脂ののりが違うよ。春を越えたら脂が抜けて味が落ちるから、油を使う料理にするといい。
野間漁協 河村耕一さん
スズキ
やっぱり夏が美味いね。夏を越えると脂が落ちるから、それを補うために油を使う料理の方がいい。意外だけど、干物にするのが一番うまいと思うよ。
豊浜漁協 有本裕司さん
タチウオ
タチウオの大きさは指の幅で数えるんだ。2,3本の小さいものは、さばいてからくるっと巻いて焼いて食べると美味い。
豊浜漁協 有本裕司さん
トラフグ
焼きフグが美味い。薄く切ったのを軽く炙ってポン酢で食うと最高。
豊浜漁協 有本裕司さん
ホウボウ
刺身が一番うまいね。カワハギほど大きくないけど肝が美味いから、新鮮なものはカワハギのように肝和えするといい。足やひれも唐揚げにするといい。食感や味がエビのようでうまいよ。
豊浜漁協 有本裕司さん
メヒカリ
メヒカリは、30年くらい前ならば市場に出さない魚で、いわば雑魚。地元漁師の食卓で主に塩焼きで食べられていた魚だよ。でも、これがいまでは高級魚として取り扱われている。晴れや曇り、陽光の照り具合に関係なく、海のなかが明るい日があるのだけれど、そんなときに水揚げが多いね。この海の明るさについては、漁師を何十年やっていても予測不可能で、まさに自然の神秘、だよね。
蒲郡漁協 間瀬悦邦さん
アサリ
アサリ漁はアサリを獲るだけじゃない。まずはアサリの稚貝をまくところから始まるんだよ。稚貝が食べられる大きさに成長するには最低でも1年が必要で、夏を越さないと太らない。そうしてまいた稚貝も、海や自然が相手だから突然いなくなって、全く無駄になることだってある。原因は様々だけれど、海が貧酸素になれば魚介は生きて行けないから、愛知県の漁師たちは植樹など、環境保護にも尽力しているよ。
西三河漁協吉良支所 鈴木修さん
渥美ではアサリというとお雛さんだね。アサリを炊いて、お雛さんに飾るアサリの寿司を作るんだ。アサリも2月頃から身が入り、3月の雛祭りのころにちょうど美味くなってくる。最近はちょっと身が入るのが遅くなってきたかなあ。
渥美漁協 小田島保夫さん
オオアサリ(ウチムラサキ)
水深約2〜20mに棲むオオアサリや、約4〜20mに棲むナミガイを潜って獲って40年のベテランだけれど、漁は1日1回2時間半が限界という、体力勝負の仕事だね。潮の流れが穏やかで海の透明度があり明るい日は、貝の水管が外に出るので、獲りやすくて大漁が期待できる。愛知県の貝料理ではダントツ人気のオオアサリだけど、いいものは、貝全体がプックリしていて貝殻が薄いもの、口のところまで身がある。1個1個、漁師の手で獲った貝だから、じっくりと旨味を味わってほしいよね。
日間賀島漁協 鈴木洋一さん
ナミガイ
ナミガイは、夏場は水管が細くなって味が落ちるから、料理して味を補った方がいい。冬から春は太くなって、茹でただけで何もせんでも美味しい。どんな水産物でもそうだけど、旬を外れているものは料理する、旬のものはできるだけ手を加えず素材そのものを活かす。これが基本。
日間賀島漁協 鈴木洋一さん
タコ(マダコ)
北海道産などで知られる、太い足を持つミズダコとは全く違う食感と旨味が楽しめる愛知県産のマダコは、底引き網漁で獲る。和で味わうだけでなく、イタリアンやスペイン料理などにも大活躍して、みなさんに馴染み深い食材だよね。
家は代々漁師だけれど、息子が後継者になってくれたから、これからも美味しいマダコをみなさんの食卓へ届けられてうれしいね。地物ならでは持ち味をしっかり感じてほしいよね。
蒲郡漁協 尾嵜芳成さん
日間賀島の茹でたてのタコはうまいで、生を買ってって家で茹でてみてくれ。家に帰ったらそのまますぐ冷凍。タコは冷凍すると柔らかくなって甘みも出るの。ぬめりを取らなきゃいかんけど、冷凍したものをぬるま湯で解凍しながら塩もみすると、ぬめりもよく取れる。よくぬめりを取ったら茹でて、かぶりつく。
日間賀島漁協 鈴木洋一さん
アオノリ
あんまり名古屋の人は知らんかもしれんけど、渥美の特産品だよ。冬~春に養殖してて、生アオノリから佃煮を作る。アオノリの佃煮は香りが違うね。我が家は砂糖としょうゆだけだけど、みりんを入れる家もあるね。好き好きで、家庭によって味が違うよ。
渥美漁協 小田島保夫さん
シャコ
雄雌の見分け方を教えようか。足がいっぱいはえとるじゃろ、ハサミのすぐ脇の足が一本多いのがオスなんだ。卵が好きな人はメスを選ぶけど、身が美味いのはオスだから鮨屋はオスを選ぶ。
常滑漁協 安田利明さん
ヨシエビ
エビを焼いたりする時、曲がらないように背に沿って串を刺すでしょ。ヨシエビは身に弾力があって、焼いてるうちに刺した竹串が折れてしまう。それだけヨシエビの身には歯ごたえがあって、うまいと思う。
常滑漁協 安田利明さん
アカシャエビ
料理する時、エビの背わた取るでしょ。伊勢湾のアカシャは砂が少ないので背わたを取らなくてもいい。そのまま唐揚げとかしたらいい。新しいのなら生で食べることもあるけど、これはクルマエビよりうまいと思うね。
常滑漁協 安田利明さん
ノリ
豊浜に来たら生ノリも売ってる。冷凍しておいて、具のない熱々のみそ汁に入れると、さぁっと色が変わって香りがよくて美味しいよ。
豊浜漁協 吉原武男さん
ノリはたんぱく質もカルシウムもビタミンもたっぷり。寒い中一生懸命作っているから、たくさん食べてほしいね。最近はラーメンにノリを入れることが多いけど、1枚ばかり入れても単なる飾り。5枚くらい入れないとノリの香りは出ないね。
鬼崎漁協 山下貴正さん
漁師さん達は、まだ夜も明けない暗いうちや、
雪の降る寒い夜にも海に出て、海の恵みを私たちに届けてくれます。
皆さん、お魚料理を作る時は、そんな漁師さん達の苦労を思い浮かべ、
感謝しながらおいしく召し上がってくださいね。