1 検査の実施について
今年度より、乳用牛の定期検査を隔年で実施することになりました。今年度は、本所管内では豊橋市を、新城設楽支所管内ではすべての地域を対象に
検査を実施し、来年度は本所管内の田原市、豊川市、蒲郡市、小坂井町を対象とします。
実施する検査はヨーネ病、結核病、ブルセラ病検査です。ただし、結核病、ブルセラ病については、過去に検査を受けた牛は除きます。
2 検査の対象家畜
(1) 搾乳用めす牛およびその育成牛(1才以上すべて)
(2) 同じ農場で飼われている肉用繁殖雌牛
(3) 結核病およびブルセラ病については、(1)のうち一度も検査を受けていない牛
3 検査当日のお願い
ヨーネ病およびブルセラ病では陽性の場合、採血時点に遡って疑似患畜の乳が、食品の原材料には不適なものとして扱われます。このため、朝の搾乳後
採血を行い夕方の搾乳開始までに検査を終えるという体制をとります。したがって、次のことを厳守してください。
採血前に搾乳を完了する
結果判明前に搾乳を開始しない(結果は午後6時頃までに家保から連絡)
また、当日の検査をスムーズに行うため下記のとおり準備をお願いします。
また、採血日の3日後には、結核病の判定で再度伺います。
4 検査手数料
県手数料条例が平成20年4月1日に改正
ヨーネ病検査:1頭につき900円
結核病、ブルセラ病:1頭につき600円(従来どおり)
国内で飼養されている牛については個体識別番号が振られ、番号を示した耳標を装着すること、転出・入、と畜、死亡等の報告を個体識別センターに
報告することで、牛のトレーサビリティーを確保し、国産牛肉に対する消費者の信頼性を高めることに寄与していることはご存じのとおりです。
しかしながら最近、農場からの転出や死亡の報告がなされず、いわゆる「幽霊牛」になっている個体番号が増えているとの報告がありました。監視する
立場の農水省は、今後、報告漏れや報告遅延についてより厳しく対応するとしています。
中国産食材・食品での農薬残留や、米国産牛肉での危険部位混入事例で、国産食材・食品への期待はこれまで以上に高まっています。移動報告は牛飼養
者の基本的責務と理解し、迅速な報告の徹底、耳標脱落の際の迅速な再装着をお願いします。
平成19年度、管内の畜産農家がと畜場に出荷した家畜において、食肉衛生検査所のモニタリング検査などにより、抗菌性物質の残留が以下のとおり
確認されています。
(1) スルファジミジン:豚 1件
(2) ベンジルペニシリン:牛 1件
(3) スルファモノメトキシン:豚 3件
(4) スルファジメトキシン:牛 1件
(5) スルファメトキサゾール:豚 2件
(6) エンフロキサシン:豚 1件
(7) ドキシサイクリン:豚 1件
(8) フロルフェニコール:豚 1件
11件で8種類の薬剤が確認されましたが、7件がサルファ剤でした。サルファ剤は化学療法剤で、人体用としてはあまり用いられず、動物での使用が
主体になっています。その理由は、広範囲な抗菌スペクトルを持ち、いろいろな細菌や原虫症に有効かつ安価であるからです。また、サルファ剤は開発に
あたり、投与後の有効血中濃度を延長させることを目標に作られてきたので、抗菌力の持続性が高いことが特徴です。
サルファ剤は体内に吸収されると血液を介して、体全体の組織に広く分布し、最終的に主に腎臓から尿として排泄されます。なお、尿が酸性であるほど
排泄が遅くなります。副作用としては血液毒性や腎障害で、貧血、白血球減少、血尿などが報告されています。いわゆるサルファ剤中毒です。
畜産におけるサルファ剤の使用は、獣医師の指示によってのみ認められています。使用時は、動物用医薬品指示書に書かれている用法用量、休薬期間等
の指示内容を守らなければなりません。
畜産農家の皆様においては、サルファ剤を含めた抗菌性物質について、注射剤は投薬記録等を確実に残し、飼料添加剤等の使用に当たっては、無添加の飼料と明確に区別するなど残留
事故を起こさないように十分注意しましょう。
平成20年3月27日(木)愛知県畜産総合センターで第49回の愛知県ブラックアンドホワイトショウが開催されました。
本ショウは、ホルスタイン改良同志会の皆さんが互いの雌牛を比較しつつ、改良の方向を検討するとともに、会員相互の親睦を図ることを目的としています。
今回は、十勝家畜人工授精所児玉辰司氏により審査が行われ、各部で管内からの出品牛が上位入賞しました。主な成績は、以下とおりです。
経産牛グランドチャンピオン(GC)およびリザーブグランドチャンピオン(RGC)
GC:マリーデール クリーメル ガーター ヤンキース ET 福井邦仁(宝飯支部)
RGC:イーストフアーム フオーメーシヨン バウアー 森富士樹(愛知東)
GC牛はベストアダーオブザショウも併せて受賞
各部上位(チャンピオン(C)、リザーブチャンピオン(RC))入賞牛
1部(未経産8か月〜12か月未満)
C:マリーデール MBB オポ テイフオシ ET 三浦正志(豊橋)
RC:マリーデール ゴールドウイン トウイン 前田和也(豊橋)
2部(未経産12か月〜15か月未満)
C:マリーデール ハートライン ダーハム サツシー ET 伊藤忠張(豊橋)
RC:テイフオシ ダーハム サツシー ハニカミ ET 三浦正志(豊橋)
4部(未経産18か月~21か月未満)
RC:ネクスト エデシヨン エース 土屋敦敬(豊橋)
6部(経産30か月未満)
RC:ノースドリーム ダンデイー クリス ドリームアローズシンジケート(豊橋)
7部(経産30か月〜3歳未満)
RC:ハツピーライブ ハートライン サツシー 前田和也(豊橋)
8部(経産3歳〜3歳6か月未満)
C:ウイス エルヒーローズ ローリー 伊藤忠張(豊橋)
9部(経産3歳6か月〜4歳未満)
C:マリーデール ストーマテイツク モモ 福井邦仁(宝飯)
10部(経産4歳〜5歳未満)
C:イーストフアーム フオーメーシヨン バウアー 森富士樹(愛知東)
RC:ニセコヌプリ サクラ キヤナコ 前田和也(豊橋)
11部(経産5歳以上)
C:マリーデール クリーメル ガーター ヤンキース ET 福井邦仁(宝飯)
本会は、4月15・16日に静岡県御殿場市で開催される「第33回中部日本ブラックアンドホワイトショウ」出品牛の選考会も兼ねており、当管内より16頭が選出されました。
近年、食品に関する違反行為が多発しており、消費者の食品の安心安全への関心が高まっています。
そのような中、畜産物中への動物用医薬品の残留も問題となっており、当所管内においても、昨年度、食肉検査所から残留事例が10事例報告され、動物用医薬品の適正な流通や使用が求められています。
このため、生産者の皆さまには、下記の点に注意し、動物用医薬品の適正な使用に努めてください。
★動物用医薬品の用法用量等を記載した添付文書の内容をよく読んで使いましょう。
医薬品の添付文書には「用法、用量、その他の使用及び取扱い上の必要な注意」が記載されています。
対象動物、用法用量、使用禁止期間(休薬期間)等を守って使用してください。
(用法用量等を遵守していなければ、使用禁止期間(休薬期間)だけを遵守しても残留する可能性があることを頭に入れておいてください!!)
★要指示医薬品は獣医師の診察を受けたのち、指示書等により指示を受け、指示どおりに使用しましょう。
「要」印のついた医薬品は「要指示医薬品」といい、生産者(農家)が使用する場合、獣医師から診察を受け、その際発行された指示書を提示し販売業者から購入した当該医薬品を、指示内容に従い使用する必要があります。
また、指示を受け投薬後に残った薬は、農家が勝手に使うことはできません。その薬の処分については、獣医師又は販売業者にご相談ください。
★動物用医薬品の使用に関する記録に努め、動物用医薬品を与えた個体や群について確認ができるよう徹底しましょう。
投薬中や投薬後の家畜や畜舎には医薬品の使用状況をはっきり表示し、食用として出荷する家畜や牛乳、卵等の生産した家畜の医薬品の使用記録(使用年月日、使用した場所、使用した動物の種類、使用量等)をよく確認し、個体を間違えないようにするとともに、記録した書類・帳簿は保管するようにしてください。
我が国は、国際獣疫事務局(OIE)に豚コレラ清浄国と認定されて1年が経ちました。認定されるには、以下の2要件を満たさなければなりません。
1)12か月以上ワクチン接種を禁止していること
2)サーベイランスが実施されていて、12か月以上、当該疾病の発生がないこと
平成5年以降豚コレラの発生はなく、平成18年4月からワクチンは全面禁止となっています。また、全国的なサーベイランスは平成14年から行われ、本県でもすべての養豚場を対象に実施しています。
平成19年度、当所の清浄性維持確認のための調査実施状況は、以下のとおりでした。調査の結果、異常はありませんでした。
1)立入検査:管内の対象養豚場165戸すべてについて実施
2)抗体保有状況調査:75戸633頭
3)野生イノシシの調査:管内で捕獲されたイノシシ2頭
4)病性鑑定材料を用いた調査:21戸45頭
また、平成19年度は、平成19年3月30日に制定された「愛知県豚コレラ発生時防疫対応マニュアル」を管内の養豚関係者に理解して頂くための机上演習として、豚コレラ防疫対策研修会を以下のとおり開催しました。
第1回:平成19年6月22日 ひまわり農協東部営農センター
第2回:平成19年6月28日 JA愛知経済連東三河センター
第3回:平成19年7月13日 サンテパルク田原
豚コレラについては、全国的サーベイランスに基づき立入検査、抗体検査等を実施し、清浄性維持を確認していきますので、関係者の皆さんのご協力をお願いします。
※なお、平成20年4月16日にサーベイランスにおいて豚コレラの臨床症状は見られないが抗体陽性である豚が茨城県他で確認された旨の農林水産省プレスリリースがありました。 「豚コレラウイルスの抗体陽性豚(無許可ワクチンの接種疑い)の確認について」
平成16年に飼養衛生管理基準が制定され、伝染病が発生しないよう様々な措置をすることが牛・豚・鶏を飼う者の努めとなりました。牛飼養農場については、今年度、193の酪農農場、75の肉用牛農場でこの基準の遵守状況を調査しました。
残念ながら、基準2の「作業衣・作業靴の消毒」、と基準5の「フェンス・ロープや看板による外来者の立入り制限」については十分でない農場が多く、農場外や畜舎外からの疾病持込を防止する意識に欠けることがうかがえました。日頃限られた人しか畜舎に出入りしない肉用牛農場では、より鮮明でした。これら措置の未実施農場については、踏み込み消毒槽や立入制限表示板の早急な設置を指導しているところです。
さらに、日常的に人工授精師や獣医師の立ち入りがある酪農農場にあっては、踏み込み消毒槽に加えて、来訪者に貸与する長靴を常備するという、より高いレベルでの衛生管理が望まれます。
基準 | 遵守率 (%) | |
酪農農場 | 肉用牛農場 | |
1 牛舎・器具の定期的な掃除・消毒、清潔な作業着の着用 | 91.2 | 76.0 |
2 牛舎出入り時の作業衣・作業靴の消毒 | 77.2 | 48.0 |
3 飼料・飲水への家畜・野鳥・ネズミ糞混入防止 | 99.0 | 97.3 |
4 導入家畜の隔離、健康観察 | 94.3 | 96.0 |
5 外来者立入の制限、さらに入場車両の消毒 | 57.0 | 57.3 |
6 牛舎への野生動物の侵入防止、害虫の駆除 | 97.4 | 98.7 |
7 家畜出荷時の健康確認 | 100 | 100 |
8 家畜の異常の早期発見、獣医師への依頼 | 100 | 100 |
9 密飼いの防止 | 100 | 100 |
10 伝染性疾病に関する予防知識の習得 | 100 | 100 |
平成17年度から実施している1,000羽以上を飼養する採卵鶏農家全戸のHPAIモニタリング検査については、3月12日をもって今年度の検査が終了し、すべて陰性を確認しました。
当家保では、本所、支所合わせて7市町、83戸を対象に地域に偏りがないように農家を選定し、毎月検査を実施してきました。農家立入時にはHPAI関連等の最新情報を提供するとともに、併せて飼養衛生管理基準の調査及び消毒・防鳥ネット関連のアンケートを実施しました。さらに、採血した血液を利用してその他の各種疾病の抗体検査を実施し、その検査結果についてコメントを付け農家に還元しています。今後は、今回の調査結果を集計・解析し、農家指導に生かしていきたいと考えています。
1.検査対象(7市町、83戸、830羽)
本所 6市町(豊橋市、豊川市、御津町、蒲郡市、小坂井町、田原市) 69戸
支所 1市(新城市) 14戸
2.抗体検査の対象疾病
高病原性鳥インフルエンザ、ニューカッスル病、マイコプラズマ病、サルモネラ症
平成19年度4月から12月にかけて本所管内の養豚農家さんにご協力いただき、オーエスキー病を始めとする各種伝染性疾病の抗体検査を実施しました。その結果は以下のとおりです。
◎オーエスキー病
150戸1,313頭をエライザ(ELISA)法と中和抗体検査法で検査した結果、全頭陰性でした。
今後も愛知県内の清浄化を維持していくために、県外から豚を導入する場合は、「愛知県オーエスキー病防疫対策実施要領」に基づき、ワクチン未接種・抗体陰性であることを確認し、隔離観察期間を設けてください。そして、県外での検査後感染を否定するため必ず管轄の家畜保健衛生所へ連絡し、抗体検査を受けてください。
◎豚コレラ
67戸593頭をELISA法と中和抗体検査法で抽出検査した結果、全頭陰性でした。
わが国では平成5年以降豚コレラの発生はなく、平成8年度からはワクチンを用いない防疫体制の確立を進めてきています。平成18年3月に防疫指針が策定され、ワクチンの使用が全国的に全面中止になっています。そして平成19年4月1日をもって、日本はOIE(※)に"豚コレラ清浄国"と認定されました。
※OIEとは、国際貿易における動植物の検疫ルールを定める国際獣疫事務局
地域 | 戸数 | 陽性戸数 | 陽性率(%) | 頭数 | 陽性頭数 | 陽性率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|
全体 | 150 | 131 | 87.3 | 1,313 | 1,039 | 79.1 |
宝飯地区 | 20 | 13 | 65.0 | 170 | 117 | 68.8 |
豊橋市 | 55 | 47 | 85.5 | 495 | 352 | 71.1 |
旧田原町 | 49 | 46 | 93.9 | 422 | 388 | 91.9 |
旧赤羽根町 | 13 | 12 | 92.3 | 105 | 82 | 78.1 |
旧渥美町 | 13 | 13 | 100 | 121 | 100 | 82.6 |
他の農場から豚を導入する時は、一農場からの導入に限った方が安定すると思われます。やむをえず複数農場から導入する場合、導入元農場を陰性農場か陽性農場のどちらかに揃えた方が導入後の被害が少なくなります。
◎トキソプラズマ病地域 | 戸数 | 陽性戸数 | 陽性率(%) | 頭数 | 陽性頭数 | 陽性率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|
全体 | 150 | 24 | 16.0 | 1,313 | 32 | 2.4 |
宝飯地区 | 20 | 0 | 0 | 170 | 0 | 0 |
豊橋市 | 55 | 10 | 18.2 | 495 | 10 | 2.0 |
旧田原町 | 49 | 9 | 18.4 | 422 | 14 | 3.3 |
旧赤羽根町 | 13 | 1 | 7.7 | 105 | 1 | 3.3 |
旧渥美町 | 13 | 4 | 30.8 | 121 | 7 | 5.8 |
全体 | 1,313 | 1,192 (90.8 %) |
89 (6.8 %) |
16 (1.2 %) |
13 (1.0 %) |
3 (0.2 %) |
---|---|---|---|---|---|---|
地域 | 頭数 | 抗体価 | ||||
陰性 (≦x16) |
疑陽性 (x32) |
x64 | x128 | x256 | ||
宝飯地区 | 170 | 161 (94.7 %) |
9 (5.3 %) |
0 (0 %) |
0 (0 %) |
0 (0 %) |
豊橋市 | 495 | 474 (95.8 %) |
11 (2.2 %) |
4 (0.8 %) |
4 (0.8 %) |
2 (0.4 %) |
旧田原町 | 422 | 345 (81.8 %) |
63 (14.9 %) |
7 (1.7 %) |
6 (1.0 %) |
1 (0.2 %) |
旧赤羽根町 | 105 | 98 (93.3 %) |
6 (5.7 %) |
0 (0 %) |
1 (1.0 %) |
0 (0 %) |
旧渥美町 | 121 | 114 (94.2 %) |
0 (0 %) |
5 (4.1 %) |
2 (1.7 %) |
0 (0 %) |
全体 | 718 | 18 | 76 | 232 | 269 | 85 | 28 | 4 | 712 | 99.2 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
地域 | 頭数 | 抗体価(x4から陽性) | 陽性数 (頭) |
陽性率 (%) |
||||||
x4 | x8 | x16 | x32 | x64 | x128 | x256 | ||||
宝飯地区 | 20 | 1 | 2 | 9 | 7 | 0 | 0 | 0 | 19 | 95.0 |
豊橋市 | 50 | 3 | 2 | 5 | 23 | 13 | 3 | 0 | 50 | 100 |
旧田原町 | 422 | 6 | 54 | 141 | 159 | 43 | 13 | 2 | 418 | 99.1 |
旧赤羽根町 | 105 | 5 | 12 | 38 | 38 | 6 | 4 | 1 | 104 | 99.0 |
旧渥美町 | 121 | 3 | 6 | 38 | 42 | 23 | 8 | 1 | 121 | 100 |
本菌は熱や消毒剤に弱いので消毒は非常に有効です。環境中に広く汚染されている場合では根絶することは困難ですが、密飼いを避け、水洗・消毒により清潔を保ち、感染の機会を減らしましょう。
去年の愛知県の家畜伝染病(法定・届出伝染病)発生状況をみると、豚では豚丹毒が13戸23頭と群を抜いて多い状況でした。東三河家保管内では、去年1年間に7戸7頭の発生でしたが、今年は1月だけで4戸4頭も発生しています。また、年当初には県内で豚丹毒の急性敗血症型による集団発生事例もありました。
平成19年12月14日(金)に行われました第48回愛知県畜産技術業績発表会に、当所から「大腸菌症発生採卵鶏農場における経済的損失とその予防対策」を発表しましたので紹介します。
【要 約】
平成17年11月初旬、鶏の大腸菌症が、ウインドウレス鶏舎1棟で県外大雛導入の約28,000羽を飼育する採卵鶏農場において、平成17年9月29日導入(6月4日餌付け)の鶏群で発生しました。そこで、同農場の発生鶏群における産卵成績等の影響を調査し、予防対策を実施しました。また、予防対策後の新しい鶏群に対する追跡調査を実施しました。
発生の概要:平成17年11月から平成18年1月で死亡羽数 893羽
総死亡羽数 1,978羽(全飼養羽数の7.1 %)
発生鶏群においては、ヘンハウスの平均産卵率が75.5 %と低く、卵重分布において卵の小玉化が発生していたことから、発生農場の被害総額を算定したところ、約820万円と甚大でありました。
一方、発生後の予防対策については、1)オールアウト後の徹底消毒 2)発育良好な鶏群の導入 3)鶏舎の換気不良の改善 4)腸内環境の改善(生菌剤の変更)を実施しました。
予防対策後の新しい鶏群については、120日齢から360日齢に、クロアカスワブ(64羽中12羽)及び鶏舎内塵埃(4検体中1検体)から血清型O78の大腸菌が分離されましたが、総死亡羽数
476羽、ヘンディの平均産卵率 89.5 %と、同鶏種の鶏群指標値と比べても、遜色なく良好な成績でありました。
以上のことから、導入時における鶏群の状態がその後の農場経営に大きな影響を及ぼすことが示唆されました。また、たとえ大腸菌保菌鶏が存在していても、健康な鶏群を導入し、良好な環境で飼育することでその発生を抑えることが可能であると思われました。
愛知県東部家畜保健衛生所
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